4月
27
2016
≪どんな会社か?≫
消費者金融の未払い債権を債権譲渡で買い取ったり、あるいは、消費者金融から委託を受けて回収の代行を行ったりするサービサーです。サービサーとは法務大臣の認可を受けて債権回収を専門に行う会社のことです。認可が無ければ弁護士法違反の闇業者ということになりますが、オリンポスは認可を受けていますので、れっきとしたサービサーです。
従って、オリンポスという会社の名前に見覚えが無くても、他の貸金業者の債権を代わりに請求している可能性が高いので無視してはいけません。
≪オリンポス債権回収の特徴≫
(1)武富士とCFJの請求が多い
オリンポスは、武富士やCFJの債権を数多く扱っています。従って、武富士やCFJから過去に借りた記憶のある場合は、オリンポスから請求される可能性があります。CFJとは「ディック」「アイク」「ユニマット」の3社が合併して出来た会社です。上記の名称で借入をしていれば、CFJから借りていたことになります。
(2)管理回収(代行回収)の割合が多い
債権回収会社の回収には二通りあります。一つは、他の貸金業者の債権を買い取って自身の債権として請求する場合、二つ目は、他の貸金業者から委託を受けて回収だけを行う場合です。オリンポスは二つ目の割合が高く、これを管理回収(代行回収)と言います。管理回収の場合、債権者と請求業者(回収業者)は別になります。(オリンポスも全てが管理回収という訳ではありません。一部、買取後の請求もあります)
≪解決方法≫
最後の取引から5年以上が経過している請求が多いので、消滅時効が完成している可能性があります。5年以上、借入や返済が無く、裁判に訴えられたことも無いならば、法的に適切な方法で時効の主張をしましょう。尚、例え時効が完成していても債権者の請求は認められています。従って、法的にきちんとした方法で解決しないと、いつまで経っても請求が止まりません。裁判に訴えられる可能性もありますので注意が必要です。
方法1 :法律専門家の名前で時効援用通知を送る
まだ請求書が送られてきているだけの段階や、自宅に訪問されて、さすがに何とかしなくちゃいけない、と考えた方は、法律専門家の名前で時効援用通知を出してもらえば、ほとんどの場合で請求は止まります。実際に私が受けた依頼では、今のところ全てのケースで請求が止まっています。「どうも不安で、落ち着かない」という方は、検討してみて下さい。
方法2 : 訴えられたので、答弁書を出してもらう
裁判に訴えられた人は、放置して何も反論しないと、相手方の訴えが認められて裁判に負けてしまいます。こうなったら次には給料の差し押さえなどをされる危険性が高まります。ですから、裁判は絶対に放置してはいけません。指定された期日までに答弁書という名の反論書面を必ず出さなければなりません。(例え提出期限に遅れていても、法廷への出頭日までに出せば、認めてくれるケースが多いです。出頭日がまだならば、あきらめてはいけません)。 答弁書を書くには民事訴訟法における一定のルールがあります。また、内容も法的に整理されていることが望ましいので、司法書士か弁護士に頼むのが良いと思います。裁判は、間違った対応をすると取り返しがつきませんので、「自分でも出来るだろう」とは安易に考えない方が良いでしょう。実際に私が受けた事例では、答弁書を出してしばらくしたら、相手方業者から取下書(裁判を取り下げて止める)が送られてきます。相手方が「もう勝てる見込みがないから、あきらめた」ということです。
≪費用≫
(1)時効援用通知を出す 3万円
(2)裁判で答弁書を出す 5万円
☆上記費用には実費も含まれています。追加で実費を請求することはありません。
☆いずれの場合も成功報酬は頂きません。上記の定額費用のみです。
より詳しい情報をお知りになりたい方は、以下をクリックして下さい
http://www.hashiho.com/olympus/
4月
06
2016
≪どんな会社か?≫
セディナは、セントラルファイナンス・OMCカード・クオークの3社が合併して出来たクレジット会社です。OMCカードは元はダイエー系カードでした。
現在は三井住友フィナンシャルグループの一員となっていますので、破綻する可能性は低いと言えるでしょう。
≪過払金請求をした時の特徴≫
