2月 07 2018
亡くなった家族の借金を調べる方法(相続放棄⑪)
亡くなった家族の持ち物を調べていたら、消費者金融のカードが見つかったら、どうしますか?
あるいは、葬儀の後しばらくしたら、消費者金融やクレジット会社から借金返済の請求書が届いたとしらら、どうしますか?
他にも借金があるかもしれないと、すごく不安になりますよね。
このような相談は結構あります。
このままだと高額の借金を相続することになるかもしれない
とパニックになってしまう人もいて、残された家族にとっては深刻な問題です。
不安の1番大きな原因は、一体いくら借金があるのか分からないことです。
どうすれば、解決できるのかを事例をもとに見て行きましょう。
相続放棄するしか方法がない?
夫が死亡、相続人は妻と子ども3人です。
相続財産は夫名義の不動産のみで、妻が住んでいます。現金預金等の財産はほとんどありません。
この状況で、消費者金融2社から100万円相当の請求書が届きました。妻は夫が借金をしていたことも知りませんでした。
請求書が届いたことで、妻だけでなく、独立して生活していた子どもたちも、パニックに陥りました。
他にも借金があるのではないだろうか、あったとしたら、いくらなのだろうか、と。
不動産は借地に建物を建てたもので築年数も古いので、ほとんど価値が無いため、売却して支払うことも難しい状況です。
この状況で子どもの1人が、相続放棄を思いつきました。
借金の状況がわからない以上、この選択は間違っていません。
しかし、相続放棄をすると夫と2人暮らしだった妻が、夫の名義の不動産を失い出て行かなくてはならなくなる可能性があります。相続放棄はマイナスの財産を引き継がなくて良いかわりに、プラスの財産も引き継ぐことはできないからです。
困った妻は「夫の借金は自分が何とか払う」と言い出してしまいました。
相続財産がほとんどないことが、はっきりと分かっていれば、相続人全員で相続放棄をすれば問題は解決します。しかし、相続財産が少しでもあると一気に難しい問題となります。
信用情報機関への開示請求
そこで事務所としては、信用情報機関に開示請求をすることにしました。信用情報機関は代表的なところが3か所あります。それぞれに相続人の代理人という立場で司法書士から開示請求書を送り、他に借金が無いかを調べます。同時に、既に判明している2社に対しては、業者宛に取引履歴の開示請求を出して実際の借金額を計算しました。
信用情報開示請求をすることによって、最初の2社だけであることが確定しました。また、消費者金融2社の取引履歴が開示され、それを事務所で利息制限法に引き直し計算をしたことによって、何と700万円近い過払金が発生していることが判明しました。夫は長い間、借入と返済を続けていたのです。
マイナスの財産つまり借金は無いという結果になり、相続放棄の必要性は無いことが分かりました。過払い金も戻ってきます。家を失う心配も無くなりました。
このように相続財産が少しでもある状態で、故人の借金が発覚すると判断が非常に難しくなることがあります。相続放棄には3か月という期間制限もあるため、早く決断しないと手遅れになる危険もあるので、素早い対応が求められます。
上記の事例で、もし妻が借金を支払って終わらせていたら、本来あった700万円もの過払金は無かったものとして過ぎ去っていた可能性が高いです。
年金暮らしの妻にとっては、経済的に厳しい状況が続くことになったでしょう。
仮に相続放棄をしていたら、支払うものは無くなりますが、妻は住み慣れた家を出ていかなくてはなりませんでした。
借金が発覚=相続放棄がベストでない場合もあるのです。
少しでも疑問が起きたら、専門家に相談してみましょう。












