2月
12
2016
40代男性 勤め先 中堅企業
未払い残業代 約25万
勤め先は、小売店の設備を設置する企業で、結構ハードな職場でした。設備設置の時は泊まり込みになることも多く、当然、深夜労働になります。その割には残業代が少ないと思われたかもしれませんが、理由があります。
一つは、残業代が全く支払われなかった訳ではないこと。さすがに、これだけの仕事をさせて残業代が0円ということはなく、毎月数万円は支払われていました。(もちろん足りませんが)
もう一つは、あまりのハードな労働環境に耐えられず、依頼人が早くに辞めてしまったことです。正味8カ月くらいの労働期間で、そのうち、最初の3カ月は試用期間でした。
期間が短いこともあって、タイムカードが全てそろっていました。証拠に関して特に問題ありません。(泊りの時はタイムカードに時刻の記載はありません。当然、通しで働いているとして計算しました)
典型的なブラック企業だなと思って、「長引くかもしれないな」と考えましたが、実際には、催告書を郵送したら10日ほどで電話がかかってきました。(支払うつもりの無い会社の場合、電話ではなく相手も郵送で反論してくることが多いです)
この企業の勤め先は名古屋でしたが、本社は四国にあり、私は四国の担当者と話をしました。若干、減額にはなりましたが、和解契約書交換の後、1週間以内に支払うということで依頼人も納得して、和解になりました。無事、期間内に入金もあり、スピード解決となりました。
2月
10
2016
40代男性 勤め先 大手企業
未払い残業代 約30万円
相談に来られた時は、「上司との関係がうまくいかなくなって辞めた。辞めたからには、今までの残業代を取り戻したい」とのことでした。
実は、このような主張をされる方は、とても多くて、在職期間中はいろいろ文句はあっても我慢していたけれど、辞めることになった以上、もう遠慮はいらないと思われるようです。
会社は、愛知県の人なら知らない人はいないという大手の企業でした。
さすがに大手企業だけあって、証拠は充分でした。タイムカードも給料明細もきちんと全てそろっていました。金額も正確に出すことが出来ました(タイムカードがそろっていない場合は、推定計算をすることになるので、金額も最初は推定になります)。
早い段階で金額が確定しましたので、計算書を添付した催告書を会社に郵送しました。
すると、だいたい5日ほどで、会社の顧問弁護士から回答が来ました。大手企業の場合、顧問弁護士が付いている場合が多いので、残業代の請求をすると、顧問弁護士から回答が来ます。
回答の内容は、「表示された金額を支払いたいので、まずは和解契約書を交わして欲しい」というものです。
裁判をやらずに解決する場合は、お互いに和解契約書を交わしてから金額の支払いが行われるのが普通です。そうしないと、支払った後で、もめることがあるからです。契約書で条件を確認した上で記名押印して、お互いに1通ずつ持ち合います。顧問弁護士が付いている場合は、会社の書式があって、顧問弁護士が送ってくることが多いです。
催告書の金額に対しては減額交渉をしてくる企業が圧倒的に多いのですが、さすがは大手企業というか、証拠が完璧にそろっていることもあるのか、一切の減額交渉はありませんでした。司法書士からの請求というのも関係しているのでしょう。
送られてきた和解契約書を点検して、特に依頼人に不利になる規定が無いかを確認したら、記名押印して、1通返送します(1通は手元に残ります)。後は入金を待つだけです。
未払い残業代の請求で、和解契約書を交わした後に入金されなかったということは今のところありません。(貸金業相手の過払金返還請求だと、たまにあります)。今回の場合も、きっちり振り込まれました。
依頼を受けてから1カ月ちょっとで回収というスピード解決でした。相手が大手企業で証拠がそろっていたこと、金額がそれほど高額ではなかったことなどが早く解決した理由ではないかと思っています。
12月
04
2015
債務整理の中で、あまり目立たない手続として特定調停があります。債務整理と言えば、自己破産、個人再生、任意整理、過払金返還請求が有名で、特定調停の存在自体を知らない人もいるかもしれません。では、何故、特定調停は、それほど知られていないのでしょうか。
その理由は、任意整理でカバーできるケースが多いからです。
任意整理とは、司法書士や弁護士が間に入って、債権者と分割払いの交渉をする手続です。決着すると和解契約書を交わして、契約書どおりの分割払いをしていくことになります。
