1月
17
2013
自動車の取り扱いの変更で、自動車が手元に残ったのが印象的な事例です。
Tさん、男性、住宅ローン有り
40代、会社員
借入先 6社、 借入総額 約900万円
当初、住宅ローンを組んだ時には問題なく返済できていたんですが、途中、転職になりボーナスの額が大幅に減ってしまった時から住宅ローンのボーナス払い分の返済が苦しくなりました。それで、ボーナス払いをのりきる為にクレジットカードや消費者金融のキャッシングを利用するようになりました。今、考えると、これが全ての始まりだったように思います。
一向にボーナスが上がる気配も無いので、貸金業者への返済のたしになるかもと思い、パチンコを始めてしまいました。学生時代は結構、勝っていたので、何とかなるかもと思っていたのですが、現実はそんなに甘くはなく、かえって借金を増やすことになってしまいました。
悪いことは続くもので、こんな苦しい時に入院が必要な病気にかかってしまいました。退院した後も元の体力は戻らず、前と同じようには働けなくなってしまいました。それが原因で、結局、再び転職することになり、今度はボーナスだけでなく毎月の給料も減ってしまいました。ただ、体力的には前の会社よりも楽だったので、徐々に体調は良くなっていきましたが、その代わり、経済的には一層、苦しくなり、借入の金額が増えていきました。
丁度、この頃、子供の学費がかかる時期に重なりました。とても貯金では対応できず、日本政策金融公庫から学資ローンを借りることになりました。自分のせいで子供の将来を狭めるようなことは、どうしてもしたくなかったのです。
より生活が苦しくなり、毎日、借金の支払いをどうするかを考えるようになり、精神的にも追い詰められていきました。夫婦ゲンカも多くなり、妻とは別居するようになりました。妻の収入があてにできなくなったので、ついに住宅ローンの支払いが苦しくなり、このままでは住宅を失ってしまうという危機感が高まり、もう普通の方法で借金を払っていくのは無理だと観念して債務整理を考えるようになりました。ネットで調べるうちに住宅を維持しながら他の借金を減らせる方法があることを見つけ、司法書士の先生にお願いすることにしました。
最初は、住宅が守れるなら、車はあきらめるしかないかと思っていましたが、先生に聞くと、「最近、取り扱いが変わったので、車は残るかもしれない」と言われました。それで手続を進めていくと、本当に車が残りましたので、すごく助かりました。正直、都会ではないので、車がないと生活が非常に不便なのです。
無事に支払える金額に減額され、住宅も車も残り、妻も最近では理解してくれるようになってきました。本当に手続をして良かったと思っています。
○司法書士からのコメント○
相談に来られた時には、かなり切迫した状況でした。もう少し遅くて住宅ローンの滞納が始まっていたら、これほどスムーズには進まなかったかもしれません。(他の借金の滞納はありましたが、住宅ローンの滞納はありませんでした)
車の件では、最高裁判所の判決が出てから取り扱いが変更になり、現在では、車検証の所有者名義がローン会社になっていない場合は、ローン会社は車を引き上げることが出来ないということになっています。今回の件は、これに該当した為、ローン会社も車の引き上げをあきらめました。ラッキーだったと言えるでしょう。
より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック
↓
http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/
1月
08
2013
今回は過払金請求への道の最後、⑤「家族にナイショでずっと借りていた。ずっと借りていたので、ひょっとしたら過払いになっているかも。興味はあるんだけど、家族にばれるのが怖くて踏み切れない。」という理由でためらっている人への回答です。
実は、この理由でためらっている人は非常に多く、そのおかげで倒産の噂が浮かんでは消えるアイフルなどの消費者金融は何とか持ちこたえています。消費者金融やクレジット会社の側から見たら、そのままためらっていて欲しい人たちということになります。でも、これって、ちょっと悔しくありませんか。
