司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

11月 13 2017

死後離縁

死後離縁って、聞いたことありますか?
恐らく、ほとんどの人が聞いたことがないと思います。
死後離縁とは、養子縁組を行った養親または養子のうち、どちらか一方が亡くなったとき、生存している養子または養親が家庭裁判所の許可をもらって縁組を終了させることを言います。一般的には、亡くなった側の家族と縁を切りたい場合に使われることが多い制度です。

この説明を聞いても、あまりピンとこないかもしれません。
こういう状況になる人は、多くはありませんから。
しかし、本人たちにとってみれば、とても重要な問題であることが多いです。
一度は親族になったものを、くつがえすほどの思いとは、どういうものなのでしょうか。

死後離縁は、実務上は圧倒的に養親が亡くなって養子の方から申し立てる場合が多いです。
養子からみて養親の家族と折り合いが悪いというケースが良くあるパターンです。
財産の問題、借金の問題、あるいは人間関係にいたるまで、離縁したくなる理由はさまざまです。

死後離縁の手続は、まずは家庭裁判所に申立をして許可をもらいます。
その後、市区町村役場に家裁の許可を証する書面を持参して、離縁の届出をすることによって成立します。家裁と役所の2段階になる訳です。

書面を提出すれば、それで離縁が完了するのかというと、そう簡単ではないのです。
死後離縁は必ず認められる訳ではありません。
家裁に正当な理由があると認めてもらう必要があります。

特に注意が必要なのが、そこそこの財産を養親から相続した場合や、養親が亡くなる前に一定の財産を贈与してもらった場合などです。

相続や贈与で財産をもらった後の死後離縁は認められにくい傾向があります。養子縁組をする大きな理由の一つに「養親が亡くなった後の祭祀(注)を養子が引き継ぐ」というのがありますので、「財産をもらったのなら養親が死んだ後の祭祀を養子が行うべき」、と家裁が考えるからです。
(注)祖先を祭ること

死後離縁を考えているのならば、養親からなるべく財産はもらわないように注意しましょう。
もし既にもらってしまったならば,家裁を納得させるだけの理由が必要になると覚えておきましょう。
例えば、養親の家族から大きな嫌がらせを受けたとかいう理由はありそうですね。

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死後離縁②

11月 09 2017

死後事務委任契約とは?(任意後見④)

任意後見契約とセットで契約されることが最も多いのが公正証書遺言です。
その次に多いのが、死後事務委任契約です。死後事務委任契約は公正証書でなくても結ぶことが可能なので、任意後見契約を結んだ後に、しばらくしてから新たに契約される場合も珍しくありません。

死後事務委任という名前から想像できると思いますが、死後事務の具体的な内容は、以下のようなことになります。

委任する死後事務の具体的な内容

自分が死んだあとのことは、あまり考えたくないのが普通かもしれません。
けれど、それを考えて書面に残すことで、スムーズに事が運びます。
「立つ鳥跡を濁さず」ということですね。

それならば、エンディングノートでも良いのではないかと思いますよね。
しかし、あくまでもその人の思いをノートに記したものなので、法的効力がありません。
すると、エンディングノートには書いてあっても、残された人たちが話し合って、亡くなった本人の意思とは違うお葬式をすることも充分考えられるのです。

委任する死後事務の具体的な内容は、葬儀・納骨・埋葬・供養などを本人の希望通りにやってもらうために、細かく取り決めておきます。死亡時に連絡して欲しい人の指定や、葬儀会社や寺や墓地などを指定することもできますし、これらに使う費用の上限などを定めておくことも可能です。
死後事務のメインになりますね。

もう1つは、死後の後始末に当たる部分です。死亡した時点での未払いだった各種費用(施設利用費や入院費、光熱費や通信費など)の支払い、家財の処分方法の取り決め、役所等への届出業務の代理、などを定めておくことです。
こまごまとしたことになりますが、役所等への届出の代理などは、きちんと定めておかないと、何もことが進まなくなって、困ることがよくあります。

