司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

3月 03 2011

クレジット会社ライフの経営悪化

 本日はクレジット会社ライフについての話題です。

 今までクレジット会社は消費者金融に比べて過払金の支払いが良いというのが定説でした。さすがに任意で請求(訴訟をしないで電話等で請求すること)した場合は減額を要求されることもありましたが、それでも訴訟を提起すれば元金に関しては、ほぼ満額回収できました(粘れば利息も回収できる会社が多いです)。ところが、ついにクレジット会社の一部にも経営悪化の影響が忍び寄ってきたようです。

その第一弾としてライフカードが挙げられます。ライフが最初となったのはアイフルの子会社であることも影響していると思われます。親会社のアイフルが経営悪化が取りざたされているので、その関係で支払いが悪くなってきているのでしょう。

前のブログでも取り上げましたが、ライフはクレジット会社では珍しく移送申立などの悪質な引き延ばし手段を使ってきます。電話も頻繁にかかってきて、早く解決したいなら金額を下げろと執拗に圧力をかけてくるようになっています。もはや、ライフ相手に元金に近い金額を回収しようと思ったら勝訴判決を取るしかないという情況になっているのです。

今のところは勝訴判決を取れば元金にかなり近い金額の回収は出来ています(それでも利息の回収は難しいです)。ただ、この情況が、いつまで続くかは分かりません。

 今後、ライフのようなクレジット会社が、これ以上、増加しないことを祈りましょう。

 次回は「過払金の相続」の予定です。

2月 22 2011

臨時ニュース アイフルの怪しい和解

 本日はクレジットカードのライフについて書く予定でしたが、緊急な情報が入ってきましたので予定を変更してアイフルについて書きます。

 アイフルは武富士が倒産してからは主要消費者金融の中では最も経営が悪化していると言われている業者です。次の大型倒産はアイフルだろうというのが業界での噂となっています。

以前にも書きましたが、武富士の倒産によって、隠れ過払いだった人が自分が過払いであることに気付くことが多くなりました。理由は、武富士がコマーシャルや電話、ATMの表示などで隠れ過払いの人に債権届けの必要性を大々的に訴えたからです。これにより武富士の訴えを聞きつけた人は他の業者についても自分は過払いになっているのではないかと疑いました。当然、次のステップとして他の業者に対しても取引履歴の請求をしてみることになりました。すると、案外多くの人が他の業者についても過払いになっていることが多かったのです。これによって、本来、武富士とは関係なかったはずの業者まで大量の過払請求を受けることになった訳です。(実際に主要業者に対する取引履歴の請求件数が武富士倒産後に急増したそうです)

ところが、ここでトンデモナイ手を打ってきた業者がありました。アイフルです。アイフルは何と取引履歴の請求を受けた相手に対してゼロ和解の書面を送りつけて、相手が何も分からないうちに和解を結び過払請求を封じ込めようとしているらしいのです。

ゼロ和解とは「お互いに債権債務なし」と書かれた書面で、簡単に言うと、「アイフルも今後、請求しないから、あなたもアイフルに対して請求しないように」という約束を交わすことです。

この書面をもらった人は、「今後はアイフルからの請求は無くなるのか、良かった」と思ってしまうかもしれません。(実はアイフルに対する過払請求を封じ込められることになる訳です)

これは非常に問題があります。もし、この和解書を返送してしまったら、後で過払いであることに気付いても請求できなくなる可能性があるからです(本人が認識していた訳ではないので、裁判を起こせば勝つ可能性もありますが、絶対ではありません)。

アイフルと長期間の取引をしていて取引履歴の請求をしたら、アイフルから書面が送られてきて、それを返送してくれと言われたら、絶対に気軽に返送しないで下さい。上記のゼロ和解書面である可能性もあるので、よく読んでからにしましょう。読んでも分からない場合は、専門家に見せましょう。それから返送しても遅くはありません。

 今や消費者金融業界は、どこの業者も青息吐息です。苦しくなってくると業者もなりふり構わなくなってきます。後で後悔しないように、しっかり情報収集をすることが肝心です。

2月 15 2011

SF・ライフ・ヴァラモスの移送申立(後編)

