7月
19
2011
最近、取引の途中で空白期間のある場合で、新しい最高裁判決が出ましたので紹介したいと思います。
この判決は相手がプロミスだったのですが、途中に最短でも約1年6ヶ月の空白期間がある取引が対象になりました。そこで契約書に自動更新規定があるから、この取引は一連一体で計算すべきと債務者側は主張していて、この主張が退けられたのです(要は裁判に負けたのです)。
最高裁ですから、判決は確定して全国に影響を与えることになります。今後は契約書に自動更新規定があることを理由に取引の一連一体を主張することは出来なくなります。
それよりも、より大きな影響を与えそうなのは取引の空白期間の長さです。今後は、1年6ヶ月以上の空白期間のある取引は分断された別の取引だと判断されるケースが増えるだろうと予想されます。
実は、判決では1年6ヶ月以上の取引がダメだと言っている訳ではありません。契約書の自動更新規定だけで一連計算を認める訳にはいかないから、第一取引の長さとか、空白時の業者と債務者の接触状況とか、空白期間の長さとか、契約書の返還の有無とか、以前の判決でも指摘された色々な条件を吟味した上で判断しろと言っています。だから、厳密には、この判決で1年6ヶ月以上が一律に認められないと言っている訳ではないのです。
しかし、残念ながら、理屈どおりには受け取られないのが裁判です。恐らく今後の下級審(最高裁以外の裁判所のこと)の判断は、1年6ヶ月以上の空白期間に対しては非常に厳しいものになるでしょう。
7月
11
2011
過払金請求訴訟などで最もよく登場するのが簡易裁判所です。でも、テレビや映画などの法廷シーンで良く見るのは地方裁判所の方でしょう。では、この違いはと言われた場合、一般の人は結構、知らないのではないでしょうか。今回は、この疑問にお答えする為、簡易裁判所と地方裁判所の違いについて取り上げます。(今回、取り上げるのは民事事件についてです)
最も簡単に言うと、簡易裁判所は金額の低い事件、地方裁判所は金額の高い事件を担当します。では、金額の高い低いは何を基準に決めるのかと言えば、一つの事件につき140万円が区分けのラインになっています。
140万円以内ならば簡易裁判所の事件、140万円を1円でも越えると地方裁判所の事件として扱われます。これは一事件あたりの金額なので、例えば過払金訴訟の場合は業者ごとに判断されます。Aさんが甲・乙・丙と3社から借りていて、3社とも過払いが発生していた場合、それぞれ3件の事件として裁判所に申し立てます。過払金が甲は50万円、乙が80万円、丙が150万円だった場合、甲と乙に対する訴訟は簡易裁判所に申し立て、丙に対する訴訟は地方裁判所に申し立てることになります。(たまに一部の弁護士が3社の合計額で判断するようなことを言っている場合がありますが、それは明らかにおかしいですね。そもそも裁判所が、そのような取り扱いをしていません)
地方裁判所は各都道府県に1箇所ずつ置かれています。支部も合わせると、もう少し多くなります。例えば、愛知県だと名古屋地方裁判所が一つあるだけですが、名古屋地裁の支部は、一宮支部、半田支部、岡崎支部、豊橋支部と4箇所ありますので、本庁と合わせると5箇所あることになります。
一方、簡易裁判所は全国に400箇所以上設置されており、非常に数が多いのが特徴です。これだけ数が多いと住んでいる場所の割と近くに一つは簡易裁判所がある計算になります。(ほとんどの人は、かかわりが無い為、近くにある簡易裁判所の存在を知らないでしょう)何故、これだけ数が多いのかと言うと、いわゆる業者事件と言われるものが、ほとんどが140万円以内だからです。
業者事件とは、裁判の中でダントツで数が多い事件で、消費者金融、クレジット会社、携帯電話会社などが滞納された未払いの貸金や商品の分割金、携帯の通話料などを請求する事件のことです。簡易裁判所に行って1日、傍聴席に座ってみれば分かりますが(傍聴は誰でも自由です)、びっくりするほど、入れ替わりたちかわり、金融業者の担当、クレジット会社の担当、携帯会社の担当が現れて原告席に座っています。