(1)過払金の発生する確率が他社クレジットに比べて高い
クレジット会社の中でも適正利率に変更した時期が遅かったので、他のクレジットに比べて過払金が発生している確率が高いのが特徴です(ようするに、ぎりぎりまで違法利息を取っていたということです)。また、適正利率に変更する前は、消費者金融レベルの比較的高い利率で貸し出していますので、過払金が高額になる傾向があります。具体的には、平成20年頃までは25%から29%の利率で貸し出しをしていました。平成20年以前から、セディナのキャッシングまたはローンを利用していた人は、過払金を疑ってみた方が良いでしょう。
(2)取引履歴の開示が遅い
セディナに取引履歴の開示請求をすると非常に時間がかかります。早くて1カ月、遅くて3カ月以上かかることもあります。取引の開始時期が古く、過払金が高額になりそうな案件ほど、より時間がかかる傾向があります。これは、古い取引の場合、マイクロフィルムに保存してあるので、復元に時間がかかるからです。取引履歴が開示されないと過払金請求は始まりませんので、セディナに請求する時は、ある程度の時間がかかることは覚悟しておきましょう。ただし、セディナの場合、開示されてからの回収率は比較的高い業者なので、時間がかかるからと言って、あきらめてはいけません。粘り強く待ちましょう。
(3)過払金の回収率は他社クレジットに比べて高い
三井住友フィナンシャルグループの一員なので資金的にも余裕があり、過払金請求をした時の回収率は高いです。特に争点が無い取引の場合、訴訟をすれば満額回収の可能性が高いです。利息も含めて満額以上になることもあります。訴訟をしない場合は、司法書士や弁護士からの請求で7割から9割、本人からの請求で5割から7割が相場です。従って、開示されたら素早く訴訟を提起するのが、おすすめです。
(4)裁判で、それほど争ってこない
裁判では、それほど強硬に争ってこないタイプの業者です。特に、取引履歴が古い為に途中から開示されているケースでは、いわゆる「残高ゼロ計算」をしても、受け入れてくれる傾向があります。対応は比較的良いと言っていいでしょう。この点でも、任意交渉よりも訴訟がおすすめの理由になります。
(5)取引履歴が読みにくい
始めてセディナの取引履歴を見た人は、「これ、どうやって見たらいいの?」と感じてしまう人が多いでしょう。その位、セディナの取引履歴は最初は分かりづらいです。セディナの場合、利率が複数ある取引が多いので、利率ごとに取引履歴が分割して作成されて、最後に全ての利率を統合させた履歴があります。恐らく始めて見た人は、そのような構造になっていることが分からないと思います(私も始めて見た時は分かりませんでした)。そして、本人が開示請求をすると、引き直し計算をしていない履歴が開示されます(司法書士や弁護士が開示請求をすると、引き直し計算がされた履歴が開示されます)。従って、本人が開示請求をした場合は、過払金がいくらあるかは一目では分からないようになっています。
≪総合評価≫
銀行系なので資金に余裕があるせいか、過払金請求に対する抵抗は、それほど強くはありません。また、かつては消費者金融レベルの高利率だった時代があるので、過払金が発生している確率が高く、しかも過払金が高額になりやすい業者です。従って、取引が古い人は過払金の発生を疑うべきで、過払金が発生していた場合は積極的に請求していった方が良い業者です。請求する時は、任意交渉で時間をかけるよりも、すぐに訴訟を提起した方が良い結果になる確率が高いです。
4月
05
2016
消費者金融・クレジットカード・銀行などから借りた場合、返済が滞れば事故情報(ブラックリスト)に登録されるのは、ご存知の方が多いと思います。では、家賃の滞納があった場合は、どうなるのでしょうか。
結論から申し上げると、基本的にはブラックリストには登録されません。何故なら、家賃の請求をする債権者は、多くの場合、金融機関ではない為、そもそも事故情報の登録権限を持っていないからです。
ただし例外があります。それは、家賃をクレジット会社による引き落としにしていた場合です。カードが無くて契約書や申込書だけの場合もありますので注意が必要です(契約書や申込書にクレジット会社の名前が書いてあればクレジット払いと考えていいでしょう)。