死後事務委任が威力を発揮するとき

こんなことは親族が行えば良いじゃないかと思った人もいるかもしれませんが、信頼できる親族が近くにはいない、というケースも少子高齢化の時代には珍しいことではなくなっています。

仮に近所に親しい友人がいたとしても、友人はあくまで法律上は他人なので、親切心で死後事務を手伝おうとしても、葬儀会社も施設も病院も役所も友人を代理人とは認めないのが普通です。つまり、友人は善意で動こうとしても動けないという状態に陥ります。

こんなときには死後事務委任契約が威力を発揮します。死後事務委任契約書があれば、友人は契約書を見せることで相手方に本人の代理人と認めてもらえます。死後事務をスムーズに進めることができるのです。

近くに頼れそうな友人もいないという場合は、司法書士などの専門家に死後事務を依頼することも可能です。

死後事務委任の重要ポイント

また、死後事務委任をする場合に重要なポイントとして、費用の問題があります。本人が死亡して相続が開始すると銀行は口座を凍結してしまうので、死後事務の費用が賄えなくなる可能性があります。
これを解決しておかなくてはなりません。

遺産分割協議を経て相続人が確定するのは結構時間がかかるのが普通ですが、死後事務は本人死亡後にすぐに費用が発生しますので、どうしても費用の問題が発生します。死後事務委任契約は、この費用の問題も解決してくれます。

良く行われる方法としては、一定の預り金を本人の生前に死後事務の受任者に渡しておいて、その旨を契約書に記載して、預り証を別途作成して契約書と一緒に閉じこんでおきます。

注意点としては、預り証は法的にきちんとしたものを作成しないと、贈与税がかけられる可能性があるということです。
トラブルを避けるためには、専門家に作成を依頼するのが良いですね。

他人にお金を渡すのが心配な場合は、本人名義の預り金口座を別途開設して、死亡後に死後事務の費用として、受任者がその口座から引き出すことが出来るように契約書に記載しておく、という方法もあります。
信用している人であっても、万が一の心配をせずに済むのは、預り金口座の別途開設ですね。

このような方法で死後の事務を滞りなく進めていけるように締結するのが、死後事務委任契約です。

遺言にしても、死後事務委任にしても、あるいは任意後見にしても、どこかのテンプレートを見てそれを見本として作成して終わってしまう人がいますが、本当は一度専門家の目を通した方が良いのになぁと思います。
ちょっとした一言が無かったりするだけで、後々とんでもないトラブルが発生する事例を私たち専門家は、よく目にしているからです。
その事例は、またいつか別のブログで……。

任意後見についても、もう少し詳しく知りたい方は、知って得する任意後見のメリットをどうぞ

11月 01 2017

戸籍の郵送申請と定額小為替(相続登記⑪)

相続登記の必要書類の中で最も手間がかかるのが、被相続人の出生から死亡までの戸籍であるということは、このブログでも何回かご説明してきました。

出生から死亡までの戸籍について

被相続人の戸籍を遡っていくと、転籍をしていることが良くあります。転籍に関しては、相続人も全て認識しているケースは稀で、取得して見たら気付いたというケースがほどんどです。

転籍先が遠方である場合は(北海道や九州などというケースも珍しくありません)、戸籍取得の為に交通費を払う人はいませんので、通常は郵送申請になります。この郵送申請が結構やっかいなのです。

まず、相続の特徴として、申請する段階では出生までの戸籍が何通あるか分かりません。仮に役所に電話しても、「申請して頂かないと通数は分かりません」と言われてしまいます。従って、申請書の書き方に工夫がいります。

また、戸籍の郵送申請の場合、役所の手数料は定額小為替で支払わなくてはなりません。そのようにルールで決まっています。

定額小為替について
定額小為替とは、郵便局で発行してもらう少額の為替のことで、受け取った人が郵便局で換金できる仕組みです。

定額小為替の種類は金額によって細かく分かれていますが、1枚あたり100円という結構高い手数料が取られます。小為替には50円という額面もありますが、50円の小為替でも手数料は100円なのです!
組み合わせを工夫しないと、手数料が結構高くなってしまいますね。
今後は、役所も支払い方法の電子化などに注力していただきたいと思います。
予算は厳しいのでしょうが……。

