司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

5月 17 2011

アイフル・ライフ・シティズの合併

 消費者金融のアイフル、クレジットのライフ、商工ローンのシティズの3社が合併するという情報が入りました。もう、手続は始まっているようです。

それぞれ分野が違う貸金業者なので相乗効果を狙ってのことでしょう。合併後の存続会社はアイフルになるという噂です。アイフルとシティズは供に、あまり評判の良くない業者なので、この2つが合併したら、どんなことになるか少々、心配です。

ライフに関しては、最近、クレジットの中では先駆けて過払金の支払いが悪くなっていましたので気になってはいましたが、こういう解決に至ったのかという感じです。

実は、もっと気にかかることが他にあります。アイフルは合併によって会社に営業力をつけた後で、民事再生や会社更生に踏み切って過払金を一挙に減額し、身軽になった状態で一気に会社の再生を成し遂げるつもりではないかという噂もあるのです。

アイフルは事業再生ADRという手法で既に特定の金融機関や過払い以外の有力な債権者に対して支払いを済ませているという情報があります。要は再生後の支援を取り付けやすくする為に今のうちに金融機関などには支払っておいて、会社にとって負担にしかならない過払債権者だけを狙い撃ちにして会社更生や民事再生で減額してやろうと企んでいる可能性がある訳です。こんなことをやられたら過払請求者は、たまったものではありません。

 まだ確実な情報ではありませんが、今後のアイフルの動向には注意が必要でしょう。

5月 13 2011

債務整理の多い職種

 きちんと統計をとった訳ではありませんが、債務整理の依頼を受けていて比較的、多いなと思える職種があります。例えば、建築・土木業、運送業(トラックの運転手さん)、保険業(いわゆる保険のセールスレディ)などです。

これらの職種の人に共通しているのが、結構、収入が高く支払い能力がある為、すぐに行き詰まる人は少なくて長年、取引している人が多いことです。

また、会社に知られることが嫌な為に、遅れずに真面目に支払っているケースが多いのも特徴です。(中小の運送業者さんの場合は、社長さんが自ら従業員の為にネットを検索して、債務を抱えた従業員を引き連れて事務所に来るというパターンも見られます。)

上記のようなケースは恵まれた人で、大半の人は孤独に悩まれている場合が多いのですが、実は真面目に長期間支払っている方が多いので、多額の過払いが発生していることが珍しくありません。ところが、なまじ収入が、そこそこ高いので支払いが出来てしまっていて、過払いに気付かずにいる人も多勢います。(あるいは過払いかもしれないけど、どうせ大した金額じゃないと勝手に判断してしまい、相談に行きそびれてしまうケースも多いようです。)

最近、武富士や丸和商事など消費者金融の倒産が相次いでいるので、もう過払いなど残っていないだろうと考えている人もいるようですが、意外なことに統計を調べると、完済している人も含めた場合、全過払債権者のうち半分程度しか請求していないそうです。(もっと少ないという統計もあります)

まあ、その程度しか請求していなくても、これだけ倒産する業者が出る訳ですから、ある意味、今までいかに貸金業者の利益が巨大であったかが分かるとも言えます。

 いずれにしても、まだまだ請求されていない過払金は、かなりの金額が存在する訳です。後で気付いた時には業者が倒産してしまったということにならないようにしたいものです。

 

4月 30 2011

自己破産の際の自動車の扱い

 名古屋地裁における自己破産同時廃止の際の自動車の扱いが変更になりました。

具体的には国産自動車の無価値基準(一定の条件を満たせば無価値と判断してもらえる)が新車登録から5年だったのが7年と延長されたのです。以前よりも評価が厳しくなったと言えるでしょう。

以前は登録から5年以上経過していれば、国産車であれば無条件で無価値と認められていました(ある意味、甘い基準だったと言えます)。故に、ローンが残っていなければ、5年以上の車は手元に残った訳です。今回、この期間が7年に延びてしまいました。(もっとも7年以内でも、車自体に価値が無いことを証明できれば車を残すことは可能です。無論、ローンが残っていないことは絶対条件です)