私の今までの実務経験上、過払金請求で家族にばれたという例はありません。自己破産や個人再生だと家族にナイショで行うのは確かに難しいと思います。しかし、過払金請求は手続の性質上、司法書士と業者の間で済んでしまいます。そもそも、業者は司法書士が受任通知を出したら、直接、依頼人と連絡を取ったり接触したりすることを禁じられます。
あと、現在は司法書士や弁護士が過払金請求の依頼を受ける時は面談が義務付けられています(これを守っていない事務所は、ルールを守っていない事務所ですから注意して下さい)。その際、事務所に出入りしているところを見られてしまうんじゃないかと気になるかもしれません。
これを防ぐ為には、少し遠方の事務所を選ばれると良いでしょう。実際に、こういう理由で他の県から来られる人も珍しくありません。もちろん、あまり遠すぎるのも大変ですから、せいぜい隣の県くらいが、いいんじゃないでしょうか。
過払金請求は、医者などと違って何回も通う必要はありません。1回の面談で手続に入れることが、ほとんどです。家族にナイショの人は、手続が終わった後に、もう一度、事務所に書類を取りに来ることがあるくらいです。ですから、多少、遠方でも充分、依頼はできると思います。
今回で、過払金請求をためらっている人への私なりの回答は全てになります。参考にして頂けたでしょうか。
12月
27
2012
今回は、④「広告では戻ってくるようなことを言ってるけど、そんなにうまい話はないと思う。どうせ請求したって少ししか戻ってこないだろう。やっても無駄だ。」と考えて、ためらっている人についてです。
私は本来、過払金請求を奨励する立場ですが、それでも非常に慎重で良い態度だと思っています。何故なら、こういう人は年をとっても「おれおれ詐欺」などには、だまされにくいだろうと思いますから。うますぎる広告や、センセーショナルな宣伝には警戒心を持つのは基本的には良いことです。
ただ、過払金については、私の長い経験上(過払金請求が今ほど盛んになる前から私は引き受けています)、慎重な態度の人ほど驚くほど大きな金額になっていることが多いという特徴があります。これは考えてみれば納得できることで、慎重な人ほど返済に遅れることなく真面目に、きちんきちんと返済しているからです。
その全く逆の現象として、「自分は過払いになっているはずだから、一刻も早く回収してくれ。」と強く主張してくる人に限って、取引履歴を取り寄せてみると過払いにすらなっていなかったり、あるいは過払金の額が非常に少なかったりする傾向があります。(これは本当のことです。同業の司法書士や弁護士にも確認したことがありますが、この点については皆さん同意してくれました)
このことから、慎重で過払金の金額を疑っているような人ほど、本人がびっくりするような大きな金額が戻ってくる可能性があるので、やってみるべきだということです。少なくとも、すぐにはやらなくても、過払金の額を確かめることは最低でもやった方が良いでしょう。
12月
19
2012
今回は、③「もう返し終わって、せいせいしている。二度と思い出したくない。だから、やらない。」という理由で過払請求をためらっている人についてです。
このように考える人は比較的、郊外や郡部に住んでいる人に多い傾向があります。私の事務所の受任エリアで言うと、三河や岐阜県、三重県などが当てはまります。(もちろん、これらの地域の中にも、全くこのように考えない人もいます。あくまで比較の問題です)
実は③と④の人は、一見、違う考えのように見えますが、同じ部分も多いのです。③のように考えている人も、いざ取引履歴が開示されて正確な過払金の額が分かると、「やっぱり、やってもらおうか」と考えが変わる場合も少なくありません。ようするに、本当にどの位、戻ってくるかの具体的なイメージが出来ていないために、今までのサラ金とのつきあいの悪いイメージが先行してしまい、ためらってしまうのでしょう。
あと、①の人との共通点もあります。過払金が発生している人は、それなりに長くサラ金と取引を続けてきたわけですから。嫌なことも経験しています。苦しい時に厳しい取立てを受けたこともあるでしょう。たぶん、過払金請求をすることで、以前に経験した苦しいイメージが浮かんできてしまうのが嫌なのだと思います。
