司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

6月 21 2013

授業料の未払い

実は私は司法書士になる前、学習塾の経営をしていたことがあります。従って、授業料の未払いが、いかに経営に影響を与えるか、分かっているつもりです。

これを防ぐために受講券というシステムを取り入れていました。生徒に前払いでチケットを購入してもらい、授業を受けるたびに授業の単位数に応じてチケットを回収するという仕組です。生徒がみんなの前でチケットを渡しますので、チケットが無い状態で授業を受けると、生徒自身が相当にクラスの中で気まずくなります。親も気にしますので結果的に未払いは非常に少なかったと思います。ただ最近は個別指導の学習塾が全盛になっているようなので、このやり方も、あまり効果は無いかもしれません。

月謝システムを取っている塾が大半だとは思いますが、たいていは申込書に「3ヶ月以上の授業料の滞納があった場合は退塾または休塾してもらいます」という文言が入っていることが多いでしょう。そこで、実際に3ヶ月の滞納が発生してしまった時の対応が塾によって、まちまちだったりします。

情に厚い塾長さんだと、子供には罪は無いと考え、とりあえず催促はするけど、それでも払ってくれない場合ずるずると放置されて、生徒は通ってくるけど滞納授業料は増えるばかり、という悲惨な結果になりかねません。

最悪なのは、こんな状況が何かの拍子に他の生徒の親に知られてしまった場合です。これは完全に不平等な取り扱いになってしまいますから、気性の激しい親御さんなら塾に抗議してくることは充分に考えられます。その抗議を、たまたま見ていた他の親にも更に悪評が広かっていって、下手をすると大量の退塾が発生するかもしれません。

このように、たかが滞納授業料と考えていると大変なことに発展する可能性もあるのです。授業料の未払いを甘く見てはいけません。やるべきことは、ある程度の覚悟をもって、きっちりとやっていくのが良いと思います。塾は、国や自治体から補助金をもらって運営している訳ではないのですから。

やはり、3ヶ月以上の滞納があった場合は、受講を拒否するのが筋だと思います。もし、受講を継続させるならば、法的措置も含めて徹底的な授業料の回収に努めるべきでしょう。そうでなければ、他の生徒に対して示しがつかなくなってしまいますから。

塾長は教育者であると同時に経営者でもあるわけです。塾の経営が成り立たなければ結局、教育の目的も達成できなくなりますから、どこかで一線を引く必要があるでしょう。そんな時、授業に集中したいので、授業料の回収は他にまかせたいと思われた場合は、当事務所がお役に立てるかもしれません。

6月 19 2013

民事裁判と刑事裁判

一般の人は、あまり裁判になじみが無いのが普通ですから、民事裁判と刑事裁判の違いと言っても、ピンとこないかもしれません。しかし、この両者は全く異なります。

良くテレビや映画に出てくる裁判のシーンは圧倒的に刑事裁判が多いので(法廷ドラマが人気のあるアメリカでは、民事裁判のドラマも結構あります)、皆さんが頭に思い描く裁判のイメージは刑事裁判のものでしょう。何と言っても、刑事ドラマや検察のドラマが多いので、その影響を知らずに受けているわけです。

しかし、世の中の裁判のほとんどが実は民事裁判なのです。民事裁判の方が圧倒的に件数が多いです。それなのに民事裁判については驚くほど知られていません。民事裁判を扱ったドラマや映画も少ないですから、イメージすらもっていない人も珍しくありません。

それでは民事と刑事で何が違うのかを見ていきましょう。

まず民事裁判には、テレビに良く出てくる検察官は登場しません。少しでも裁判知識のある人にとっては「そんなの当たり前だろ」と言われそうですが、そのくらい民事裁判は一般人に馴染みがないのです。

刑事裁判で争っているのは国家(検察官)と個人(被告人)です。検察官は国家を代理し、弁護士は個人を代理しています。一方、民事裁判で争っているのは個人と個人です。個人が会社の場合もありますが、民間であることが重要です。ようは民事裁判とは民間同士の争いなのです。そして民事裁判では法律家を付けるかどうかは個人に任されています。双方に法律家が付く場合もあれば、片方にしか付いていない場合もあります。もちろん、裁判所に行ってみれば、双方ともに本人が出頭していることもあります。(民事裁判では訴えた方を原告、訴えられた方を被告と言います)

