司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

12月 03 2015

兄弟姉妹の相続登記は、書類収集が大変!(相続登記⑥)

被相続人(亡くなった人)には、配偶者は既に亡くなり、子どももいませんでした。
そこで被相続人の兄弟姉妹が、相続をすることになりました。
手続はどうなるのでしょうか。
簡単にはいきません。
証明しなくてはならないことが、たくさんあるからです。

兄弟姉妹が相続人になる場合

日本の民法では、相続順は以下のようになっています。
まず配偶者は生きていれば必ず相続人になります。
それ以外には、

(1)第一順位  子供
(2)第二順位  直系尊属
(3)第三順位  兄弟姉妹

となっています。

上記の例の場合では、第三順位の兄弟姉妹が相続人となります。
そのためには第一順位と第二順位が全て生存していないことを証明しなくてはなりません。
主に戸籍で証明します。
他の相続人のときとは異なり、膨大な量の戸籍の収集が必要となります。
正直なところ、司法書士ですら、兄弟姉妹の相続の資料を集めるのは相当に大変な作業です。

では具体的に何が大変なのかを説明していきましょう。

①兄弟姉妹が何人いるかの証明

これを証明する為には、被相続人の父親と母親、双方の出生から死亡までの全ての戸籍の収集が必要となります。
なぜ必要なのでしょうか。

被相続人の父親または母親に、過去のどこかの時点で生まれた、被相続人の把握していない子が存在するかもしれないですよね。
だから、必要になるのです。

実際に、ありますよ。
「うちはそんなこと、一度も聞いたことがないから大丈夫」
調べてみると、母親が若い頃、誰かと結婚していて子どもを1人産んでいたということは、珍しくありません。

わたしは何度も、目にしています。

それに、そもそも父母の戸籍自体が、集めるのに時間がかかることもあります。
よくお引越しをされている方は注意が必要です。
本籍も動いていたりすると、特に面倒なことになりやすいですよ。

②直系尊属がいないことの証明

まずは、両親が既に亡くなっていることの証明が必要です。
しかし、これだけでは済みません。

祖父母が亡くなっていることの証明も必要になります。
祖父母は、父方、母方と双方いますので、合計4名分の証明が必要となります。

ちなみに、祖父母が生年月日から110歳を超えていることが明らかな場合は、生年月日の証明だけで良いということになっています。
これは、法務局が、110歳を超えていれば亡くなっていると推定してくれる取り扱いになっているからです。

裏を返せば、110歳を超えていないことが明らかな場合は、祖父母の上の世代の証明も必要となります。
(若くして亡くなられた場合の相続では、可能性がありますね)

③兄弟姉妹で既に亡くなられた方がいる場合は?

兄弟姉妹は被相続人と年齢が近い場合が多いですね。
そうすると、被相続人が亡くなられたときには、兄弟姉妹の中にも亡くなられた人がいるケースが多くなります。

その場合、親に代わって兄弟姉妹の子供に相続権が発生します。

これを民法では代襲相続と呼びます。

兄弟姉妹の相続の場合は、代襲相続が発生しているケースが珍しくありません。
そのときは、亡くなった兄弟姉妹の出生から死亡までの全ての戸籍を収集する必要があります。
子どもが何人いるのかを調べる為です。

終わりに

いかがでしょうか。
ここまで読んできて、うんざりしてきた方も多いのではないでしょうか。
兄弟姉妹の相続登記は、一筋縄ではいきません。
あれも足りない、これも足りないと、何度もあとから取る必要が出てくることもよくあります。
法律に詳しい方でも途中であきらめしまうのも、うなづけますね。
多少のお金で解決するなら、司法書士に依頼するのも1つの方法です。
貴重な時間の節約にもなりますよ。

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