司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

5月 31st, 2011

5月 31 2011

クレジットの現金化

今、クレジットの現金化が問題になっています。各地の消費者センターにも多数、相談が寄せられていて、ちょうど改正貸金業法が施行されて消費者金融が借手の審査を厳しくした頃から増加してきたようです。

現在は法律の規制が厳しくなり、専業主婦などは非常に借りにくい状況になっています。そこを狙って悪質な業者がクレジットの現金化を勧誘しているのです。(もちろん違法行為です。業者に指示されて行った人も違法行為の共犯となります。ただ、訳も分からず指示に従った場合は情状酌量の余地はあるとは思います。それでも、何回もやっていると後半は納得してやっていたと見られる可能性が高くなります)

クレジットの現金化とはクレジットカードで換金しやすい商品(例えば、商品券・新幹線の回数券・パソコン・ゲーム機など)を購入させて、それを指定した場所で換金させて現金を渡すものです。しかし、換金率は非常に悪いにもかかわらず、現金化した人には定価でクレジットの請求がきます(当然ですね)。要は商品を媒介にした高利の貸金と変わりないのです。こんなことを何度もやっていたら、いずれ破綻することは目に見えています。

では何故、指示されたとおり現金化に手を染めてしまうのか、ここで前に戻りますが、審査の厳格化により、「借りたくても借りられない」状況に陥っているからです。後は、長引くデフレ不況により給料が上がらない、いや、むしろ下がっているという経済状況も大きく関係しているでしょう。

しかし、良く考えてみて下さい。クレジットの現金化をしても状況は決して良くはなりません。むしろ、より悪くなると言い切ってもよいでしょう。手にした現金よりも、はるかに多額の請求が、いずれ降りかかってくるからです。まさに一時しのぎにしかなりません。必ず、いつかは破綻することになるでしょう。

しかも、もう一つ悪いことがあります。将来、破綻してしまった時に、あまりにも頻繁にクレジットの現金化をしていると、自己破産の際の免責不許可事由に該当する可能性があり、破産が難しくなってしまうかもしれないのです。

破産は最後の救済手段ですから、一度でも手を染めたらダメというような扱いにはなっていません。でも限度があります。裁判官から見て、「いくらなんでも、これは多すぎる」と判断されてしまうと破産免責に影響が出ることもありえますので覚えておいて下さい。(どこからが多いのかは裁判官の裁量にまかされていますので、正確には答えられません。)

いずれにしても、まだ現金化に手を染めていない人は、絶対に手を出さないようにして下さい。もう手を出してしまった人は今後は止めましょう。クレジットの請求が来て支払えないようならば真剣に債務整理を考えて下さい。破産が可能ならば、むしろラッキーです。破産が出来なくても個人再生などで債務を減らす方法もあります。ちなみにクレジットの現金化はキャッシングではなくショッピングになるので任意整理や特定調停は出来ません。

単純に金銭を借りるよりも解決の方法が狭くなってしまうのがクレジットの現金化です。くれぐれも手を出さないように注意して下さい。