 前回の続きです。本日は移送申立に対する対抗手段について、お話ししましょう。

 まず、移送申立が出されたら放っておいてはいけません。放っておけば移送が認められてしまいます。前回も説明したとおり、移送が認められてしまえば事実上、過払請求を諦めることになりかねません。これだけは避けなければなりません。

そこで、移送申立に対しては「移送申立に対する意見書」というものを裁判所に提出します。これは裁判所に対して「移送を認めないでくれ」と理由を付けて反論する書面です。ほとんどの場合、移送申立の根拠は前回に説明した合意管轄条項によるものです。従って、この条項に対して反論していくことになります。

具体的には、以下のような反論が考えられます。

1 そもそも契約書に、そんな条項が書かれていること自体、知らなかったし説明も受けていない。合意とは双方が認識していて始めて成立するものであるから、管轄の合意など成立していない。

2 契約書に書かれた管轄の合意には過払金返還請求訴訟は含まれていない。何故なら、契約書を交わした当時に貸し手と借り手が認識していた将来の紛争とは貸金業者の行う貸金請求訴訟のことであり、双方ともに過払金に関しての訴訟が将来起こることなど想定していない。

3 付加的管轄の合意である。(契約書に専属的という言葉が無い場合)。専属的とは、契約書に書かれた裁判所以外は一切、認めないという意味です。この言葉が書かれていない条項なら、これを逆手にとって、「専属的と書かれていないんだから他の裁判所も認める余地がある」と反論するのです。この反論を付加的管轄の合意と言います。

4 民事訴訟法17条による移送の却下を求める。民事訴訟法17条に「当事者の衡平を考えて裁判所は事件を別の裁判所に移送できる」と書かれています。これを逆に解釈すると、「当事者の衡平を考えて移送を却下することが出来る」と読むことも出来ます。もちろん、このとおりの意味に解釈してくれるかどうかは裁判官にかかっていますが、裁判とは言える反論は、とりあえず何でも言っておくのが正しいやり方なのです。(この点、普段の日本人の考え方とは、かなり違います)

5 消費者契約法10条により無効だと主張する。消費者契約法10条には「消費者の利益を一方的に害するものは無効とする」と定めています。借りた人が法人や事業主でなければ消費者です。また、契約書に書かれた合意管轄条項は貸金業者に一方的に有利なものであり、借り手である消費者にとって利益になることは何もありません。従って、この法律を根拠にして、「契約書の合意管轄条項は消費者契約法10条により無効であり、故に移送申立は却下されるべきである」と反論する訳です。

 以上の反論が認められて、めでたく移送申立が却下されたとしても安心は出来ません。中には、即時抗告という手段を使って更に争ってくる場合もあるのです。私の経験ではSFコーポレーションが、よく即時抗告を申し立ててきます。

即時抗告とは移送申立が却下された時に、その却下が不満な相手方(この場合は貸金業者)が、「もう一度、別の裁判所で判断してくれ」と言って申し立てるものです。簡易裁判所で却下された場合は地方裁判所に、地方裁判所で却下された場合は高等裁判所に申し立てることになります。

即時抗告の反論の仕方は基本的に前と同じです。ただ、仮に却下を勝ち取ったとしても、時間がかかるという点において、過払請求者にとっては非常に痛いことは確かです。実は移送が認められる確率は高くありません。もちろん、100%勝てる訳ではないので油断は禁物ですが、確率としては却下の方が多い訳です。では何故、一部の貸金業者は移送申立を行うかと言えば、「時間かせぎ」をする為です。

訴状を出すと第1回口頭弁論期日が約1ヵ月後くらいに決められます。そして、移送を出すような業者は、この第1回期日に狙いを定めて期日直前(ひどい時には前日)に移送申立を出してきます。そうすると、移送の審査の為に第一回期日は取り消しとなり、そこから移送の審査、却下、即時抗告、もう一度審査、却下と2ヶ月近くの時間を費やします。例え、却下されたとしても業者から見れば「時間の引き延ばし」の効果は充分にある訳です。だからこそ、この手を使う業者は、たちが悪いのです。

 さて、理解の無い裁判官に当たって、万が一、移送が認められてしまった場合は、諦めるしかないのでしょうか。実は簡易裁判所の場合は、何とかする方法があります。それは簡易裁判所の特則を使う方法です。