そして、良く間違われるのが「証拠」の扱いです。同じ証拠でも民事裁判と刑事裁判では取り扱いが全く違います。

刑事裁判では容疑者を国家が裁くという形をとりますので、慎重に進める必要があるという観点から、きちんとした証拠が無い限り、例えどんなに怪しくても有罪にしてはいけないことになっています。そして、その証拠の集め方も法律できちっと決まっていて、違法な手段で集めた証拠では有罪には出来ません。(例え、どんなに決定的な証拠であってもです)

一方、民事裁判では、証拠は警察や検察ではなく個人が勝手に集めたもので争われます。双方が用意してきた証拠を元に裁判所が判断する訳ですが、その際、証拠の集め方は問題になりません。もし違法に集めたものだったら、別の裁判で損害賠償を請求される恐れはありますが、少なくとも該当する裁判での証拠の価値は下がりません。

もう一つ、決定的な違いは、民事裁判においては、原告と被告の間に争いが無い事実(双方ともに認めている事実)については、証拠は必要ないということです。簡単に言えば、「両方が認めているんだから、それでいいじゃないか。」というのが民事裁判です。ひょっとしたら、本当は事実ではないことを両方が何かの都合で認めているのかもしれません。それでも構わないというスタンスを取るのが民事裁判の考え方です。従って、民事裁判では、双方の意見が食い違って争いになっていることだけを、証拠調べの対象にします。

また、民事裁判の場合、双方が認めるというのも、積極的に同意する必要はありません。例えば、原告が主張したことを、被告が黙って反論しなかったとしても、それは認めたこととみなされます。民事裁判では、日本的な「あうんの呼吸」は全く通用しません。反論しないことは、すなわち同意したのと同じことと考えられているからです。実際に、被告が一切反論せずに黙り続けたら、原告の完全勝利の判決が出ます。原告側が、どんなにいいかげんな証拠しかなくても、そうなってしまいます。ですから、民事裁判では、どんな屁理屈でも、とりあえず反論することが大事になります。

ところが、刑事裁判では、検察官の言うことに被告人が特に反論しなかったとしても、これだけでは有罪にすることは出来ません。被告人が反論しないで黙っていたとしたら、検察側は証拠により犯罪を立証しなければなりません。証拠不十分で立証に失敗したら、被告人無罪の判決が出ることになります。このように刑事裁判は、民事裁判に比べて厳格な立証が求められるのです。一人の人間を犯罪者にするかどうかを決めるのですから、まあ当然と言えば当然ですが。

以上、説明したように、民事裁判と刑事裁判は、その性質が非常に異なっています。特に相談をしていて私が感じるのは、ドラマなどの影響で民事裁判についての誤解が多いように思います。今回の説明で、少しはその誤解が解けたらと思っています。

3月 26 2013

自己破産解決事例④

主債務者である夫が破産して、その保証人になっていた妻が相談に来られたケースです。

Aさん、女性、30代
借入先1社、 借入総額約1500万円

夫が事業をしていて、その事業が途中からうまくいかなくなったようで(私は別の会社で働いていたので、夫の事業については良く知りませんでした)、いろいろ相談した結果、離婚することになりました。

しばらくは親戚の家にやっかいになっていました。子供を引き取ったので子育てと仕事に夢中で夫のことは考える余裕がありませんでした。そんな時、銀行から人が来て、「ご主人が破産しました。奥様が保証人になっていますので、今後は奥様に請求することになります。支払計画を聞かせてください」と言われました。

いきなりだったので驚いてしまい、夫に連絡しましたが、つながりません。私は保証人になったことなど、すっかり忘れていましたが、そう言えば、そんな契約書を書いたかもしれないと思い出しました。

離婚したことを伝えましたが、銀行の人は「それは関係ありません。奥様が保証人であることは変わりません。」と言われました。ただ、私の様子を見て、「もし支払いが無理そうなら、早めに法律家に相談に行ってください」とも言いました。(今、考えると親切な対応ですね。払えないまま放置される方が、銀行としては困るということなのでしょうか)

金額は1000万以上で、今の私にはとても返済できるものではありません。観念して自己破産をすることを決意しました。

ネットで自己破産のできる事務所を探すと、割と近いところに経験のありそうなところが見つかりましたので、すぐに相談に行きました。事情を話すと、やはり自己破産しかない、あなたの場合は保証債務だから審査も通りやすい、と言われ、その場で依頼しました。

