司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

7月 15th, 2026

7月 15 2026

遺留分放棄と相続放棄の違い 遺言㉜

司法書士の橋本剛太がお答えします。

Q 遺留分とは何ですか?

A 遺留分とは、例え遺言で相続人から除外されたとしても、最低限相続できる権利のことを言います。ただし兄弟姉妹や甥姪には認められていません。遺留分を無視した遺言を残してしまうと、遺言で渡した相続人が他の相続人から遺留分の請求を受けてしまう恐れがあり、相続争いの原因になる可能性があります。

Q 遺留分の請求を受けたら支払わなくてはならないのですか?

A 遺留分の請求のことを法律用語で「遺留分減殺請求」と言います。遺留分減殺請求を受けても支払わないと、訴訟を起こされる可能性が高いです。遺留分減殺請求訴訟は法律家の間でも割と良く行われる訴訟の一つになっていますので、甘く考えるのは危険です。

Q 遺留分を気にしないで遺言を残すには、どうしたら良いですか?

A 遺留分の放棄という制度を使う方法があります。遺言者の生前に遺留分の放棄をしてもらえば、気にしないで遺言を残すことができます。ただし遺留分の放棄を生前にするためには家庭裁判所の許可が必要になります。

Q 遺留分の放棄には、なぜ家庭裁判所の許可が必要なのですか?

A 遺留分の放棄は重大な権利の放棄なので慎重に判断する必要があるからです。そのため家庭裁判所の許可には、いくつかの要件があって、
①放棄する人が誰かに強制されていないこと(自分の意思で放棄していること)
②放棄するのに合理的な理由があること(家業を継がせるために財産を分散させないためなど)
③放棄と引き換えになるような代償を与えられていること
などです。

Q 放棄の引き換えの代償とは具体的には何ですか?

A 色々考えられますが、ストレートに生前に金銭を渡す場合や、不動産の一部を渡す場合、他には生命保険の受取人に指定する場合など様々な方法があります。

Q 遺留分の放棄をすると相続できなくなるのですか?

A これが間違えやすいポイントです。遺留分の放棄をしても通常の相続権は失いません。遺留分が請求できなくなるだけです。例えば「遺言書には不動産について書かれていたが、銀行預金については記載が無かった」ばあい、不動産の遺留分請求はできませんが、銀行預金は普通に相続人として遺産分割協議に参加できます。

Q 遺言者に借金があった場合は、遺留分を放棄したらどうなりますか?

A これが最も注意すべきポイントです。遺留分の放棄は相続権の放棄ではないので、借金は普通に相続します。知らないで遺留分放棄すると大変な損害を被る可能性がありますので、注意しましょう。

Q 遺留分放棄と相続放棄の違いは何ですか?

A 次のような違いがあります。
①遺留分放棄は生前に家裁の許可があればできるが、相続放棄は生前にはできない
②相続放棄は最初から相続人では無かったことになるので借金も含めて全て放棄できるが、遺留分放棄は遺留分以外の相続権は残る
③遺留分放棄は遺留分の無い兄弟姉妹や甥姪にはできないが、相続放棄は法定相続人全員ができる

などです。

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