3月
27
2020
相続放棄の後に訴えられることがある
家庭裁判所で相続放棄が認められても、それで請求が止まる訳ではありません。あなたが相続放棄をしたことを知らない債権者は当然請求をしてきます。それどころか裁判をしてくることも実際にあります。
裁判をされても放置してしまった
「例え裁判をされても自分は相続放棄したのだから大丈夫」、このように考えて放置してしまう人がいます。これは大変に危険な行為です。後で取り返しのつかないことになる恐れがあります。
放置したら、どうなるのか?
多くの人が誤解していますが、実は相続放棄が裁判でひっくり返ることがあります。相続放棄は、水戸黄門の印籠のように完璧ではないのです。通常の請求に対しては拒否することができますが、裁判に訴えられたらきちんと反論しないと負けることもありえます。
裁判では、放置して何も反論しなかったら負けを認めた、と判断されるというルールがあります。従って、放置したら裁判は必ず負けます。しばらくすると負け判決が郵送されてきます。
裁判に負けたら、どうなるのか?
相続放棄と裁判の判決を比べた場合、裁判の判決の方が法的な力は強いのです。従って、負け判決が出た場合、例え相続放棄をしていても、裁判で負けた請求については支払わなくてはなりません。
相続放棄の後に裁判されたら専門家に相談しよう
相続放棄は家庭裁判所が審査した結果ですから、きちんと反論すれば裁判で勝てる確率は高いです。ですから放置して負けてしまうのは非常にもったいないと言えます。
相続放棄の後に裁判されたら、勝つためにも早めに専門家に相談するのが得策です。
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3月
18
2020
遺産分割審判とは
遺産分割協議が相続人の間でまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。しかし、遺産分割調停をしてもなお、話がまとまらない場合もあります。
このような時に裁判官が相続人の話を聞いて最終的な判断を下すことを審判と呼びます。
不動産の遺産分割がまとまらない場合
家庭裁判所で遺産分割調停を行っても分割方法が決まらない場合、遺産分割審判に移行しますが、不動産の場合は少し注意が必要です。なぜなら、不動産は換価分割されることが多いからです。
換価分割とは
不動産の場合、残したまま分割しようと思ったら共有持ち分にするしかありません。しかし、住むつもりが無い相続人にとっては共有持ち分でもらっても、あまり意味がありません。
そこで、不動産を売却してお金に換えて、そのお金を各相続人に分配するのが換価分割という方法です。
審判は換価分割になることが多い
不動産の遺産分割でもめている場合、特定の相続人がまとまったお金が欲しいというケースが多いです。
例えば、A、B、Cと相続人がいて、Aが自分が住むために不動産を相続したいという希望を持っていたとすると、調停の段階では、AがBとCに金銭を渡して調整するという方法が取られることが一般的です(この方法を代償分割と言います)。
しかし、AがBとCに渡せる金銭が無い場合、話し合いがまとまりません。このような時に審判になることが多いので、審判では換価分割になることが多いのです。
審判では不動産は競売になることが多い
審判になるということは調停で話し合いがつかなかった、ようするに喧嘩している状態が続いている、ということです。こうなると、不動産の任意売却は難しくなります。なぜなら任意売却は相続人全員の同意が無いとできないからです。
すると、残された手段は裁判所による競売しかなくなります。ただし不動産の競売は一般的に任意売却の7割くらいの評価でしか売れないと言われています。
不動産がある場合は、調停で決着をつけた方が得
「任意売却の方が得になるなら、相続人全員が同意するのが普通なのでは」と思った人も多いかもしれません。しかし、そのような合理的な判断で納得できるようならば調停の段階で話がまとまっているはずなのです。
遺産分割の争いというのは得てして感情的なもので、だからこそ長引いていることが多いのです。だから「一見、損になるのになぜ」と思われるのに審判では競売になってしまうケースが珍しくありません。
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3月
13
2020