数ヵ月後、無事、手続は終わりましたが、それにしても、保証人にはなるものじゃないと、つくづく思いました。すぐに引き受けて頂いた先生には感謝しています。

○司法書士からのコメント○
保証人になった人は本当に気の毒だと思います。ご自身のために借りた借金なら、まだあきらめがつくでしょうが、保証人の場合、自分では1円も使っていない借金の肩代りをさせられるわけですから。

その代わり、裁判所も事情はくんでくれて、通常の借金よりは審査は通りやすいと言えるでしょう。

今回のケースでも、免責決定が出るまで非常に早く、特に追加書類や反省文などを求められることもありませんでした。(自分が使ったわけではないので、反省することも特に無いのは当然と言えば当然ですが)

反省文とは、借金の使い途に浪費やギャンブルなどがある場合、裁判所が債務者に書かせる書類です。本人が直筆で書くことが条件なので、司法書士や弁護士が代筆することは出来ません。裁判所としても、反省文くらいは本人に書いてもらわなければ、本人は何もしないで破産ができてしまうのは良くないと考えているようです。(逆に言えば、反省文で破産が認めてもらえるなら親切な対応だ、とも考えられます)

このように、保証人として請求されてしまった人は、気の毒ではありますが、自己破産を決断した時は割とスムーズに解決します。今の自分に無理な支払いだと思ったら、法律家に相談してみてください。

3月 19 2013

株式会社ギルドの不当請求

株式会社ギルドが最近、不当請求を行っていますので、ご注意ください。

◎不当請求とは、どんなことをしているのですか◎
具体的には、既に時効が完成しているにもかかわらず、それを隠して債務者に対して、遅延損害金を大幅に付けた金額の請求書を送りつけているのです。支払わなければ訴訟を起こす、あるいは法的手段を取るなどと書かれているため、思わず支払ってしまう人もいるでしょう。

◎支払うと、どうなるのでしょう◎
しかし、支払ってしまうと、後々面倒なことになります。債権の消滅時効において支払うことを「債務の承認」と言い、時効が完成した後に債務の承認を行うと、例え時効について知らなかったとしても、裁判所は再び時効の援用をすることは許されないという立場を取ることが多いのです。(「時効の援用」とは時効の主張をすることです)

上記のような裁判所の考え方があるため、ギルドのような貸金業者が、債務者が時効について知らないことを利用して、時効が完成しているにもかかわらず請求をしているわけです。(かつては武富士などが、これと同じことをやっていました)

例え不当請求であっても違法請求ではないため、一部でも支払ってしまうと、後で時効を理由に支払いを拒否するのは非常に困難になります。このため、電話交渉すると、非常に安い金額を提案してきて、とりあえず一部でも払わせようとする傾向があります。とにかく時効を援用できないようにしておいて、残りは、ゆっくり回収すれば良いと考えているのでしょう。

◎では、どうすれば良いですか◎
このように、素人が一人で電話交渉するのは危険が伴います。ギルド以外にも不当請求を行っている貸金業者がいるかもしれません。貸金業者からの借金の消滅時効期間は5年です。最後の取引から5年以上経っているにもかかわらず請求されている場合は、一度、法律家に相談に行った方が良いでしょう。法律家に時効援用通知を送ってもらうことを、おすすめします。

☆ 株式会社ギルドは、もともとはハッピークレジット株式会 社、株式会社信和、山陽信販株式会社の3社が合併し、トライト株式会社として設立されました。その後、株式会社ヴァラモスに社名を変更し、更に平成24年に現在の社名である株式会社ギルドになったという、非常にややこしい会社です。

☆ 一般的に貸金業者からの借入の消滅時効は5年です。しかし、例外もあります。
①貸金業者が会社ではなくて個人事業主だった場合(中小零細の街金融などに、たまにあります)は10年
②貸金業者が信用金庫や信用組合だった場合は10年(信用金庫や信用組合は非営利組織と考えられているため)
 ③上記①②の場合であっても、借りている方が事業者であれば、やっぱり5年
他にも例外はありますのでご注意ください。ここでは代表的なものをとりあげています。

より詳しい情報をお知りになりたい方は、以下をクリックして下さい。
http://www.hashiho.com/guild/  
 

3月 12 2013

個人再生解決事例④

給料が少なかったので最初は破産を考えていたのですが、社宅に住んでいたため住居費が安く、本人の希望もあり個人再生に切り替えた事例です

Sさん、男性、住宅ローン無し(社宅)
20代、会社員
借入先7社、 借入総額約300万円

社宅に住む前は賃貸マンションに住んでいて、そこの保証金が結構高かったため、一時的に貸金業者から借りたのが、そもそもの始まりでした。最初は抵抗があった業者からの借入でしたが、案外簡単に出来たので抵抗が無くなり、その後の借入につながったような気がします。

