司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

12月 4th, 2017

12月 04 2017

突然借金の請求が……兄弟姉妹の相続放棄(相続放棄⑩)

相続放棄で、よく問題になるのが兄弟姉妹の相続放棄です。
なぜ、問題になりやすいかと言うと、いつまでなら相続放棄が認められるのかが分かりにくいからです。

最初から子どもも両親もいないことが分かっている場合は、それほど問題にはなりません。通常と同じように、被相続人が亡くなったのを知った時から3カ月以内に家庭裁判所に申述をすることになります。

問題は、亡くなった人の子どもや両親が先に相続放棄をしていた場合です。この場合、子どもや両親の相続放棄が家裁で認められて初めて兄弟姉妹が相続人になりますので、先順位の相続放棄が認められたのを知った時から3カ月以内が申述期間(熟慮期間)になります。

しかし、被相続人の子どもや両親と、兄弟姉妹が頻繁に連絡を取り合っているとは限りません。特に兄弟姉妹が遠方に住んでいたりすると、ほとんど会っていないというケースもあるでしょう。
そんなとき、先に相続放棄をした子どもや両親が、相続の権利が移ったことを教えてくれるとは限らないのです。

実際に、連絡せずに放置したという事例は案外多いです。
当事務所では、相続放棄をしたことにより、兄弟姉妹や甥姪などに被相続人の借金が引き継がれてしまう場合は、該当する人たちに連絡をするように強くおすすめし、そのようなサービスを行っています。
「そうなんですか?では連絡をお願いします」という人もいれば、「いえ、特に必要ありません」という人もいます。
強制はできませんので、必要ありませんと言われればそこで終了となりますが、心配にはなりますね。

先に子どもや両親が相続放棄をしている訳ですから、兄弟姉妹は、いつのまにか相続人になったとき、借金が回ってきてしまうことになります。

兄弟姉妹の相続放棄

このようなケースで、兄弟姉妹が自分が置かれた状態に気付くのは、借金の請求をされた時納税金の請求をされた時などが多いです。いきなり請求を受けて、「あなたが相続人になりました。支払って下さい」と言われる訳ですから、相当驚いてうろたえてしまいますよね。

これはあまりにも酷だろう、ということで、家庭裁判所も兄弟姉妹の相続放棄については割と広く申述期間(熟慮期間)を解釈する傾向があります。

上記のようなケースならば、気付いた日付を「請求がされた日付」だと主張することによって、先順位の相続放棄から3カ月以上経っていたとしても、家庭裁判所に認めてもらえる可能性が充分にあります。

兄弟姉妹の相続放棄は上記のような理由により遅くなりがちですが、認められる可能性は残っていますので、あきらめないで専門家に相談しましょう。

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