4月
14
2020
死後離縁とは
死後離縁とは、養子縁組を行った養親または養子のうち、どちらか一方が亡くなったとき、生存している養子または養親が家庭裁判所の許可をもらって縁組を終了させることを言います。一般的には、亡くなった側の家族と縁を切りたい場合に使われることが多い制度です。
亡くなった後で、縁を切りたいという理由は様々ですが、お話を伺うと、「縁を切りたいのも、わかります。」という場合が多いです。
今回の記事では、死後離縁に必要な書類についてお話します。
死後離縁の審判書
家庭裁判所に死後離縁の申し立てをして審査で認められた場合、審判書という書類が家庭裁判所から届きます。これは家裁の裁判官が死後離縁の申立に問題が無いと認めてくれた証拠になります。
死後離縁の確定証明書
もう一つ重要な書類として、家庭裁判所が発行する確定証明書があります。これは審判書の内容が確定したこと(覆されないこと)を証明する書類になります。注意すべきなのは、確定証明書は自動的に届くものではないということです。
審判書を受け取った後に死後離縁の申請者自身が新たに確定証明書の申請を家庭裁判書にしなければなりません。
二つの書類を持参して役所に行く
審判書と確定証明書がそろっても、まだ終わりではありません。
次に本籍地のある役所に二つの書類と一緒に離縁したことを申請します。この申請が終わって初めて戸籍の記載が変更になり離縁が公式に記録されることになるのです。
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死後離縁①
4月
07
2020
家屋の名義を子どもに移す場合
親が土地付きの一戸建てを所有している場合、相続対策として、生前に家屋の名義を子どもに移すケースが結構あります。
築年数の古い家屋だと評価額も安くなっているため、税金の負担もそれほど高くならない事が多いというのも理由の一つです。
将来、売却の可能性がある場合は注意
家屋の名義を子どもに移した場合、将来売却する時に税金面で不利になる可能性があるので注意が必要です。
具体的には、譲渡所得税の3000万円控除という制度が使えなくなります。非常に節税効果の高い制度なので、使えないとかなりの税金を請求される可能性があります。
譲渡所得税の3000万円控除とは
親が生存中に居住用不動産を売却した場合、3000万円控除の特例を使えば譲渡益のうち3000万円までは譲渡所得税がかかりません。例えば、売却して、そのお金で施設に入所する場合などは、この制度を利用すれば税金が少なくて済みます。
因みに、あくまで「譲渡益」なので、譲渡益が出ていない不動産の場合は問題になりません。ただし、譲渡益が出ていない事は書面が必要です。具体的には購入した時の正確な価格が分かるもの(売買契約書など)です。これが無いと譲渡益が出ていると判断されてしまいます。
譲渡所得税の3000万円控除には条件がある
譲渡益が出る可能性がある不動産を持っていて、将来売却する予定があるならば、節税効果の高い3000万円控除の制度は是非使いたいでしょう。しかし、家屋の名義を子どもに移してしまうと、この制度は使えなくなってしまうのです。
では譲渡所得税の3000万円控除を使うためにはどうすればよいのでしょうか。
それは、家屋の一部分でも良いから親の所有のままにしておくことです。たとえ10分の1でも親の所有になっていれば利用可能です。
※上記を満たせば必ず使える訳ではありません。他にもいくつか条件があります
親が死亡後の売却にも同様の制度がある
親が亡くなった後に住んでいた不動産を売却する場合にも、同じような制度があります。住む予定の相続人が無く、被相続人(亡くなった親)の空き家になった不動産を売る場合は、譲渡所得税の3000万円控除が使えます。ただし、いくつかの条件を満たす必要があります。詳細は国税庁のウェブサイトをご覧ください。
この時にも、通常の3000万円控除のときと同様に、家屋の一部が被相続人(亡くなった親)の名義になっていることが必要です。
売る可能性が少しでもあるなら、親の名義は残しておくべき
この制度を使うためには、家屋の名義の一部を親のままにしておかなくてはなりません。将来売却の可能性があり、3000万円控除の条件を全て満たしているならば、子に名義を移すときは、多くても10分の9くらいに留めておくのが良いでしょう。
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生前贈与
4月
07
2020
婚姻20年以上の夫婦の贈与の特例とは