もともとパチンコが趣味で週に1~2回やる程度でしたが、借りることを覚えてから回数と金額が増えていきました。以前は1日に1万円以上は使わなかったのですが、借りたお金を使うようになってから、1日に4~5万円使うことも珍しくなくなりました。

丁度、この頃、会社の経費節減が厳しくなって、営業経費が落とせなくなってきました。仕方なく自腹を切ることも増えてきて、より借入をするようになりました。

そんなに給料が良い方ではなかったので、しばらくすると返済に行き詰まるようになり、これでは駄目だと思いネットで探して法律家に相談に行きました。

司法書士事務所に相談に行ったところ、「あなたは、めぼしい財産も無いし失うものも特に無いので自己破産が適切ではないか」と言われました。しかし、自己破産には抵抗があったため、何とか他の方法は無いかと質問したところ、一応、減額した後に分割して支払っていく個人再生という方法もあると聞きました。ただし、それには、支払い能力の審査があるので、それをクリアする必要があると言われました。

当時の私の給料は18万くらいでした。通常、このくらいの金額だと生活費を含めて残りの借金を支払っていくには厳しいと判断されることが多いと聞きました。ただ、既にこの時は社宅に住んでいて家賃は3万円でした。一人暮らしだったので節約すれば生活費は、ほとんどかかりません。結局、これならば毎月の余剰金も充分に出るので、個人再生でもいけるでしょうという結論になりました。

もう一点、私はパチンコで作った借金もかなりあったので、それが破産の場合、免責決定に影響する可能性があるということも、個人再生を選択する理由になりました。

方針が決定してから事務所の指示に従って進めていきましたが、特に問題なく無事、認可決定を得ることが出来ました。自己破産しないですんで大満足です。借金はもうこりごりなので、これからはきっちりと節約して暮らしていきたいと思います。

○司法書士からのコメント○
特に財産も無かったので自己破産を考えるケースでしたが、ギャンブルで作った借金の額が割と多かったのと(割合が少ない場合は問題になりません)、本人の強い希望があったため、個人再生を検討しました。

幸い、社宅に住まれていたこともあって住居費が非常に安く、一人暮らしだったので節約すれば、かなりの少額で暮らせることが分かりました。もちろん徹底した節約をしてもらうように、ファイナンシャルプランナーも交えて家計の見直しをしていきました。

最終的には月に5~6万円の余剰金が出るまでになりました。分割の支払いは月に3万円弱だったので充分に支払っていけます。裁判所の審査も問題なく通過しました。

誰もが当てはまる訳ではありませんが、非常にうまくいったケースだと思います。

より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック

http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/

3月 05 2013

自己破産解決事例③

岐阜県から来られた方です。一度、岐阜の法律家に依頼したところ、任意整理で受任され、途中で無理だと言われ辞任されて(非常に無責任な対応だと思います)、探した末に相談に来られました。

Mさん、男性、20代
借入先14社、 借入総額約1000万円

入社した当初は会社の景気が良く、給料も割りともらっていて、まだ結婚もしていなかったので、派手にお金を使うくせがついてしまいました。

車にとても興味があって、前から自分の車が欲しいと思っていたので、社会人になって自分の給料をもらうようになったら、すぐにローンを組んで車を買いました。

そのうち、そのままの車では満足できなくなって、いろいろなパーツを買っては交換したり取り付けたりをするようになり、車のパーツは結構、高額なので給料日までにお金が足りなくなることも出てきて、社会人になってから作ったクレジットカードでキャッシングをするようになりました。(パーツもクレジットで買うようになりました)それでも、給料が順調に上がっていたので何とかなっていました。

ところが、会社の景気が悪くなってきて配置転換を命じれました。今までよりも給料が下がり、途端に返済が苦しくなりました。月末になると、返済のために新たなカードを作り、返済のための借入をするようになりました。

わりと有名な会社に勤めていたせいで新規のカードの審査は次々と通りました(貸出規制が始まる前のことです)。借金の総額はふくらんでいきましたが、返済は何とか出来ていたので、まだ危機感は感じていませんでした。