簡易裁判所の特則とは色々ありますが、その中に「本人が出頭しなくても書面で反論や主張が出来る」というものがあります。これを使えば、遠方の裁判所に移送されてしまった場合でも、戦う方法はあります。

こう書くと、「何だ、そんな方法があるのなら、始めからそれを使えば良いじゃないか」と考えそうですが、実は、そう簡単なことではないのです。

一応、この特則はありますが、では現実に使われているかというと、あまり使われていません。何故かと言えば、やはり裁判官も人間であり、実際に出頭してきた生の声の方を信頼する傾向があるからです。書面だけ出して来ない人には「真剣に訴訟をしようと思っていない」と判断されてしまう危険性があるのです。故に、この特則は移送が認められてしまった場合などの、やむを得ない時にのみ使うのが得策です。むやみやたらに使うのは、控えた方が良いでしょう。

 では次回は、クレジット会社のライフの最近の状況についてです。

2月 07 2011

SF・ライフ・ヴァラモスの移送申立(前編)

 本日はSFコーポレーション・ライフ・ヴァラモスの過払訴訟における移送申立についてです。最近は弁護士や司法書士に頼まずに自らで訴訟を行い過払請求をする人も増えてきましたが、移送申立が行われることによって、一般人が過払訴訟を行うことが以前よりも難しくなったと思います。以下、理由を説明しましょう。

 最近、貸金業者の過払請求に対する抵抗が激しくなっているのは今までにも何度か、ご紹介してきましたので、ご存知の方も多いと思います。その中でも特に激しい抵抗を示しているのが、上記の3社です。(ライフは、つい数ヶ月前までは激しい抵抗はしていませんでした。最近の過払情勢は本当に短期間で変化するという良い例だと思います)

この3社は過払訴訟を起こすと、かなりの確率で移送申立をしてきます。通常、過払訴訟は請求者の住所地にある裁判所に提起します(義務履行地と言います)。ところが貸金業者側が裁判所の場所にクレームをつけてくることがあります。これが移送申立と呼ばれるものです。

移送申立では以下のような説明がなされます。「請求者の住所地の裁判所で審理するのは正しくない、正しくは貸金業者の本店所在地の裁判所で審理されるべきである。」というものです。そして、その根拠になっているのが契約書に書かれている合意管轄と呼ばれるものです。

ほとんどの場合、貸金契約には合意管轄条項が含まれています(お金を借りる人は気が付いていないと思います)。この条項では、「もし契約上のトラブルがあった場合は貸金業者の本店所在地の裁判所で審理する」と書かれています。要は貸金業者に一方的に有利に書かれている条項なのです。

しかし、ほとんどの人が合意管轄条項の存在そのものを知りませんし、例え説明されても拒否することは事実上、不可能です。何故なら、拒否してしまったら、お金が借りられなくなってしまうからです。契約とは本来、双方の自由意志に基づいて結ばれるものですが、貸金契約の場合は借りる側は貸す側の条件を呑むしかありません。ここが問題なのです。

にもかかわらず、SF・ライフ・ヴァラモスといった業者は最近、移送申立を頻繁に出してきます。もし、こんなものが認められてしまったら、地方在住の依頼者は事実上、過払訴訟をあきらめなくてはならなくなります。何故なら、ほとんどの業者の本店は東京や関西にあり、裁判をする為には東京や関西まで出掛けていかなくてはならないからです。(弁護士や司法書士に頼んだとしても、交通費は請求されるでしょうから同じことです)

ですから、この3社を相手にする場合は、過払訴訟で絶対に移送申立を認めないように裁判所に働きかける必要があります。冒頭で一般人が訴訟をするのが難しくなったと言ったのは、これが理由です。一般人が貸金業者の移送申立に対抗するのは、なかなか大変だと思います。

 では、どのような対抗手段があるか、次回、説明しましょう。

2月 02 2011

過払調停の問題点

 本日の話題は過払調停です。

 債務整理に関心のある人は調停と言えば、一般的に特定調停を思い浮かべるでしょう。特定調停とは弁護士や司法書士の行う任意整理を裁判所を介して一般人でも行えるようにと始まった手続です。