これらの業者訴訟は証拠も揃っていますし、滞納の事実も相手方が否定しませんので数は多いですが、もめることは余りありません。ただ数が多いので、事務手続きは膨大な量になるでしょう。
それに加えて最近、急激に増えてきたのが過払金訴訟です。過払金訴訟の8割から9割が簡易裁判所の管轄になりますから、地方裁判所に回る事件は少数派です。たまに過払金訴訟が増加して裁判所が人員不足で困っているということが言われますが、圧倒的に簡易裁判所に持ち込まれる数が多い訳ですから、地方裁判所が同じことを言うのは何だか違う気が私はします。
あと、債務整理に関して言えば、特定調停は簡易裁判所限定の制度です。ここは分かりにくい部分かもしれませんが、特定調停に関しては金額に関係なく簡易裁判所で行われます。300万円でも500万円でも特定調停ならば簡易裁判所になるのです。一方、過払金請求訴訟の場合は、先ほど説明したとおり、過払金の金額によって簡易裁判所か地方裁判所に分かれます。この場合の金額は過払金の元金のことで利息は含まれません。例えば、過払金元金が130万円で過払利息が20万円だとします。合計で150万円で140万円を超えてしまいますが、元金が140万円以内なので、この訴訟は簡易裁判所になります。
他には、自己破産と個人再生については金額に関係なく全て地方裁判所の扱いになります。ただし破産と再生を扱うのは地方裁判所と言っても過払金訴訟を扱うところとは違う部署になります。過払金訴訟を扱うのは民事部あるいは民事訴訟部というところですが、破産や再生は民事執行部というところが扱うのが一般的です。民事執行部は通常の民事部からは独立していることが多く(名古屋の場合は建物が別です)、専門部署のようなところです。ここは破産・再生の他、各種差押などの手続を行っています。判決を取っても過払金を支払わない業者に対して差押をしたい時なども、この部署のお世話になるわけです。
7月
04
2011
一般の人は同じ種類の事件ならば、全国どこの裁判所でも同じ判決が出るんだろうと思いがちですが(私も法律家になる前は、そう思っていました)、ところが実態は全く違います。裁判所とは極めて特殊な役所で同じ種類の事件でも裁判所によって、もっと正確に言うと一人一人の裁判官によって異なる判決が出ることが珍しくありません。(信じられないかもしれませんが同じ裁判所であっても、異なる裁判官に当たると違う判決が出たりする訳です)
裁判所の、この特徴が一般の人にはなかなか分かりにくいらしく相談の時に、「この事件の結果を保証できますか。」という質問になりやすいのです。
しかしながら、この質問には、法律的な争点(法律的な解釈において相手方と意見が違うこと。例えば「借金を完済しているかどうか」で争いになった場合は、事実が正しいかどうかという問題なので、法律的な争点とは言いません)のありそうな事件の場合は、「保証はできません」というのが真実なのです。何故なら、先ほども説明したように、裁判官によって判断が異なるのが珍しくないのが裁判というものだからです。
もっとも、極めて単純で法律的な争点があまりなく、証拠が完璧に揃っている場合は、どこの裁判所でも、だいたい同じ判決が出ると考えて良いでしょう。代表的なのは、借主の署名・押印のある借用証書が存在している場合の貸金請求訴訟などです。これはもう圧倒的に貸している側が勝ちます。(だからこそ、借金の時には貸主は借用書を作るのです)
では法律的な争点が存在する単純ではない事件にもかかわらず、割と結果が予測できる事件とは何かと言うと最高裁判所で争点について判決が出たものと同じ種類の事件ということになります。最高裁判所の判断には全国の裁判所が影響を受けますので、割と正確な回答ができます。
実は過払金請求事件も最高裁判所で判決が出るまでは必ず勝てるとは言えない裁判でした。「みなし弁済」が成立するか、しないかは大きな争点だったのです。従って、その頃は過払金請求などを行なう法律家は少数派だったのです。(私の事務所では、その頃から過払金請求を扱っていましたが、当時は扱っている事務所は本当に少なかったです)