しかし、ある時から、新規のカードの審査が通らなくなりました。あまりにも借入額が大きくなりすぎたためのようです。一気に返済に行き詰まり、どうして良いか分からずパニックになりました。地元(岐阜県)の法律家を探して相談に行ったところ任意整理という手続きをすすめられ、取立てが止まるから安心してと言われ、着手金として10万円払いました。

ところが、しばらくして法律家から電話があって、「任意整理は無理だから辞任します。別の法律家を探して下さい」と言われました。「じゃあ、最初に払ったお金は返してくれるんですか」と聞いたら、着手金だからと言って返してくれませんでした。苦しい時に無理して工面したお金なのに無駄になってしまい、本当に落ち込みました。

もう地元はこりごりだと思い、多少遠くても名古屋の方で探しました。今度は、いろいろなホームページを見て少しは自分でも勉強して、自分は自己破産しかないんじゃないかと考え、自己破産をきちんとやってくれそうな事務所を探しました。

新たな事務所を探しているうちにアイフルから訴えられてしまいました。裁判所からの書類が家に届いて急がなければと思い、自分で探した名古屋の事務所に相談に行きました。

そこで自己破産の具体的な説明を聞き、ようやく安心しました。ただ、自分は訴えられているので、通常よりも急ぐ必要があると言われ、事務所の指示通り、必死になって書類を集めました。

一時はどうなるかと思いましたが、何とか自己破産の申立てをして、訴えられた裁判も取り下げてもらい、危機を乗り切ることが出来ました。その後、無事、免責決定も出て、ようやく本当の意味でほっとすることが出来ました。もう二度とこんな思いはしたくないので、今後は節約に努めたいと思います。

○司法書士からのコメント○
とにかく、業者の数が多いのと、借金の総額が高額だったのが印象に残っています。よほど与信が高かったのでしょう。相談に来られた時に一目で破産しかないと判断しました。

それにしても、こんな高額な借金で、しかもショッピングが多かった訳ですから任意整理で解決できるわけがありません。最初に受けた法律家は、あまりにも経験が無いか、それともひどく無責任かのどちらかでしょう。(あえて名前は出しませんが)

既に訴えられていましたので、申立が遅れると給料の差し押さえなどを受ける恐れがありましたから急ぎました。裁判は、なるべく引き伸ばして、破産予定だから取り下げるように業者にも裁判所にも説得しました。それでも申立までは取り下げてもらえなかったですね。

現在は貸金業法が改正されて貸出規制がありますから、ここまでの高額な借金はしたくても出来ないでしょう。そういう意味でも記憶に残る事例でした。

3月 01 2013

個人再生解決事例③

家電の購入が趣味でクレジットのショッピング費用が多かったのが印象に残った事例でした。

Tさん、男性、住宅ローン無し(賃貸マンション)
40代、会社員
借入先6社、 借入総額約600万円

マスコミ関係に勤めていて、当初は割と給料が良かったために、派手な浪費をしていた時期がありました。特に家電に興味があって、新製品が出るとつい買ってしまい、家中の家電が新製品で埋まっていました。ほとんどがクレジットでの購入だったので、毎月引き落とし日には結構な金額が落ちていたと思います。

しかし、しばらくすると、不景気による広告収入の落ち込みなどで給料が減り、今までためらいもなく使っていた経費も自腹が多くなっていきました。それでも、なかなか生活レベルを落とすことが出来ず、前と同じように家電の購入は続けていました。

そんな時に、持病が悪化して医者に行ったところ、保険がきかない治療が必要ということで200万円近い出費を迫られました。仕事に支障が出るので病気を放置しておくこともできず、苦しい時に何でこんなことにと思いながら治療を受けることにしました。

しかし、いよいよ毎月の支払いが滞るようになり、このままでは破産するしかないのかと思い悩みました。とにかく、このままの状態では支払いができなくなることは明らかだったので、借金の整理に強そうな法律家を探すことにしました。偶然にも、妻が以前に世話になった司法書士事務所があるということで、そこに相談に行くことにしました。

たいへん丁寧な説明を受け、ある程度の給料があるので、破産よりも個人再生がいいんじゃないかと指摘されました。特に押し付けるようなこともなく、「一通りの説明はしましたので、やるかやらないかは、あなたの判断です」と言われ、やってみることにしました。破産しなくても済むのは、正直、ありがたいと思いました。

