司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

4月 22nd, 2009

4月 22 2009

シリーズ 自己破産② 自己破産が妥当な人とは

 さて、本日は自己破産が妥当な人は、どのような人か、という話です。

 一昔前は、破産を選択する人は割と多かったのですが、ここ2~3年は過払金返還請求が爆発的に増加したせいで、任意整理で助かる人が大幅に増えました。

それはそれで結構なことなのですが、一面、明らかに破産以外に助かる方法が無いにもかかわらず、破産を嫌がる人が増えているというマイナスの影響もあるようです。

多重債務者の中で情報交換をしたり、借金整理の本を読んだり、ネットで情報を探したりすると、過払い絡みの任意整理で助かった人の情報が氾濫していますので、つい自分も任意整理で何とかなるはずだと思い込んでしまうようです。

しかし前回も話したように、破産以外の方法は事実上、不可能という人は少なからず存在します。自分が、それに当てはまると分かった時は、やはり腹をくくって破産に踏み切った方が良い結果を招くことが多いでしょう。

 では、具体的に破産が妥当な人とは、どのような人なのでしょうか。順を追って見ていきましょう。

まず、過払金の発生が見込めない人、あるいは見込めたとしても、発生した過払金で残りの借金を返しきることが出来ない人は破産の予備軍と考えて良いでしょう。要するに何らかの支払い義務から解放されなかった人ということです。この段階ではまだ、破産になる可能性があるというだけで、破産が決定的な訳ではありません。

この中から更に以下のような条件を見ていきます。

まず、失業していて収入が無い人、あるいは給料の絶対額が低くて残った借金を分割にしても返す資力が無い人です。この場合、任意整理や個人再生で減額しても分割で返すのが難しいという意味で考えて下さい。

失業して収入が無い人は、はっきりしているので割りと決断が早い場合が多いです。難しいのは収入はあるけど金額が低い人です。

何故、難しいかというと、客観的に見て支払いは無理な場合でも、本人が支払えると思い込んでいる場合があるからです。厳密な家計簿を付けていないことが多いので、錯覚に陥ってしまうのでしょう。

 この問題をクリアーするには、やはり一度、きちっと家計簿を付けてみるのが最も良い方法です。自分の支払可能な金額は一体いくらなのかを正確に判断する必要があるからです。

正確な家計簿をつける上で一つアドバイスをしましょう。これが出来れば正確な家計簿の8割がたは出来たことになります。

それは、使ったお金は、どんな細かい金額でも全て領収書かレシートをもらうということです。これが出来れば、それを集めておく場所を一箇所に決めておけば、後は集めた領収書やレシートを見て合計することで正確な支出額が分かります。

これを一月やれば、後は銀行通帳を見て引き落とされている金額を調べて合計することで、一月の正確な支出額が分かることになります。これを手取りの収入と比べれば、借金返済に回せる金額が分かるはずです。

 一見、当たり前のように思えるかもしれませんが、意外にも一月の正確な支出額を把握している人は少ないです。恐らく、毎日の借金返済に追われて、それどころじゃなくなっているのでしょう。

専門家に相談に行き、「破産しかない」と言われたけど、どうしても納得できない、と言う人は、一度、正確な家計簿をつけてみましょう。

それで、もし支払えるという結果がでたならば、それを持って再度、専門家に相談に行けば説得力は増すはずです。今度は違う結果になるかもしれません。

しかし、家計簿をつけてみて、やはり足りないという結果が出た場合は、専門家の判断は妥当だったということになります。その時は腹をくくりましょう。

 では次回は、「破産にまつわる間違った噂について」、です。