また、以前とは違って、7年経過していても無条件には認められなくなっています。新たに新車時の価格が300万円以下という条件が加わりました。(レクサスのような外国車なみの高級車が増えてきたのが原因と思われます) しかも、300万円以下であっても、中古車市場で高額の取引がされている可能性がある場合は例え7年経過していても査定書を裁判所に提出しなくてはならないという規定も加えられました。(随分と裁判所が疑り深くなったようです)

今回の変更により、高額の国産車を所有している場合は、以前よりも処分の可能性が高まったと言えるでしょう。

 

4月 22 2011

臨時ニュース 丸和商事倒産その2

 丸和商事の倒産は民事再生という手続によって行われることになりました。武富士の倒産は会社更生という手続によって行われています。何故、異なる手続になったのか考えてみたいと思います。

 民事再生と会社更生の最も大きな違いは、届出期間内に届けなかった場合に救済が受けられるかどうかです。

民事再生の場合、旧クレディアの例でも明らかなように、やむを得ない事情(過払いであることを知らなかったなど)で届出期間内に間に合わなかった場合は、期間を過ぎた後も配当を受け取ることが可能となっている点です。故に、届出期間の周知に関しては、新聞等の広告でも許されていました。(間に合わなかった場合の不利益が少ない為)

一方、会社更生の場合は、届出期間を過ぎてしまうと一切の救済は認められていません。配当を受け取ることは不可能になってしまいます。これが為に、届出期間の周知は徹底することを裁判所から求められます。配当を受け取る権利が無くなってしまう以上、あらゆる方法を使って全国に知らせる必要がある訳です。

武富士の場合で言うと、TVコマーシャルを流したり、過払いになっている顧客に対しATMで届出の必要を知らせたり、あるいは既に完済して取引が終了している元顧客に対しても電話連絡等で知らせたりしています。当然ながら、かなりの時間と費用がかかることになります。

今回、丸和商事からの説明によれば、民事再生を選択したのは、上記のような徹底した周知を行う為には莫大な費用がかかる為(TVコマーシャルだけでも相当な費用でしょう)、費用負担に耐えられない可能性があるからということです。

結果的には債務者にとって民事再生の方が有利な点が多い為、喜ばしい結論だと思います。届出期間を終了しても配当が受け取れる可能性がある方が、ありがたいことは確かです。最も、期間終了後も認められる為には「やむを得ない事情」が必要ですから、過払いであることを知っていながら、ただのサボリで届出をしないというのは止めておきましょう。

 最近の情勢からして、今後も貸金業者の破綻は続くでしょうから、これからは倒産の方法が、民事再生か会社更生かが注目すべきポイントとなりそうです。(会社の規模が大きいところほど会社更生を選ぶ傾向があるようです)

4月 12 2011

臨時ニュース 丸和商事倒産

 本日は予定を変更して丸和商事の話題です。

中堅消費者金融の丸和商事(ニコニコクレジット)が平成23年4月8日付けで、東京地方裁判所に民事再生を申し立て、事実上、倒産しました。

丸和は静岡県掛川市に本社を置く消費者金融で、主に東海地方を地盤に業務を行っていました。私の地元の愛知県では割とポピュラーな業者の一つです。(関東や関西ではマイナーかもしれません)。

静岡県には、もう一つクレディアという消費者金融があり、ここは一足早く平成19年に民事再生を申し立て一度、倒産しております。その後、フロックスと名前を換え(正確にはフロックスという会社を新しく作って、そこに業務を承継させて)破綻後の対応をしております。

これで静岡県の主な消費者金融2社が破綻したことになります。東海地方では結構、インパクトのある事件です。

クレディアの時は、最終的に40%の配当がありました。これは、その後の破綻業者の対応を見ると結構マシな数字であり、果たして丸和が、これだけの配当を確保できるかどうかは未知数です。(私としては期待したいですが)

いずれにしても、今後、債権届出期間が設けられて債権届を呼びかけることになると思われます。クレディアの時は届出期間満了後も救済されましたが、今度も同じように救済されるとは限りません。最悪の場合も想定して、届出期間内に債権届を提出するようにしましょう。