ところが最高裁判所で貸金業法43条の「みなし弁済」を一切認めないという判決が出るや否や、過払金訴訟は出せば必ず勝てる裁判になり、その後、雨後のたけのこのように過払金を取り扱う事務所が増加していったのは、ご存知のとおりです。
ここで言いたいのは、最高裁判所の判断が出ていない法律的な争点がある事件に関しては、いかなる腕利きの弁護士や司法書士といえども、裁判の結果を保証することは出来ないということです。(もし保証している法律家がいたとしたら、それは非常に怪しいと考えて良いでしょう) この部分は一般の人には非常に理解しにくいようなので繰り返し伝えたいと思います。
また一つ一つの裁判所が独立事業体のようになっているのも他の役所と大きく異なっている部分です。要は、裁判所によって、いろいろな事務の取り扱いが異なっているのが珍しくないのです。事務の取り扱いなど統一した方が効率的ではないかと私などは思うのですが、実際には驚くほど独自のルールで運用されているのが実状です。それこそ、同じ過払金請求訴訟でありながら使用する切手の金額が裁判所によって違っていたりするのです。
従って、裁判所の特徴やクセのようなものが存在するので、そういうことに詳しい法律家に依頼することも選択する場合の重要な決め手になるでしょう。
6月
27
2011
現在は取引履歴の開示が義務化された為、特定調停で取引履歴が途中までしか出てこないということは、恐らくないでしょう。ところが、昔は(5、6年以上前)取引履歴が全て出るということの方が、むしろ珍しかったのです。
この頃に特定調停をされた人は、取引履歴が途中までしか開示されていない状態で支払計画を決められたケースが少なくありません。場合によっては、実は過払いになっているにもかかわらず、それが分からずに、分割払いをしていた人もいるのです。
このケースに該当する人は今まで諦めていましたが、最近では、過去に特定調停を行った業者に対して新たに取引履歴の開示を請求して、自分の本当の債務額を確かめる人が増えてきました。当然、その中には、開示請求してみたら過払いになっていたという人が存在します。
そこで問題ですが、果たして、一旦、特定調停を結んでしまった取引に対して過払請求を改めて出来るのかということです。
結論から言うと、最近、認められるケースが少しずつ増えてきています。この場合、裁判所が認める根拠は「錯誤」というものが多いです。簡単に言うと、「過去の特定調停は取引履歴が全部出ていなかったのだから実際の金額が分からないまま思い違いをして結んでしまったものであるから無効である。無効なんだから、もう一度、正確な金額を明らかにして、やり直せ」という理屈になります。過払いの場合は、この理屈で過払請求訴訟を争うことになります。
まあ、取引履歴を出さなかったのは業者側の責任ですし、その結果として金額が分からなくなって間違った特定調停になった訳ですから当然と言えば当然かもしれません。いずれにしても、このような請求が少しずつでも認められるようになったのは喜ばしいことでしょう。
しかし、何分、訴訟ですから100%勝てるとは限りません。裁判官によっては、特定調停の訂正を認めないケースもあります。
しかし、物は考えようです。特定調停は既に終了している訳ですし、一旦は、納得して支払っていた訳ですから、仮に裁判に勝てなくても現状より悪くなることはありません。今までどおりになるだけです。一方、裁判に勝った場合は過払金が戻ってくる訳ですから、これは大きなメリットです。
負けた時のリスクは無いと言ってよく(特定調停の結果が維持されるだけです)、勝った時のメリットは大きい訳ですから、これは、チャレンジする価値があるのではないでしょうか。該当する人は一度、考えてみるべきでしょう。
6月
22
2011
現在、司法書士の報酬は弁護士と同様に自由化されています。ところが、一部の司法書士・弁護士と依頼人の間で債務整理に関する報酬のトラブルが増えていました。そこで、日本司法書士会連合会(日司連)という全国の司法書士を束ねている組織が「債務整理に関する報酬の上限規定」を発表しました。今後は定められた上限を破ったら規定違反ということになります。(もっとも内容を見ると、かなり余裕を持たせた規定になっていますので、今時、この上限を破っている事務所は少数派だとは思います)