当初は費用の安さも手伝って特定調停は非常に件数を伸ばしていましたが、ここ数年は減少傾向にあります。その最大の理由は特定調停では過払金の請求が出来ないということにありました。

特定調停が始まった頃には、まだ過払金の請求は一般的なものではありませんでした。ところが最高裁判所の判決が出てからは過払金請求が一気に広まって、過払金請求の出来ない特定調停に以前ほどの魅力がなくなってしまったのです。

 その代わりに激増したのが過払金請求訴訟です。簡易裁判所及び地方裁判所における過払金請求訴訟は増加の一途をたどり、ついには増えすぎて処理できないと裁判所が悲鳴を上げるほどになりました。

そこで裁判所が新しく考え出したのが過払調停という制度です。これは、本来は訴訟にするか調停にするかは裁判所に書類を提出する時に本人または代理人が決めることなのですが、その常識を覆して、もともと訴訟として提出された場合でも裁判所の判断で調停に変更されるというものです。(事前に電話で調停に変更して良いか聞いてくれる裁判所もあります)

 この制度の何が問題かと言うと、まず、裁判所や裁判官によっては本人の意向を無視して強引に訴訟を調停に変更してしまう場合があることです。例えば私の地元である名古屋地方裁判所で実際にあった出来事ですが、本人が「調停ではなく訴訟で進めて欲しい」という上申書を提出していたにもかかわらず認められずに調停に変更されたことがありました。(もちろん書類は訴訟で出しているのです)

では何故、過払請求は調停ではダメなのかと言うと、いくつか理由があります。その一番の理由は何と言っても和解金額が下がるケースが多いということにあります。(これは国家権力が過払金請求者の権利を侵害しているとも考えられる訳で非常に問題だと思います)

どうして金額が下がることがあるのかと言うと、率直に言って調停委員が貸金業者から甘く見られているからです。調停とは裁判所から指定された調停委員が取り仕切る手続です。調停委員は過払金請求の専門家とは限りません。我々、司法書士のように最新の貸金業者の状況や和解の適切な基準などは知らない人が圧倒的に多いのが実情です。そして調停委員が詳しくないということを相手方の貸金業者が知っているというところが問題なのです。

当然、貸金業者は司法書士や弁護士に対するよりも低い和解金額を提示する傾向があります。最近は専門家に頼まずに自分で過払訴訟を出す人も増えてきていますが、こういう人達にとっては過払調停は脅威だと思います。一般人が裁判所に行って調停委員から「この金額が妥当だから、この金額で和解しなさい」と言われたら、果たして断れるでしょうか。ほとんどの人は和解基準が、どの程度か分かりませんので承諾してしまうでしょう。

もう一つの問題点は時間が余分にかかるということです。調停になった場合、まず訴訟外で和解交渉をまとめることが難しくなります。貸金業者も調停になったら安く決着する可能性があるので、事前に交渉しなくなります(訴訟の場合は、ほとんどの業者が弁論期日前に電話をかけてきます)。

あと、調停の場合は最低でも1時間は裁判所に居なければなりません。これは最低ラインで、ひどい時には2時間以上も調停室に閉じ込められるケースがありました。調停の場合、ほとんどの業者は裁判所に出てきません。では、どうやって交渉するのかと言うと、調停委員が裁判所から直接、業者に電話をかけるのです。ですから、調停室には必ず各部屋に電話が設置されています。そして、困ったことに、この電話が非常にかかりにくい業者があるのです。例えばプロミスなどは、かけても常に話中で、つながるまでに1時間近くかかる場合があるのです。そうすると調停室に入ってから交渉が始まるまでに無駄な時間が膨大に発生することになります。

 このように、いろいろと問題点が多いのが現状の過払調停です。もし、選択することが可能な裁判所だったら調停を選択しない方が無難でしょう。強制的に調停に変更になった場合は、自分の気に入らない金額なら絶対に、まとめないという覚悟が必要でしょう。

 

 

 

1月 24 2011

地方の裁判所

 本日のタイトルは、ちょっと紛らわしいのですが、いわゆる地方裁判所のことではありません。タイトルの意味は都心部ではない比較的人口の少ない地域の裁判所のことです。

 何故、地方の裁判所を取り上げるのかと言うと、最近、気がついたことがあるからです。それは過払訴訟をやっていると地方の裁判所の方が有利に決着することが多いのではないかということです。

