司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

12月 05 2011

臨時ニュース 平成23年12月1日最高裁判決

最近の過払金訴訟で貸金業者側がしてきた主要な反論が二つあります。

一つは、取引の途中で空白期間があった場合の取引の分断の主張、もう一つは、悪意受益者の利息に対して、当時は悪意だと考えていなかった特段の事情があるから、やむを得ない為に利息は支払わないという主張です。

上記2大反論のうち、悪意受益者の利息について、この度、最高裁判所が決着をつけました。結論から言うと、貸金業者は、きちんとした法定書面を交付していない場合、悪意ではないと考える特段の事情は存在しない。故に過払金に対する5%の利息は認められる、というものです。

この判決によって、今まで利息に関して、さんざん抵抗してきた業者も今後は支払う方向に向かっていくものと思われます。(もちろん、経営悪化の為に支払能力が無い業者は話が別です。こればかりは、どんな有利な判決が出ようと、どうしようもありません)

しかし、楽観は禁物です。今よりは支払いが良くなるとは思いますが、この判決だけで全ての利息が取れるようになるとは限りません。

例えば、今回は、きちんとした法定書面が交付されていない場合は利息は支払わなくてはならないと判決では言っていますが、裏を返せば、きちんとした法定書面が出ていた場合は支払わなくても良いという解釈も可能な訳です。(この反論は今後、予想されます)

法定書面には2種類あって、17条書面(契約書面)・18条書面(受取書面)がそれにあたります。法律では、これらの書面に返済期間と返済回数の記載が義務付けられていますが、実際には、これらの記載がされるようになったのは、ここ数年のことなのです。

従って、これらの記載がされる前に過払金が発生している取引ならば恐らく問題は無いと思われますが、これらの記載がされるようになった後に過払金が発生する取引の場合は業者の抵抗が予想される訳です。

まだ100%こちらの主張が通ると言う訳ではありませんが、今までよりは格段に良くなったことは確かです。貸金業者との争いは少しずつ前進する積み重ねの歴史でした。一朝一夕に事が進む訳ではありません。今回は素直に喜んで、利息の請求に努めていきましょう。

11月 29 2011

出会い系サイト被害

最近、出会い系サイト被害の相談を受けました。サイトを利用した後、確かに解約手続をして解約の画面も表示されたのに、その後もクレジットの請求が毎月、止まらないというものです。

一口に出会い系サイト被害と言っても内容は様々です。上記のようなケースもあれば、画面が「無料」と表示されていたのに後から料金を請求されたり、あるサイトに登録したら全く関係のない別のサイトに勝手に登録されていたり、退会したいと申し込んだら多額の違約金を請求されたりと色々です。

このようなサイトは、ほとんどが怪しい悪質サイトですが、かなり多くの人が泣き寝入りをして、お金を払って、そのままにしているようです。

特に問題を複雑にしているのが、クレジットの利用です。利用料金の支払は、ほとんどの人がクレジットを利用しています。この方がサイト運営会社も料金が取りやすいからです。しかし、クレジットには意外な落とし穴があります。それは、サイト運営会社とクレジット会社とは全くの別会社だということです。

これが原因で、被害を受けたサイト運営会社に対するクレームをクレジット会社に対して言っても取り合ってくれないことが多いのです。クレジット会社の言い分は「ウチは支払の代行をしているだけなので、文句はサイト運営会社に言ってくれ」ということになります。まあ、一応、理屈はとおっています。だから、やっかいなのです。

しかし、被害者からすれば、金を引き落とされるクレジット会社が一番、困るわけです。

今回のケースではクレジット会社と交渉することによって支払をストップすることが出来ました。しかし、いつも簡単に済むとは限りません。特に最近のクレジットは直接、加盟店と契約している訳ではないケースが多いので、やっかいです。では、実際に加盟店と契約しているのは、どこかと言うと、それを決済代行会社と言います。

決済代行会社はクレジットの明細に書かれている場合もありますが、書かれていない場合も結構あります。書かれていない場合は探すのが非常にやっかいですし時間もかかります。

このように、なかなか大変な出会い系サイト被害ですが、粘れば何とかできる場合も多いので困った場合は専門家に相談してみましょう。

11月 21 2011

裁判所の特徴⑥ 名古屋地方裁判所民事第2部

前に名古屋地方裁判所は、いくつかの部に分かれているという話をしました。しかし今回、取り上げる民事第2部は他の部とは明らかに異なっています。それで単独でタイトルをつけて説明することにしました。

