9月
18
2020
多くの相続トラブルを見てきて、絶対に遺言を残した方が良いと言える代表的な事例を紹介しましょう。
それは「子どもがいない場合」です。
子どもがいない状態で親が亡くなると、かなりの確率で相続トラブルになります。それは、相続人同士が面識があまり無い場合が多いからです。遺産分割協議をまとめるのが大変になります。
なぜそうなるかと言うと、最近は高齢で亡くなる方が多いので、亡くなった時には両親はだいたい先に亡くなっています。すると、相続人になるのが故人の兄弟姉妹になります。ところが、兄弟姉妹も既に高齢で何人かは亡くなっている場合が多く、その場合、故人の甥姪が相続人になるのです。
残された配偶者と故人の甥姪が頻繁に会っているというケースは、核家族の進んだ最近では珍しいでしょう。すると、あまり会ったことが無いもの同士が遺産分割協議をすることになるのです。想像しただけでも、まとめるのが難しそうですね。
実は、このケースで遺言を残した方が良い、もう一つの有力な理由があります。
それは、兄弟姉妹や甥姪には遺留分が無いからです。
遺留分が無ければ、遺言さえ残っていれば配偶者に全ての財産を引き継ぐことが可能です。遺言がある場合と無い場合の結果に大きな差が出るケースなのです。
「子どもがいない場合」は遺言を残すメリットが非常に大きいケースだと言えるでしょう。
(マメ知識)
遺留分とは、遺言で指定されていなかった場合でも最低限相続できる割合を法律で決められた制度です。
子どもや親には遺留分が認められていますが、兄弟姉妹や甥姪には認められていません。
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遺言
8月
26
2020
相続法改正前の自筆証書遺言の弱点
遺言には大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
その中でも自筆証書遺言は「自分で書ける」という手軽さもあって選択されることが多い傾向があります。しかし、自筆証書遺言には厳格なルールがあるため、遺言を残した人が亡くなった後に開けてみたら、ルールにあっていなくて無効になったというケースも多いという弱点があります(実際に私の事務所に遺言を持って相談に来られた相続人の中にも、何人か無効になった方がいました)。
家庭裁判所の検認
他にも自筆証書遺言の最大の弱点と言われていたのが、家庭裁判所の検認の手続です。
相続法が改正される前、自筆証書遺言は作成者が亡くなった後、家庭裁判所で検認を受けなければ、その後の預貯金や不動産の相続手続ができないというルールがあったのです。これがネックになって自筆証書遺言を選択しないというケースも結構ありました。
家裁の検認とは
家裁の検認とは、原則として開封前の自筆証書遺言を家裁に持ち込んで、家裁から法定相続人全員に遺言の存在を知らせた上で、家裁によって遺言を開封して中身を確認することです。確認後に家裁の検認済みという証明書を遺言に添付してくれます。検認済みの証明書が添付されていないと自筆証書遺言は相続手続に使うことができません。
この検認手続は結構な時間がかかります。1カ月くらい(法定相続人が多い場合はもっと)は相続手続が遅れることになります。
遺言書保管制度
相続法が改正されて自筆証書遺言の取り扱いが大きく変わりました。これは政府が相続手続をスムーズに進めるために遺言をもっと活用して欲しいという考え方があります。(遺言が無いと相続人同士でもめて、相続手続がなかなか進まないことが多くなってきたという事情があります)
そこで新設されたのが遺言書保管制度です。自筆証書遺言を法務局で預かって紛失や改ざんを防ごうという目的です。
遺言書保管制度のメリット
従来、自筆証書遺言の弱点として、
①せっかく書いたのに発見されない
②遺言のルール通りに書かれていないため無効になる
③紛失や破損の心配がある
④家裁の検認が必要
などがありました。
しかし、遺言書保管制度はこれらの弱点を改善する制度として作られたので以下のようなメリットがあります。