この場合は、実質的にはクレジットから請求を受けているのと同じことになるので、滞納があった場合はクレジットを滞納したことになり、クレジットは金融機関ですからブラックリストに登録されることになります。
では家賃を滞納していて支払いが厳しい時の解決方法は何かと言うと、金融機関の時と同様に任意整理が考えられます。
家賃は、そもそも違法利息とは関係ないので一見、任意整理で解決出来るのかと思ってしまいそうですが、普通に解決出来ます。司法書士が間に入って、大家さんや管理会社と分割払いの交渉をする訳です。
違法利息はありませんので元金を減額することは出来ませんが、将来利息のカットや3年から5年の分割ならば充分に可能性があります。あと、ブラックリストを気にしなくて良いのもメリットです。
また、家賃の消滅時効期間は5年となっています。もし、5年以上支払いが無く途中で裁判を起こされていなければ、消滅時効の援用をすれば支払いを拒否できるかもしれません。ただし、時効は自動的に効果が発生するものではありませんので、法的にきちんとした通知を出す必要はあります(通知を出さないと請求が止まりません)。自信が無ければ専門家に依頼するのが良いでしょう。
3月
31
2016
よく悪徳商法の撃退法を紹介するテレビ番組などを見ていると、「知らない業者からの請求は無視して返事をしないように」とアドバイスをしていることがあります。もちろん普通の請求ならば、これも真実なのですが、場合によっては大変なことになってしまうこともあります。例えば、以下のような事例です。
ある日、Aさんに裁判所から書類が届いた。原告の欄を見ると、全く覚えの無い業者の名前が書いてある。そう言えば、身に覚えの無い業者から請求されたら無視しろと、テレビで言ってたのを思い出した。それで放置したら、しばらくしたら判決書が届いた。そこには原告の請求を全て認める内容が書かれていた。その後、業者から電話がかかってきて、「Aさん、支払ってくれないと、判決に基づいて給料の差押をしますよ」と言われた。一体、どうしてこんなことになったのだろう。
以上は実際に相談された事例に基づいて書いたものです。Aさんは何が間違っていたのでしょうか。
まず、「債権は債権譲渡されることがある」、ということがあります。
債権譲渡とは、最初Bという業者からお金を借りていても、BがCという業者に自身の債権を売却してしまい、その後は、債権者がCに代わってしまうことを言います。
この際、「BがCに債権を売った」という情報は、お金を借りている債務者に必ず通知されます。しかし、この通知書を良く読まないで、うっかり捨ててしまう人がいるのです(あるいはポストに入ったまま引っ越してしまったとか)。こうなると、AさんはCと言う業者の名前に覚えが無いということになってしまいます。例えCから訴えられたとしても、「知らない業者だから無視しても構わない」という認識になりかねません。
裁判では、放置すれば必ず負けるような仕組みになっています(民事訴訟法に、そのように規定されています)。民事訴訟においては、「何も反論しない場合は相手の主張を全面的に認めたものとみなす」という規定があるのです。従って、裁判所から届いた書類を無視してしまうと、相手の勝ち判決が出てしまいます。勝ち判決が出れば、相手は給料や銀行口座の差押をすることが出来るのです。
従って、裁判所から書類が届いたら、例え身に覚えの無い業者からであっても、絶対に放置してはいけません。放置すれば、あなたは裁判で負けてしまいます。
裁判には特有のルールなどがあって、対応を間違えると取り返しがつかない部分もありますから、裁判所から書類が届いたら、出来るだけ早くに専門家に相談に行かれた方が良いでしょう。
(ご注意)
通常の民事訴訟(書類のタイトルが「訴状」となっているもの)の場合は、反論までの期間が1カ月くらいあるのが普通ですが、書類のタイトルが「支払督促」となっているものが届いたら注意が必要です。支払督促は反論までの期間が民事訴訟よりも短く2週間しかありません。支払督促と書かれた書類が届いたら、一刻も早く専門家に相談に行きましょう。
3月
17
2016
一口に債務整理と言っても、「任意整理」「個人再生」「自己破産」「過払金請求」といろいろ種類があります。その中で任意整理は唯一、裁判所が全く関係しない手続です。