手続は割と順調に進み、名古屋地裁にも行きましたが(先生の付き添いもありましたので安心でした)、思っていたよりも厳しい質問はなく、手続を始めて半年くらいで支払いが始まりました。今では、すっかり心も落ち着いて、せっかく認めてもらった分割払いなので、きちんと払っていこうと思います。

○司法書士からのコメント○
昔、任意整理をした奥様が、夫をつれてきたケースです。こういうことは実は珍しくありません。ただ、奥様も個人再生は始めてだったので、説明を聞くまでは不安そうにしてました。

この人の場合、ローンの終わった自動車が50万円くらいの時価がありましたので、破産をするとこの自動車が処分されてしまいます。あと、減ったといっても、そこそこの給料があったのと、奥様の収入もあったので、充分に個人再生の分割が可能だと判断しました。

ただ、借金の大きな原因である家電の購入については、今後は控えていただくように説得しました。本人も自覚していて納得して頂けたと思っています。

より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック

http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/

2月 14 2013

自己破産解決事例②

ご主人と別居状態になって、生活費が入らず借金に頼ったケースです。(このパターンの自己破産は結構あります)

Sさん、女性、40代、子供2人
主婦、パート
借入先5社、 借入総額約250万円

夫は元々、建設業の一人親方で、収入も多いときは50万くらい、少ない時でも20万くらいはありました。しかし、折からの建設不況で収入が減少し月に10万も稼げないことも珍しくなくなりました。

それで生活費が足りなくなり私もパートに出るようになりましたが、まだ小さい子供がいた為に、それほど多くの時間は働けません。だからといって子供を預けると、その為の費用がかかってしまい、結局、家計の足しになりません。

そんなこともあって消費者金融から借金をするようになりました。最初は抵抗もあったのですが、何度も出し入れをしているうちに借入限度額が何だか銀行口座の残高みたいに思えてきて、借金をしているという感覚が薄くなっていきました。

家計が苦しい時に限って何故だか悪いことが重なるもので、娘の携帯の代金が30万円という途方もない金額の請求が来ました。どうもパケット放題の契約になっていなかったようなのです。携帯会社に説明不足じゃないかと文句を言いましたが聞き入れてもらえませんでした。

また、同じ時期に私が車の事故を起こしてしまいました。自損事故で他人に迷惑はかけなかったのですが、車両保険に入っていなかったので、修理代に50万近くかかりました。田舎に住んでいたので、車がないとパートにも行けません。

ただでさえ苦しい時に、こんな臨時出費は痛すぎました。更に借金の額は増えてしまい、さすがに返せなくなるんじゃないかとあせり始めました。

建設不況は更に深刻になり、夫の仕事は、ほとんどなくなりました。たまに仕事があっても、生活費には入れてくれなくなりました。生活が苦しいと私が言うと、夫は「それなら自分は実家に、しばらく住むから」と出て行ってしまいました。

もはや、パートだけで借金を返しながら生活していくのは無理だと思い、ネットで探して司法書士に相談しました。法律家に相談に行くなんて人生で初めての経験なので、すごく緊張しました。こんなに借金してしまって、だらしがないと怒られないかと心配でした。

しかし、実際に相談してみると、「あなたみたいな人は珍しくない。借金の額も特に多いほうではない」と言われて少しほっとしました。

先生は、「あなたは収入が少ないし財産もほとんどないので、自己破産しかないと思う。ただし、ご主人が事業主なので、管財事件にならないかだけが心配だ」と言われました。管財事件になると、裁判費用がすごく高くなるそうで、到底、今の私には支払えそうにないからです。」

破産書類を裁判所に出してもらって、しばらくすると、案の定、裁判所から管財事件の打診があったことを知らされました。私は裁判所に呼ばれることになり、そこで、前もって先生に言われたとおり、窮状を裁判官に訴えました。「管財事件になったら私は破産をあきらめなくてはならなくなります。何とかして下さい。」と。

しばらくすると、裁判所から同時廃止で処理するという決定が来ました。私は非常に喜びました。その後はスムーズに手続は進み無事に免責決定も頂きました。そして、先生のすすめもあって、結婚後に疎遠になっていた両親のところに行ったところ、しばらくは援助してもらえることになりました。親身になって相談にのってくれた先生には本当に感謝しています。

