司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

12月 14th, 2017

12月 14 2017

生命保険の活用で遺留分トラブルを回避(相続税⑥)

相続における生命保険の活用方法は、何も生命保険控除だけではありません。1つ具体例を紹介しましょう。

例えば、親が1人子ども2人の家族で、主な財産は自宅不動産だけだったとします。
現金が1円もないことは、ほとんどありえませんが、財産に占める現金の割合が少ないことは、よくあります。
子ども2人は、長男次男としますね。
そして親は遺言で不動産を長男に相続させると決めていたとしたらどうなるでしょう。

遺留分の発生とその後のトラブル

この場合、相続が起こると次男に遺留分が発生します。
次男が長男に対して遺留分減殺請求をすると、長男は遺留分相当の遺産を次男に渡さなくてはなりません。
この例でいうと、普通に相続したとすると2分の1ずつですが、遺留分はその半分なので、4分の1ですね。

預貯金があれば良いのですが、不動産以外のめぼしい財産がありません。そうすると、長男は遺言で与えられた不動産の一部を次男に渡すしか方法がなくなります。
渡すといっても、家を切って渡すわけではありません。
登記により、長男の持ち分が4分の3、次男の持ち分が4分の1となるのです。

結果的に不動産は長男と次男の共有になり、売却したり抵当権を付けたりするときに必ず次男の同意が必要になります。意見が同じなら良いのですが、違っているとトラブルに発展します。こうなることを避けたいがために、親は遺言で長男に不動産を残したのですが、親の希望は通らなくなってしまうのです。

生命保険による遺留分問題解決方法

これを生命保険で解決することができるのです。

親が生前に生命保険を契約して、契約者と被保険者を親、受取人を長男にしておきます。長男に支払われる保険金を次男の遺留分相当額にしておくのです。
たとえば、家の価値が4000万円だとしたら、遺留分は4分の1ですから、1000万円です。
そうすることで、長男は保険金によって次男に遺留分を支払うことが可能になり、めでたく遺言どおりに不動産を単独で所有することが出来るのです。

遺留分とは割合を主張できるだけで、請求するものは選べません。遺留分相当の金銭が支払われたら、次男は黙って受け取るしかありません。(金銭を断って、不動産の一部をよこせ、とは言えないのです)

このように生命保険は、相続の際に色々な方法で活用することが可能です。覚えておきましょう。

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