ここで先ほどの問題が再び起こります。請求する通数が事前に分からない為、定額小為替をいくら封入すれば良いかが決まりません。この場合、司法書士が行う方法は、多めの金額を封入しておいて余ったら、その分は小為替で返してもらいます。

司法書士の場合は余った分を小為替で返してもらっても、次の仕事で使うことが出来ますが、一般の人の場合は、余分に作成した時の手数料が無駄になりますね。

また、定額小為替には、「発行から6ヶ月以内に換金して下さい」と書かれています。これを真に受けて、返してもらった小為替の換金を忘れて6ヶ月を経過したら、あきらめて捨ててしまう人がたまにいます。実は、これは非常にもったいない行為なのです。

実際には、発行から5年以内ならば郵便局は問題なく換金に応じてくれます。万が一、6ヶ月以上経過した定額小為替を持っていたら、覚えておきましょう。

そして、戸籍を発行する役所の、定額小為替の扱いですが、先ほどの理屈でいくと、6ヶ月以上経過した定額小為替を封入して郵送申請しても大丈夫だと思われる方が多いと思います。
しかし役所は通常6ヶ月以上経過した小為替は受け取りません。
一部受け取る役所もあるそうですが、そのような柔軟な対応をしてくれる役所は少数派なので、あまり期待しないようにしましょう。

相続登記についてもう少し詳しく知りたい方はこちら

10月 23 2017

名義預金には注意しよう (相続税④)

相続税の税務調査が入った時に、税務署員から非常に指摘されることが多いと言われているのが名義預金です。

名義預金とは、子どもや孫の名義で預金しているにもかかわらず、実質的には親が預金者であると判断されてしまう預金のことを言います。
財産を何年もかけて、少しずつ子に移して、相続税の負担を減らそうという発想から、よく行われています。

しかし、やり方を間違えると、名義は子や孫でも、実質は親の預金であるとして、亡くなった後に相続税の対象になってしまうことがあります。

特に問題になり易いのが、子どもや孫名義の口座であるにもかかわらず、その通帳の印鑑を親が保管していて、印鑑のありかを子供や孫が知らない場合です。これは、親の相続財産とみなされる可能性が高い行為ですから注意が必要です。

子が通帳を持っていたとしても、印鑑がなければ、実質何も動かせないですよね。
そうすると、誰が管理しているのか?ということになり、印鑑を持っている親が管理している=親の財産となるわけです。

また、そもそも子どもや孫が自分名義の口座を親が用意していたことを知らないような場合も、上記の例と同様に相続税の対象になる可能性が高いです。
子どもや孫が税務署員に、「この口座知ってる?」、「いくらあるか知ってる?」と聞かれて、「知らない」と答えたりすると、アウトになる確率が高いようです。
これは、簡単に理解できますよね。

このようなことにならないためには、預金口座は通帳も印鑑も子どもや孫に管理させて、中身がどうなっているかも、しっかり把握させておく必要があるでしょう。

また、贈与税の年間控除額の110万円以内で毎年決まった時期に預金を移動させていると、「相続税のがれ」とみなされて贈与と認めてもらえない可能性もあります。

これを防ぐには、110万円よりも少し多い金額を贈与して、毎年確定申告で少額の贈与税を払い続ければ、税務署も文句を言いにくいようです。
贈与税の申告とともに、公正証書で贈与契約を結んでおけば、なお良いと言えます。
ただし、贈与税を支払っていても、名義預金と認定されてしまうときもあります。
例えば、通帳や印鑑を親が保管しているようなときですね。

いずれにせよ、これで100%名義預金にはならない、と言い切ることはなかなか難しいですが、最低限の注意を怠って、親の財産(相続財産)だと認定されてしまわないように気を付けたいものです。

10月 19 2017

相続税の生命保険控除 (相続税③)