民事第2部は別名、民事執行部とも言います。他の民事部は訴訟を担当する部なので裁判官の考え方のクセのようなもので多少の違いはありますが、やっていることは訴訟の進行ということで共通しています。ところが、民事第2部に関しては、そもそも訴訟を取り扱っていないのです。

第2部で扱っているのは、強制執行に関する業務(差押のことです)と、あとは破産や民事再生に関する業務です。従って、債務整理に関わっている司法書士にとって民事第2部は非常に良く訪れる場所だということになります。

そして、民事第2部は、他の民事部とは建物自体が別棟になっています。これは、全く系統の違う仕事をしているのが一つの理由で、あとは他の民事部よりも取り扱っている事務の量が膨大であることも理由になっているでしょう。(職員も多勢います)

私の知る限りでは東京地裁と大阪地裁も同じように民事執行部が独立して他の建物になっています。名古屋は同じ敷地内の別棟ですが、東京や大阪は全く別の住所の建物に入っています。従って、東京や大阪で破産や差押の書類を持って、地方裁判所を探して行ってみたら、全然別の場所を指示されたということがありうる訳です。(もちろん、きちんと検索すれば、ちゃんとホームページに載っていますが、最初から同じ場所にあると思い込んでしまう人も当然いるでしょう)

ただ、名古屋でも建物が独立して別になっているのは本庁だけです。支部になると訴訟と同じ建物の中にあるのが普通です。

本庁の第2部の建物の最上階に破産係と再生係が入っています。仕切りを一つ挟んでいるだけなのですが、驚くほど交流がありません。情報交換のようなことも、ほとんど行われていないようです。

ですから似たようなケースでありながら破産係と再生係で取り扱いが違ったりします。(例えば、賃貸住宅の敷金が破産係では財産には含まれないのに、再生係では財産に含まれるとか) この辺りが、いかにも役所の縦割りという感じで、融通が利かないなあと思います。

 

11月 17 2011

民事訴訟の基本② 要件事実

基本と言いながら「要件事実」という専門用語のタイトルで面食らった人もいるかもしれません。しかし、この要件事実だけは例え専門用語を使っても民事訴訟にとって避けては通れない部分なのです。

民事訴訟の訴状は要件事実に従って作成されます。要件事実が、きちんと書かれているかどうかで訴状の良し悪しが決まります。素人が訴状を書くのが困難な理由は、この要件事実が、よく分かっていないからである場合が、ほとんどです。裏を返せば要件事実を、きちんと理解できれば素人でも、そこそこの訴状を書くことは可能です。(もちろん、そんなに簡単なことではありません。だからこそ、法律家というものが存在するわけです)

ある出来事を訴状に書く場合、どのような法律を適用すべきかを考え、更に適用する法律が決まったら現実の出来事を法律に置き換えると、どのように表すことが出来るかを考えます。

その際、各法律によって、どのような事実があると権利が発生するかを表したものが要件事実と言います。

恐らく、抽象的で分かりにくかったと思いますので、具体的に、お金の貸し借りを例にして説明してみましょう。

お金の貸し借りのことを金銭消費貸借契約と言います(略して金消契約と言います)。よく銀行のローン契約書に金銭消費貸借契約書と書かれていますので、ご存知の方も多いと思います。金消契約は民法587条に記載されていますので、請求する根拠は、この法律になります。

では金消契約が成立する為の要件事実は何かと言うと、次の2つになります。

1 返還の約束が当事者の間にあったこと。

2 金銭が相手方に交付されたこと

何だ当たり前じゃないかと思われた方がいるかもしれませんが、これが実は当たり前ではありません。例えば売買契約の場合は、2番目の目的物の交付は要件事実にはなっていません。従って、売買契約の訴状を書くときは目的物を相手に渡したかどうかは訴状に書かなくても良いということになります。(相手方の反論を防ぐ為に書いておいても構いません。しかし、絶対に必要な訳ではないということです)

しかし、金消契約の場合は2番目の金銭の交付が訴状に書かれていなかったら、そもそも権利が発生する根拠が無いと裁判所に判断されて、門前払いの可能性が高いでしょう。

このように要件事実とは各法律によって異なっています。それぞれの法律に照らし合わせて適切な要件事実を見つけ出して、不足の無いように訴状に書いていく必要がある訳です。