よく任意整理と債務整理を混同している人がいますが、正確には、債務整理は上記4種類の手続の総称で、任意整理はその中の一つ手続の名称です。
任意整理とは、業者と司法書士が直接に交渉することによって、減額や分割払いを実現し、その結果を和解契約書に残すことによって手続が終了するというのが一般的です。
裁判所が関与しないので、用意する書類等がほとんど必要なく、他の手続と比較すると割と手軽に依頼できるのが特徴です。その為、依頼人の希望も高く、「出来れば任意整理で解決して欲しい」と言って相談に来る人も多いです。
司法書士が任意整理を引き受けた場合、以下のような効果があります。
(1)利息制限法違反の利率(違法利息)の取引をしていた期間がある場合、支払った違法利息は元金に充当して減額する
(2)交渉で確定した残金に対しては利息を付けないで(将来利息と呼びます)、元金のみ支払う
(3)だいたい1年から3年を目途に分割払いにすることが出来る。
(4)依頼してから、和解契約書を交わして支払いがスタートするまでの間(平均して約2、3カ月)、合法的に支払いを止めることが出来る。
(5)依頼してから解決するまでの間、業者からの連絡が全て司法書士事務所に来るようになる。(この間、業者は依頼人との交渉や接触を法的に禁じられる)
最近は利率の高い消費者金融の相談が減少傾向にあり、代わりに銀行系カードローンや、クレジットのキャッシングやショッピングなどが増加しています。これらの取引は、消費者金融に比べて利率が低い場合が多く、(1)の効果はあまり期待できません。しかし、(2)・(3)・(4)・(5)の効果はありますので、これでも充分に債務者にとっては得になります。
たまに(1)の効果のみをクローズアップして紹介して、「(1)の効果が無ければ、やっても意味が無い」ようなことを言う人がいますが、実際の経験からしても、そんなことはありません。(1)の効果が無いケースで任意整理を選択して、うまく解決して感謝の言葉を頂いたことは結構あります。
このように任意整理には様々な効果があります。現在、借金の返済で悩んでいる方は、一度、任意整理が可能かどうか、専門家の相談を受けることをおすすめします。
3月
16
2016
「借金が高額になって返すあてがない。もう、司法書士や弁護士に相談するしかない。でも、自己破産だけは、どうしてもしたくない。自己破産をすすめられるかもしれないので、相談に行く勇気がわかない。」こんな風に悩んでいる人は大勢いるかもしれません。
私は、このような人に対して、「個人再生が可能かどうかを確かめてから決断しても遅くないですよ」と言いたいです。
債務整理をうたっている多くの事務所で、個人再生も可能であるにもかかわらず選択肢として提示せず、自己破産や任意整理を提案されているケースが非常に多いという現実があります。これには以下のような理由があると思われます。
(1)自己破産や任意整理の方が手間がかからない
債務整理の中で個人再生が最も手間がかかります。出さなくてはならない書類も多いですし、手続期間も長めです。大量の案件を抱えて短時間で効率的な処理をしたい事務所にとっては、出来れば個人再生は避けたい手続なのです。
(2)そもそも経験が少ないので手続に慣れていない
上記のような理由で個人再生が避けられているからかもしれませんが、個人再生の件数は自己破産の10分の1以下です。実際には破産には無いメリットがあるにもかかわらず、この少なさは異常だと私は思います。結果として、経験者が少ないという現実があります。債務整理を売りにしている事務所でも、実際には個人再生の経験は非常に少ないのです。経験が少ない手続は、やりたがらない傾向があるのは、ご想像のとおりです。(医者でも、経験の少ない治療法はやりたがらないものです。法律家も同じです)
(3)個人再生に偏見がある
私は一部の司法書士や弁護士から、「個人再生などやっても意味が無い」、「何故、破産を選ばないのか理解に苦しむ」、「任意整理でダメなら、破産をすすめるのが正しいやり方だ」という発言を聞いたことがあります。特にひどいと思ったのが、個人再生最大のメリットである「住宅を維持したまま他の借金を減額できる」という部分に対してさえも、「例え住宅ローンを抱えていても、住宅をあきらめて売却して破産するようにすすめるのが、債務者の為になる」と真顔で言っていた人もいることです。私は今まで何件も個人再生を手がけてきて感謝の言葉を頂いているので、このような発想の方がむしろ理解できません。