前にも触れましたが、生命保険は民法上は相続財産ではありません。
従って、遺産分割協議の対象にはならず、受取人に全て渡りますので遺言と同じような効果が期待できます。

しかし、税法上は相続税の対象として扱われますので、一定の控除額を超えた場合は相続税がかかります。
ややこしいですね。

知っておきたい生命保険と相続

では一定の控除額とは、いくらかと言うと、
500万円×法定相続人の数
ということになっています。
この計算のときの法定相続人の数には、相続放棄をした人も含まれるという取り扱いです。

勘違いしやすいのが、保険金受取人1人あたりに500万円の控除があると思ってしまうことです。
しかし、この考え方は間違いなのです。勘違いしたままだと損をする可能性がありますので注意しましょう。
意外と多い間違いですよ。

具体的な例で説明しましょう。
例えば、父が亡くなって、母と子ども2人が法定相続人だとしましょう。
父が契約者の生命保険が2000万円で、受取人が子ども2人だった場合、いくらの控除がうけられるのでしょうか。

500万円×2人で1000万円の控除……ではありません。
正解は、子ども2人の受取保険金額の合計が1500万円まで控除が受けられます。
なぜなら、法定相続人は3人なので500万円×3で1500万円になり、この金額は生命保険を受け取らない相続人(この場合は母)がいても変わらないからです。

このように相続には勘違いしやすい制度がいくつもあります。
勘違いしたまま生前対策や相続手続をしてしまうと非常に損をしてしまう可能性があります。これを避けるためには、素人判断せずに専門家に相談に行かれることをお勧めします。

10月 12 2017

小規模宅地の特例で注意すること(相続税②)

小規模宅地の特例は、宅地の相続税評価額が最大で80%ほど減額されるという、相続人にとっては非常に魅力的な制度です。

ただし、効果が大きいだけに要件も厳しく、利用するには注意が必要です。
例えば、相続人が、相続後にすぐに宅地を売却してしまった場合、小規模宅地の特例が使えなくなる可能性が高くなります。

なぜなら、小規模宅地の特例の適用を受けるためには、原則として、その特例の対象となる宅地等を相続税の申告期限まで保有していないといけないからです。
保有していないといけないことを、保有継続要件といいます。

今後、住む予定が無い親の宅地を、子どもが相続してすぐに売ってしまうというのは、いかにもありそうな話です。
しかし、上記の注意点を知らないと、後でかなりの金額の相続税を支払うことになりかねません。

「相続税の申告期限まで」というのが法律の縛りなので、もし売却したい場合は、申告期限が過ぎるまで待つのが得策でしょう。
ちなみに申告期限は、被相続人の死亡後10か月です。

※小規模宅地の特例には、他にも様々な要件がありますので自分で判断するのは危険です。安心して利用するには専門家に相談するのが一番だと思います。

10月 06 2017

不動産の相続税評価額 (相続税① )

不動産には、時価、公示地価、固定資産税評価、相続税評価など、様々な価格が設けられています。その中でも最も分かりにくいのが相続税評価でしょう。

固定資産評価は毎年支払う固定資産税の通知書に評価額が記載されていますよね。
目にする機会も多く、これが相続税の評価額だと思っている人も多いです。

実際、建物は相続税評価は固定資産評価を、そのまま使いますので同じ価格となります。分かりやすいですね。
しかし、土地は非常にややこしい仕組みになっていて、正確な金額は税理士でも、すぐには出てきません。
ただし概算ならば素人でも計算できます。

まず都市部の土地の場合は、国税庁が発表している路線価というものがあります。
この路線価というのは道路に価格が付いていて、その道路に面した土地の価格を計算する元になる金額です。

具体的には、計算したい土地の路線価を調べて、その路線価に土地の面積をかけると相続税評価の概算が出ます。路線価は1平方メートル当たりの価格を表しているからです。

国税庁 路線価図・評価倍率表

何故、概算かというと、間口の狭い土地などの場合、概算の金額に修正が加えられることになっているからです。
他にも土地の状態により修正になるケースがあるため、正確な金額はすぐには出てきません。
修正では、概算より減額になるケースがほとんどなので、概算金額が上限(マックス)だと考えておけば、それほど間違えることは無いでしょう。

