司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

1月 04 2017

第三順位(兄弟姉妹・甥姪)の相続のための戸籍(遺産整理①)

第二順位の相続人の死亡証明

相続が発生した時、被相続人に子供がいなかった場合、ほとんどのケースで、相続人は配偶者と、第三順位の人(兄弟姉妹・甥姪)になります。
これは、高齢化が進んでいる日本においては、相続が発生したときには、第二順位の直系尊属(両親・祖父母)は既に亡くなっているケースが大半だからです。
従って、第二順位(直系尊属)が相続人になることは非常に稀なケースとなります。

法的には、第三順位の相続手続を進めるためには、第二順位の相続人が既に死亡していることを戸籍等で証明しなくてはなりません。
このとき、第二順位の相続人は永久に遡ることが出来るので、どこまで証明する必要があるのかが問題になります。

この基準が役所によって統一されていません。
すると、非常にやっかいなことが起こり得るのです。

役所ごとの証明基準の違い

例えば、不動産の名義変更の際に提出する役所は法務局ですね。
法務局においては、誕生日から計算して110歳を超えている場合は、それ以上、遡る必要は無いというルールを設けています。
これは、ある意味、合理的なルールで、最高齢の人でも110歳は超えていないので(注)、これ以上遡るのは現実的では無いという理屈です。

(注)2018年4月に112歳の方が存在します。ただし、法務局の基準は、いまのところ変わっていません。もしかすると、110歳以上の方がある程度の人数に達すると、基準が変更されるかもしれませんね。

一方、自筆証書遺言を検認する場合、提出するのは家庭裁判所です。
名古屋家裁では法務局とは全く異なる基準を設けているのです。
(法務局は全国統一基準だと思われますが、家裁は都道府県によって異なる可能性があります)。
家裁のルールは、被相続人の両親が明治または大正生まれの場合は、それ以上遡る必要は無いというものです。

これは、あまり合理的では無い、少々雑な基準ではないかと私は思います。
何故なら、祖父母の年齢では判断しないと言うことになるからです。
この点に関しては、法務局の基準の方が納得がいきます。

遺産整理業務をしていますと、遺言の検認と不動産の名義変更を同時に引き受けるケースがあります。
提出する役所によって基準が異なるのは、正直、戸惑いを覚えます。
まさに縦割り行政の弊害と言えるでしょう。
できれば、基準は統一して欲しいと思っています。
皆さんが書類を準備する場合にも、わかりやすくなりますよね。

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