この点は、①の時にも説明しましたが、全く心配はいりません。司法書士が過払金請求を引き受けた場合、サラ金との交渉は全て司法書士が相手になります。これを破るとサラ金は違法行為になってしまうため、まず破りません。従って、依頼人はサラ金とは離れた立場になりますから、心配するような問題は起こらないのです。むしろ、苦しい取引をしてきた人こそ、その分を取り戻すために、過払金請求をするべきだと私は思っています。
他にも、サラ金とヤミ金を勘違いしていて、それでためらっている人もいます。これは、非常にもったいないことです。何故なら、サラ金とヤミ金は全く違うからです。
確かに一般の人から見たらサラ金も充分に強引でしつこい取立てをしますので、同じように感じてしまうのかもしれません。しかし、ヤミ金と比べたら、取立ての苛酷さは比較になりません。よくテレビなどでヤミ金の取立てのひどい状況をドキュメンタリーで写したりしていますので、それを見ると、こんなところには二度とかかわりたくないと思ってしまうのも無理はありません。
ヤミ金とは刑事罰になる利息を取っている業者であって、ようは犯罪者なのです。一方、サラ金は民事裁判で無効になる利息を取っているだけで、犯罪者ではありません。ヤミ金は金を貸しただけで警察につかまりますが、サラ金は金を貸しただけでは警察につかまりません。
これは大きな違いです。ところが、テレビなどでヤミ金の取立てシーンなどが放映されると、つい自分が借りているところも似たようなところじゃないかと思ってしまったりするのです。
これまで説明したとおり、サラ金に対して過払金請求をすることは、一般の人が思っているよりも安全です。あと、サラ金を嫌がったり怖がったりして、そのために真面目に返してきた人ほど過払金が発生しているものです。一度、やってみた人は、みなさんが、「やっぱり、やってよかった」と言います。まだ、ためらっている人は、このブログを読んで、一歩を踏み出してみて下さい。
12月
13
2012
前回の続きで、②「広告では違法利息だと言ってるけど、自分は困っている時に借りたので、今さら返してなんて悪い気がする」という気持ちがあるため、過払請求をためらっている人についての話です。
いかにも心優しく真面目な日本人に、ありがちな話で、私も電話口で、このようなことを言われたことがあります。普段の生活で正直で真面目なことは確かに良いことです。きっと、とても人当たりのいい、良い人なんでしょう。
しかし、ものは考えようです。違法利息というのは誰かが勝手に言い出したことではなく、最高裁判所が認めているわけです。ということは、そもそも消費者金融やクレジット会社は不当な利益を得ていたことになります。困っている時に借りた人にとっては神様のように見えたかもしれませんが、実は貸金業者は親切で貸した訳ではありません。貸すことによって、違法利息も含めた大きな利益が得られることが分かっているからこそ貸したのです。
その証拠に、貸金業法が改正されて利率が下がったら途端に貸し渋りが起きています。現在は、新規に貸してくれと頼んでも断られるケースが増えています。彼等もビジネスですから、利益が出ないと分かったら、そう簡単には貸さないのです。
この事実を知れば、貸金業者に過払請求をすることに遠慮はいらないことに気付いてもらえるのではないでしょうか。彼らは、あなたが困っているから貸したのではありません(もちろん、口では困っているから貸したようなことを言うかもしれませんが)。この先、何年間も高い利息を支払い続けてくれることを期待して貸したのです。その結果として過払金が発生しているにすぎません。
ですから、過払請求をためらう必要は無いのです。貸金業者は違法利息であることを隠して、あなたからの支払いを受け取り続けてきたのです。ただ、それを返して欲しいと言っているだけなのですから。
真面目なのは確かに素晴らしいことですが、度を越えると、「お人よし」になってしまいます。不当な行いをしている業者に対して、こらしめるというのも真面目さの一つだと思います。過払請求をしないというのは、業者の不当な行いを認めてしまったことにならないでしょうか。これが私の答えです。皆さんは、どう思われるでしょうか。
