7月
18
2012
株式会社ギルド(旧ヴァラモス)の控訴審判決が最近、出ました。結果は全面勝訴でした。やれやれというのが正直な感想です。
ギルドは旧ヴァラモスが最近、商号変更になったものですが、1審で勝訴判決を取っても全く支払う素振りを見せず控訴してきました。(控訴とは、第1審の判決が気に入らなかった場合に、もう一度、上の裁判所で審理をやり直してもらうことです。今回の場合、簡易裁判所が1審だったので、控訴は地方裁判所で行われます)
以前、ヴァラモスの時代は控訴などされたことが無かったのですが、よほど経営が苦しいのでしょう。まさに時間稼ぎとしか思えません。控訴審で争点になったのは、何と過払金の金額ではなく、実際に支払っていたのが依頼人の姉だったので、依頼人ではなくて姉に支払うべきだというものでした。(こうなると、まさに嫌がらせ以外の何物でもないと言えます。何しろ過払金は満額認めると言ってるのですから)
しかし、依頼人が、確かに姉から受け取ったという証拠を出せと主張したら、電話の通話記録を出してきて、依頼人が「姉が支払う」と言ったという記録を出して証拠だと主張してきました。しかし、その記録には、途中で支払いが止まった時に、姉が「妹には請求しないでくれ」と言ったところ、旧ヴァラモスは、「あんたは関係ない。契約者は妹さんだから、妹に請求する」と言っていたことまで記載されていました。これはヴァラモスには予定外だったでしょう。(ヴァラモス自身が妹が契約者だと認めていたことになりますから)
最終的には勝訴判決で、「過払金は契約者である妹に支払え」という結果でした。その理由は、「1審でヴァラモスは妹からの請求であることを争っていなかったので、これが自白に当たるというものでした。そして、その自白が錯誤に陥ったものとは言えない。何故なら、全ての返済が姉からのものであったのかが、ヴァラモス自身も、はっきりとは証明できないから」と書かれていました。ちょっと私の書いた書面の主張とは違うところが理由になっていましたが、まあ勝ったのだから、良しとしましょう。
しかし、これからがまた大変です。ギルド(旧ヴァラモス)が素直に支払ってくるとは、とても思えません。さて、いくら回収できるか、今から頭が痛いです。
7月
13
2012
クレジットには一般的にショッピングとキャッシングの両方の機能があります(一部、キャッシングのみ、とかショッピングのみ、といったカードもあります)。そこで、たまに勘違いされている人がいるので説明をしておきますが、いわゆる任意整理とか過払金返還請求が出来るのはキャッシングの取引です。
何故かと言うと、ショッピングには、そもそも、利息制限法の適用が無いからです。しかし、人は不思議なもので、キャッシングだと、ものすごい高い利息でも借りる人が必ずいるのに(だからこそ、利息制限法が必要なのですが)、ショッピングでは特に利息を制限していなくても、高い利息を取ると利用する人が勝手にいなくなります。ようするに、ショッピングの利息は制限しなくても、自由競争にしておけば、そんなに高くならないのです。事実、利息制限の無いショッピングの方が、利息制限のあるキャッシングよりも、ほとんどの場合、利率が低いのです。
従って、ショッピングで借金を膨らませてしまった人は、返せなくなった場合、自己破産か個人再生を検討することになります。これ以外には法的には解決方法はありません。
ところが、最近の過払金請求の流行によって、何でも任意整理で解決するという錯覚を持ってしまった人が、かなりの割合で存在します。この人達を説得するのが結構、大変なのです。
貸金業法が改正されて、利率も下がり、過払金請求は年を追うごとに減少しています。ということは、任意整理で解決できる人の数も減少しているということです。もはや、司法書士や弁護士に任意整理を頼めば、借金の問題は、ほとんど解決するという時代は過去のものとなりました。
しかし残念ながら、一般の人の意識はそう簡単には変わりません。まだ、昔の感覚を引きずってしまっている人が多勢います。もちろん、今でも任意整理で解決できる人はいます。過払金が戻ってくる人もいます。しかし、明らかに割合が低くなっているのです。
実は、過払金請求が流行る前の、ほんの7~8年前には借金の整理と言えば、8割ほどは自己破産という時代がありました。その頃は、皆さん、わりと覚悟が出来ていた人が多かったように思います。しかし、今は、任意整理で解決すると思い込んでいる人が多いので、いざ、「あなたの場合は、破産か再生になります」と言うと、なかなか納得されない場合が多くなっています。
しかし、借金は放っておいても、なくなる訳ではなく、むしろ、返済が苦しいからこそ相談に来られている訳ですから、時間を空ければ、かえって金額が増えてしまうことが多いです。法律専門家に「破産か再生しかない」と言われたら、大抵の場合それは正しい判断でしょうから(よほどいい加減な法律家に当たらない限り)、覚悟を決めて頂くのが、結局、一番の解決方法になると思っています。