一方、特定調停は、裁判所が間に入って、債権者と分割払いの交渉をする手続です。決着すると調停調書が発行されて、調書に書かれている通りの分割払いをしていくことになります。
いかがでしょう。似ていると思いませんか。
双方にあまり違いが無い場合、今まで司法書士や弁護士は任意整理を選択することがほとんどでした。それは、裁判所に申立をする必要が無いので、全て事務所で解決できるため、手間がかからなかったからです。確かに解決できるなら、その選択は間違いとは言えません。
しかし、最近では、必ずしも任意整理では解決できないケースも増えてきています。例えば以下のような事例です。
①そもそも分割払いに応じない。強硬に一括払いを主張してくる。何とか分割をお願いしても、2回とか3回とか、到底、支払えない回数を主張する。
②分割には応じてくれるが、将来利息の請求をしてくる。今までの任意整理では、将来利息は一切無しが常識でした。最近は、大手でも将来利息の請求は珍しくありません。
何故、このような事態になったのかと言いますと、過払金請求が激増したことが背景にあると言われています。
過払金請求が激増した結果(最近は減少傾向にあるようですが)、貸金業者の資金繰りが悪くなり、回収できるものは徹底的に回収するという姿勢に変化してきたのです。
実際に上記のような主張をされてしまうと任意整理では、どうすることも出来ません。何故なら任意整理とは、あくまで任意交渉であり法的な強制力はありません。実は先ほど取り上げた①や②の事例は、法的に見れば、貸金業者の方が正しいことになっているのです。
驚く方もいるかもしれませんが、貸金業者が司法書士や弁護士の任意交渉を断って民事訴訟に持ち込んだとしたら、裁判所は貸金業者の主張通りの判決を出します。法的には、請求金額を分割にする義務は貸金業者にはありません。
ようするに任意整理が成立するかどうかは、あくまで貸金業者次第なのです。業者が強硬な態度に出た場合、交渉は打ち切るしかありません。
そこで新たに注目を浴びてきたのが、今まで目立たなかった特定調停です。
特定調停の場合、裁判所が間に入っている為、任意整理よりも強制力があります。貸金業者も無視するわけにはいきません。また、特定調停では将来利息は付けないのが原則なので、この点でも、最近の任意整理よりも有利と言えます。
実際に任意整理ではまとまらなかった分割交渉が、特定調停ではまとまったという事例はあります。今後は徐々に特定調停が増えていくのではないかと個人的には思っています。
11月
18
2015
以前ブログで、「中小企業でも請求金額によっては、郵便請求のみで支払ってくる場合がある」という話をしました。今回は、まさに、それに当てはまる事例を紹介しましょう。
愛媛県に本社があり名古屋に支店がある会社に対する残業代請求の相談がありました。支店の規模は従業員10人以内という小規模な会社です。勤務形態は、出張が非常に多く、しかも一晩、車を走らせて早朝に相手先に着かなければならないなど、相当なハードワークです。ただ、その分、残業代もそこそこ支払われており、未払い分を計算すると約30万円ほどでした。(ちなみに、この依頼人はハードワークに耐えられず、すぐ辞めてしまったので、請求期間は短く5カ月ほどでした)
当初、私は、「小規模な会社だから、郵便請求だけでは払ってこないだろう」と考えて、長期戦の覚悟をしていました。依頼人から裁判用の委任状ももらっていたほどです。
ところが実際に郵便請求をしてみると、回答には若干、時間がかかりましたが、何と満額回答だったのです。正直、この展開は意外でした。
満額回答だった理由が、「請求金額が少額だったから」なのか、それとも「会社の方針だった」のかは実際には分かりません。ただ、私は前者ではないかと推測しています。
いずれにしても、依頼人にとって非常に満足のいく結果になったことは間違いありません。長く仕事をしていると、こういう全てがうまく運ぶパターンにも出会うものです。印象に残った事例でした。
11月
18
2015
タイムカードが途中までしか無くて、その代わり「業務日報」が、たくさん残っているという相談がありました。
実際に書類を拝見すると、1年くらい勤めて、タイムカードは半年分くらい手元にあって、他には業務日報が勤務日数の8割くらい残っているという状態でした。また、業務日報には退勤時刻は書いてありましたが、出勤時刻は書かれていませんでした。
上記のような証拠でも、もちろん残業代請求は可能です。業務日報は会社が関与している書類ですから証拠能力は高いと言えます。ただ、今回の場合、出勤時刻は、どうなるのでしょうか。