4月 05 2011

オリコの取引履歴

 オリコ(オリエントコーポレーション)は以前から取引履歴に問題のある会社でした。最近はマシになっていますが、それでも完全に改善されたとは言えません。以下、オリコの取引履歴の何が問題なのかを説明します。

 オリコの取引履歴は長期間の取引がある場合、取引当初の入金額(債務者の支払額)が実際の支払額よりも少なく表示されているのです。

最近でこそ、当初の入金額が違うということを別の文書で明らかにするようになってきていますが、それも、ここ数年のことです。私が事務所を始めた頃は、それすら明らかにせず、平気で少ない金額を表示した履歴だけを送ってきていました。

私は、かなり早い時期から依頼人の預金通帳と照らし合わせて引き落とし金額と履歴の金額が違うことに気が付いていましたが、実際には、そこまで確認する専門家は少数派で、少ない支払額のままで過払金を請求していたケースも世の中には多かったのです。昔は過払請求自体が珍しかったので、そんな杜撰な処理でも許されていたのです。

 現在は、オリコの方から、金額が違うことを別の文書で明らかにしていますので、さすがに訂正してから計算している専門家が多いとは思いますが、完全に安心して良いとは残念ながら言えません。一応、オリコの過払請求をする人は注意した方が良いでしょう。

しかし、これも考えてみれば、おかしな話で、そもそも、オリコの方が最初から正しい支払額の取引履歴を送ってよこせば、それで済む話なのです。にもかかわらず、オリコは、わざわざ別の文書で古い時期の入金に関しては、別の入金記録から計算したものが正しい金額なので、専門家の方で勝手に計算して訂正してくれと書いてあります。

何度も言いますが、こんな計算を相手にやらせるオリコの方が、おかしいのです。最初から計算した上で正しい履歴を送れば良いだけです。事実、他の貸金業者は全て最初から正しい取引履歴を送ってきます。保存期間が過ぎたから残っていないという業者はありますが、間違った金額を載せてくるのは今やオリコだけです。(昔はセントラルファイナンスも少ない金額で送ってきましたが、合併してセディナになってからは正しい履歴を送ってくるようになりました。やれば出来るじゃないかという良い見本です)

 一般の人はクレジット会社は消費者金融に比べて、そんなことはしないのじゃないかと思っている人が多いようですが、事実は全然違います。むしろ、取引履歴に関しては、消費者金融の方が誠実なくらいです。昭和の時から履歴が出てくるのは圧倒的に消費者金融の方で、クレジットは昭和になると、もう、ほとんどの業者が「保存期間が切れていて残っていないから開示できない」と言ってきます。

その中でも最も問題のあるオリコの対応ですが、まさに少しでも過払金を減らす為に相手に面倒な計算を押し付けて、あわよくば怠慢な専門家にあたったら見落としてもらえるかもしれないという効果を狙っているとしか思えません。

専門家ですら面倒な計算ですから、素人がオリコの取引履歴を見たら、まんまとオリコの罠にはまってしまう可能性が高いと私は見ています。オリコと長期間の取引がある人は自分で過払請求はやらない方が良いのではないかと私は思います。

 では次回は、自己破産の時の自動車の扱いについてです。

 

3月 28 2011

クレジットのマンスリークリア(後編)

 さて、本題に入る前に前回、臨時で東日本大震災について被災地以外の人の過度の節約は良くないという話をしましたが、これについて一言付け加えたいと思います。

このブログは借金で苦労されている方が、ご覧になっている場合が多いと思いますので、あえて強調させて頂きますが、あくまで必要以上の節約が良くないと言っているのであって、家計にとって必要な節約は当然するべきです。

特に現在、借金で悩んでいる方にとっては、必要な節約を要求される場面は多いと思いますので、その辺りは誤解のないように、お願いします。

 では本題です。前々回、クレジットのマンスリークリアを複数申し込むことで利息の総額をリボルビングよりも低く抑えたにもかかわらず、翌月一括払いで大きな金額が動く為、ほんのちょっとの計算違いで支払い不能になり破綻してしまうケースもあると申し上げました。こういう場合、残債務の金額がリボルビングに比べて巨額になる傾向があります。