一方、地方の土地の場合は、路線価が付いていません。
ではどうするかと言うと、倍率方式という計算方法になります。
固定資産評価額に国税庁の発表している地域ごとの倍率をかけることで、金額を出します。

このように土地の相続税評価額は計算が複雑になっていて、正確な金額が分かりにくい構造になっていることを覚えておきましょう。

あと余談ですが、良くアパートを建てると相続税対策になると言われます。
これは、どうしてでしょうか。

理由は、アパートが建っている土地は上記で計算した相続税評価額よりも更に減額になるからです。
これは、アパートが建っている土地は換金性が低いと税務当局が考えているからだそうです。
アパートが建っている土地を、土地だけ買う人は通常いませんよね。
アパートごと買うということになりますので、すぐには売れないであろうという考え方なのです。
高収益物件なら換金性が高いような気がしますが、何故かそういう考え方はしないようです。

更地や現金で持っているよりも相続税評価が低くなるので、資産家の方は、利用していない土地にアパートを建てるのです。

9月 26 2017

損害賠償を請求されていても相続放棄はできるのか(相続放棄⑨)

例えば、亡くなった親が交通事故などの加害者だったとして、保険に未加入で、被害者から損害賠償を請求されていたとします。
もし損害賠償を相続したら、莫大な金額を支払うことになりますね。
相続人は損害賠償請求を相続放棄できるのでしょうか。

損害賠償請求の相続放棄

この問題は、あらゆる損害賠償に共通しますが、結論は「相続放棄できる」が正解です。

被害者の立場からすると理不尽なように思えるかもしれませんが、相続放棄の法律効果は、「最初から相続人では無かったものとみなす」です。
相続する義務は無いのも当然と言えます。
このような強力な効果があるからこそ、3カ月という期間制限が付いているとも考えられます。

相続人は損害賠償請求を相続放棄できますが、それでは被害者は困ってしまいますね。
どうすれば良いのかというと、保険に入っておけば良かったということになるのでしょう。

自己破産の悪意で起こした損害賠償

自己破産の場合は、悪意で起こした損害賠償については免責されないことになっています。
(免責とは支払義務を免れることです)。
自己破産は、あくまで本人が行うものですから、加害者本人が悪意で起こした損害を破産することが許されてしまったら、被害者はたまったものではありません。
それこそ気軽に損害を与える人が出てきてしまう可能性も否定できないので、モラルハザードを防ぐためにも、このような規定になっているのです。

自己破産が上記のような規定になっているので、それを知っている人が損害賠償請求の相続放棄も同様に免れることはできないのではないかと誤解していることがあります。
しかし、相続放棄は加害者本人がするものではありませんので、全く考え方が異なるのです。
同じような件でお悩みの方は、なるべく早く専門家に相談しましょう。

>>>相続放棄についてもう少し詳しく知りたい方はこちら<<<

9月 20 2017

未支給年金や介護・健康保険の還付金を受け取っても相続放棄はできる?(相続放棄⑧)

相続放棄は、相続が発生したときに借金が財産よりも多いことが分かった場合に、借金を支払わなくて済む非常に有効な手段となります。
ただし、相続放棄が認められなくなるケースもあります。

相続放棄は、財産も借金も両方とも受け取らないことを前提にした制度です。
従って、財産を一部でも受け取ってしまうと、ルール違反とういことになり、相続放棄が認められなくなる可能性がありますので注意が必要です。

この場合に相続人がよく迷うのが、今回のタイトルにもなっている

  • 未支給年金
  • 介護保険の還付金
  • 健康保険の還付金
  • です。果たして、これらは亡くなった方の財産と言えるのかどうか、というのがポイントになります。
    財産ならば受け取れない、財産で無ければ受け取れる、という訳です。