○司法書士からのコメント○
ご主人が生活費を入れなくなったことで主婦が破産するケースは割とよくあります。この場合、主婦は被害者なので裁判所もスムーズに免責を認めてくれることが多いです。
その点は問題なかったのですが、この人の場合、ご主人が事業主だったので(と言っても一人親方なので、裁判所の取り扱いは厳しすぎると私は思いますが)、管財事件になるかもしれないということが唯一のネックでした。
しかし、現実問題として管財の預納金の支払能力は無い人なので、その事を積極的にアピールするように伝えた上で裁判所に行ってもらいました。
本人の必死の訴えが届いたようで、無事に同時廃止で処理されることになりました。本当に良かったと思います。

☆管財事件とは
 破産管財人が選任される事件。破産者が事業主であったり、法人であったりした場合は基本的に管財事件になる。近年は判定が厳しくなり、配偶者が事業主の場合にも適用されるケースが増えてきている。
裁判費用に管財人の報酬が加算されるので高額になる。通常は40万くらい。裁判官の裁量で金額が下がることもあるが、それでも同時廃止事件と比較したら何倍も高額である。

2月 05 2013

個人再生解決事例②

依頼人が、親から譲り受けた土地を持っていたことと、手続の途中で正社員に昇格したことが印象に残っているケースです

Kさん、男性、住宅ローン無し(ただし土地は所有)
40代、会社員
借入先 6社、 借入総額 約400万円

結婚前から旅行が好きで、よく飛行機などを使って旅行に行っていました。旅行費用を捻出するために、たまに借入をすることもありましたが、その時は、給料で返せる程度でおさまっていました。ただ、借りることに抵抗が無くなっていたことはあると思います。

後に、前の会社を退職して事業をしないかと友人に誘われました。今、考えると、これが甘かったと思います。大事な退職金を、かなりの額、事業に使ってしまいましたが、そんなに世の中、甘くはありません。事業は軌道にのらず、投資した退職金は無くなり、更に新たな借金までかかえることになりました。

会社を辞めてしまっているので、新たな就職先を探さなくてはなりません。しかし、この不景気の中、正社員での就職は厳しく、しばらくは契約社員で過ごすことになります。当然、収入も以前に比べて減少し、借金の返済が苦しくなってきました。

そんな時にネットで借金について調べていたら、個人再生という手続があるのを知り、自己破産は抵抗があるけど、これならやってみても良いかなと思い、経験のありそうな司法書士を見つけて相談に行きました。

先生からは、「個人再生は、借金の5分の1か、100万円か、どちらか高い方の金額まで支払額が減らせる手続なので、あなたの場合は本来、100万円が支払額になるはずだけど、土地を持っているので、その分、支払額は若干増えます。ただし、その土地を処分する必要はありません。」と言われました。

親から譲られた土地は兄弟との共有になっていたのと、田舎のあまり便利の良い場所ではなかったので、私の資産価値は100万円ほどですみました。資産価値が低くて喜ぶことになるとは、皮肉なものです。

先生に伝えると、「貯金や生命保険などの他の資産と合わせると、あなたの資産の合計は150万円弱です。これがあなたの支払額になります。この金額を3年間で分割して支払っていくことになります。月あたり約4万2000円くらいですね」と言われました。

このくらいの金額なら何とか支払っていけそうだと明るい気持ちになってきました。すると、運も向いてきたのか、会社から正社員昇格の話がありました。真面目に働いてきて良かったと、この時は本当に思いました。すぐに先生に話すと、「裁判所に与える印象が非常に良くなりますよ。審査が通りやすくなるでしょう。」と言われました。

その後、順調に手続が進み、裁判所での面談も終わり、無事に認可決定が出ました。正社員になったことで収入も増え、無理なく支払うことが出来ています。個人再生に感謝です。

○司法書士からのコメント○
この人の場合、親から譲られた土地があったので最初は、その資産価値が不安でした。個人再生の場合、支払額の決定方法は、以下の3つのうちの最も高い金額と決められています。
① 借金の総額の5分の1
② 100万円
③ その人の資産の総額(清算価値と呼ばれます)

この場合、③に当てはまるわけです。ただし、個人再生のメリットは資産を処分する必要は無いという点です(自己破産の場合は、処分してお金に換えなくてはならない)。

ただ、不動産のように高額の価値になりやすい資産を持っている場合、支払額が高くなりすぎて、そもそも個人再生をやる意味がないというケースもあります。(分割になるメリットはありますが)

だから、実際の資産価値を聞くまでは心配でした。しかし、思っていたよりも資産価値が高くなかったので、支払額も充分にメリットがある金額になりました。

契約社員のままでも、ぎりぎり審査は通るかなと思ってはいましたが、やはり、正社員に昇格したのは良いタイミングだったと思います。いろいろなことが非常に、うまくいったケースだと印象に残っています。

