7月
18
2017
家族信託で良く聞く質問に、「仕組みが複雑で分かりにくい」、「結局、何がメリットなの」というものがあります。
家族信託には様々なメリットがありますが、「仕組みが複雑だから」という理由で選択肢からはずしてしまうのは、もったいないことです。
確かに仕組みは複雑で、全て理解するには高度な専門知識が必要です。
しかし、利用する為には複雑な専門知識は必要ありません。
どういうことができて、どのようなメリットがあるのかだけ分かっていれば充分です。
例えば、自動車や家電はものすごく複雑で高度な知識によって作られていますが、それらを利用する人は高度な知識など無くても普通に使っていますよね。
使う側にとって、仕組みをすべて理解する必要は無いのです。
使い方さえ分かっていればそれで良いということです。
では家族信託にはどのようなメリットがあるのでしょう。これから具体的にいくつかご紹介しましょう。
家族信託の4つのメリット
一つの契約で、いくつもの手続を含めることが出来るので、結果として割安である
家族信託契約には、
将来の認知症対策としての任意後見的な内容
公正証書遺言としての財産の引継
見守契約としての内容
足腰が不自由になった時の為の財産管理としての内容
自分が亡くなった後の死後事務委任としての内容
を全て含めて契約することが可能です。
もし家族信託を使わない場合は、上記の内容はそれぞれ別の契約になり、契約ごとに料金が発生します。
結果として、一つにまとめられる家族信託の方が割安という場合が多いのです。
アパートなどの名義を変えているのに贈与税を発生させないことが出来る
アパートなどの賃貸物件を持っている方は税金対策に熱心な方が多いと思います。
そのような方にとって、賃貸物件の引継は重大な関心事でしょう。
この誰もが悩む問題を家族信託が解決してくれる可能性があります。
家族信託では、委託者兼受益者にすれば、名義を変えても贈与税が発生しません。
(将来の相続税の対象にはなります。)
委託者が亡くなった後の財産の引継を受託者にしておけば、遺言と同様の効果も期待できます。
遺言と同じ効果があるが、遺言よりも親が納得しやすい
家族信託は、契約の中で遺言と同様の効果を持たせることが可能です。
にもかかわらず、「遺言よりも親が納得してくれる」という声が多数届いています。
恐らく遺言より「死」を直接的に感じない方が多いのでしょう。
どちらかと言うと生命保険のようなビジネスライクな感じが受け入れやすいのかもしれません。
遺言のように変更される心配が無い
遺言の特徴として、「何度でも書いた本人が書き直すことが出来る」というものがあります。
例え公正証書で遺言を作成したとしても、その後に自筆で遺言を書いて貸金庫にしまっておいたら、後で書かれた自筆の遺言の方が効力を持ちます。
家族からしたら、いつ遺言を新しく書かれたかが分からないことになります。
(遺言を残す人にとっては、変更の選択肢があるのはメリットになる場合があります。)
一方、家族信託で遺言と同様の効力を持たせた場合、信託契約の変更には双方の同意が必要なので、知らないところで勝手に変更される心配がありません。
代表的なメリットをいくつかあげましたが、家族信託のメリットはこれだけではありません。他にも知りたい方は是非、事務所までご相談ください。
家族信託についてもう少し詳しく知りたい方はこちら
1月
27
2017
「ペット」というよりも、「家族の一員」だという人はたくさんいますね。
わたしも昔、シュナウザーを飼っていました。なつかしいです。
さて、自分は高齢なので、もしも自分が先に亡くなってしまったら、残されたペットはどうなるのだろう、心配でしょうがない、という人に良いものがあります。
ペットのための信託という方法です。
相続人がいない人はもちろん、自分のペットを親身になって世話をしてくれそうな適当な相続人が見つからないということは、あり得ますよね。
でも知人にはペットが大好きで安心して任せられそうな人がいたとします。
こんな場合には、ペットのための信託が最適です。
ペットのための信託の標準的な設計(スキーム)は以下のようになります。
飼主(委託者)
遺言でペットを知人に譲る旨を記載
↓
受託者
相続発生後に預貯金の一部を受託者に移転
↓
ペット好きの知人(受益者)
受託者から定期的に費用をもらってペットの世話をする
信託の方法は遺言信託を使います。
これでペットの世話を任された知人も費用の心配をすることがなく、安心して飼い続けることが出来ます。

注意点としては、受託者に移転する金額を、他の相続人の遺留分を侵害しない程度におさえておくことです。
信託について、より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック
↓
https://www.hashiho.com/inherit/family/
9月
26
2016
家族信託(民事信託)についてしっかりとした知識を持った専門家はまだまだ少ないのが実情です。
司法書士、弁護士などの法律専門家の中でも取り扱うことができる事務所は、現時点では限られています。
しかし、家族信託が注目を浴びてきていることから、家族信託について知識があまりないにもかかわらず、家族信託について対応可能とする事務所も見られるのが残念でなりません。
家族信託の組成(組み立て)は、ただ単に「ひな形」に修正を加えて契約書を作成するというものではありません。
もちろんそのような信託契約書でも契約は有効で信託は開始しますが、その後何らかの支障が起きる可能性がとても高いでしょう。
基本は、オーダーメイドでなくてはならないものだからです。
服や靴でも、オーダーメイドで作ろうと思うと、必ず詳しく細部まで採寸し、場合によっては途中で試して、できあがった後も、アフターサービスまで含まれています。
そこまですれば、自分にぴったりのものが、出来ますよね。
家族信託も同じです。
特に費用が安い(数万円や10万円~)事務所などは、どこまでサポートされているのか、しっかり確かめる必要があります。
(オーダーメイドの服や靴は安いですか?)