これらの理由により、個人再生という選択肢があるにもかかわらず、その存在すら知らされずに人生における重要な決断を下してしまっている人が多いのが現実です。もちろん条件に合わずに個人再生が利用できない人もいます。しかし、条件に合っていて自己破産を避けたいという希望を持っている人がいたら、これは説明すべきでしょう。
もし今、借金の返済に行き詰まっていて、自己破産はどうしても嫌だと思っている人がいたら、一度、個人再生が可能かどうかを検討してから判断することをおすすめします。
3月
15
2016
20代男性 小規模企業
未払い残業代 約40万円
従業員が10人未満の小規模な会社で、タイムカードも機械式では無く手書きで毎日記入するタイプでした。本人は、過去2年分のタイムカードを全て保管していたので、推定計算をする必要はありませんでした。
ただ、小規模な会社にありがちな、労働基準法に従ったルールが未整備で、正直、いい加減に運営されていました。こういうタイプの会社は、いざ争いになった時に、法律による合理的な説得が通じないことが多々あります。ようは、「今まで当然のようにやってきたことだから何が悪い」という態度です。この会社も例外ではありませんでした。
まず内容証明で請求しましたが、通常なら、例え強引であっても一応は法律に基づいた反論が返ってくるものですが、ここの場合は、「早朝出勤は確かにあったが、そんなものはどこでもやってる、だから残業ではない」とか、「残業代は、賞与に含めて支払っているから、未払いは無い」とか、「就業規則に書いていないけど、みなし残業代は認められる」とか、もう法的には無茶苦茶な反論が返送されてきました。正直、先が思いやられるなと感じました。
このケースでは、タイムカードが全てそろっていたので、労働審判ではなく民事訴訟を選択しました。民事訴訟は労働審判のように3回以内という制限が無いので、長引く可能性がありますが、一方で、話し合いが前提の労働審判と違って、例え和解になっても解決金の割合が高い傾向があります。
民事訴訟を提起して、相手方から答弁書が送られてきました。見ると、内容証明の後の反論書とたいして変わらない内容だったので、「まあ、これなら裁判では通用しないだろうから有利に進むだろう」と思いました。ただ、唯一気になる点は、小規模会社の社長にたまにあるのですが、どれだけ不利になろうが、どれだけ長引こうが、絶対に自分の主張を引っ込めずに、しつこく争ってくる場合があることです。(なまじ法律の知識が無いだけに、合理的に不利だという判断が出来ないのでしょう)。
今回の場合は、幸いなことに、相手は初回から金額交渉のテーブルにつきました。内容証明の段階では1円も払おうとしなかった訳ですから、大進歩でしょう。裁判所も「法的には労働者側の主張の方が筋が通っている」というスタンスで社長に説明していたのが大きかったのでしょう。それでも、最初に社長がしぶしぶ提示した金額は低かったので、こちらは「その金額では合意できません」と裁判官に伝えました。
最終的には、2週間以内という早期の支払いを条件にして合意できる金額で決着しました。それにしても、金額交渉する気があるのなら、内容証明の段階で連絡して欲しいものです。通常は、内容証明の後に金額交渉が無い会社は、裁判になっても強硬姿勢を貫いてくる場合が多いのです。私は長引く覚悟をしていましたので、正直、拍子抜けした部分もあります。
結果的には満足のいく決着となりました。民事訴訟で解決した事例です。
より詳しい情報をお知りになりたい方は以下をクリック
↓
http://www.hashiho.com/overtime/
2月
26
2016
20代女性 中堅企業
未払い残業代 約100万円
こちらも労働審判になった事例です。
私が受けた依頼の中でも、会社の悪質度がかなり高いと思われたので印象に残っています。