より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック

http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/

1月 23 2013

自己破産解決事例①

住宅ローンの滞納が半年くらいあり、住宅を任意売却した事例です

Nさん、男性、住宅ローン有り
50代、無職
借入先 5社、 借入総額 3500万円(住宅ローン含む)

勤めていた会社が倒産したことが、きっかけで、それまで支払えていた住宅ローンが払えなくなり、最初のうちは何とか住宅を守ろうと、以前からパチンコ代などを少額借りていた消費者金融から、限度額一杯まで借りて支払っていました。

しかし、年齢もあって、なかなか就職先が決まらず、そのうち生活費も足りなくなって、住宅ローンを滞納するようになりました。しばらくは銀行も何も言ってこなかったのですが、ある日、銀行から「このまま放置されると保証会社に債権が移転します。」と通知が来ました。

私は、あわてて銀行に電話して、保証会社に債権が移転すると、どうなるのでしょうか、と聞くと銀行は「保証会社は厳しいですから、近いうちに競売になるかもしれません」と言われました。

しかし、現状では、滞納分を支払える目処は全くありません。ここに至って、「どうせ住宅が守れないなら、もう破産してしまおう」と考えるようになりました。既に子供は独立しており、妻とも離婚していましたので、覚悟を決めたら、住宅ローンなど無い方が、むしろ身軽でいいかもしれないと思ったのです。

幸いに、以前、他の仕事でお世話になった司法書士さんがおりましたので、そこに破産手続きを頼むことにしました。聞くと、破産には2種類あって、費用が高くて期間も長い管財事件と、費用が安く期間も短い同時廃止事件があるそうです。当然、私は同時廃止にして欲しいと頼みましたが、どうやら条件があるようです。

その条件とは、不動産がある場合、固定資産税評価額(市役所の税務課で取れます)の土地の分を2倍、建物の分を1.5倍にして、両方の金額を足したものと、住宅ローンの残債務を比較して、住宅ローン残債務額の方が高ければ、同時廃止が認められるということでした。

私は祈るような気持ちで市役所に行き、固定資産税評価証明書を取って計算してみたところ、幸いなことにローン残高が上回っていました。借金が多くて、うれしかったのは、この時くらいです。すぐに司法書士事務所に報告して同時廃止手続に着手してもらいました。

無職だったこともあり、めぼしい資産は不動産くらいで、手続は割と順調に進んでいきました。ただ、不動産がいつ無くなるのかということは気がかりでした。引越しをする必要があるからです。銀行からは早く売却してくれと言ってきます。

司法書士に紹介してもらった不動産業者に依頼して売却先を探しました。どっちみち私に入ってくるお金はないので、どこに売っても構わなかったのですが、何しろ貯金が無いので、引越し代だけは確保して欲しかった。それだけを不動産業者には言いました。

しかし、不景気の真っ只中だったので、なかなか買い手がつきません。結局、破産手続きの方が先に終了してしまいました。銀行は最早、不動産の売却代金以外からは回収できないので、あまり相場より安い金額ではOKを出しません。

結局、破産手続きが終了してから3ヶ月近くたってから、ようやく売却が決まりました。私は引越し代も確保できて、以外に長い期間、元の住宅に住むこともできて非常に助かりました。

会社が倒産してからは本当に暗い気持ちで暮らしていましたが、今は借金も無くなり、意外とさっぱりした気持ちでいます。覚悟を決めて良かったと思っています。

○司法書士からのコメント○
住み慣れた住宅を失うのは誰でもつらいものです。その為、つい決断が遅れてしまう人が多いのですが、遅れれば遅れるほど事態が悪くなることが多いのも事実です。

今回のように失業して、早期の再就職の見込みが立たない場合、住宅ローンを返済し続けるのは正直言って難しいでしょう。やはり自己破産を決断されて正解だと思います。(無職の場合は個人再生は利用できません)

今は不動産の価値も下がっている時期なので、逆に言うと、債務者に有利な同時廃止事件で処理できる件数が増えています。ものは考えようで、価値が下がっている時には破産も、それほど負担にはならないということです。

破産して借金の不安を無くした上で就職活動をした方が、精神的にも安定しますし、良い結果をもたらすのではないでしょうか。(実際に、この人は、破産終了後の割と早い時期に就職が決まっています)

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