7月
06
2012
7月5日付で株式会社クラヴィス(旧クオークローン)が大阪地裁に破産の申立をして倒産しました。
今回は武富士の会社更生や丸和商事の民事再生と異なり破産なので、クラヴィスは存続せず会社は消滅します。消費者金融の破産は、以前にはSFコーポレーション(旧三和ファイナンス)の例があります。
クラヴィスは、かなり前から過払金の支払いが非常に悪く、判決を取ってもほとんど払わないので有名な業者でした。いつ倒産してもおかしくないとは考えていましたが、ついにという感じです。
破産の場合、会社更生や民事再生以上に分配金が期待できません。分配金がゼロという可能性もあります。クラヴィスに過払金債権を持っている人は、この点、覚悟が必要でしょう。
あと、クラヴィスに対して残債務が残っている人は、その債務は無くなりませんので注意して下さい。むしろ、裁判所が破産者の財産確保として回収を強く求めてきますので、以前よりも取立てが厳しくなる可能性すらあります。一見、理不尽に思えるかもしれませんが、破産者の貸付金を回収させるのが裁判所の役目なので、破産手続上は筋の通った話なのです。
まさに、倒産ラッシュという表現が適切だと思えるような状態になってきた消費者金融業界です。最早、生き残るのは銀行系のアコム・プロミス・レイクくらいなのではないかと噂されているようです。アイフル・CFJも危ないと言われながらも意外に持ちこたえていますが、いつ倒産するか分かりません。アイフルやCFJとの取引期間が長い人は、なるべく早く過払金の請求を考えた方が良さそうです。
7月
05
2012
高齢化社会をむかえて認知症の問題も最近では良く聞くようになりました。あるいは、意識ははっきりしていても、脳卒中。脳梗塞などの後遺症で話すことや字を書くことが困難になっている高齢者も多く存在すると思います(先日、事務所にも、このような相談がありました)。
このような認知症や後遺症の高齢者が借金があった場合は、債務整理はどうなるのかという質問は結構多いのです。確かに、認知症の場合は本人の意思確認ができませんし、後遺症で話せないし字も書けないという場合は意識があっても委任状をもらうことができません。
では、あきらめなくてはならないのかと言うと、成年後見という方法があります。最近マスコミなどでも取り上げられるようになってきましたので、言葉は聞いたことがあるという人もいるでしょう。
成年後見とは上記のような自分で意思表示が出来ない人に代わって裁判所が後見人という人を選任して、その人が代理人となって本人の意思表示をするという制度です。後見人には家族がなっているケースも多く見られます。
裁判所が後見人を決めれば、後見人によって債務整理をすすめていくことが可能になります。特に、この制度が効果的なのが、意思表示の出来ない高齢者が長期間の取引を消費者金融やクレジットからしていて、過払金の発生の可能性が高い時です。
後見人が本人に代わって過払金の請求が出来るようになりますので、本人の治療代や入院費などの負担で大変な家族には非常にありがたいことでしょう。もし、当てはまる人がいたら、検討してみる価値は充分にあると思います。
6月
26
2012
最近はデフレ不況が長引いていますので、中小企業の倒産も増加しています。そこで以前よりも法人破産(会社破産)の相談が増えてきています。
会社破産は個人破産と比べると事務手続は膨大なものになります。正直、2倍や3倍ではきかないでしょう。あまりにも大変なので、取り扱っている事務所も少ないと思います。
従って、会社破産の報酬は一見、個人破産よりも高く見えますが、現実の事務処理の大変さを考えたら実は個人破産よりも割安だと思います。積極的に引き受けている事務所が少ないという事実が何よりの証拠になります。もし、報酬が割高だったら、喜んで引き受ける事務所がもっと増えるでしょう。
私の場合、司法書士で引き受けることが可能な規模の会社ならば出来る限り引き受ける方針です。もちろん、大規模な会社の破産などは会社破産専門の弁護士の領域ですから、私は手を出しません。無理に手を出せば、かえって依頼人に迷惑がかかりますから。(そもそも、そういう会社は最初から顧問弁護士がいるでしょうから、私のところに来る可能性がありません)
会社破産の難しいところは事務処理が個人破産よりも破格に多いにもかかわらず、大抵の場合、準備期間が短いことです。ようは莫大な量の事務処理を素早くやらなければならないのです。これは、会社の場合、利害関係人の種類が多く、個人と違って貸金業者以外の利害関係人がからんでいるからです。
例えば、会社の従業員は自分の勤めていた会社が倒産する訳ですから、おとなしくしている訳はありません。未払いの給料などがあったら矢のような催促をされます。