逆に、しっかりと知識を持ち、個々の事案に沿って最適な信託の組成を1から完全オーダーメイドで行う専門家であれば、そのような安い金額で家族信託の依頼を受けることはできないはずです。
家族信託は、依頼人の人生設計にかかわる重要な案件です。
本当に詳しい専門家を慎重に見極めましょう。
9月
15
2016
原則として、信託された賃貸不動産の賃料収入は受益者のものとなります。
受益者の収入として受益者が申告をしなければなりません。
賃料収入は信託財産として受託者が管理し、受託者の手元から受益権として受益者に分配されます。
年間を通しての収益全額が、その年にすべて分配されるとは限りません。
例えば、賃貸の収益は月30万円だけれど、受益者には生活費として毎月20万円ずつ給付している場合などが考えられます。
上記のような場合でも、実際に受益者の手元に分配されているかどうかは関係なく、あくまでその賃貸不動産の収益全体についてを所得として申告する必要があります。
また、信託による賃貸不動産の受益者が、受益者自身の固有財産として別の賃貸不動産を所有し収益を得ている場合は注意が必要です。
税務上、信託財産から得る賃貸収入と受益者の固有財産としての賃貸収入とは別々の扱いとなり、損益通算はできません。
どちらかが赤字になるようなら、特に気をつけなければなりません。
支払う税金にも差がでてくると思います。
すべての不動産を信託するのか、一部の不動産だけ信託するのか、判断は難しいですね。
少しでも迷ったら、専門家を交えて、とことん話し合ってから決めましょう。
9月
14
2016
不動産を信託した場合、受託者が名義人となりますが、受託者は形式的な名義人であり、経済的価値を有しないため不動産取得税は課税されません。
また、受益者についても、経済的価値は有するものの当該不動産の所有権を取得したわけではなく受益権を取得しているだけですので、やはり信託設定時に不動産取得税は課税されません。
この辺りは贈与税とは考え方が異なっています。ややこしいですね。
これは自益信託、他益信託いずれの場合も結論は同じです。
結果、不動産を信託した場合でも信託設定時には不動産取得税は課税されないということになります。
一方、信託が終了した時には、原則として、帰属権利者等に不動産取得税が課税されることになります。
ただし例外として、信託の終了時に、信託設定時の委託者がそのまま帰属権利者になる場合、または信託設定時の委託者の相続人が帰属権利者になる場合には不動産取得税は課税されません。
税金というのは、本当に複雑ですので、信託をするうえでは、事前によく準備をしなければなりません。
よく考えないで、詳しくない専門家にアドバイスを受けてしまったために、後々大きなトラブルになる事例も、見かけるようになりました。
信託自体は良い制度なのに、非常に残念に思います。
信託をお考えのみなさんは、法律に詳しい専門家と税金に詳しい専門家の両方ときちんと打ち合わせをしましょう。
9月
13
2016
信託の設定の際の課税関係は、どうなっているのでしょうか。
具体的には、誰が課税されるのでしょうか。
課税されるのは、名目上の受託者ではありません。
実質的な権利者である受益者に財産が移転したとみなして贈与税などが課税されます。
一方、信託が終了したときは、どうなるのでしょうか。
信託が終了したときは、原則として信託終了時の受益者から帰属権利者に対して財産の移転があったものとみなして贈与税の対象となります。
ただし、信託終了時の受益者と帰属権利者が同一の場合には実質的な財産の移転がないため贈与税は課税されません。
また、信託が受益者の死亡によって終了する場合には、信託終了時の受益者から帰属権利者に財産が遺贈されたものとみなして、贈与税ではなく相続税の対象となります。
このように、原則以外にも、さまざまな状況が考えられるのです。
信託行為の前に、どうするのがベストなのかを専門家に相談しましょう。
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家族信託(民事信託)の相談・手続代行は愛知県名古屋市天白区の橋本司法書士事務所にお任せください。
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9月
12
2016
信託された財産は、受託者が名義人として管理・運用・処分などを行います。
「指図権」とは、この信託財産の管理・運用・処分の方法について受託者に指図することができる権利です。
指図権を有する者を「指図権者」といいます。
指図権の内容及び、指図権者に誰を指定するかは、信託行為(信託契約等)によって定めることができます。