まず、この会社は当初タイムカードを備えていませんでした。それに類するものも全くありません。ようするに、従業員の時間管理をする体制を全く整えていなかったのです(驚いたことに、これでも全国に支店がある会社なのです)。まさに、あきれるようなひどい会社です。(途中から、タイムカードを導入しました。きっと、今回のように従業員の誰かが訴えたのではないかと推測します。そんなことでもなければ、改善されないような会社だということです)
他にも、この会社では、昼の休憩がありませんでした。もちろん名目上の昼休憩は存在していましたが、実際には、電話対応や会議などで休むことが出来ない体制だったのです。依頼人は、弁当持ち込みで食べながら電話対応をしたり、ひどい時には昼食抜きで働く時もあったようです。
また、基本給を抑えて手当を多めに出して給料を支払っており、いざ裁判となったら、手当は「みなし残業代」だと主張してきて、だから残業代は支払済みだから支払わないと言ってきたのです。最初から、残業代請求を見越して、なるべく残業代が安くなるように設定しているとしか思えない対応です。
あと、強制退社時間というものを設けていて(当然、定時よりも2時間ほど遅い)、会社幹部が「強制退社時間までは残業じゃない」などと発言していたりと、コンプライアンスの欠片もない驚くほど悪質な会社でした。
当然、こんな会社ですから、内容証明で支払ってくるはずもなく、予想どおり裁判になり、労働審判の申立をしました。
依頼人が会社の労働環境を良く記憶していたこともあり、詳しい陳述書を証拠に出して、タイムカードが無かった部分の計算の根拠としました。(申立人の記憶を頼りに、会社の労働環境を記述したものを陳述書と言います)
労働審判の特徴として、3回以内で終了するというものがありますが、実際には、ほとんどの労働審判が初回で決着しています。裁判所も出来るだけ初回で、交渉をまとめようとしてきます。(裁判官や審判委員の態度を見ていれば分かります。これは私の想像ですが、恐らく、初回でまとめた方が彼らの人事評価が上がるのではないかと推測しています)
内容証明を送っても「1円も支払わない」と言っている会社から回収するのは、裁判に訴えるしかありません。でも、出来れば早めに解決して欲しいと思っている人も多いのが実情ですから、その為には、労働審判は有効な選択肢だと思います。
ただ、少ない回数で決着する分、通常の訴訟よりも1回の時間が長いという欠点もあります。初回だと、だいたい3時間くらいはかかるのが普通です。
何故、そんなにかかるのかと言うと、まず、一通り双方の主張の確認をするのに約1時間、その後は、申立人と相手方で交互に審判室に呼び出されて金額の話になります。裁判官と審判委員が入れ替わりに入ってくる申立人と相手方に対して、金額交渉の仲介をするというスタイルです。これが、すんなり終われば3時間もかからないのですが、たいていは、何度も何度も審判室を往復することになります。
今回は、相手方に弁護士がつき、当初、「もし、支払うとしても20万円」と主張していました。そこから、何度も入れ替わりの交渉になり、最終的に100万円で決着しました。正直、もっと上積みしたいのが本音でした。しかし、相手方が「今、経営が苦しいので、すぐには支払えない。3カ月先になる。」と言ってきたので、それなら、「100万円なら、もっと早く支払って欲しい」と主張して、2ヶ月先まで短縮させました。それでも、通常は2週間以内に支払ってくる会社がほとんどなので、最後の最後まで困った会社でした。
2月
18
2016
40代男性 中堅企業
未払い残業代 約170万円
依頼人はトラックの配送業をしていて、何と出勤時刻は深夜の3時から4時という、きつい職場環境でした。たまにではなく、ほぼ毎日が上記の時刻に出勤なのです。
深夜労働が当たり前なので、当然、残業代は相当な額になります。しかし、会社側は、少しでも残業代を減らそうとと、タイムカードを出勤した時には打刻させず、朝の5時から打刻を許していました。従って、タイムカード上は朝5時出勤となってしまいます。
ところが、依頼人は独自に対策を取っていて、毎回、出勤と退勤の時にスマホに時刻を記録していたのです。客観性に欠けるので証拠としては弱いですが、それでも何も無いよりは、はるかにマシです。陳述書と組み合わせれば充分な証拠になると考え、依頼を引き受けました。タイムカードを偽装していた会社のやり方も許せないという気持ちもありました。