他には、買掛金のある取引先は、破産会社が買掛金を払わないことによって自分の会社の資金繰りが回らなくなってしまう可能性があります。下手をしたら連鎖倒産してしまうかもしれません。彼らにとっては死活問題ですから、会社破産における買掛金の取引先は、ある意味、サラ金よりも取立てが厳しいのが普通です。中には勝手に事務所に押し入ってきて什器・備品を持ち去ってしまうような取引先もいるのです。
こんな事情がありますから、事前に破産を準備していることを従業員や取引先には知られないように進めていく必要があるのです。引き受けたらすぐに、受任通知を債権者に送ってしまう個人破産とは、ここが決定的に違います。秘密にすると言っても限界がありますから、だからこそ、会社破産は早くやる必要があるのです。
6月
21
2012
以前にもブログで紹介しましたが、いよいよ7月1日からプロミスがSMBCコンシューマーファイナンスと商号を変更します。これで完全に三井住友銀行の消費者金融部門という位置づけになる訳です。
だからと言って、いきなり全国の看板がSMBCコンシューマーファイナンスになる訳ではなく、利用者にとっては慣れ親しんだ「プロミス」という名称もブランド名として残すようです。従って、利用者は会社の商号が変更したことに、しばらくは気が付かないかもしれません。
さて、銀行の一部門になったプロミスは営業的には何か変わるのでしょうか。コンプライアンス(法令順守)が、より厳しく求められることになるのは間違いないでしょうから、その辺りは期待したいところです。
ただ、銀行が今まで慣れていなかった強引なやり方に引きずられる可能性も無いとは言えませんので、今後のあり方を注視する必要があるでしょう。
5月
28
2012
専門家の立場から判断した場合、どう見ても自己破産しか解決方法が無い、という人がいます(自己破産なら助かるという意味でもあります)。しかし、本人が、どうしても納得しない場合があります。このような時、どうすれば良いのでしょうか。
世間体を気にしている場合は、「戸籍には載らない」とか、「会社にも知られない」、「選挙権も失わない」などを説明することによって、気持ちが変わることも多いのですが、問題なのは、現時点で支払能力が全く無いにもかかわらず、個人再生や任意整理などの分割払いの方法を強く希望される人がいることです。
上記のようなケースは決して珍しくなく昔からあります。このような場合、私は特定調停をすすめることにしています。何故なら、支払えないということを本人に納得してもらう以外に方法が無いからです。
特定調停を自分でやることによって、支払能力が足りないことを自覚してもらうのが目的です。まともな調停委員に当たれば、1回目の期日で、本人の支払能力に対して説明した上で却下してくれることが多いでしょう。本人も、裁判所が無理だと言っているので、納得しやすいのです。やるだけのことをやってみたけど、ダメだったというのも納得するには重要なことです。
特定調停の場合、例え却下されても費用は数千円で済みますし、本人が不充分な気持ちのままで、専門家が破産を強制することと比べたら、安いものではないでしょうか。
また、調停委員が甘い人で、普通に考えたら無理な分割払いを認めてしまった場合は、どうするのかという指摘がありそうですが、実は、これもあまり問題にはなりません。
そもそも、無理な分割払いを認めた調停委員が一番の責任を取るべきですが、仮にそういうことがあっても、一度、分割払いを始めてみて、それでも、やっぱり支払えなかったという現実に直面することで、本人が、「ああ、あの時、司法書士さんが言ってたことは本当だった。やっぱり自分には支払いは無理だった。」と納得することが出来ます。それから、自己破産することも可能なのです。むしろ、ぎりぎりまで支払の努力はしたということで、裁判所の破産係の印象も良くなると思われます。
実際に、特に専門家の相談を受けずに特定調停を始めた人が、途中で支払が出来なくなって、その時点で始めて専門家の相談を受けに来るという事例は思ったよりも多いです。従って、特定調停をやった後に結果的に破産に至るのは、全国単位で見れば、かなりの数にのぼっていると思われます。それでも特に不都合は無く、破産が認められています。
債務整理の相談というのは、どれだけ法律的に正当であっても、むりやり強制するのは正しい解決方法ではないと私は思います。もちろん、専門家の立場で説得するのは必要でしょう。しかし、それでも納得できないと言う人は、少数ながら、どうしても存在します。そのような人には上記のような柔軟な対応も時には必要ではないでしょうか。
5月
22
2012
三菱UFJニコス株式会社というクレジット会社があります。まあ、ニコスカードと言った方が分かりやすいかもしれません。結構、メジャーなクレジット会社ですから、ご存知の人も多いでしょう。今、ここと過払金訴訟で争っています。