    結論から言うと、未支給年金は亡くなった方の財産ではなく、相続人固有の財産だと考えられています。
    従って、未支給年金を受け取っても相続放棄は可能です。

    一方、介護保険や国民健康保険の還付金の場合は亡くなった方の財産だと考えられています。
    そうすると、これらの還付金は相続放棄をする場合は受け取ってはいけない、ということになります。
    やっかいなことに還付をする役所は相続放棄に詳しい人が対応するとは限りませんので、「受け取っても構わない」と答えたりすることがあります。
    安易に受け取ると、取り返しのつかないことになりかねませんので、覚えておきましょう。

    実際の実務の上では、家庭裁判所に相続放棄の申述をする段階では、上記の事実が問題になることはまずありません。
    そのまま審査が進んで、相続放棄申述受理通知書が送られてくるでしょう。

    では何が問題なのでしょうか。
    借金の請求をする債権者(業者)が調査をして、上記の事実が発覚した場合に、相続放棄の効果が否定される可能性があります。
    つまり支払いを拒否できないかもしれないということです。

    もちろん発覚しなければ大丈夫ということにはなりますが、大きなリスクであることは間違いないので、専門家としてはお勧めできません。
    役所に言われるままに知らずに受け取ってから気付いたというなら、リスクを承知でやってみるということも否定はしませんが、もし受け取る前に気付いたのならば止めておきましょう。

    >>>相続放棄についてもう少し詳しく知りたい方はこちら<<<

    9月 14 2017

    換価分割とは(遺産分割②)

    不動産を相続して、その不動産を相続人の誰も利用する予定が無い場合、毎年の固定資産税の支払いが無駄になります。
    評価価格の高い土地ですと、固定資産税もかなりの額になります。
    相続人が1人でない場合は、誰が支払うのかでもめてしまうことも……。
    このような場合は、換価分割を検討してみましょう。

    換価分割とは、不動産をすぐに売却して金銭に換えてから相続人に分配する遺産分割の方法です。
    分配方法が、かなり自由になりますから、よく使われる方法です。

    換価分割の際の不動産の登記

    換価分割の場合、一旦、法定相続人の1人に仮に名義を移してから売却します。
    法定相続人が3人いたら、普通に登記をすれば3人の共有ということになります。
    換価分割で、それをしないのは、1人の所有になっているほうが売却がしやすいからです。

    なぜ1人の所有のほうが売却しやすいのでしょうか。
    3人の共有ですと、誰か1人が売却に反対すると、買い手は困ってしまいますよね。
    反対している1人がいつ賛成してくれるのか、それともずっと反対のままなのか非常に不安定な状態になってしまいます。
    もちろん、3人とも賛成してくれれば問題はありませんが、買い手としてはリスクが少ないほうが良いのです。
    それで、一旦1人に仮に名義を移すわけです。
    そして売却後、金銭を分配すると言う方法を取ります。

    換価分割の際の遺産分割協議書

    遺産分割協議書の記載の仕方で注意する点が2つあります。
    1つは、一旦、1人に名義が移った後の分配なので、税務署から贈与だとみなされないように記載する必要があります。
    贈与とみなされた場合、贈与税がかかるからです。
    贈与税は相続税よりも、はるかに高い税率ですから、大変困ったことになります

    2つ目は、「仮に○○に名義を移す」というような表現を使うと、法務局での相続登記の審査が通らない、ということです。

    換価分割の遺産分割協議書は、上記の2つのポイントを両方とも押さえていないと、うまくいきません。

    意外と思われるかもしれませんが、弁護士さんに依頼すると、1つ目のポイントだけ押さえられていて、2つ目が配慮されていないので相続登記には利用できないというケースが実は珍しくありません。
    これは、弁護士さんは不動産登記の専門家ではないために起こってしまうことです。
    やはり「餅は餅屋」ということでしょうか。
    逆に弁護士さんにしかできない仕事もありますからね。

    上記のような理由から、換価分割を検討されている場合は、司法書士に相談されるのが良いでしょう。スムーズに進む可能性が高いと思います。

    >>>遺産分割についてもう少し詳しく知りたい方はこちら<<<

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