司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

1月 24th, 2011

1月 24 2011

地方の裁判所

 本日のタイトルは、ちょっと紛らわしいのですが、いわゆる地方裁判所のことではありません。タイトルの意味は都心部ではない比較的人口の少ない地域の裁判所のことです。

 何故、地方の裁判所を取り上げるのかと言うと、最近、気がついたことがあるからです。それは過払訴訟をやっていると地方の裁判所の方が有利に決着することが多いのではないかということです。

具体的には、相手方(貸金業者)の出頭率が低いということが挙げられます。業者の方も経営悪化を受けて支店の数を減らしています。この場合、やはり人口の少ない地域から支店が減らされていきます。そうすると、そのような地域で裁判を起こされると、業者は遠方から従業員を派遣しなくてはなりません。当然、交通費がかさみますし、時間も取られてしまいます。仮に弁護士に頼んだとしても、遠方に出頭する場合は弁護士が交通費等を業者に請求してくるでしょう。やはり余分に費用がかかる訳です。

過払訴訟は業者にとって勝ち目のある裁判ではありません。勝ち目が薄い裁判で、わざわざ地方に費用をかけて出向きたくないという心理が働いているのでしょう。

過払訴訟は業者にとって勝ち目が薄いと言いましたが、そうすると業者の裁判での対策は、いかにして長引かせて過払請求者の嫌気を誘って金額を引き下げるかにかかっています。都心部の裁判所では(筆者の場合は名古屋の裁判所)、あらゆる長引かせる為の手を打ってきて、正直、うっとうしいくらいです。ところが、地方の裁判所(筆者の場合は三河地方、岐阜県、三重県など)に行くと、そもそも出頭してこないので、あっさりと判決が出たりします。非常にありがたい訳です。

和解で決着する場合も地方の裁判所に出した方が早めに決着する傾向があります。業者も判決が出るくらいなら和解した方が良いと思うのでしょう。だからと言って、裁判所の管轄は決まっていますから、地方の裁判所に出せるのは地方在住の人に限られます。

 実は過払訴訟に限らず、個人再生や自己破産でも地方の方が有利な場合が多いのです。例えば、個人再生は名古屋では再生委員が付く為に裁判費用が10万円以上かかりますが、地方では3万円くらいで済んでしまいます。自己破産の場合も、名古屋では最近、管財事件に回される事件が多くなってきていますが、地方では多くありません。そもそも管財人になる弁護士が地方には少ないというのが影響しているのでしょう。

正直、こんな差があって良いのかと非常に疑問に思いますが、これが現実なのです。だとしたら地方で債務整理を考えている人は都会よりも有利なことが多い訳ですから、是非、ためらわないで頂きたいものです。(残念ながら現実は逆で、有利なはずの地方の人が債務整理や過払請求をためらう場合が多く見られます)

 地方在住の方は、上記の事実を、良く認識して頂いた上で判断して頂きたいと思います。