具体的には、相手方(貸金業者)の出頭率が低いということが挙げられます。業者の方も経営悪化を受けて支店の数を減らしています。この場合、やはり人口の少ない地域から支店が減らされていきます。そうすると、そのような地域で裁判を起こされると、業者は遠方から従業員を派遣しなくてはなりません。当然、交通費がかさみますし、時間も取られてしまいます。仮に弁護士に頼んだとしても、遠方に出頭する場合は弁護士が交通費等を業者に請求してくるでしょう。やはり余分に費用がかかる訳です。

過払訴訟は業者にとって勝ち目のある裁判ではありません。勝ち目が薄い裁判で、わざわざ地方に費用をかけて出向きたくないという心理が働いているのでしょう。

過払訴訟は業者にとって勝ち目が薄いと言いましたが、そうすると業者の裁判での対策は、いかにして長引かせて過払請求者の嫌気を誘って金額を引き下げるかにかかっています。都心部の裁判所では(筆者の場合は名古屋の裁判所)、あらゆる長引かせる為の手を打ってきて、正直、うっとうしいくらいです。ところが、地方の裁判所(筆者の場合は三河地方、岐阜県、三重県など)に行くと、そもそも出頭してこないので、あっさりと判決が出たりします。非常にありがたい訳です。

和解で決着する場合も地方の裁判所に出した方が早めに決着する傾向があります。業者も判決が出るくらいなら和解した方が良いと思うのでしょう。だからと言って、裁判所の管轄は決まっていますから、地方の裁判所に出せるのは地方在住の人に限られます。

 実は過払訴訟に限らず、個人再生や自己破産でも地方の方が有利な場合が多いのです。例えば、個人再生は名古屋では再生委員が付く為に裁判費用が10万円以上かかりますが、地方では3万円くらいで済んでしまいます。自己破産の場合も、名古屋では最近、管財事件に回される事件が多くなってきていますが、地方では多くありません。そもそも管財人になる弁護士が地方には少ないというのが影響しているのでしょう。

正直、こんな差があって良いのかと非常に疑問に思いますが、これが現実なのです。だとしたら地方で債務整理を考えている人は都会よりも有利なことが多い訳ですから、是非、ためらわないで頂きたいものです。(残念ながら現実は逆で、有利なはずの地方の人が債務整理や過払請求をためらう場合が多く見られます)

 地方在住の方は、上記の事実を、良く認識して頂いた上で判断して頂きたいと思います。

1月 17 2011

広告の変化

 最近、地下鉄に乗ると気付くことがあります。以前に比べると大手の弁護士事務所や司法書士事務所の車内宙吊り広告が減ったなという印象です。予想通り、全国展開して大量の広告宣伝で債務者を集めていた事務所の化けの皮がはがれてきたようです。

このような大型事務所は、今回の武富士の倒産で相当なダメージを受けた可能性が高いと思われます。大型事務所は依頼者の数が多いですから大手の武富士相手の過払請求は相当な数に昇っていたことは間違いありません。それが今回の倒産で一気に回収不能になったのです。恐らく驚くような売上の減少にみまわれたのではないでしょうか。

 効率だけを重視する方針の事務所にとって、最近の過払請求は以前ほど魅力的なものではなくなっています。相次ぐ貸金業者の経営悪化に伴い満額回収は日に日に難しくなっていますし、支払期日も延びる一方です。そればかりか、一度交わした支払いの約束を支払日直前になって、「やっぱり払えないので更に延期してくれ」と言ってくる業者まで現れる始末です。

ここ4~5年の間に経営効率のみで新たに参入してきた大型事務所は、もう撤退時期を考え始めているでしょう。既に撤退した事務所も少なくないと思います(だからこそ広告が減少している)。

おとなしく撤退している事務所は、まだ問題が少ないのですが、中には依頼者を抱えたまま事務所自体が破綻してしまったケースも出始めているようです。(私の地元の愛知県でも、そのような事務所が出現したという話を聞きました) 