そして、以前のブログにも書きましたが、要件事実が確かにあったということは、原告に立証責任があります。ここが非常に重要なことです。裏を返せば、要件事実以外のことは証明できなくても裁判の直接の負けの原因にはならないということです。

この立証責任があるからこそ、何が要件事実で、何がそうでないかを確実に把握しておく必要があるのです。

要件事実の立証に失敗した場合(証拠が足りなくて証明できなかった場合)、裁判は原告の負けとなります。この場合、被告は裁判所で否定するだけで構いません。要件事実に関しては原告に立証責任がある訳ですから、被告はただ否定しているだけでいいのです。だから、原告に充分な証拠が無いと分かっている裁判の場合、被告の立場は非常に楽なのです。

ただし、原告が証拠無しでも勝てるケースが少しだけあります。それは、被告が裁判に欠席した場合と、裁判所に出席しても被告が何も反論しなかった場合、あとは答弁書という被告の提出する反論の書面を出さずに放っておいた場合です。

このように被告が何も反論する気持ちが無いという態度を示した場合は、原告の請求を全て認めたものとみなされてしまいます(擬制自白と言います)。刑事裁判では自白が証拠にならない場合もありますが、民事裁判における自白は絶対です。自白をしたら自動的に認めたものとして判決が書かれてしまいます。だから、民事裁判では被告は絶対に放っておいてはいけません。必ず反論しなければならないのです。(放っておいたら、例え架空請求であっても原告勝利で判決が出ます)

さて要件事実と立証責任については分かってきたでしょうか。次は訴えられた場合の被告の対応について考えてみましょう。

11月 07 2011

臨時ニュース 武富士その後⑥

ついに武富士の会社更生に対する投票結果が発表されました。残念ながら結果は、「会社更生認可決定」となりました。非常に落胆しております。これで3.3%という信じがたい配当率が決定されてしまいました。

発表によると、過払債権者の同意率(賛成した割合)は何と88.07%となっています。これは、弁護士・司法書士が代理人となった案件とは、かけ離れた数字となっております。

私の知り合いの同業者に問い合わせても、ほとんどが反対票の方が多く(別に強制した訳ではありません。普通に説明した結果、反対の方が自然に多くなるのです)、むしろ数多くの一般債権者(弁護士・司法書士に依頼しないで武富士に申請した人達)が、武富士からの電話等による強烈な説得を受けた結果であろうと容易に推測できるわけです。(武富士は投票にあたって、かなりの電話攻勢をかけていたと聞いております。恐らく、一般債権者などに焦点をしぼって電話をしていたのでしょう)

私の事務所でも9割の人が反対を表明してきて、むしろ私自身は意外な結果だと受け止めていたくらいです。要は普通に武富士の立場や条件を説明して意見を聞くと、自然に反対の方が多くなる訳です。

まあ、直接、担当者と話して、低姿勢に泣き落としでもされると転んでしまう日本人の性質もあるのでしょう。こういう性質は時には人情深くて良い場合もありますが、反対に物事の本質を見失う結論を出してしまう恐れもあり、諸刃の剣と言えるでしょう。

他には会社更生が失敗して破産になると配当は0円になると担当者が説得していた例もあると聞いています。これが本当なら虚偽の説明です。破産になった場合でも会社の財産調査をして(恐らく破産の方が徹底的な調査をされるでしょう)、明らかになった財産から分配はされる訳です。もちろんスポンサー企業が存在しない分、少なくなる可能性もありますが、0円になるとは限りません。

なにしろ元が低い金額ですから、少なくなったとしても、たかが知れていると考えることもできます。それなら武富士を破産させて、きっちり責任を取らせたいと考える人が実際には、もっと多かったであろうと考えるのが自然ではないでしょうか

今回の認可決定により、傍観していた他の消費者金融は、「武富士は、うまいことをやった。我々も同じ手口で過払金をカットできるのではないか」と考え始めることは火を見るより明らかでしょう。今後、続々と会社更生や民事再生のラッシュが起こるのではないかと心配になります。

特に気になるのが、銀行の支援を受けていない大型消費者金融であるアイフルの動向です。以前から武富士の次はアイフルと噂が絶えなかったので、武富士が会社更生で生き残ったという知らせは、アイフルにとって大きかったのではないでしょうか。