遺言執行者は相続登記ができるのか(旧法の場合)
実は相続法改正前は遺言執行者が相続登記をすることはできませんでした。遺言による相続登記は、遺言で指定された相続人から申請するしか方法がなかったのです。
(指定された相続人が司法書士に委任することは可能です。しかし遺言執行者が司法書士に委任することはできませんでした)
遺言執行者は相続登記ができるのか(新法の場合)
令和元年7月1日に改正相続法が施行されました。これにより従来の取り扱いが変更になり、遺言執行者でも相続登記の申請をすることが可能になりました。これを受けて、遺言執行者が司法書士に委任することもできるようになりました。
旧法か新法かは、どうやって判断するのか
こうなると旧法で行うのか、新法で行うのかの判断が重要になります。
基準としては、遺言書作成の時期が令和元年7月1日以前であれば旧法の取り扱いになります。この場合は遺言執行者は相続登記を申請することができません。
一方、遺言書作成時期が令和元年7月1日以降であれば、新法の適用になります。この場合は遺言執行者が申請することが可能です。遺言執行者が司法書士に依頼することも、もちろん可能です。
このように遺言執行者の登記申請に関しては、旧法か新法かで取り扱いが大きく変わるので注意が必要です。
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3月
11
2020
相続では割と良くあるトラブルです。
他の相続人が遺産を使い込んでしまったというものです。
「その分を返せ」と請求したところ、相手が聞く耳を持たなかったので、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるべきか、という相談を受けることがあります。
「遺産の使い込み」は遺産分割調停では解決しない
意外と思われる方も多いと思いますが、実は「財産の使い込みは遺産分割調停の範囲外である」、というのが家庭裁判所の見解です。
使い込みは遺産分割の前提条件についてのトラブルで、遺産分割そのもののトラブルではないと考えられているのです。
分かりやすく言うと、
「そもそも財産がどれだけあるかが決まってなければ遺産分割は始まらないのだから、財産の範囲を決めてから調停を申し立ててくれ。」
と裁判所は言っているのです。
遺産分割調停は決まっている財産の分け方を話し合う場所であって、財産の範囲を決める場所ではないということになります。
「遺産の使い込み」を解決する方法は?
遺産分割調停では解決しないとすると、遺産の使い込みを解決する方法は何があるのでしょうか。
もちろん、使い込んだ相続人が認めて自主的に返還してくれるなら問題ありません。しかし、多くの場合、素直には返還に応じないでしょう。
そのような時は、民事訴訟になります。
訴訟の種類は不当利得返還請求訴訟になる場合が多いようです。
使い込みをされた相続人が原告となり、使い込んだ相続人を被告として訴訟を起こす訳です。この訴訟で決着をつけて遺産の金額を確定させて、それから初めて遺産分割協議が始まることになります。
遺産分割のみを対象とした訴訟は無い
これも意外に思う人が多いかもしれませんが、実は遺産分割のみを対象にした訴訟というのは存在しません。遺産分割訴訟というのは無いのです。
相続人と相続財産が確定した後に分割方法で争いが起こった場合は、裁判としては家庭裁判所の遺産分割調停しかありません。いきなり遺産分割審判を申し立てることも制度上はできますが、現実の裁判所の対応では、例え審判を先に申し立てても裁判官の判断で調停にされてしまうケースがほとんどです。
この点は誤解されている方も多いので覚えておきましょう。
遺産分割審判の後に訴訟はできない
遺産分割調停でも話し合いがまとまらなかった場合は、遺産分割審判になります。審判は家庭裁判所の裁判官が最終的な分割方法の判断を下すものです。では審判で決まった後に改めて訴訟を起こすことはできるのでしょうか。
結論から言うとできません。離婚の裁判に詳しい方は意外に思うかもしれません。離婚の場合は離婚調停でまとまらない場合は離婚訴訟を起こすことは可能です。しかし遺産分割の場合は、このような仕組みにはなっていないのです。
従って遺産分割の争いは、遺産分割審判が確定してしまったら、それが最終決着となります。
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