①相続人は法務局で検索することができるので発見がしやすい
②遺言の形式がルールどおりに書かれているかを法務局がチェックするので、形式不備は起こりにくい。(あくまで形式だけです。内容が法律にあっているかまではチェックされないと考えた方が良いでしょう)
③法務局に保管されているので紛失や破損の恐れが無い
④家裁の検認が不要。(大きなメリットです)
自筆証書遺言が利用しやすくなった
相続法改正前は自筆証書遺言には様々な弱点があったために、司法書士などの相続の専門家は公正証書遺言をすすめることが多かったのが事実です。私も以前は公正証書遺言をすすめていました。
しかし、相続法が改正されて遺言書保管制度ができて、自筆証書遺言の弱点は大幅に改善されました。特に大きかったのは家庭裁判所の検認が不要になった点です。
もともと自筆証書遺言は公正証書遺言よりも費用的に安いというメリットがありました。今回の遺言書保管制度により、専門家が自筆証書遺言をすすめるケースも増えてくると思われます。
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遺言
5月
16
2019
在日韓国人の相続の基本
在日韓国人の相続の場合、家族の中に帰化している人と帰化していない人が混ざっている場合が珍しくありません。その場合、まず最初に確認するのは、被相続人(亡くなった人)が韓国籍なのか日本国籍なのか、です。
被相続人が韓国籍の場合は韓国法による相続手続、日本国籍ならば日本法による相続手続になります。
在日韓国人の戸籍はどうなるのか
相続手続で最も大変なのは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍の収集です。
在日韓国人の場合、2008年より韓国で戸籍が廃止されてしまったのが手続に大きく影響しています。代わりに家族関係登録制度という仕組みができました。これによると、基本証明書・家族関係証明書・婚姻関係証明書などと呼ばれる書類が相続の書類として使われているようです。
更にややこしいのが2007年までは韓国の戸籍が存在していた訳ですから、2007年以前は韓国戸籍をさかのぼる必要があります。日本人の相続手続よりもずっと大変ですね。このような理由で費用も高めに設定している事務所が多いようです。
韓国の書類は、どうやって取得するのか
最も一般的な方法は、大使館や領事館で取る方法です。日本には全部で9カ所の韓国大使館・領事館があります。
また民団という組織で取得の代行をしてくれるようです。ただ、代行費用は必要だと聞いています。
ただし、戸籍や証明書を取得するにはまずは韓国における本籍地を知らなければなりません。ところが、在日韓国人の中には自分の韓国における本籍地を知らない方が結構います。こうなると取得するのは大変困難になり、最悪の場合、取得できないというケースもあります。
在日韓国人の相続手続書類の問題点
在日韓国人の中には、生まれた時から日本で暮らしていて韓国語も良く分からない、と言う人が珍しくありません。このような場合、以下のような問題点がある場合が珍しくありません。
(1)結婚しても大使館や領事館に届けていない
これにより、韓国の戸籍や家族証明に婚姻の事実が記載されなくなります。書類上は独身になっていますから、相続手続の時に困ったことになります。
(2)子どもが生まれても大使館や領事館に届けていない
これは結婚よりももっと深刻な問題で、書類のどこにも子どもの記載がないことになります。帰化しない限り日本の戸籍にも記載がないので、事実上、子どもが無国籍の状態になってしまいます。
在日韓国人こそ遺言を残しておくべき
このように在日韓国人の相続手続は、日本人の相続よりも大変な手続になる場合がほとんどです。ただし、この大変な手続を回避する手段が一つだけあります。それは公正証書遺言を残しておくことです。
公正証書遺言の中に、「私の日本における相続は日本法による」と書いておけば、日本法により相続手続を進めていくことが可能です。
何故、公正証書なのか?