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で居住用の不動産を贈与した場合、2000万円までは贈与税がかからないという制度があります。これ以外に1年間に110万円までは贈与税の非課税枠がありますから、プラスして使えば2110万円分の不動産を贈与税無しで贈与することが可能です。
婚姻20年以上の夫婦の贈与の特例は得なのか
一見、「2110万円も贈与税がかからないなんて、何てお得な制度なんだ。早速、使わなければ」と思えてしまいます。実際に、この制度の人気は高く使う人も多いです。しかし、ちょっと待ってください。本当に夫婦の贈与の特例制度は誰にとってもお得なのでしょうか。
夫婦間には相続の時に1億6000万円もの控除がある
意外と知られていませんが、夫婦間では相続の時に1億6000万円までは相続税がかからないというルールがあります。ですから、ほとんどの世帯では夫婦間の相続では税金がかかりません。
生存中に2000万円分の贈与を急ぐ必要は、あまり無いのです。
生前贈与には贈与税以外の税金がかかる
「贈与税が無ければ得になる」と多くの人が考えてしまう理由として、贈与税以外の税金のことを気付いていない人が多いことがあげられます。
不動産を生前贈与すると、贈与税以外に登録免許税と不動産取得税という2種類の税金がかかってきます。
登録免許税とは
登録免許税とは、不動産の贈与による移転登記(名義変更)をする際に法務局で請求される税金です。登録免許税を払わないと、登記申請自体を受け付けてもらえません。そして贈与の場合にかかる登録免許税は、固定資産評価額の2%です。評価額の高い不動産の場合は結構な金額となります。
不動産取得税とは
不動産を贈与や売買で取得した場合、取得した人に不動産取得税がかかります。金額としては、固定資産評価額のだいたい3%くらいが目安となります。だいたいと書いたのは、様々な軽減措置があるので、個別に検討しないと正確な金額は分からないからです。
相続の場合は税金が優遇されている
一方、不動産を相続で取得した場合は、かなり税金は優遇されています。
例えば登録免許税は評価額の0.4%なので、贈与の時の5分の1で済みます。また不動産取得税については相続で取得した場合は非課税となっていますので支払う必要はありません。
これらにプラスして相続税の1億6000万円控除がある訳ですから、夫婦間の税金に関しては圧倒的に相続で取得した方が有利です。
夫婦間の不動産の贈与は税金以外の理由が必要
このように税金面では例え婚姻20年以上の特例を使ったとしても相続で取得した方が有利ですから、夫婦間で不動産の贈与をするならば税金以外の理由が必要です。
人は合理的な考えだけで行動する訳ではありませんので、感情的な理由で贈与することがあっても構わないと私は思います。ただしその場合は「税金面で得する訳ではない」、ということは分かった上で贈与を行ってください。そうしないと後で後悔することになります。
古い家屋の場合は、それほど問題にならないかも
どうしても生存中に贈与したい、という希望をもっている人からの相談は実際にあります。特に築年数の古い家屋のみの贈与の場合は税金の額が小さいので、強い希望があれば贈与を選択しても良いかもしれません。
築年数の古い家屋の場合、評価額がかなり低いことが多いので、登録免許税や不動産取得税が安く抑えられるからです。
同じ理由で利用価値の低い土地の場合も評価額が低いので検討の余地はあるでしょう。
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生前贈与
4月
06
2020
親の持ち家を子がリフォームする時の注意点
親の持ち家を子がリフォームするケースは珍しくないと思います。この場合、持ち家を親の名義のままで行うと、子から親への贈与と判断されて贈与税が課税されてしまいます(子が資金を出した部分が親の名義になるため)。
贈与にならないためには
贈与税を防ぐ手段としてよく使われるのが、持ち家の名義の一部を親から子に移して、親子の共有名義にする方法です。この際、司法書士に生前贈与の登記を依頼するのが一般的です。
共有持ち分の割合がポイント
この時、持ち家の名義のどれだけの割合を子に移すのかが重要なポイントになります。子が提供したリフォーム資金とバランスが取れるような持分割合にする必要があります。適切な割合を算出するのは素人ではなかなか難しいので、税務署に相談するのが確実でしょう。
リフォームローン控除とは
更に子がリフォーム資金を銀行ローンで工面した場合は、リフォームローン控除を受けられる可能性があります。リフォームローン控除の期間は長いので、節税効果が非常に高く、可能性があるなら受けた方が良いでしょう。
リフォームローン控除を受けるためには
