8月 07 2012
不動産担保切替の取引
不動産担保切替とは、取引の途中で無担保ローンから不動産担保ローンに切り替えることを言います。通常は、取引の最初の頃は金額が低い為、無担保ローンで始まって、だんだんと信用をつけてきたところで徐々に限度額が上がっていき、業者から「不動産を担保につけてくれれば、もっと大きな金額が貸せますよ」とささやかれて、不動産担保に切り替わるというケースが多いと思います。
私は数年前に、珍しいケースだと思いますが、この逆のパターンの依頼を受けたことがあります。最初、不動産担保で始まって、そのうち返済が苦しくなったところで不動産を売却して、でも住宅ローンを先に支払ったら消費者金融の借金は少し残ってしまって、その残金も含めた無担保ローンを組んで、その後も取引を続けたというものです。
この頃は、まだ不動産担保切替のケースは、あまり話題になっていなくて、借り換え契約なんだから一連に決まっているだろうと考えて訴訟を起こしたら、何と第一審では負けてしまいました。
その後、控訴して第二審では、こちらの有利に裁判が進み、ほとんど勝訴に近い金額で和解が結ばれたので本人は喜んでいましたが、私としては第一審の負け判決が後味の悪い事件として記憶されています。
その後、不動産担保切替のケースは過払金返還訴訟の全国的な問題としてクローズアップされてきて、裁判の結果も結構割れています。ようするに必ず勝てるというケースではないということです。
私の考えでは、切り替わる時に全く期間が空いていないことや、前の取引の残債務を、新たな借入金で充当していることに注目すれば、当然に一連計算になるように思えますが、一部の裁判官の考えは違うようです。
現在、最高裁判所で、この問題が争われていますが、どうも雲行きが怪しいようです。最高裁判所は、別に法律で決められている訳ではないのですが、習慣的なルールがあって、弁論が開かれるのは高裁判決をひっくり返す時が多いという特徴があります。(あくまで習慣ですから、絶対ではありません)
そして、今回、高裁判決では債務者側が勝っているケース(取引を一連だと認めた)が最高裁に上がっていて、何と弁論が開かれているのです。習慣的ルールに従えば、最高裁は消費者金融側を勝たせる可能性が高くなっていることになります。
不動産担保切替の事案は、取引額が大きいため、過払金も高額になりがちです。従って、これで債務者不利の最高裁判決が出れば全国的に大きな影響があるでしょう。判決結果は9月に出ると聞いていますので注目です。









