2月 16 2018
申告期限を過ぎると相続税が大幅に高くなる?(相続税⑧)
相続税の基礎控除を超えた財産がある場合、相続税の申告をする必要があります。
この申告には10か月という期限が設けられていて、期限内に申告しないと、非常に高い相続税を支払うことになる可能性がありますので注意が必要です。
なぜ申告期限を過ぎると高くなるかというと、相続税を安くするための特例が使えなくなってしまうからです。
相続税を安くするための特例はいくつかあります。
例えば、代表的な相続税の特例である小規模宅地の特例について考えてみましょう。小規模宅地の特例を適用した場合、宅地の相続税評価額(固定資産評価額ではありません)に対して、最大で80%の減額が出来るという非常にお得な制度です。
夫が亡くなって、妻と子ども2人が相続した場合を考えてみましょう。
相続財産は、自宅が1億・他の不動産が3億5,000万・預貯金が5,000万だったとします。
相続財産の合計は5億円ですね。
ここで自宅に対して小規模宅地の特例を使うと、1億の評価が約8,000万円減額されて2,000万円となります。
減額の効果はどうなるのでしょう。
小規模宅地の特例を使うと、相続税の計算のための相続財産は、自宅2,000万、他の不動産3億5,000万、預貯金が5,000万ですから、合計4億2,000万円です。
これで相続税を計算すると、だいたい5,000万円くらいの税額となります。
計算方法は省きますね。
一方、申告期限を過ぎて小規模宅地の特例を使えなかった場合、相続税の金額は約1億3,000万円ほどと一気に跳ね上がります。
その差、約8,000万円です。
これだけの違いがある訳ですから、相続税の申告期限は必ず守る必要があります。
くれぐれも注意しましょう。
申告期限10か月なら、余裕だと思っている人にも、意外な盲点があります。
それは、相続で揉めたときです。
遺産分割協議がうまくいかず、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てたりすると、あっという間に申告期限を過ぎてしまいます。
ましてや、調停でもうまくいかなかった場合は、裁判です。もはや決着がつくのは何年後になるかわかりません。
申告期限の延長も考えられますが、必ず認められるわけではないようです。
申告期限後の3年以内の分割見込書というのもあるのですが、相続人の負担が大きくなるのは間違いありません。
できれば、生前対策を行って、揉める要素を失くしておきたいところですね。