このような破綻事務所が出た場合、依頼人は依頼の途中で放り出されてしまうことになります。急いで他の事務所を探し回らなければなりません。代理人がいなくなってしまう訳ですから、ぼやぼやしていると貸金業者から取り立ての電話がかかってくる可能性があるからです。非常に悲惨な状況が出現することになります。

 これだけ状況が変化して回収が以前よりも難しくなっている時に未だに大量の地下鉄広告とかテレビコマーシャルとかをやっている事務所は果たして経営状態は大丈夫なのでしょうか。宙吊り広告やコマーシャルはタダではありません。かなりの広告料がかかっているはずです。過払金の回収率が目だって減っている時に果たして広告料金を回収できているのでしょうか。私には、はなはだ疑問です。ひょっとしたら昔の広告料金を払う為に、新たな依頼者を新しい広告で強引に集めざるを得ないというような自転車操業に陥っていないとも限りません。(もし、そうだとしたら、依頼者と事務所、どちらが多重債務者か分からなくなりますね)

 これから依頼を考えている人は、こういうことも頭の隅に置いておいた方が良いかもしれませんよ。

1月 11 2011

アイクカードサービス

 アイクカードサービスという会社を、ご存知でしょうか。「アイク」と言う名前を聞いたことがあると言う方はあるかもしれません。今はCFJと呼ばれている外資系の中堅消費者金融の合併前の商号の一つが「アイク」でした。(アイク、ディック、ユニマットが合併してCFJとなりました) しかし、アイクカードサービスは同じシティグループの系列ではありましたが、別会社になります。

何故、過去形を使ったかと言うと、現在はシティグループを離れ、というか現実には経営悪化の為にシティグループから見放され、独立系となっています。

経営が悪化しているところに系列会社が手を引いてしまった訳ですから、ますます経営状態が悪くなるのは当然の成り行きでした。今や、この会社は過払金の請求をしても全く支払ってきません。何と裁判で勝訴判決を取っても、ふてぶてしく、「1割くらいしか払えません。不満があるなら、差押えでも何でも自由にして下さい。どうせ取るものありませんから」と開き直っています。

 実は、こういう会社が一番、困るのです。他にも似たような会社としてクラヴィス、ヴァラモス、アペンタクルなどがありますが、本当に支払う金が無いのか、それとも単に隠しているだけなのか、こちらからは調べようがないからです。

これらの会社に比べれば、武富士の方が、よほどマシだと言えるでしょう。何故なら武富士は法的な倒産手続を取っている訳ですから(全く問題が無い訳ではありませんが)裁判所の審査があります。裁判所が審査の結果、財産はこれだけですから分配します、と言われたら従うしかありません。少なくとも会社が勝手に、「これだけしか払えない」と言っているよりはマシだと言えるでしょう。

だから、アイクカードサービスのような会社は非常に悪質だと思う訳です。何故なら、本当に会社が苦しいのなら本来は倒産手続に入らなければならないはずだからです。

 しかし、このような問題のある会社が、いくつか存在するのが残念ながら現在の貸金業界です。今のところ、これらの会社から有効に取り立てる決定的な方法は見つかっていないのが現状です。(もちろん本当に、お金が無いのかもしれません。しかし、それなら武富士のように倒産手続を取るべきでしょう) 

 

1月 06 2011

最近の破産の状況(後編)

 皆さん、明けましておめでとうございます。今年も、よろしくお願いします。新年は4日から営業しておりましたが、ブログは本日が今年の最初になります。

 さて、破産の話題が積み残しになっていましたので、続きをやりたいと思います。

最近の破産では多額の費用がかかる管財事件が増加して、同時廃止事件が減少傾向にあるという話でした。今回は、そうなってきた原因について考えてみたいと思います。

これは、あくまで私の推測になりますが、近年の弁護士の大量増員が背景にあるのではないかと考えております。

何故、そのように考えるかと言うと、最近、新聞紙上でも話題になっている弁護士の卵の就職難が非常に問題になっているからです。

弁護士と言っても、すぐに仕事が出来るようになる訳ではなく、当然、何年かは先輩の事務所で修行をする期間が必要な訳です。また、全ての弁護士が独立開業する訳ではありませんので、そのまま事務所に就職して勤務弁護士になる人も当然います。都会の弁護士の場合は、独立よりも勤務の方が多いでしょう。特に都会において弁護士が増加した為に仕事が無くて就職できないケースが増えている訳です。