また、リボルビングよりもトータルの利息の支払額が低い為に任意整理を試みても、あまり残債務が減らない傾向もあります。

これらを合わせるとマンスリークリアで破綻した場合は任意整理ではなく、個人再生や自己破産につながるケースが多いということになります。

もちろん、マンスリークリアでも長期間の取引をしていて過払いになるケースもあります。ただリボルビングに比べると数は少ないです。何故かというと、マンスリークリアの場合、その性質上(後述します)、リボルビングのように長期間の取引を継続している場合が少ないからです。

従って、もしマンスリークリアでも5年以上、取引の切れ目が無く続けていたならば過払いになっている可能性は、もちろんあります。

 話は戻りますが、個人再生や自己破産になった場合、裁判所に家計簿を提出しなくてはなりません。これは普段つけているものを出すのではなく、裁判所用に決められた書式のものを新しく作って提出します。その時、マンスリークリアの人は直前まで毎月大きな金額が動いている為、裁判所から詳しい説明を求められることがあります。

これは、裁判所が家計を調査する時に大きな金額が移動しているところに注目するという習慣があるからです。マンスリークリアは一括払いなので、その点、どうしても目立ってしまう訳です。

もちろん、きちんと説明できれば問題は無いのですが、まあ余計な詮索をされる可能性があるという訳です。

 このように書くと、まるで私がマンスリークリアを批判しているように受け取られるかもしれませんが、決してそんなことはありません。むしろ私は多重債務を、これだけ増やしたのは間違いなくリボルビングの責任だと思っています。

リボルビングのことを「悪魔の契約」と呼んだ弁護士さんがいるくらいです。何故なら、本人は高い利息を取られていることに極めて気付きにくく、毎月少額を返済しているつもりが、ほとんどは利息に消えていき、元金はいつまでたっても減らず、気がついてみたら10年近く取引してしまったと言う人の何と多いことか。そもそも過払請求の大半がリボルビングにより発生しているのが何よりの証拠です。返還請求ができるほどの高い利息を長年支払っていた訳で、しかも何度も言いますが、本人が高い利息を支払っていたという意識を非常に持ちにくい構造になっているのです(毎月の支払いが少額だからです)。まさに「悪魔の契約」という言葉がぴったりだと思いませんか。一説によると最初に考案したのはアメリカの金融業者だと聞いています(私は確認していませんので真偽のほどは分かりません)。まあ本当だとしたら、きっとウォール街の人なんだろうと勝手に想像しています。(彼らなら、いかにも考え付きそうじゃありませんか)

その点、マンスリークリアならば元金利息込みの全額を毎月支払いますから、自分がいくら利息を支払っているかを認識するのはリボルビングよりは容易です。また貸金業者の数を増やしにくいという特徴もあります(一括払いで支払額が巨額なので)。リボルビングは毎月の支払いが少額なので、ついつい業者の数が増えていってしまうのです(貸金業者の方も、それを狙っています)。

 このようにリボルビングには一見、便利なように見えて実は貸金業者にとって有利な部分が(逆に言えば借り手にとって不利な部分が)いっぱいあります。目先の便利さに惑わされないように、それぞれの特徴を良く考えてみて下さい。

 次回はオリコの取引履歴についてです。

3月 22 2011

東日本大震災についての考察

 本日は予定を変更してお届けします。本ブログは主に愛知・岐阜・三重の方に対して発信しているつもりで書いていますので、遅れてしまいましたが、もし東北・関東の方が読まれていたら、「このたびの東日本大震災により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された地域の皆様に対しまして心からお見舞い申し上げます」。

 さて、未曾有の大災害が起こって、大事なのは、「これから、いかにして復興するか」です。先ほど、本ブログは主に愛知・岐阜・三重に向けて書いていると言いました。これらの地域の人が復興に向けて出来ることは散々テレビなどでも報道されています。でも報道では目を向けられていませんが、私が大事だと思うことを述べてみたいと思います。