次回は③についてです。
12月
04
2012
最近では、すっかり有名になった過払金返還請求ですが、まだ、請求をためらっている人達がいます。これらの人達は恐らく、次のようなことが不安なのではないかと思います。
「サラ金に対して過払金なんて請求して、本当に大丈夫なの? あとで何か問題が起こらない。」・・・①
「広告では違法利息だと言ってるけど、自分は困っている時に借りたので、今さら返してなんて悪い気がする」・・・②
「もう返し終わって、せいせいしている。二度と思い出したくない。だから、やらない。」・・・③
「広告では戻ってくるようなことを言っているけど、そんなにうまい話はないと思う。どうせ請求したって、少ししか戻ってこないだろう。やっても無駄だ。」・・・④
「家族にナイショでずっと借りていた。ずっと借りていたので、ひょっとしたら過払いになっているかも。興味はあるんだけど、家族にばれるのが怖くて踏み切れない。」・・・⑤
ざっと、こんなところでしょうか。では、この疑問や不安に一つずつ答えていきたいと思います。
①への回答
一般の人にとって、サラ金はやっぱり怖いというイメージがあります。昔に比べれば、だいぶ薄まっていると思いますが、まだ一部の人の頭の中には「サラ金からお金を取り戻すなんて、とんでもない。何かされたらどうするの」という心配があるようです。(私も同窓会の席で自分の仕事を話したら、友人から「お前、そんな仕事してて何かされない。」と真顔で言われました。やはりこれが一般的な感覚なんでしょう)
しかし、結論から言うと、10年近く債務整理の仕事をしていて今のところ一度も怖い目にあったことはありません。もちろん依頼人が過払金請求をした結果、怖い目にあったという話も聞いたことがありません。この点に関しては、安心して頂いていいのではないでしょうか。
特に最近は貸金業法が改正されて、より監督が厳しくなっています。貸金業者と依頼人との間に何かトラブルが起こって、それを監督官庁に報告されたら、下手をすると貸金業者は営業停止処分になる可能性があります。そんなリスクのある行動を取ることは考えにくいですね。
次回は②について回答いたします。
11月
13
2012
さて、そろそろ学生時代は終わりにして、次のエピソードに移ろうと思いますが、前にも話したように、私はサラリーマンを経験していません。ですから就職活動のエピソードというものがありません。結婚と並ぶ人生の一大イベントの経験が無いのは、この年になってみると、非常に残念なことだと思っていますが、その代わりに、恐らく他ではあまり経験できないイベントを経験していますので、それについて話してみようと思います。
私は旅行が国内・海外含めて好きなので、いろいろなところに行っています。その中でも特に強烈な体験として記憶に残っているものを、これからお話します。それは、自動車によるアメリカ大陸横断です。
私はアメリカに語学留学に行っていたことがあります。まずハワイに行って、そこでしばらく海外生活に慣らしてから(いざという時に日系人が多いから)、その後、アメリカ本土に留学しようと計画しました。
当時は80年代後半で、まさにバブル真っ盛りの時代です。日本の留学生が世界中に進出していて、どこに行っても日本人だらけという、今では考えられない様子でした。学校も8割以上が日本人という、正直、何をしにきたのか分からないという状態で、そのまま日本が移動してきたみたいでした。
その中で、一人の日本人と知り合います。彼が大陸横断のきっかけになるのですが、慶応の医学部大学院から派遣されてきた医者で、ハワイで語学研修をした後、東海岸のハーバードに留学が決まっているというエリートです。彼が西海岸のサンフランシスコで学会があるので、そこから東海岸のボストン(ハーバードのある街です)に行く時に、一緒に車で大陸横断しようと誘ってくれたのです。
当時は私も若かったので、こんな無茶な提案に「面白そうだ!」とのってしまいました。もちろん実際に面白かったことは間違いないんですが、長期間2人っきりで車に乗り込んで移動している訳ですから、時にはケンカもします。行きたいところで、もめることも何回かあったのを覚えています。