皆さんは、アイフルのカウントダウンの声が聞こえてきたような気がしませんか。

10月 31 2011

差押④ 動産の差押

差押には大きく分けて、債権、不動産、動産があります。

債権とは請求権のことで、代表的には給料(従業員から会社への請求権)・売掛金(売主から買主への請求権)・銀行口座(預金者から銀行への請求権)などがあります。

不動産は説明が不要でしょう。いわゆる、土地・建物のことです。

これらに対して動産とは、簡単に説明すると、債権でも不動産でもないものと考えると分かりやすいでしょう。具体的には家財道具・持ち物は全て動産に含まれます。

以上3つの差押のうち、動産の差押は最も人気がありません。よく、映画やドラマではイメージが分かり易いせいか、動産の差押のシーンが登場します。家中の家財道具に赤い紙を貼っていく例のシーンです。ところが現実の実務では、あんなことはめったに行われないのです。

その理由の最大のものは、回収率が非常に悪いという一点につきます。そもそも換金して価値のある動産など、ほとんどの人が持っていないというのが現実だからです。(そんなものを持っている人は大抵、資産家ですから、そもそも差押の対象になることが少ないです)

皆さんも自分のこととして思い返してみれば、自分の持ち物で換金して、まとまったお金になりそうなものは、なかなか思い浮かばないのではないでしょうか。(今は金が上がっていますから、女性なら金を使ったアクセサリーぐらいでしょうか)

もちろん、金庫やタンスに現金がある人は、現金は動産になりますから差押の対象になります。しかし、まとまった現金を持っている人が差押の対象になることが少ないのは、換金して価値のある動産の時と同じことです。

また、もし、以上のような現金や価値のある動産を持っていたとしても、どこか分からないところに隠されてしまった場合、動産の差押で見つけ出すことは、ほとんど不可能です。

恐らく知らない人のイメージだと差押の執行官は税務署員のような人だと思われているのではないでしょうか。実は私も差押の現場に付き添うまでは、そのように思っていました。税務署員のように徹底的に隠し財産を調べ上げて時間をかけて追求していくのだろうというイメージです。

ところが、実際の動産の執行官は、ざっと建物の中を見渡したら、一言、二言、住人に聞いて、一応、押入れや戸棚や引き出しの中を開けさせて確認はしますが、奥までひっくり返して全て調べるようなことは基本的にしません。非常に表面的で事務的なのです。

これは、税務署員と執行官の勤務評価にかかわっていると私は思っています。

税務署員は文字通り、隠し財産を見つけて税金を余分に取ったら、それは税務署員の成績になります。ようは勤務評定に反映される訳です。おのずと彼らは頑張って探そうとする訳です。

一方、執行官の方は見つかっても見つからなくても一切、評価には関係ないと聞いています。こうなると、人間あまり一生懸命やらなくなるのは当然で、一通り調べて見つからなければ、それで終了となってしまいます。

以上、動産の差押が何故、人気がないのかを説明しましたが、一つだけ意味があるとすれば、それは相手に対する嫌がらせの効果です。

動産の差押は、債務名義(差押の根拠となる書類)を持っている人が裁判所に申し立てれば必ず始まります。見つからなくても何回も申し立てることは一応、可能です。

いくら見つからなくても、裁判所の執行官が何回も家に来て見回られるのは誰だって嫌なものです。しかも、裁判所は、いつ調査に来るかを事前に教えてくれる訳ではありません。(これは当然ですね、教えたら差押の意味がありません)

ある日突然、執行官がやってきて調査を始める訳ですから、税務署に比べて大雑把であっても、何回もやられたらプレッシャーになるでしょう。

まして、相手が事業主であった場合、仕事場に突然、現れるので、仕事の支障になる可能性があります。お客さんがいるところに来たら、相手にはかなりの重圧になるでしょう。

このような方法で相手にプレッシャーを与えて支払を約束させるというやり方もある訳です。(他の方法に比べて遠まわりで面倒ではありますが)

 

10月 24 2011

個人再生における自動車ローンの扱い

久々に個人再生の話題です。

平成22年6月4日の最高裁判決の影響で個人再生における自動車ローンの扱いが変化した裁判所があるようなので注意が必要になりました。(まだ全国の裁判所に広がっているのかどうかは不明です)

注意すべきケースは車検証の所有者の欄にディーラー(販売店)が書かれている場合です。

理屈から考えるとローンが払い終わっていない場合、自動車の所有権はローンの担保としてクレジット会社に留保されている状態です。従って、多くのケースでは車検証の所有者の欄はクレジット会社になっているでしょう。