 それは被災地以外の人が「してはいけないこと」です。答えは意外に思われるかもしれませんが、「個人の節約」だと考えています。

日本人的感覚では被災地の惨状をテレビで見てしまうと、自分たちも節約しなければと考えてしまいがちです。でも、ちょっと待って下さい。愛知県の人が節約したことで何か被災地の人の為になるでしょうか。むしろ個人の節約は回り回って被災地の復興を遅らせてしまう可能性すらあるのです。

例えば、愛知県の人が一斉に家計を節約した場合、当然、愛知県内の小売業、外食産業、製造業などは大不景気に陥ります。そうすると、それらの会社や事業主は不景気になることによって赤字になり税金を払わなくなってしまいます。

これだけの大災害の復興は個人の努力では限界があります。どうしても政府が財政出動しなくてはなりません。その場合、国債や政府紙幣を発行するという手段はもちろんありますが、ただでさえ国債発行に非難が集まっているご時勢ですから、税収が多いほうが良いに決まっています。

ようするに被災地以外の人が節約すると全国的に不景気が加速して税収不足になり政府が復興の為の臨時予算が組みにくくなる可能性があると言う訳です。結果的に被災地の復興を遅らせることになりかねません。

 もちろん節約をしないと言っても、注意すべき点はあります。一つは特定の品目だけを買い占めること(理由は必要ないですね)。もう一つは電力不足の地域において電力を大量に使う消費行動です(愛知・岐阜・三重は今のところ対象外です)。この二つに関しては、明らかに迷惑になる行為なので控えた方が良いでしょう。

しかし、上記に該当しない消費であれば、むしろ控えるべきではないと私は考えます。積極的に消費をして経済を活性化して政府の税収を上げてやることが結果的に復興を早めることになると思います(もちろん、政府が上がった税収を適切に復興に使うと言う前提ですが)。

 被災地以外の地域の経済が活性化してこそ、復興に余裕をもって望むことが出来ます。自分達の足元がしっかりしていなければ、他人を助けることなど出来ません。くれぐれも必要以上の節約をして日本全国大不景気などということにならないようにしましょう。

 

3月 16 2011

クレジットのマンスリークリア(前編)

 クレジットカードのキャッシングには2種類の方法があります。(カードによっては1種類しかないものもあります)

 一つは、リボルビングと言い、消費者金融と同じ方法です。一定の限度額を設けて、その限度額内ならば、いつでも借入が可能で、それに対して返済は最低弁済額を超えていれば少額でも構わないというものです。

この方法は一見、便利で借りやすいように見えますが、実は借金の総額が、なかなか減らないという重大な欠点をもっています。しかも、返済額が少額なので気付きにくいのですが、利息は借金の総額に対してかかっているので、実は非常に高い利息を支払っていることに気付きにくいのです。

「高い利息を払っていることに気付きにくい」ということは貸金業者にとっては誠に都合が良い訳で、だからこそ消費者金融などは、ほとんどの業者がリボルビングを採用している訳です。これは裏を返せば借りる側は非常に損をしているということになります。(ほとんどの人は、最も損をする借り方であることに気付きません)

 一方、クレジットもリボルビング方式は主流です(理由は儲かるからです)。しかし、クレジットの場合は、もう一つマンスリークリアという借入方式を選べるカードがあります。多くは銀行系などの審査が厳しめなカードが多いようです。この方式は、まとまった金額を一度に借りて、翌月には一月分の利息を付けて全額返済するという方法です。

 意外なことに、マンスリークリア方式の方が利率が高いことが多いのです(私は、これはリボルビングに借り手を誘導する為の業者の作戦ではないかと思っています)。従って、目先の利率に惑わされてしまう人も多勢いて、利率が低いからリボルビングを選んでしまうことが良くあります。ところが、ここに落とし穴があるのです。

リボルビングは高い限度額が長期間ずっと維持されますので(長いときは10年以上)、トータルでは非常に高い利息を支払っています(だからこそ過払請求が起こっている訳です)。ところが、マンスリークリアの場合は短期間に精算が済んでしまいますので、実際にはリボルビングほど多くの利息を支払っていません。10年間マンスリークリアを繰り返した人と、リボルビングで借り続けた人を比較してみれば、利息の金額の差は一目瞭然の結果になるでしょう。(もちろんリボルビングの方が高くなります)