以前は、メジャーなクレジット会社は訴訟を提起すれば、あまり争わずに割りと早い段階で満額に近い金額で和解できたものでした。しつこく争ってくるのはオリコくらいだったでしょう。
ところが、最近はクレジット会社であっても経営が苦しくなってきたせいかどうか分かりませんが、結構、争ってくるようになりました。
今回も、ニコスは弁護士を立てて争ってきました。弁護士を立てたということは、そこで費用が発生しているでしょうから、そう簡単には和解できないだろうと予想されます。実際に、第1回口頭弁論前に20ページ近い準備書面を送りつけてきました。まさに、戦う気、満々です。
こちらも負けじと、かなり時間をかけて反論の準備書面を書いて、弁護士事務所に送りましたが、さて、結果はどうなりますか。
ニコスとしては、例え弁護士費用を払ったとしても、それ以上に過払金を減額してもらわないと困るという会社の方針なのでしょう。もう、素直に訴訟の金額を払う訳にはいかないということを明らかにした訳です。
それでも、こちらとしては、依頼人の期待に答える為にも、なるべく満額に近い金額で和解に持ち込む為に、いろいろ反論していくつもりです。
この件に関しては、また後日、報告したいと思います。
5月
15
2012
ご家族の中に長期間、消費者金融やクレジット会社との取引を行なっていた人がいて、その人が認知症になっていた場合、どうしたら良いか分からないという相談が最近、増えてきています。高齢化社会が進んでいる以上、避けられない問題かもしれません。
このようなケースでは、取引をしていた家族は高齢の場合が多いので、取引期間も長く過払金も高額になっているケースが多いので、他の家族も簡単にはあきらめられないでしょう。特に今は日本中に不景気の嵐が吹き荒れている状況ですから、苦しい家計の少しでも足しにしたいと考えるのは、ごく自然な行動です。
では、どうしたら良いのかと言うと、認知症になっている家族の為に成年後見人をたてるという方法があります。
成年後見人とは自分で判断の出来なくなった人の為に、家庭裁判所の審判で選任される後見人のことです(厳密には、これ以外にも任意後見があります)。成年後見人は、判断の出来なくなった本人に代わって各種の法律行為をすることが出来るようになります。
以外に知られていないようですが、認知症の進んだ人は法律家に仕事を依頼することが出来ません。仕事を依頼するのは法律上は委任契約と言いますが、委任契約は、判断の出来る人が自分の意思で行う必要があるのです。従って、認知症の人が過払金の請求者の場合、もちろん自分で裁判所での質問に答えることは出来ませんので、まさに八方ふさがりになってしまいます。
従って、法律家に仕事を依頼する為にも後見人が必要になります。後見人が本人に代わって法律家と委任契約を結ぶことになります。
5月
10
2012
株式会社アオバという地場の街金融相手に過払金請求を行っています(ヤミ金融じゃありません)。典型的な小規模零細の街金融で、店頭窓口での貸し借りが主流の業態です。
ここが予想通り、過払金を全く払おうとしません。まあ、この手の小規模街金融の経営が、よろしくないことは、こちらも理解はしていますが、さすがに1円も払えないということはありえないでしょう。全く回収できないとなると、黙っている訳にはいかなくなります。
それで、店舗に対して動産執行を2回かけてみたところ、2回とも空振りに終わりました。それでもプレッシャーにはなっただろうと思って少しの支払いを期待したのですが、やはり全く払おうとしません。街金融、恐るべしという感じです。
いかにも、「やれるもんならやってみろ」と言わんばかりの開き直った態度に、私も腹が立って来て、ついに財産開示を申し立てました。これは以前にもブログで、ご紹介したとおりです、。(同業者でも、なかなか財産開示までやって請求する事務所は少ないと思います。相手も、びっくりしたでしょう)
もとより財産の開示など期待しておらず、あくまで過料の制裁を下してもらう為の手続です。過料の制裁は行政罰で、車の駐車違反の反則金のようなものと思えば分かりやすいでしょうか。ようするに前科にならない罰金のようなものです。
過料の制裁は裁判官の判断次第なので、財産開示を申し立てたからと言って必ず出される訳ではありません。開示期日の裁判官の態度を見て微妙だなと思っていましたが、先月、めでたく過料の制裁が決定したとの知らせを受けました。
これで、少しは懲りて支払う気になったかと期待したのですが、残念ながら私が甘かったようです。やっぱり支払ってきません。過料を支払うくらいなら、少し負けた金額を、こちらに支払った方がマシではないかと思ったのですが、どうも常識が通用しない相手のようです。それとも、国家の制裁である過料すら踏み倒すつもりなのでしょうか。
このまま諦めるのもしゃくなので、次は何をしてやろうかと考えているところです。