ところが、ローン未払いの時の車の引き上げや売却の関係で、この所有者欄がディーラーになっている場合も少なくないのです。これが問題をややこしくしています。何故なら、クレジット会社はローンを組んでいる以上、正統な所有権を主張する権利がありますが、ディーラーには無いからです。所有者欄がディーラーになっている法的な根拠を問われても、ディーラーは回答に困ってしまうでしょう。要は事務手続上の問題に過ぎないからです。

しかし、裁判所は法律を厳格に解釈して以下のような判断をくだす可能性があるのです。(実際に名古屋地裁本庁の再生係で、下された判断のようです)

その判断とは、車検証の上でディーラーが所有者となっている以上、クレジット会社に自動車の引き上げや、換金の権限は無い。従って、個人再生の際、クレジット会社が自動車を引き上げて換金するのは、特定の債権者に対する偏頗弁済(一部の債権者に対して多く弁済すること)となり違法である。もし、これを行うならば、クレジット会社が換金して返済された分を清算価値として計上(財産に加えて支払額を増やせということです)するべき、というものです。

このとおり処理すれば、換金された自動車の時価相当額は丸ごと清算価値に上乗せされることになり、自動車の価格によっては支払額の大幅アップに、つながりかねません。

以前の処理では、換金されても清算価値の増加は無く、クレジット会社のローン残額も減って、何の問題もありませんでした。今でも車検証の所有者欄がクレジット会社になっていれば問題なく、この処理が行なわれます。

要は、車検証の所有者欄がディーラーになっているか、クレジット会社になっているかで、やっている処理自体は同じなのにもかかわらず、著しく依頼人に不利になるケースが出てきた訳です。

ただし、清算価値は100万円までは支払額に影響を与えませんので、自動車の時価と、その他の財産を合わせても100万円に届かない場合は心配する必要はありません。今までと変わりがないと考えて良いでしょう。要は安い自動車に乗っている人は、あまり心配いらないということになります。(自分は軽自動車だから大丈夫とは思わないで下さい。軽自動車は最近、人気なので意外に時価は高かったりするので事前に調べた方が良いでしょう)

それにしても、単に引き上げ売却の際の都合で習慣化していた制度を、厳格に解釈して依頼人の経済的再生を、やりにくくしてしまっている裁判所の判断は疑問を感じます。今後、処理を重ねていくと多くの矛盾が出てくると思われますので、その中で少しでも改善されていくことを期待したいと思います。

より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック

http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/

10月 18 2011

臨時ニュース 武富士その後⑤

武富士の更生管財人(会社更生を取り仕切る役目のこと)が、武富士の元役員と大株主を相手に損害賠償請求訴訟を起こしたようです。

これは表向きは、武富士の元役員や大株主にも会社倒産の責任を負わせるというものですが、素直に、そのように評価してよいかは疑問が残ります。

何故かというと、今まで武富士の更生管財人は、過払金債権者よりも武富士に味方していると見られていて、過払金債権者側の弁護士達からは批判の対象になっていたからです。

そのように見られていた更生管財人が一転して武富士の責任を追及する訴訟を提起した訳ですから、「これは何か裏があるのではないか」と勘ぐってしまうのも無理はありません。

予想できることとしては、武富士の会社更生を成功させる為には過半数の賛成票を集めなければなりませんので、賛成票を投じてもらう為にパフォーマンスとして武富士に責任追及をしているという疑いです。

この予想どおりだと仮定すると、管財人は真面目に武富士を追求する気はなく、適当なところで訴訟を終わらせてしまう可能性があるということになります。あるいは非常に低い金額で決着を図るかもしれません。(私は個人的には、予想どおりである可能性が高いのではないかと考えています)

もし予想が当たっていたとしたら、腹立たしい反面、そこまで武富士は賛成票集めに苦労しているのか、という見方もできます。

前回の丸和商事の件でも書きましたが、武富士の会社更生が成功するかどうかは、全ての消費者金融が注目しています。武富士の過払金逃れが、うまくいけば、今後、畳み掛けるように消費者金融の倒産が次々と起こってくるでしょう。(何しろ過払金をカットして会社が存続するのですから)

従って、繰り返しになりますが、武富士の会社更生は、丸和商事の民事再生と同じく、失敗することが好ましいと考える訳です。

 

