10月
23
2019
調停調書とは
遺産分割調停が決着すると、その内容を正式な書面に残すために、家庭裁判所が調停調書を作成します。これは、通常の訴訟が行われた時に、和解で決着した場合に和解調書が作られるのと状況は似ています。
調停調書は裁判所のお墨付きのある公的な書面で、大変に強力な効果を持っています。
調停調書の効果とは
調停調書の一番の効果は、相手方が調書の内容を守らなかった場合に、強制執行が出来るという点にあります。
強制執行とは差押のことです。相手方の財産を裁判所の力で強制的に差押えてもらえるのです。
ですから調停調書を甘く見てはいけません。裁判所で決着した以上、例え話し合いの結果だったとしても、訴訟における判決と同様の効果を持つのです。
強制執行の条件
もし相手方が調停の内容を守らなくて強制執行をする段階になったら、条件として調停調書が相手方に送達されていなければなりません(送達とは裁判所が郵送で送ることを言います)。
相手方が受け取っていなければ効果は発揮されないのです。
これは裁判全体に共通する重要なポイントです。
調停調書は自動的に送達されるのか
これは非常に誤解が多いのですが、調停調書は何もしないと送達してくれません。この辺り、裁判所にサービスを期待してはいけません。
送ってもらうためには送達申請が必要です。送達申請とは、申立人と相手方に郵送してもらうように裁判所に申請することです。
調停調書の送達申請は忘れないように
相手方に調停調書が送達されていないと、いざと言う時の強制執行が出来ません。
送達申請は後からでも可能ですが、もし相手方が引っ越して住所が変わっていたり、結婚して氏名が変わっていたりしたら、変更を証明するための手続が新たに必要となり、時間と費用が余分にかかります。
従って、送達申請は必ず調停調書が作成された直後にしておくようにしましょう。
遺産分割について、より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック
↓
遺産分割
10月
21
2019
遺産分割調停における申立の実情
名古屋家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる場合、申立書とは別に「申立の実情」という書類を提出します。
これは、相続人間の争いの原因などを具体的に記載する書面です。
家裁が前もって、争いの内容が分かっていた方が、調停にスムーズに望めるという趣旨で提出を求められます。
申立の実情は相手方には送付されない
申立書は調停が始まる前に、家裁から相手方(申立人以外の相続人)に呼出状と一緒に送付されます。しかし、「申立の実情」は相手方に送付されません。
ですから、申立人は相手方のことを気にすることなく、正直に争いの原因や経緯を書きましょう。
ただし、ウソはいけません。どのみち調停が始まれば、相手方の意見も聞くことになりますので、明らかに矛盾していれば気付かれます。
間違っているのが申立人の方だと判断された場合、調停が不利に進むことになりますから注意しましょう。
不動産がある場合の書類
不動産が遺産に含まれている場合、登記事項証明書の原本と、固定資産評価証明書の原本を提出します。これらの書類は相手方には送付されません。遺産に何があるかは申立書類に記載され相手方に送付されるので、それで充分という判断なのでしょう。
この時、例えば相続登記の場合は、固定資産評価証明書の代わりに毎年送られてくる固定資産通知書を出しても、法務局は受け付けてくれますが、家庭裁判所は受け付けてくれないので注意しましょう。
内容としては同じことが書いてあり、発行元も同じなので、なぜ家裁でダメなのかは正直良く分かりません。個人的には理不尽な感じがしますが、従わないと調停が始まりませんので、仕方が無いでしょう。
遺産分割について、より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック
↓
遺産分割
10月
18
2019
遺産分割調停における必要書類
法定相続人の間で相続分の話し合いが難しくなった場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるのが、一般的な解決法です。
その時に家裁に提出する必要書類の中に、相続財産の証明書類があります。
不動産ならば固定資産評価証明書等、預貯金ならば残高証明書や通帳のコピーなどです。
相続税の申告に使う残高証明書とは異なる点に注意
相続税の基礎控除を超えていて、相続税の申告が必要な場合に添付する預貯金の残高証明書は、死亡時の金額が記載されているものです。相続税は死亡時の財産に対して、かかってくるものだからです。
しかし、遺産分割調停は現在ある相続財産の分け方を決めるものなので、残高証明書の金額は、家裁への申立直前の日付のものが求められます。
一般的に残高証明書というと死亡時の金額を記載したものが多いので、この点は注意が必要です。
なぜ遺産分割調停の残高証明書は申立時の金額なのか
遺産分割調停は、あくまで存在している相続財産の分け方を決める制度だからです。
このように説明すると、「それならば、調停になる前に先に引きだして使ってしまった相続人が有利になるのでは」と思う人がいるでしょう。しかし、それは誤解です。
遺産分割調停の席では、「先に引き出して使った人がいたら、そのことも含めてバランスを取るには、現在の預貯金をどのように分けるべきか」ということも考慮に入れて話し合うことは可能です。
遺産分割調停では、きちんと自分の意見を主張しよう
遺産分割調停が始まったら、調停委員は法定相続人全員の意見を聞きます。調停委員にとっては、参加者とは始めて会う訳ですから、話してくれない限り事情は分かりません。話さなかったことは、無かったこととして扱われます。
ですから調停委員には、きちんと情報を伝えなくてはいけません。もし先に余分に使ってしまった相続人がいるならば、はっきりと伝えましょう。
(ただし先に使われた財産が、亡くなられた人のために使われた正当なものならば、それは分け方に影響がありません。覚えておきましょう。)
遺産分割について、より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック
↓
遺産分割