まずは催告書を郵送して請求しましたが、タイムカードを偽装するような会社ですから、回答も予想通り、「スマホの記録など証拠にならない。」、「早朝出勤は、もししていたとしても、本人の仕事が遅いから勝手に出てきただけで、会社の指示ではない」などの大反論をしてきて、結果、「未払い残業代など無い。1円も払うつもりは無い」という強硬なものでした。
早速、裁判手続の準備に入りました。金額が高額だったのと、証拠が強いとは言えなかったことで、労働審判を選択しました。労働審判なら、証拠が弱くても、裁判官を介した話し合いで妥協点を探れます。あと、3回以内で終了しますので、長引く恐れもありません。
裁判所に出す陳述書は詳しければ詳しいほど証拠として強くなりますので、何回か書き直してもらいました(実は裁判所が陳述書の評価を上げるポイントが、いくつかあるので、それを指摘して書いてもらいました)。
労働審判は初回から白熱しました。お互いが主張を出し合って何と3時間ほどかかりました。労働審判は回数が3回以内と制限されている分、1回の時間が長い傾向があります。裁判所も3回を使い切るという発想ではなく、なるべく少ない回数で、出来れば初回で終わらせようとしてきます。
証拠が弱い分、ある程度の減額は仕方がありません。こちら側も減額されるのを見込んで、請求しています。そもそも裁判になる前は、「1円も支払わない」と言っていた会社ですから、減額になっても回収できれば大成功です。
最終的に裁判官が提示した金額が170万円でした。会社は当初、渋っていたようですが(後半になると、交互に部屋に入って裁判官と話をするので、相手がどのような様子なのかは分からない)、最後は会社側の担当者が裁判官に説得されて決着しました。時間が長いので、初回は大変ですが、何回も裁判所に通うことを考えたら、1回で決着が付くのはメリットだと思います。
和解条項には、会社側の希望で「今回の残業代請求については他言しない」という条項が追加されました。実は、この条項は、残業代請求では良く利用されるもので、残業代請求が他の従業員に波及するのを防ぎたいという、会社側の意向が働いています。しかし、依頼人にとってはマイナスになる条項ではないので、通常は反対はしません。下手に反対して、せっかく整った和解案が振り出しに戻る方がマイナスが大きいと考えるからです。
和解調書が届いてから3日ほど過ぎたら、無事、依頼人の口座に和解金が振り込まれました。時間はかかりましたが、当初は「支払わない」と会社が言っていた訳ですから、成功と言えます。依頼人にも満足して頂けました。
以上、労働審判で解決した事例です。
2月
15
2016
20代男性 勤め先 中小企業
未払い残業代 約60万円
若い依頼人で、労働環境がハードだったので、勤めて2年以内で辞めています。タイムカードが無く、業務日報を大量に持ってきたのが印象に残っています。
業務日報には退勤時刻が書いてあり、毎回、上司が判を押す形になっていましたので、退勤時刻の証明としては充分でした。ただ出勤時刻を証明するものは何もありませんでした。
出勤時刻は定時の会社なら、それでも構わなかったのですが、残念ながらこの会社の場合、早出残業も常態化しており、定時が8時半のところ、毎日7時半出勤が当たり前だったようです。
いざ裁判になった場合、陳述書を書いてもらい、出勤時刻の証拠にしようと考えていました。陳述書とは、本人に出来るだけ詳しく具体的に、平均的な1日の仕事の流れなどを書いてもらう書類のことです。(詳しければ詳しいほど、裁判における証拠能力が高まります)
残業代の計算は、7時半出勤で全て計算しました。結果、約60万円の残業代となりましたので、催告書を作成して会社に郵送しました。
出勤時刻の証拠が弱かったので、争ってくるかなと思っていましたが、しばらく後に会社から電話があり、「和解したい」と言ってきました。
和解金額を依頼人に連絡すると、OKだったので、すぐに会社に連絡して和解成立となりました。依頼人も、タイムカードが無く業務日報だけだったので、裁判になる前に和解が出来るとは思っていなかったようで、喜んでいました。
タイムカードがそろっていなくても、スピード解決した良い例だと思