この依頼人の場合、出勤時刻は、いつも同じ時刻で統一していました。そのことは半年間のタイムカードで証明できます。ですから、特に問題なく、タイムカードが無い期間も同じ時刻で計算しました。(この点で、会社側からの反論はありませんでした)
では、タイムカードも業務日報も無い日付については、どうでしょう。業務日報は8割くらいしか手元に無いので、残りの2割は証拠が無いことになります。
この場合は推定計算というものをします。証拠が残っている日付から、だいたい平均したら、この位の時刻には出退勤しているという推定をして時刻を決めるのです。
では、推定計算は、争いになった場合、どの程度、認められるのでしょうか。
例えば、証拠があまりにも少ない日数しか残っていない場合は、推定計算の確度が下がりますから、会社側も簡単には認めないでしょうし、裁判になった時も減額を求められる確率が上がるでしょう。
しかし、今回のように、証拠が8割もあって、残りの2割を推定しました、というような場合は、相当程度認められるというのが私の実感です。
実際に、このケースでは、郵便による請求のみで、会社側が支払ってきました。
どこまで推定計算が認められるかというのは、正直なところ、ケースバイケースですが、証拠が半分以上あるなら、してみる価値はあると思います。
11月
17
2015
以前に、内容証明で支払ってくるかどうかは会社の規模によると書きましたが、それ以外にも、左右される要素があります。それは請求する残業代の金額です。
私の経験では、少額の請求の場合は、たとえ中小企業であっても、内容証明で支払ってくる確率が上がります(100%ではありません。念の為)。
逆に大企業であっても、高額の請求をすると、内容証明だけでは支払わないケースも見られます。
会社側の立場から見ると、少額の請求で争っても、時間と費用の無駄だと考えてもおかしくはないでしょう。
では、いくら位が、内容証明で支払うか、その後も争うかのラインかという問題があります。
これは、「会社によって異なる」というのが最も正確な回答です。ただ、残業代請求を何件もやっていると、だいたいの目途のようなものが経験上分かってきます。
私の経験では、100万円以内だと、内容証明で支払ってくる確率が上がると感じています。(もちろん例外もあります。あくまで確率の話です)
ただし、同じ内容証明でも、支払わなければ次は裁判が待っていると相手方に思わせなければ、上記の確率はもっと下がります。その為には、裁判まで考えている事務所に依頼することが重要だと思います。(例えば行政書士さんの場合は、裁判書類作成権限がありませんので、当然、会社に与えるプレッシャーが低くなり、上記の確率は下がる可能性があります)
7月
30
2015
〈事例〉
京都在住で、1000万円を仕事上の知り合いに貸し付けて、金額が高額なので契約書を書き、署名押印してもらった。その際に、念の為、借主の知人2人を連帯債務者として、一緒に署名押印してもらった。
その後、返済日が過ぎても支払いが無いので何度か催促したが、催促するたびに数万円が振り込まれるだけで、のらりくらりと引き延ばされて、結局、返済日から1年以上が経過しても、合計で60万円ほどしか返済されていない。
もうこれ以上催促しても埒が明かないと思い、ネットで検索したところ、名古屋の事務所で気に入ったところが見つかった。丁度、愛知県に行く用事があったので、思い切って相談した。
(事件の経過)
京都から電話がかかってきたので、「うちは名古屋ですが、事務所に来れますか」と聞いたところ、「愛知県に行く用事があるので、ついでに寄れます」と言われたので、相談を受けました。
内容は典型的な個人間の貸し借りです。ただ一つ変わっていたのが、通常は「連帯保証人」と書かれているところが、「連帯債務者」となっていたことです。
連帯債務者というのは一般的には、あまり聞き慣れない言葉ではないかと思います。法的には連帯保証人と良く似ているのですが、「負担部分」という法的効果があるのが特徴です。これについては説明すると長くなるので省きます。
金額が高額なので、内容証明等で請求しても満額支払ってくる可能性が低いと考え、いきなり訴訟に踏み切りました。もちろん、貸主も借主も京都ですから、京都の地方裁判所に提訴です。当然、裁判所に出頭して質疑応答するのは貸主本人で、私は書類作成で支援することになります。
連帯債務者3人に同時に提訴しました。こちらとしては誰かが支払ってくれれば良い訳です。