全行程は約2週間、最短距離でボストンまで行ったら、もちろんそんなに時間はかかりません。確か3~4日もかければ着くはずです。しかし、せっかく行くからには、いろいろ寄り道をして見て回りながら行こうという気持ちになるのは自然の成り行きでした。それも期間は決めていたけど、コースは行き当たりばったりで出発しました。
この大冒険のおかげで、アメリカの道路地図を見るのは、かなりベテランになった自信があります。交代で運転しながら、片方はナビゲーターをしていましたから、嫌でも覚えます。最終的には、始めて行った街でも、かなり細かいところまでドライバーを案内できるようになりました。(当時はカーナビというものは、まだありません。場所は自分で探すしかない時代です)
実はアメリカの住所というのは、日本と違って非常に合理的に分かりやすく出来ています。自分で車を運転してみて、つくづく分かったのは日本の道路や住所がいかに分かりにくいか、ということでした。日本で同じように道路地図だけで縦断しようと思ったら、かなり困難なことになるでしょう。
まずアメリカの場合、住所が分かればピンポイントで建物の場所まで分かる構造になっているのです。アメリカの住所は全てが通りの名前で表示されています。「~アベニュー」とか「~ストリート」とか「~レーン」などです。そして通りの名前の前に地番の数字がきます。「220キングストリート」のようになります。そして重要なのは、この地番が必ず建物の番号になっているのです。
日本のような「~丁目」という概念はありません。しかも、地番は偶数か奇数かで、通りの右側にあるか左側にあるかが決まっています。ということは、地番を見れば、車に乗りながらでも、左に注意すればいいか、右に注意すればいいのかが分かるということなのです。これは日本の住所しか知らない人間にとって、感動的に良く出来ているシステムだと思います。
しかも建物には、車からでも視えるように、かなり大きな文字で地番が書かれているのが一般的です。だから、通りの名前さえ地図で調べられれば、ほとんどの場所には行くことが出来るわけです。(地図は通りの名前が検索できるような作りになっています)
11月
05
2012
土曜日に司法書士会主催の研修に行って来ました。今回の研修は、「司法書士の代理権の範囲について」というものです。平成15年から司法書士の簡裁代理権が認められ、簡易裁判所の案件に関しては弁護士と同等の権利が行使できるようになりました。それから10年あまり経って、当初は予想していなかった弁護士側からの反論が出てきたので、最近、もめているのです。(裁判で争われている事例もあります)
私の感覚では、ロースクールの登場により、弁護士が大量増員されて、「食えない弁護士」が特に首都圏や関西圏などで無視できないほどに発生した結果、自分たちの領域を守ることに弁護士側が今まで以上に敏感になっている、というのが真相ではないかと思います。(ようは、弁護士が今までと同じように食べていけていたら、恐らく問題は起きていないのではないか、という印象です)
このような動機が疑われるせいなのか、弁護士側の主張は、「ちょっと客観的に見て、強引じゃないかなあ」と思える事例が多いように感じます。私は弁護士と司法書士は敵対関係ではなくて、補完関係であるべきだと考えますので、職域の問題で司法書士を訴えてくる弁護士に対しては、少なからず疑問を感じます。
例えば、よく弁護士事務所のホームページに書かれている「司法書士は全ての債権者を含めた総額で140万円を超えたら債務整理が出来ません。だから、弁護士にお任せ下さい」という文言ですが、こんなこと言い切っていいのかなあ、と思います。
実際には、上記の基準で債務整理を行っている司法書士はいないと思います。これは、別に規則を守っていない訳ではなくて、「そんな基準は、どこにも書いていないのであって、弁護士会が勝手に言っていること」だからです。まあ、弁護士側の主張ということになります。
どこにも書かれていないからこそ、弁護士は訴訟をやってきて、判決を取って、「どうだ判決に書かれているじゃないか。だから、ダメなんだ。」とやりたい訳なんですね。まあ、最終的に弁護士が狙っているのは、最高裁判決を取って、規則自体を変えさせようということなんでしょう。(最高裁判決は法改正の圧力になりますから)