それが証拠にクレジット会社はキャッシングのリボルビングキャンペーンや、あとからリボルビングに変更できるプランを盛んに用意しています。何故、彼らがリボルビングを、こんなに勧めるのか、答えはリボルビングがクレジットに大きな利益をもたらすからです。

逆の見方をすれば、リボルビングを良く使う人はクレジットを儲けさせていることになります。どうでしょう。リボルビングを使っている人は、だんだん悔しくなってきたのではないでしょうか。

 なかには、そのことに気付いて、リボルビングでは借金は一向に減らないし、いつまで経っても利息ばかり支払っている、これからはマンスリークリアにしようと考える人もいます。

この考え方自体は間違ってはいません。借り手が少しでも利息を減らそうと考えるのは自然で合理的な行動です。むしろリボルビングの罠に良く気がついたと言うべきでしょう。ところが、なかには複数のマンスリークリアを綱渡りのように融通しあって毎月大きなお金が動くようになってしまう人もいます。そうなると、翌月一括払いなので、ほんの少し計算が狂っただけで破綻に追い込まれることもあるのです。

 次回はマンスリークリアを利用して破綻した場合の債務整理についてです。

3月 08 2011

過払金の相続

 最近、立て続けに過払金の相続の依頼がありましたので、本日は、この話題を取り上げようと思います。

 高齢の両親が消費者金融やクレジットカードから、かなり長期間の借入をしていて、過払金が発生している可能性が極めて高い場合に、ご両親が亡くなると過払金の相続の問題が発生します。

過払金は相続財産に含まれますので、相続人が複数いる場合は、

1 相続人全員から請求して後ほど相続分に応じて分配する。(専門家に依頼する場合は全員と面談し、委任状も全員からもらう必要があります)

2 遺産分割や相続放棄をしてもらい、誰か一人を相続人に決めて、その相続人から請求する

の二通りの方法があります。

ちなみに過払金の金額を確かめる為の取引履歴の開示のみだったら、たとえ相続人が複数であったとしても相続人のうちの誰か一人から請求することは可能です。(要は遺産分割の前に金額を確かめることは可能ということです)

生前、貸金業者からの催促の電話が、よく家にかかってきた場合などは同居の家族も苦労している訳ですから、故人の過払金を請求する権利はあるように思います。

一方、生前は全く借金があることなど知らず、亡くなってからカードや明細書が見つかって驚いて相談に来られる方もいます。こういう場合、そもそも何社から借りていたのか、過去に完済している業者があるのかなどの重要な情報が分からなくなっている場合があるので注意が必要です。

残高がある場合は、相続人であることが証明できれば情報機関に問い合わせれば、ほとんどのケースで解決しますが、完済している場合には情報機関にも情報が残っていない可能性があるので、やっかいです。この場合は故人の机や書棚をひっくり返して探すしかないでしょう。完済しているケースは一般的に過払金の金額が大きくなるので、面倒がらずに探した方が良いと思います。

特に完済している場合は完済から10年で時効により回収できなくなってしまいますから、どうせ相続財産など無いと考えて遺産分割もやらずに放っておいたような人は、見覚えがある場合は探してみるべきでしょう。ひょっとしたら驚くような過払金が眠っているかもしれません。

相続人の一人から過払金を請求する場合は、かなり詳細な相続証明書類が要求されるのが普通です。請求された側の貸金業者の立場からすれば、間違った人に支払ったら大変なトラブルになってしまいますから、まあ、これは仕方がないでしょう。

例を挙げると、被相続人(亡くなった人のこと)の死亡を証明する書類、被相続人の生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍(これが人によっては大変な分量になります。特に住所を転々と移動していた人は遠方の役所に請求を出す必要がありますので非常に大きな手間になります)、遺産分割協議書、相続放棄証明書(家庭裁判所で取得します)などです。正直、素人が正確に集めようとすると、かなり面倒だと思います。ですから、ほとんどのケースで相続関係書類は司法書士・弁護士の仕事になっています。(不動産の相続が絡む時は、圧倒的に司法書士の仕事になることが多いです)

 では次回は、クレジットカードのマンスリークリアについてです。

 

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