司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

8月 2nd, 2012

8月 02 2012

日本政策金融公庫と個人再生の同意について

日本政策金融公庫という、政府系の金融機関があります。かつての国民生活金融公庫と中小企業金融公庫が統合されて成立しました。民間銀行から貸し渋りにあいやすい中小企業向けの融資を中心に手がけているので、中小企業経営者には、おなじみの金融機関だと思います。

ここは、企業向けの融資が中心ではありますが、一部、個人向けの融資も行っています。その代表が子供の学費を融資する教育ローンです。最近は不景気の影響で、どこの家庭でも学費の負担が大変になっていますので、公庫の教育ローンのお世話になっている人も多いのではないでしょうか。(最近では民業圧迫の批判もあり教育ローンの規模は縮小傾向のようです)

しかし、不景気は予想以上に長引き、公庫の教育ローンが返せなくなっている人が増加しています。公庫の利率は当然、適法ですから任意整理という手段は使えません。法的に解決しようと思ったら、どうしても自己破産か個人再生という手段になります。

今回は公庫の教育ローンを個人再生で処理した場合についての、お話です。実は、国民生活金融公庫と呼ばれていた時代は、小規模個人再生を申し立てた場合、公庫の融資はリスク要因でした。何故かと言うと、小規模個人再生は裁判所の審査の後、書面決議と呼ばれるものがあり、ここで全債務額の過半数の反対が出ると不認可になってしまうからです。

公庫の教育ローンは個人の債務の中では金額の大きいことが多いので、公庫一社で過半数を超えてしまうことがよくありました。しかも、この頃の公庫は書面決議によく反対をしてきたのです。つまり、公庫の為に小規模個人再生が出来ないという事態が、よく起こった訳です。

ところが日本政策金融公庫になった頃から、公庫の態度に変化が訪れました。書面決議に同意するケースが増えてきたのです。これは個人再生を希望している債務者にとっては朗報と言えるでしょう。

何故、公庫の態度が変化したのか詳細は不明です。公庫の担当者に電話したところ、「反対して個人再生をつぶして、その結果、破産になってしまったら、より大きな損失になるから」と答えていましたが、それが理由なら国民生活金融公庫の時代も同じではないかと思いますので、実際には何か事情があるのでしょう。

しかし、個人再生が申し立てやすくなったことは事実なので、ここは素直に喜ぶべきところでしょう。ただし、担当者はこうも言っていました、「借りた後、ほとんど返済していないとか、明らかに不正の疑いがある時は今でも反対します」と。ですから、どんな場合でも同意してくれる訳ではないようなので、その点は注意しましょう。

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