リフォームローン控除を受けるには、自分の家のリフォームでなければなりません。親の名義のままリフォームしたらリフォームローン控除は受けられないのです。従って、親から子への名義変更はリフォームの前にやっておく必要があります(とても重要なポイントです)。
また、控除を受けるためには、子がリフォーム後の家に住む必要があります。
他にも細かい条件がいくつかありますので、詳しく知りたい方は税務署に相談しましょう。
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4月
02
2020
遺産分割調停では待合が別室になる
遺産分割調停では、「申立人」と「相手方」で待合室が別室になります。調停を申し立てるくらいですから、申立人と相手方は争っている状態と考えられ、その人たちを同じ待合室にしてしまったら、調停が始まる前からケンカが始まってしまうだろう、ということで別室にしているのです。家庭裁判所の配慮と言えます。
初日は出頭時間もバラバラにしている
遺産分割調停の初日は、申立人と相手方それぞれから順番に言い分を聞くことになります。相続人全員で顔を合わせるのは、調停委員が「妥協できそうだ」という感触を得てからになります。
初日は最も感情的な対立が激しいので、家庭裁判所に出頭する時間もずらしてあるのが一般的です。
遺産分割調停は法定相続が基本
遺産分割調停では遺産の範囲を争うことはできません(遺産分割⑨のブログ参照)。調停で話し合われるのは遺産の分け方です。そして、ほとんどの場合、法定相続分を元にして進められていきます。
従って、法定相続分よりも多い遺産を取得しようと思って遺産分割調停に参加すると、期待を裏切られることになるので注意が必要です。
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4月
01
2020
法定相続情報証明とは?
法務局で取得できる家系図のようなものです。
相続が発生した人が誰で、相続人が誰なのか、相続人の立場はどうなのか(子供なのか孫なのか、兄弟姉妹なのか甥姪なのか)、などを表した書面になります。
法定相続情報は自分で作る
法定相続情報は、戸籍のように役所が勝手に作ってくれるものではありません。家系図自体は申請する人が自分で作らなくてはなりません。しかも法務局が指定した細かいルールがあり、そのルールどおりに作らないと却下されてしまいます。法務局の審査を通過する家系図を作るのは結構大変なので、専門家に作成を依頼する人も多いです。
審査が通ると、自分で作って出した家系図に法務局が証明印を押してくれます。この証明印が押されたものが法定相続情報証明と言われ、公的な書類として通用します。
法定相続情報証明は何に使うのか
法定相続情報証明が最も使われるのは銀行の相続手続きです。銀行の相続手続きは、複数の銀行に行くことが多いので、その度に戸籍や住民票を持参するのは非常に手間がかかります。なぜなら相続における戸籍は一般的に通数が多いからです。
また、銀行の相続手続きは非常に時間がかかり、だいたい1時間近く窓口で待たされるのが当たり前になっています。これは相続人が正確かどうかを調べるのには専門知識が必要で時間がかかるからです。
この時、法定相続情報証明を銀行に持っていくと、かなり時間の短縮になります。法定相続情報証明は事前に法務局が審査しているので、銀行が改めて相続人の審査をする必要が無いからです。戸籍を銀行に提出する必要もありません。
兄弟姉妹や甥姪の相続にも良く使われる
兄弟姉妹や甥姪の相続手続きは非常に大変です。取得しなければならない戸籍の数も多いですし、家系図も複雑になります。書類の数が多くなりますから銀行の待ち時間も、より長くなります。
このような場合、法定相続情報証明を使えば、持参する書類も少なくて済み、時間も大幅に短縮できます。
今のところ無料で利用できる
法定相続情報証明の取得は、今のところ無料になっています。法務局が利用を促進したい、という希望を持っているからです(将来は有料になるかもしれません)。
その代わり、家系図の作成には法務局は手を貸しません。あくまで自分で作って持ってきたものを審査して、ルール通りに作られていれば証明印を押すというやり方です。
法定相続情報証明のよくある使い方
法定相続情報証明は一度作ってしまえば全ての銀行の相続手続きで使えますので、その後の銀行の手続は自分でやるけど、法定相続情報証明だけは専門家に頼むという人も最近増えてきています。
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https://www.hashiho.com/inherit/megihenko