司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

8月 1st, 2017

8月 01 2017

入院中に遺言を残すには(遺言⑥)

病院で入院中に遺言を残すことは珍しいことではありません。
何らかの危機感のようなものを脳が察知するのでしょうか。
例え命に別状はないような入院であっても、「この機会に遺言を書こうか」という気になる人は多いようです。

では、入院中に公正証書で遺言を残すことは可能なのでしょうか。
結論から言うと可能です。
公証人に出張依頼をして病院に来てもらって、病院のベッドで本人が口述したものを、公証人が作成することになります。
現実には、前もって用意された文案と本人の口述が一致していることを確認して、署名押印がされて出来上がることになります。

通常の費用に加えて、公証人の出張費が加算されますので、公証人に支払う料金が若干高くなります。
ここで公証人あるあるですが、彼らは公共の交通機関で来ることが少ないです。
タクシーを利用することが圧倒的に多いです。
なぜでしょうか。

万が一、公共の交通機関が動かなくなってしまったとき、大事な遺言作成に間に合わなくなっては困るからでしょうか?
調べてみる必要がありますね。
出張費は近いほど安くなりますので、なるべく病院から近い公証役場に依頼すると良いでしょう。

>>>公証人の交通費はどのくらい?タクシーを使う理由がわかった!<<<
文案は事前に公証人に送付しておきます。
不備があれば公証人から訂正を求められます。
心配な方は専門家に文案を作成してもらいましょう。
また証人を2人用意して、当日、病院に来てもらう必要があります。

公正証書遺言の証人についてはこちら

マメ知識として、ぜひとも覚えておいていただきたいのが、認知症の検査についてです。
病院で遺言を作成するのなら、公証人が来る直前に認知症の検査をしてもらうことをお勧めします。
そこで診断書を発行してもらえば、後々のトラブルを防ぐことになります。
遺言のトラブルで最も多いのが、作成時に意識がはっきりしていたかどうか、だからです。

このように入院中であっても公正証書で遺言は作れます。
診断書のように、入院中の方が入手しやすい書類もあります。
人生、何が起こるか分かりません。退院してからでは手遅れになる可能性もあります。
生きていても認知症になってしまったら遺言は作れません。
気が変わったら後で書き直すことも可能なので、入院をひとつのきっかけとして、遺言作成を考えてみてはどうでしょうか。

遺言についてもう少し詳しく知りたいかたはこちら