自筆証書遺言にしてしまうと意味がありません。何故なら、家庭裁判所の検認が必要だからです。家庭裁判所の検認手続では相続人全員に通知する必要があるので、結局、相続人全員が分かる書類を集めなくてはならないからです。
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遺言
10月
17
2018
公正証書遺言については意外と知られていないポイントが、いくつかあります。
皆さんが勘違いしやすいポイントについて、お話したいと思います。
①自筆の署名が必要
自筆証書遺言と違って、公正証書なんだから自筆は一切いらないだろうと思っていると実は違います。公正証書であっても自筆の署名は必要です。
②実印は自分で押す
自筆証書遺言は認印でも構いませんが、公正証書遺言は実印が求められます。押印も遺言者が押すことを求められます。
③必要書類で原本が必要なのは印鑑証明書のみ
遺言者の体調が悪く急いでいる時など、必要書類をファックスで公証役場に送ることは良くあります。そんな場合でも、後ほど原本を要求されるのは印鑑証明書のみです。(ひょっとしたら他の公証人では異なる対応の場合もあるかもしれませんが、少なくとも私が良く担当してもらう公証人は書いたとおりです)
④公正証書遺言は証人二人が必要ですが、証人の押印は認印で構いません。
⑤遺言者と公証人がやり取りをしている間は、他の親族は入室が出来ません。もし病院に出張している場合でも、一旦、病室から出されます。
どうでしょう。意外と知らないことがあったのではないでしょうか。
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遺言
10月
09
2018
公正証書遺言は、公証役場へ行けば自分は何もしないでも、希望さえ伝えれば公証人が作ってくれるというイメージを持っている人が多いかもしれませんが、現実は違います。だいたいの文案は自分で考えてメモしていく必要があります。
そこで注意すべきなのは、明らかな法的な間違い以外は公証人は指摘してくれない、ということです。
法的な間違いを指摘してくれれば、それで充分じゃないか、と思われるかもしれません。しかし、実際の相続の現場に居合わせた経験から言うと、「法的には間違っていなくても、後で非常に面倒なことになった」という事例は数多くあります。
例えば、了解を取らずに親族の一人を遺言執行者にして記載したところ、相続が開始したら「私は遺言執行者になんて、なりたくない」と言って辞退してしまって、新たな執行者を決める時に揉めてしまった、と言う事例がありました。
このような場合、公証人は「遺言執行者に了解を取ってありますか」とはアドバイスはしてくれません。
他にも、「遺言執行者は、その業務を第三者に委任することが出来る」という一筆が入っていなかった為に、遺言執行者が専門家に依頼することが出来なくなってしまった事例もあります。(これも公証人は何も言ってくれなかったようです)
あと非常に印象に残っている事例としては以下のようなケースがありました。
遺言で指定した相続人が高齢だったため、遺言者よりも先に亡くなってしまって、その人の分だけ法定相続になったという事例です。
この事例が大変だったのは、法定相続人が16人もいたことです。当然、相談者が全く面識の無い相続人も複数いて、住所を探すのも一苦労でした。また16人に経緯を説明して各種書面に署名押印をもらわなくてはなりませんから、これも大変な作業でした。
実はこの事例のトラブルは、「遺言で指定した〇〇が、遺言者よりも先に死亡した場合は、△△に相続させる」という一筆が入っていれば(専門用語で予備的遺言と言います)、防ぐことが出来たのです。しかし何度も言うように、公証人はこのようなサービス的なアドバイスはしてくれません。(この一筆が無くても法的には問題ないからです)
この依頼を受けた時も遺言執行者の方が、「遺言を作る時にも依頼をしていれば良かった」と大変悔しがっていました。一筆入っていなかったために膨大な手間と時間が余分にかかることになったのですから無理もありません。
このように遺言には「法的に間違っていなくても、一筆入れておいた方が良いこと、あるいは注意しておいた方が良いこと」が他にもいくつかあります。
後々の手間と時間と余分にかかる費用を考えたら、やはり遺言の作成段階から専門家の意見を聞いた方が良いと思います。
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遺言
10月
03
2018
遺言による相続手続で最も揉めるのが、遺言者が遺言を残した時に認知症になっていなかったかどうか、という部分です。
日本では欧米に比べて、ぎりぎりまで遺言を残さない傾向があるため、どうしてもこのようなトラブルが起こりやすいと言えます。遺言に反対する相続人からすると、。遺言をひっくり返せる唯一の手段とも言えます。
実際に、「遺言作成時に認知症ではなかったのか」という訴訟は全国で起こっていて増加傾向にあります。(遺言の場合、他に争う手段が余り無いという実情もありますが)
これを防ぐ最も確実な方法は、遺言作成時に医師の診断書をもらっておくことです。医師が作成した「認知機能は問題ない」というお墨付きがあれば、後で万が一、訴訟を起こされても勝てる確率が高いでしょう。
