司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

9月 21st, 2011

9月 21 2011

裁判所の特徴⑤ 名古屋地方裁判所岡崎支部

地方裁判所は都道府県に一箇所ですが、面積が広い都道府県の場合は一箇所だと不便になってしまうので、支部というのを設けている場合が多いです。

支部は名称からのイメージでは子会社のように思われるかもしれませんが、実際には独立した裁判所として機能しています。従って、支部と本庁で全く取り扱いが違うということも普通に起こります。

名古屋地裁岡崎支部は西三河と呼ばれる地域を管轄する地方裁判所ですが、名古屋地裁本庁(名古屋市の中心部にあります)とは色々な意味で異なる裁判所となっています。

債務整理を申し立てる人にとって最も大きな違いは個人再生の取り扱いでしょう。

個人再生を申し立てる場合、本庁では、かなりの確率で再生委員が付きます。この為、申立費用が約8万円ほど高くなってしまいます。もともと再生を申し立てる人は生活が苦しい訳ですから、この金額の差は大きいです。

他にも岡崎支部の個人再生では裁判所に呼び出されることがありません。書面審査だけで進んでいきますので、申立人の負担が非常に軽いのです。それに対して本庁では最低でも1回、再生委員が付いた場合は2回も裁判所に呼び出されます。

これだけ大きな違いがあるにもかかわらず、本庁の管轄地域と岡崎支部の管轄地域は隣あっているのです。私の昔の事務所は日進市にありましたが、その頃はちょうど双方の管轄の中間に近い地域で、両方の依頼人が多く訪れていました。そうすると同じ個人再生という手続をやっているのに費用や時間が大幅に異なることに強い疑問を持つようになりました。正直なところ、本庁管轄の人が申し立てる場合は一時的に岡崎支部の管轄に引っ越した方が良いのではないかと思う時もありました。

これ以外にも、最近、本庁で流行っている過払金訴訟の調停移行の問題でも大きな違いがあります。はっきり言って岡崎支部では調停に強制的に移されることはありません。通常訴訟として申し立てれば、そのまま訴訟として扱ってくれます。

これらの違いは何を意味しているかというと、ようするに弁護士が余っている地域か、そうでないかの違いなのです。

本庁の個人再生の費用が高いのも呼び出しが多くあるのも全ては再生委員が付くからです。再生委員のほとんどが弁護士です。また、本庁の過払訴訟が調停に回された時に調停委員に登場するのも、やはりほとんどが弁護士なのです。ようは弁護士が多くいる地域にある裁判所と、弁護士があまりいない裁判所の違いが明確に現れているという訳です。読者の皆さんは、この事実を知って、どのように感じられるでしょうか。