10月 12 2011

臨時ニュース 丸和商事倒産 その4

民事再生を申し立てていた丸和商事(ニコニコクレジット)ですが、最近、弁済率が発表されたようです。何と武富士をも下回る割合で司法書士・弁護士の間に衝撃が走っています。

具体的には1000万円までの過払金に対しては1.65%、1000万円を超える過払金に対しては1.32%というものです。ほとんどの過払金債権者が1000万円以下だと思われますので、弁済率は1.65%だと考えて良いでしょう。

この弁済率だと仮に100万円の過払金があったとしても、丸和商事からの配当金は、わずか1万6500円ということになります。衝撃が走ったのも当然でしょう。いくらなんでも武富士を下回るとは多くの人は予想していなかったのではないでしょうか。

同じ静岡県のクレディア(現フロックス)の民事再生の時は弁済率が4割だった訳ですから、まさに天と地の差があります。(クレディアは内心、失敗したと思ってるんじゃないでしょうか。もう少し粘っていれば、相当、弁済率を下げられたのではないかと思っていても不思議はないです)

問題は、この非常識な弁済率の再生計画案が果たして認可されるかどうかです。しばらくすると、計画案に賛成か反対かを決める投票用紙が過払金債権者のところに送られてきます。

私の意見は、やはり、この計画案は反対多数で不認可に追い込むべきだと考えます。今回の弁済率が非常識になったのは、やはり武富士の影響が大きかったと思います。武富士の前例が無かったら、丸和商事も、これほど大胆な弁済率は提示できなかったでしょう。

もし、これが簡単に認可されてしまったら、消費者金融各社は倒産すれば過払金から開放されて再出発できると考えてしまうことになります(丸和商事には銀行のスポンサーが決定していて、認可されたら会社は存続します)。

そうなったら、次から次への倒産ラッシュが起こり、収拾がつかなくなるかもしれません。過払金債権者は大打撃を受けることになります。

どこかで負の連鎖を断ち切る必要があります。武富士、丸和商事のどちらか(願わくは両方とも)が、倒産手続に失敗するという前例を作らなければなりません。そうすれば、他の消費者金融も安易な倒産をためらうようになるでしょう。

丸和商事への過払金債権者の皆さん、反対しましょう。こんな不当な倒産を許すべきではありません。

10月 04 2011

臨時ニュース プロミスが銀行の完全子会社に

消費者金融業者の中でプロミス・アコム・新生は比較的安全だと今まで説明してきました。これは、これらの業者には銀行がバックについているからです。しかし、裏を返せば万が一、銀行が見放したら一気に経営が傾く可能性もありました。

最近の消費者金融の経営状態の悪化は世間でも評判になっていて、このまま悪化が止まらなければ銀行が提携を解消してしまうのではないかという噂も流れていました。(こういう時に銀行が容赦ない対応をすることは皆さんも良くご存知でしょう)

ところが最近、プロミスの親会社である三井住友銀行が今までの出資比率(確か22%だったと思います)を大幅に引き上げて100%子会社にすることが発表されました。

これは事実上、プロミスに関しては三井住友銀行が責任を持つと宣言したようなものです。これでプロミスが倒産する危険性は限りなく低くなったと言えるでしょう。過払金請求を考えている人には朗報です。

武富士以来、どこの業者が倒産してもおかしくないという疑心暗鬼の状態が続いてきましたが、ようやく安心して請求できる業者が出来たということになります。

今まで過払金の支払時期が延びる傾向にあったプロミスですが、これを機会に支払時期も短縮してくれることを期待したいです。

今まで銀行が消費者金融に対して、もっとも懸念していたのが、いつまで続くか分からない過払金請求のことでした。ところが今回、三井住友銀行は「過払金請求はピークを過ぎた。今後は減少していくだろう。」と見通したと言われています(だからこそ100%子会社にしたのでしょう)。

実際に過払金請求の絶対数も武富士倒産以来、減少傾向にあるようです。しかし一部の司法書士や弁護士の中には、「まだ、完済してしまって、そのまま放ったらかしにしている人が、かなりいるはず。その人達が10年以内に請求してくれば、また増加する可能性はある」と言っている人もいます。

果たして、どちらが正しいのかは分かりません。しかし、一時期の膨大な過払金請求であふれかえったようなピークは過ぎたのは、確かではないかと私は思います。

 

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