ところが、提訴して、しばらくしたら、借主から自己破産の通知が送られてきました。どうやらこちらの提訴が引き金になって、借主が自己破産を決意したようです。これで、回収の可能性は連帯債務者2人に絞られました。2人は、実際にお金を借りた訳ではないので、客観的に見れば、気の毒ではありますが、私は貸主から依頼を受けているので、ここは非情にならざるを得ません。うらむなら自己破産して責任を押し付けた借主をうらんでもらうより仕方がありません。(そうは言っても、もし借主から依頼を受けていれば、私も迷わず自己破産をすすめたでしょうから、法律家とは因果な商売です)
事実上、他人の借金を合法的に押し付けられた形になった連帯債務者2人は、危機感を感じたのか、双方とも弁護士を付けて争ってきました。お互いが違う弁護士を付けてきましたから、どうも連帯債務者同士の意思疎通は良くないようだと想像できます。(二人が結託して同じ弁護士に依頼した方が、こちらとしては嫌です)
その後、口頭弁論を2回経過し、双方の弁護士からの主だった反論は、「こんな高額を本当に貸したのか信用できない。」とか、「貸した時の経緯を詳しく説明しろ」とか、「貸した金は何に使われたのか知っていたか」とか、です。まあ、率直に言って苦しい言い訳です。何しろ、こちらは署名押印のある契約書を持っていますから、貸付の経緯や詳しい事情など証明しなくても、裁判上は圧倒的に有利です。恐らく弁護士もその辺の事情は良く分かった上で、何か仕事をしていないとまずいから、反論として弱いことを承知の上で言っているのでしょう。
次回は、第3回の口頭弁論ですが、これ以上、強力な反論が出てこないようならば判決を求めるように貸主には伝えてあります。さて長くなってきましたので、続きはまたの機会に致しましょう。
7月
23
2015
<事例>
親方の下で、しばらく働いていたが、その後、独立して一人親方として仕事をするようになった。しかし、独立してすぐには仕事も無いので、しばらくは前の親方から仕事を回してもらって下請のような形で工事をしていた。その際、前の親方には収入の1割を上納する習慣があったので、その通りにした。実際のお金の流れは、元請会社から親方に対して工事代金が支払われ、親方はその中から私に渡す分から1割を差し引くという形であった。
最初はうまくいっていたが、ちょっとした人間関係のトラブルがあり、親方が私に下請代金を支払わなくなった。親方ともめるのは得策ではない思い、しばらくは黙っていたが、半年近くも未払いが続くと生活が苦しくなり、やむなく司法書士に相談に行った。
(事件の経過)
未払いの請負代金請求事件です。相談者は3次下請の一人親方で、相手方は2次下請の元親方です。相談に来た時は人間関係が相当にこじれいて、「もう、請求に躊躇はしないので、あらゆる手段で回収して下さい」と言われました。
今回のような小規模下請業者の商習慣では、いちいち請負契約書を交わしたりはしないようなので、契約を直接証明する証拠はありませんでした。ならば間接証拠を集めることになります。有力な間接証拠として、元親方が相談者に出した発注書がありました。これに工事内容や金額が記載されていたので、「これがあれば何とかなるかな」と判断しました。
まずは、元親方が転居していたので住民票の調査で転居先を見つけて、内容証明を送りました。しかし、全く反応はありません。まあ、これは予想通りです。半年近くも未払いが続いていた訳ですから、このような場合、内容証明であっさり支払ってくるケースは稀です。相談者にも事前に説明してあったので、納得して頂けました。
そして、いよいよ訴訟になりました。訴訟にあたっては間接証拠しかありませんので、補強の為に陳述書を作成しました。陳述書とは、具体的な事実についての記憶を書面にしたものです。陳述書は内容が詳しければ詳しいほど信用力が増しますので、どれだけ事件について相談者が覚えているかが勝負になります。実際に書いてもらったところ、最初はボリュームが少なかったのですが、書いているうちに徐々に細かいところまで思い出してきて、何回か書き直してもらっていると、相当に詳しいものが出来上がりました。
さて、これらの証拠を添付して裁判所に訴状を提出しました。既に第一回期日は決まっています。今後どうなるかは、また報告しましょう。
7月
13
2015
以前に勤めていた会社が倒産して収入が激減したのですが、倒産以前に住宅ローンを組んで自宅を購入していたため、支出をなかなか減らせず借金に頼り、気づいた時には高額になっていた。幸い、再就職先が見つかり、以前と同じくらいの収入が得られるようになったので、現在の借金さえ減額してもらえれば何とかやっていける。このような状態で相談に来られました。借金の総額がサラリーマン家庭としては、たいへんに高額だったのが印象的だったので今回とりあげました。