 そして、ここからが肝心なのですが、破産の管財事件で管財人になるのは通常弁護士です。管財人の報酬は1回の破産で20万から40万になります。結構、良い報酬だと思いませんか。(まあ、弁護士の目から見たら安いのかもしれませんが) ということは管財事件が増えれば、今まで就職難で困っていた弁護士にとっては非常に、ありがたいことになります。

ここまでくると、私が推測を立てた理由も分かって頂けると思います。「弁護士の就職難が叫ばれるのと、ほとんど同じ時期から管財事件が増えてきた」 果たして、これは偶然でしょうか。偶然にしては出来すぎていると考えるのは私だけでしょうか。

 もし、私の推測が一部でも正しかったとしたら、まことにケシカラン話です。管財事件が増えて困っている破産希望者は確実に増えているからです。少なくとも今まで同時廃止で問題なく通過していたのに、最近になって急に管財事件に回されるようになったことについて裁判所は明確な回答は出していません。だからこそ、このような推測が出てきてしまう訳です。

もし裁判所や弁護士会が、この推測を否定するならば、皆が納得できるような明確な理由を示すべきでしょう。このままでは明らかに破産希望者が不利益を被ってしまうからです。

(一部の弁護士法人、司法書士法人が大量に杜撰な書類を出すからだという噂も聞こえてきたことがあります。もちろん、それが真実なら早急に改めさせるべきだと思います。しかし、だからと言って裁判所が同時廃止事件を減らす理由になるかというと疑問です。それこそ、弁護士会や司法書士会が厳しく指導したり処分したりすれば良いのであって、裁判所が間口を狭くする理由にはならないように思えます)

12月 27 2010

臨時ニュース 武富士 その後③

 さて、今年最後のブログとなってしまいました。年末が忙しくてブログの回数が減ってしまいました。申し訳ありません。今日は武富士の新しい情報です。(破産の続きは新年になります)

 前回の武富士のニュースでは、完済して確実に過払いになっている人が、債権届に気付かないで取りはぐれる恐れがあると書きました。ところが新しい情報によると、何と武富士は完済している人に対して債権届をするように電話をかけているそうです。

いや、少し武富士を見直しました。今回の武富士の対応は、全ての過払いの可能性のある人への周知徹底という意味ではやれることはやっていると言ってよいでしょう。正直、ここまでやるとは思ってませんでした。

しかし、さすがに契約の時に電話をかけないようにと債務者の方から武富士に通知していた人は除外されているようです。これは下手にかけると逆に債務者にクレームをつけられる恐れがありますから、まあ仕方が無いでしょう。あと、携帯電話などの番号が契約時と変わってしまって連絡がつかない場合も放置されているようです。(これも仕方が無いですね)

上記に当てはまる完済している人は、相変わらず債権届を忘れる危険性がありますから注意が必要です。もし、このブログを読んでいて当てはまっていたら、専門家に相談しましょう。

 実は、これらの武富士の徹底した過払金の知らせによって、思わぬ副作用が発生しています。それは、武富士のATMに行って過払金が分かった人、あるいは武富士からの電話で過払金を知った人などが専門家に相談することによって、他の業者の過払金まで分かってしまうということです。どうやら全国的に、このようなことが発生しているようなのです。

それによって、武富士以外の業者まで取引履歴の請求や過払金の返還請求の件数が増加してしまい、今、貸金業界は非常に忙しいことになっているようです。要は、今まで過払いの存在に気付いていなかった人達(眠っていた人達)を、武富士の倒産がきっかけになって起こしてしまったという訳です。

最近、武富士以外の業者に過払いの請求をすると、「武富士さんの倒産以来、請求が増えて事務が遅れています。」という返事を良く聞きます。もちろん今まで気付かなかった人が過払いに気付くことは良いことですが、一つ心配なのは、請求が同じ時期に集中することで他の業者まで倒産してしまわないかということです。

 今後も武富士の動向には目が離せません。

 それでは、みなさん、良いお年をお迎え下さい。

 

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