当然、司法書士側にも主張があって、債務整理の金額とは、個別の債権者ごとに判断されるべきもので、個別に140万円以内であれば問題なく司法書士の代理権の範囲であるというものです。何故なら、実際に裁判に持ち込まれた時には、裁判所は個別の債権者ごとに金額の範囲を決めるからです。現実に裁判所が、そのような取り扱いをしていて、それで司法書士が裁判所から拒否されたという事例を私は聞いたことがありません。
この総額か個別かという論争は、和歌山地裁で争われて既に判決が出ています。この和歌山地裁判決では、明確に「代理権の範囲は、個別に金額を判断するべき」と判断されました。司法書士側の主張が認められたことになりますね。
ただ、この件は大阪高裁に控訴されて再び争われています。こちらは、まだ判決は出ていません。弁護士も、しつこく争ってきますね。
ただ、大阪高裁は平成21年に、別の論点で弁護士と司法書士が争った時に、両者引き分けと呼べるような判決を下しています。簡単に説明すると、「今回の司法書士の執務は弁護士の主張から言うと違法になる可能性があるが、当の司法書士には適法だと信じるだけの理由があるので、違法とは言い切れない」というものです。
まあ、完全に適法だと言っていない点で、司法書士が勝ったとも言えないし、弁護士が勝ったとも言えないという、どちらかと言うと裁判所が判断を避けたという感じの判決でした。裁判所からしてみれば、こんな職域争いを裁判所に持ち込むなという気持ちなんじゃないかと想像していますが、いかがでしょう。
私の意見としては、誰が見ても明らかな違法行為ならともかく、裁判所が判断を避けるような微妙な問題に対してまで、こんな争いを続けるのは不毛じゃないでしょうか。もちろん弁護士側が訴えてきているものが100%なので、訴えられた以上は司法書士も対応しない訳にはいかないでしょう。ですから、この問題は、弁護士側が止めない限り今度も続く訳です。(最高裁判決が出れば終わるでしょうが、その後も、また別の論点でやってくるような気がします)
私には個人的に知り合いの弁護士もいますし、個別には司法書士に協力的な人も知っています。しかし、弁護士会という組織になってしまうと一種の圧力団体のような行動を取ってしまうようです。だとしても、せめて争う必要のないような明らかな弁護士法違反などに限定してもらいたいと、つくづく思います。
11月
01
2012
さて学生時代の、もう一つの課外活動と言えばアルバイトでしょう。実はアルバイトに関しても、私はクラブ活動に関係のあることをやっていました。ゴルフに関係あるアルバイトと言えば、そうキャディです。
いろいろなアルバイトの経験のある人でも、キャディをやったことがあるという人は、かなり少数派なのではないでしょうか。そういう意味では良い経験をさせてもらったと思います。(当時は大変だと思っていましたが)
実はキャディという仕事は現在は少なくなっています。セルフカートと言ってプレイヤーが自らカートを動かしてプレーするのが標準になってしまったからです。今だとキャディ付きでプレーする人は、お金持ちか会社接待かしか残っていないかもしれません。しかし、私の学生時代はセルフプレーは、ごく少数で、一般客はキャディ付きでプレーするのが当たり前でした。
所属していたサークルがコネのある福島県のパブリックコースがあって(那須国際カントリークラブと言います)、そこでは、土日の客が増えた時に増えた分を学生アルバイトキャディに任せていて、毎週末に希望部員を募集しては行っていたのです。
前にも書きましたが、ゴルフコースは大人の社会です。学生だからと言って甘えは許してくれません。お客さんはアルバイトキャディだからと大目には見てくれませんので、粗相があれば容赦なく苦情が入り、後で叱られます。そういう意味で緊張感のある仕事でした。
キャディと言うと、当然、コースに詳しくなければなりません。お客さんからコースについていろいろ聞かれますから。でも1年生のころは何も知りませんので、先輩から受け継いだコース攻略法のメモがあって、それを必死に覚えます。もちろんキャディをやっている最中にも持ち歩いて、時折、盗み見をしながら質問に備えたりします。