後は出来るだけ公正証書遺言で残すべきです。公証人は面談の際、遺言者に対して質問をします。例えば以下のような質問です。
(1)本人確認として住所・氏名・生年月日を聞く
(2)どのような遺言を残したいかを聞く
(2)の質問では「はい」「いいえ」で答えられる聞き方をしません。遺言者自らが残したい遺言の内容の概略を答えなくてはいけません。認知症だったら、まず答えられないでしょう。
しかし、公正証書遺言ならば必ず裁判になっても勝てるという訳ではありません。公証人が当時の事情を忘れてしまっていて、しっかりした証人になってくれるとは限らないからです。
ですから相続人の中で遺言の内容に反対しそうな人がいる場合は、①公正証書で残して、更に②医師の診断書をもらっておく、という2段構えで備えておくのがベストな方法だと思います。
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遺言
9月
10
2018
公証人に支払う費用は、基本は遺言作成費だけを考えておけば良いのですが、事情があって、公証役場まで出向くことができない場合は困ったことになります。
けれど、安心してください。
病院や施設、あるいは自宅に公証人が出張してくれるサービスがあります。便利ですね。
体調が良くない遺言者にとっては大変ありがたいサービスですが、その際には、公証人に日当や交通費を追加で支払う必要が出てきます。
因みに、ベースとなる遺言作成料金も少し上がります。
>>>入院中に遺言を残すには?<<<
公証人の交通費ですが、基本は出張先までのタクシーの往復料金となります。
ここで「何でタクシーなんだ。公共交通で来ればよいのに」と思われた方も多いと思います。
実は私も、そう思っていました。
しかし、公証人というのは結構忙しくて、遺言の出張を受けると、タクシーの中でも書類のチェックをしていたりするので、基本タクシーで移動するんだそうです。
そしてもうひとつ、理由があります。
公共の交通機関ですと、万が一誰かに盗まれたりしたら困るからだそうです。
人の遺言を盗む人など、普通に考えればいないでしょうけれど、万が一、ですからね。
タクシーの中でも書類のチェックをしているということの方が、理由として大きいかもしれません。
ただ公証役場からの距離が余りに遠い場合は、最寄りの駅まで公共交通で行って、その後タクシーという場合もあります。
私の場合、名古屋市の葵町公証役場から日進市の病院に出張を頼んだ時、このパターンになりました。
具体的には地下鉄鶴舞線丸の内駅から米野木駅まで公共交通で来ていただきました。
名古屋市内で出張サービスを使う場合は、まずタクシーになると思っておいた方が良いと思います。
確かに若干、料金は高くなりますが、それ以上に公正証書遺言の出張サービスのメリットは大きいので、該当する場面では躊躇せずに利用した方が良いでしょう。
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7月
28
2018
信託銀行の商品の中に「遺言書管理信託」というものがあります。
一見、便利そうな名前が付いていますが、料金を考えると「?」と思える商品なので取り上げてみたいと思います。
例えば、ある信託銀行の遺言書管理信託のページを調べると、以下のような説明がされています。
遺言書の保管
当行がお預かりした遺言書は、ご相続の開始時まで安全に保管します。
定期的照会
当行から定期的に相続開始通知者、遺言書指定受取者の住所変更や異動の有無を照会させて頂きます。
遺言書の返却
遺言書指定受取者に確実にお渡しします。自筆証書遺言の場合、家庭裁判所の検認手続が必要になり別途費用がかかります。
そして、上記サービスの手数料として以下の金額が表示されています。
基本手数料 公正証書 32万4000円
公正証書以外 54万円
遺言書保管料 年間6480円
正直、この説明と料金を見た時、サービスの少なさと料金の高さに驚いてしまいました。
これだけのサービス内容にしては、高額に思えます。
特に公正証書遺言は、もともと原本は公証役場で保管されていて、謄本は本人が保管、そして正本を遺言執行者が保管するという、比較的万全な体制です。
上記のサービスでは、正本を保管するということだと考えられますが、本当に必要なのかよく考える必要がありますね。
と言っても料金設定やサービス内容は自由ですから銀行を責めるつもりはありません。
ただ消費者の皆さまには、「サービス内容に比べて、かなり高額の料金である」という事実は分かっておいて欲しいとは思いました。
(分かった上で、やはり銀行を選択するというのは、もちろん自由です。)
たとえば、もし同様のサービス内容で私の事務所が依頼を受けた場合、年間5000円程度の保管料は頂きますが、それ以外の料金(銀行の基本手数料にあたるもの)は頂きません。
実に数十万円の差が出てしまいます。
しかも銀行のサービスは、遺言書の作成料金や家庭裁判所の検認料金は含まれていないのです。
これを消費者の皆さまが知っていた場合、どのように判断するのでしょうか。
費用を抑えたい場合、これからは特に情報を調べる力が必要になってきていると感じています。
最近、信託銀行は相続に力を入れていて遺産整理業務も積極的に宣伝しています。