Fさん、男性、住宅ローン有り
40代、会社員
借入先10社、借入総額約1000万円(住宅ローン除く)
(司法書士からのコメント)
Fさんの場合、現在の収入が手取りで50万近くあり、さらに奥様も働いていて月に8万円ほどかせいでいたので、トータルの収入はけっこうあり、これならば1000万円近い債務でも、5分の1に減額すれば、いけそうだと判断しました。
ただ、子供が3人いたので、子供関連の費用(塾や習い事など)が結構かかっていたのが気になりました。どうしても子供関連の費用は家計を引き締める時には後回しになりがちだからです。(特に奥様が子供関連の費用を削ることに、かなり抵抗を示していたので、当初はやっかいでした)
結局、子供関連の費用の引き締めは必要最低限にして、その分、食費(共働きなので外食や、惣菜の購入が多かった)、被服費、通信費、遊興費、おこづかいなどは出来るだけ削りました。
住宅ローンの滞納は無かったので、住宅ローン特則を付けて、そのまま支払っていくことにしました。これで個人再生が認可されれば、住宅を失わずにすみます。
車のローンに関しては、車検証の名義が自動車ローン会社ではなくて、購入したディーラー名になっていたので、最高裁判決に基づいて車は引き上げられずに残りました。以前なら持っていかれていたのでラッキーだったと思います。(最近では、このパターンで車が手元に残る人が多くなっています)
借金の額が個人としてはかなり多かったので、ひょっとしたら再生委員がつくかなと思いましたが(再生委員が付くと費用と時間が余分にかかります)、夫婦の手取収入が多かったのが評価されたのか、再生委員はつかずに審査が通りました。当初考えていたよりもスムーズに進んだケースだと思います。
より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック
↓
http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/
6月
08
2015
内容証明だけで、会社が残業代を支払ってくれたら、それは請求する方からしたら理想的でしょう。何しろ手間がかかりませんし、訴訟費用(印紙代等)もかかりません。しかし、なかなかそうはいかないのが世の中です。
上場企業だと、裁判沙汰になること自体が会社の体裁にかかわると考える傾向があるため、意外と簡単に支払ってくることがあります。
しかし、会社の規模が小さくなるほど、裁判まで行かないと払わないケースが増えてきます。内容証明を送った段階で、ものすごく分厚い反論書などを送り返してきて、「1円も払わないぞ」という気が満々の会社もあります。
そんな時に役に立つのが労働審判です。
労働審判は訴訟ではなく、労働事件専門の調停と言ったら分かり易いでしょうか。調停とは、双方の意見を聞いて、落としどころを探りながら、和解で決着をつけるという方法です。まあ、日本人が好む解決方法と言えるかもしれません。
ただ調停の場合、一つ欠点があって、双方が合意できなかった場合、流れてしまうのです。ようは振り出しに戻ってしまう訳です。ところが、この欠点を補うような仕組みになっているのが労働審判なのです。
労働審判は、双方が合意しなかった場合でも流れない仕組みになっています。その場合は、審判官(訴訟で言う裁判官ですね)が、それまでの双方の主張を参考にして、妥当と思われる金額で判断を下します。その判断は審判書に書かれ双方に送達されます。ようするに必ず決着するようになっているのです。
しかも、労働審判には長くても3回以内に決着させるというルールもあります。従って、裁判の長期化も避けられる訳です。
ただし訴訟とは違って、白黒をはっきりつける手続ではないので、満額という訳にはいきません。あくまで合意が前提ですから、いくらか減額にはなります。合意せずに審判になった場合でも、満額と言う結果にはなりません。その辺りは覚えておきましょう。
あと、証拠が弱い場合にも労働審判は適しています。話し合いで妥協点を探る手続ですから、多少、証拠が足りない場合でも、「その分は譲って下さい」というような進め方が可能な訳です。
ここまで読んできて、労働審判に興味がわいた方は、司法書士か弁護士に相談してみて下さい。ちなみに、労働審判の依頼を受けるのは司法書士か弁護士にしか法的に認められていませんので、ご注意下さい。たまに、行政書士や社会保険労務士などが宣伝しているのを見ることがありますが、間違いなく違法です。例え書類作成のみであっても認められていませんので、気を付けましょう。