このメモが良く出来ていて(何年もかけて作られたものですから)、次のショットに有利なポジションとか、グリーンの芝生の芽とか、隠れているOBゾーンとか、かゆいところに手が届く内容になっていて、得意になって説明して、結構、お客さんに喜ばれたりしていました。(当時は景気が良くて、チップをもらったことも何回かありました)
しかし、体力的には結構、大変で、がけの上から「7番アイアン持ってきて」とか、林の中に打ち込まれると「先に行って探してきて」とか容赦なく言われます。あと、お客さんごとにクラブの種類を覚えるのが大変で、だいだい4人1組で回りますので、4種類のウッド(当時はメタルウッドは、ほとんど普及していません。大半がパーシモン(柿の木)です)、アイアン、パターを覚えこんで、使う度に正確にバッグに戻さなければなりません。
印象に残った経験と言えば、途中で雷が鳴ってきて(ゴルフに雷は天敵です)、サイレンが鳴って、「クラブハウスに引き上げて下さい」とアナウンスが聞こえてきても、一向にプレーを止めないお客さんに付いた時は、死ぬかと思いました。「引き上げた方がいいですよ」と何回言っても聞かないのです。結局、最後までプレーして、クラブハウスに着いた時には、一緒に来ていた他のキャディは、みんなとっくに引き上げていて、「まだやってたの、雷、鳴ってたのに」と驚かれたのをはっきりと覚えています。
サークルが、このアルバイトを何年も続けてきたのは実は理由があって、キャディの仕事が終わった後、なんと無料でコースをラウンドさせてもらえるという特典が付いているからなのです。これは魅力的で、給料よりもこれが目当てで参加している部員も大勢いました。もちろんゴルフバッグは自分でかついで回ります。時間は日暮れまでオーケーなので、夏に行くと結構、長い時間プレーできます。
金曜日の夕方から出かけて2泊3日で日曜の夜に帰ってくるパターンです。土日にキャディとおまけのラウンドをして、給料はだいたい2万円くらいです。交通費もだしてもらえます。運がよければ、さらにチップがもらえることもあります。お金をもらって、さらにゴルフもして帰ってこれるという今、考えたら結構、良い条件のアルバイトですね。
ただ、このアルバイトも今年、40周年の同窓会に行った時に、現役部員に聞いたら、今はやってないということでした。恐らくセルフプレーが主流になって、キャディの仕事自体が今は減っているのでしょう。そうするとアルバイトキャディという存在自体が無くなっている可能性があるので、非常に貴重な経験をしたんだなあと感慨深いものがありますね。
10月
22
2012
今までは比較的、安定していたアコムの過払金の支払いでしたが、ついに「アコムよ、お前もか!」という展開になってきました。
最近では、空白期間の無い取引で、訴訟により請求しているケースでさえも、過払金元金の7割くらいの和解金額を提示するようになっています。これは単純に資金繰りの悪化と考えるしかないように私は思います。
何故なら、空白期間の無い取引である以上、主だった争点は無いわけで、少なくとも元金部分に関しては、アコムが訴訟で勝てる見込みは、ほとんど無いのです。既に訴訟に持ち込まれている以上、悪あがきをしても判決では勝てないでしょう。それでも元金カットを要求してくるということは、背に腹は代えられない事情があると考えるのが自然でしょう。
しかし、これでアコムから元金も回収できないと思うのは早合点でしょう。とにかく、訴訟ではダメもとで抵抗して相手に圧力をかけて、ひょっとしたら急いでいる人なら減額に応じてくれるかもしれないという作戦である可能性も高いからです。
特に急いでいない人なら、じっくりと時間をかけて判決で勝っていけば、アコムは支払う可能性が高いのではないかと個人的には思います。何故なら、やはりバックに大手銀行がついているからです。ただ、その大手銀行からも、「簡単に支払うな。少しは抵抗しろ。」という指令が出ている可能性もあります。
もはや、割と素直に元金を支払ってくる消費者金融は、レイク(新生フィナンシャル)くらいになってしまいました。クレジットカードも最近は、分断を主張してくるようになっています。まさに過払金を取り巻く情勢は厳しくなりつつあるようです。