遺産整理業務とは不動産や預貯金・証券などの解約・名義変更を一括して行うサービスです。
銀行の遺産整理業務も値下げを予定していると新聞に報道されていました。
消費者にとってはうれしいことではありますが、実は、元の料金が余りにも高額で(一般的な司法書士事務所の倍以上)、利用者が非常に少なかったので見直そうとしているのが実情なのです。
銀行の遺産整理業務は、まず最低料金が高いです。
現在108万くらいが現在の相場となっています。
(見直しが入る予定)
最低料金に該当しない資産額の場合でも、割合報酬(1.5%~2%が相場)は高めです。
(一般的な司法書士事務所では最低25万~30万円で割合報酬は約1%)。
他にも、不動産の名義変更をする場合、結局、銀行も司法書士に外注しています。
銀行に遺産整理業務を依頼した場合、司法書士の外注費用は別途請求されてしまいます。
しかし、司法書士に依頼した場合は、不動産の名義変更の費用は司法書士料金に含まれているのが普通です。
ですから、遺産整理業務の場合でも、銀行と司法書士事務所ではトータルで数十万円の差が出てしまいます。
消費者の皆さまには、こういうことを良く知った上で選択して欲しいですね。
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https://www.hashiho.com/inherit/testament/
https://www.hashiho.com/inherit/isanseiri/
6月
25
2018
「遺言を書いたけれど後から気持ちが変化して内容を変えたくなった」、こんな時はどうしたら良いのでしょうか。
こういう場合、今ある遺言を修正するのではなくて、新しい遺言を残すのが法的に正しい方法です。新しい遺言によって、古い遺言は自動的に撤回されたことになります。
日付の記載が無い遺言は無効になります。これは、新しい遺言が常に優先されるため、日付の記載が無いと、どちらが新しいのか判別できないために設けられたルールなのです。
新しい遺言に「古い遺言は撤回する」と書いても構いませんが、例え書かなくても古い遺言は撤回されます。
ただ注意して頂きたいのは、新しい遺言を自筆証書で残した場合、もし遺言の要件を満たしていなかったら、その新しい自筆証書遺言は無効になってしまいますから、当然、古い遺言は撤回されません。
書いた本人は「これで古い遺言は撤回された」と安心しているかもしれませんが、場合によっては本人の新しい意志が実現されないかもしれないのです。
従って古い遺言を撤回する場合は公正証書で遺言を作った方が確実でしょう。
ちなみに古い遺言が公正証書だった場合でも、遺言の撤回は同じ方法で可能です。法律上は、公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することも可能となります。もちろん自筆証書遺言が有効に書かれていることが条件です。
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5月
16
2018
「なぜ、遺言を残す必要があるのか」と聞かれたら、私たち専門家の回答は「実際に遺言が無かったためにトラブルになった事例を見ているから」と答えるでしょう。
特に誤解されやすいのが、「財産が、それほど多くないから遺言なんて必要ない」という考え方です。しかし統計では、「1000万円以下の相続財産でも非常に高い割合で相続トラブルになっている」、という結果が出ています。
原因として挙げられているのは、相続財産が多い人の方が遺言などの生前対策を実行している場合が多いのでトラブルにならずに済んでいるが、財産が少ない人は何も対策をしていない場合が多いので実際に相続が始まると揉めることが多い、ということのようです。
では、どのようなケースで相続トラブルが発生しやすいのかを一つずつ紹介しましょう。まず一つ目は、「先に亡くなった子に孫がいる場合」です。
親が亡くなると配偶者と子が相続人となります。配偶者が先に亡くなっていれば、子の人数で均等に分割するのが法定相続のルールです。では、子が二人いて、一方の子が先に亡くなっていた場合はどうなるのでしょうか。
分かりやすくするために、父が先に亡くなっていて母の相続が発生したとします。二人の子は兄と弟で、弟が先に亡くなったと仮定しましょう。弟には子が一人いたとします(亡くなった親から見ると孫にあたります)。
この場合、母の法定相続人は兄と孫の二人になります。このように先に亡くなった弟の子が相続人となることを法律用語で代襲相続と言います。ではなぜ、このケースがトラブルになりやすいかというと、兄と孫の間にあまり面識が無い場合があるからです。
特に兄と弟が遠方に離れて住んでいた場合に起こりやすいトラブルです。兄からすると、ほとんど会ったことが無い孫と遺産分割協議をしなくてはなりません。兄が親の面倒を見ていた場合などは余分に欲しいという感情があることが多いので、特にトラブルになりやすいケースと言えます。
このような事態が想定される場合は、財産の額に関係なく遺言は残しておいた方が良いケースだと言えるでしょう。
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