指図権者は、信託財産を受益者に給付する金額や方法を、受託者に対して指図したり、信託された株式の議決権の行使についても、指図権者が指図することができます。
この仕組みは、どういうときに役立つのでしょう。
例えば、親が自社株について子を受託者として信託した場合です。
基本は、受託者として子が議決権を行使することになります。
しかし、まだ会社の運営を子にすべて任せるのは不安な場合には、親を指図権者とすることで議決権の行使について受託者である子に指図することができるのです。
もし親が認知症になった場合には子が受託者として議決権を行使することができるので、会社の運営に空白が生じることも防げます。
また、指図権者のほか、受託者が信託財産についてある行為をすることについて、同意を必要とする者として「同意者」を定めることもできます。
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9月
09
2016
受益者指定権とは、受益者を指定したり、受益者を変更する権利のことです。
受益者指定権を有する者はそれを行使することにより、新しい受益者を指定したり、受益者を変更することができます。
例えば会社の事業承継の場面において以下のようなことが起きたとします。
後継者予定の長男に対して、株式を所有権のまま贈与して、後に事情が変わり、二男を後継者にすることになりました。
このとき、長男の協力がないと株式を取り戻したり、後継者となる二男に株式を保有させることが困難になってしまいます。
ここで、信託の登場です。
受益者指定券は親である委託者が持ちます。
株式を所有権として贈与するのではなく、信託して、その受益権を長男に渡します。
これがどのように便利に働くのでしょうか。
後に事情が変わった場合に、親の判断によって、受益権を再び親自身に戻したり、長男から二男に受益者を変更したりすることができるのです。
事情承継では、途中で何が起こるかわかりません。
信託を利用することによって、経営者が事業承継を考える際に、途中の事情変更によるリスクに対して保険をかけておくことが可能となります。
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9月
08
2016
一度、発効した信託を、途中で変更することは可能なのでしょうか。
結論から言うと可能です。
ただ、いろいろと条件があります。
大原則 ⇒ 委託者、受託者、受益者の合意により変更可
信託の目的に反しない場合の原則 ⇒ 委託者の合意不要
信託の目的に反しない場合は、さらに以下の場合に分かれます。
信託の目的に反しない場合で受益者の利益に適合する場合 ⇒ 受託者のみで変更可
信託の目的に反しない場合で受託者の利益を害さない場合 ⇒ 受益者のみで変更可
となっています。
何度見ても、ややこしいですね。
また、信託行為(信託契約等)で変更について定めを置いておけば、その定めに従って変更することが可能です。
では、簡単に変更できるように、定めを置いておけばよいのかというと、そうとも限りません。
信託の目的や個別の事情によって、変更を簡単にできるようにするのか、変更しにくくするのかを検討する必要があるでしょう。
変更1つとっても、信託契約前に個別に考える必要がありますので、専門家に相談することをおすすめします。
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9月
07
2016
信託は、「信託」という言葉もそうですが、委託者、受託者、受益者など、次々にわかりにくい言葉が出てきますね。
今回は、「残余財産」についてです。
「残余財産」は、割と想像しやすいと思います。
信託が終了したときの、という言葉に続きますから、だいたいわかりますね。
信託が終了したあとの、残った財産のことです。
この場合、信託が終了するのは、委託者が亡くなることも信託終了事由の1つですが、それ以外にもあります。
>>>信託の終了時期について、詳しく知りたい方は<<<
信託終了事由の発生により信託が終了した場合、残った財産はどこへ行くのでしょうか。
信託行為(信託契約等)で指定された「残余財産の受益者」または「残余財産が帰属する者(帰属権利者)」に財産が帰属することになります。
この仕組みを利用して遺言と同じような機能を持たせることが可能となります。
財産を渡したい人を帰属権利者として指定しておくのです。
また、信託行為(信託契約等)にて残余財産受益者及び帰属権利者が定められていない場合には、委託者に帰属することになります。
この時、委託者が死亡している場合には委託者の相続人に帰属します。
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