司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

1月 6th, 2011

1月 06 2011

最近の破産の状況(後編)

 皆さん、明けましておめでとうございます。今年も、よろしくお願いします。新年は4日から営業しておりましたが、ブログは本日が今年の最初になります。

 さて、破産の話題が積み残しになっていましたので、続きをやりたいと思います。

最近の破産では多額の費用がかかる管財事件が増加して、同時廃止事件が減少傾向にあるという話でした。今回は、そうなってきた原因について考えてみたいと思います。

これは、あくまで私の推測になりますが、近年の弁護士の大量増員が背景にあるのではないかと考えております。

何故、そのように考えるかと言うと、最近、新聞紙上でも話題になっている弁護士の卵の就職難が非常に問題になっているからです。

弁護士と言っても、すぐに仕事が出来るようになる訳ではなく、当然、何年かは先輩の事務所で修行をする期間が必要な訳です。また、全ての弁護士が独立開業する訳ではありませんので、そのまま事務所に就職して勤務弁護士になる人も当然います。都会の弁護士の場合は、独立よりも勤務の方が多いでしょう。特に都会において弁護士が増加した為に仕事が無くて就職できないケースが増えている訳です。

 そして、ここからが肝心なのですが、破産の管財事件で管財人になるのは通常弁護士です。管財人の報酬は1回の破産で20万から40万になります。結構、良い報酬だと思いませんか。(まあ、弁護士の目から見たら安いのかもしれませんが) ということは管財事件が増えれば、今まで就職難で困っていた弁護士にとっては非常に、ありがたいことになります。

ここまでくると、私が推測を立てた理由も分かって頂けると思います。「弁護士の就職難が叫ばれるのと、ほとんど同じ時期から管財事件が増えてきた」 果たして、これは偶然でしょうか。偶然にしては出来すぎていると考えるのは私だけでしょうか。

 もし、私の推測が一部でも正しかったとしたら、まことにケシカラン話です。管財事件が増えて困っている破産希望者は確実に増えているからです。少なくとも今まで同時廃止で問題なく通過していたのに、最近になって急に管財事件に回されるようになったことについて裁判所は明確な回答は出していません。だからこそ、このような推測が出てきてしまう訳です。

もし裁判所や弁護士会が、この推測を否定するならば、皆が納得できるような明確な理由を示すべきでしょう。このままでは明らかに破産希望者が不利益を被ってしまうからです。

(一部の弁護士法人、司法書士法人が大量に杜撰な書類を出すからだという噂も聞こえてきたことがあります。もちろん、それが真実なら早急に改めさせるべきだと思います。しかし、だからと言って裁判所が同時廃止事件を減らす理由になるかというと疑問です。それこそ、弁護士会や司法書士会が厳しく指導したり処分したりすれば良いのであって、裁判所が間口を狭くする理由にはならないように思えます)