私は個人的には報酬は自由である方が望ましいと思っています。依頼する側にとっても選択の自由はあった方がプラスになることが多いと考えています。しかし、日司連の規定として決まってしまった以上、司法書士は規定を守る必要があるでしょう。これから依頼を考えている人は頼もうとしている事務所が規定違反になっていないかどうかチェックした方が良いでしょう。以下、具体的に報酬基準を列挙します。(この報酬基準には消費税は含まれません。あと、印紙代や切手代などの実費も含まれません)
1 任意整理事件を受任したときは、定額報酬として債権者1社あたり5万円を超える額を請求し、または受領してはならない
2 減額報酬を受領するときは、減額され、または免れた債務を経済的利益として、その経済的利益に10%の割合を乗じた金額を超える金額を請求し、または受領してはならない
3 減額報酬における経済的利益とは、引き直し計算により算出された金額を債権者が認めた場合(その金額を債権者が積極的に争わない場合を含みます)は、その引き直し計算により算出された金額から減額され、または免れた債務の金額を指す。(この規定は大変に重要ですが、要するに専門家に相談に来る前に貸金業者から請求された金額から、利息制限法に引き直して減額したとしても、その減額分から報酬を取ってはいけないと解釈できます)
4 過払金を回収したときは、その回収した金額を経済的利益として、その経済的利益に次の割合を乗じた金額を超える額を過払金返還報酬として請求し、または受領してはならない。
(訴訟によらずに回収した場合) 20%
(訴訟により回収した場合) 25%
と主なものを挙げておきました。(一般の人に分かりやすく書いています)
先にも書きましたが、現在、上記の報酬規定を超える基準を設定している事務所は少ないと思われます。ただ、ゼロではありませんので、ひっかかる事務所は今後は報酬基準を下げる必要があります。
上記の規定の中で最もひっかかる事務所が多いだろうと思われるのが、3番です。この規定では利息制限法による引き直し計算による減額は今や、ほとんど全てと言っていい貸金業者が争いませんので、経済的利益には含まれなくなります。要は、債務整理で減額報酬を取っている事務所は報酬基準を変更せざるを得ないということになります。(変更しなければ今後は規定違反ですから、依頼人は変更するように要求することが出来ると考えて良いでしょう)
ちなみに上記の規定は債務整理限定です。債務整理以外の業務には適用されません。他の業務を依頼している時に、この規定を振りかざして注意したら恥をかくことになりますので注意して下さい。また、この規定には5年間という期限も付いています。いわゆる時限立法というもので、「報酬自由化という大枠の規定は変更していない。あくまでトラブルの増えている債務整理に限って、しかも5年間という期限も決めて限定的に運用するものである」ということです。
6月
13
2011
SFコーポレーション(旧三和ファイナンス)は何度も、このブログで取り上げていますが、ひょっとして状況が変わったかもしれない出来事があったので再び取り上げます。
この業者は非常に支払が悪く、かつ悪質な対応をしてくることで有名です。ところが、今回、ちょっとマシな対応をしてきたのです。(あくまで、ちょっとです)
ここは訴訟をすると徹底的に引き延ばし工作をしてくることで有名で、ようやく勝訴判決を取っても控訴してくることが非常に多いです。今回も相変わらず控訴されて、「やれやれ、またか」と思っていたところ、控訴第1回期日の3週間くらい前にSFから電話がかかってきて、「簡裁での勝訴判決の金額を満額払う。控訴も、すぐに取り下げる。」と言ってきたのです。
今までは、支払う場合でも連絡なしで、いきなり依頼人の口座に振り込んできたりしたので、「口座は代理人の口座でいいんですね」と聞いたら、「構いません」と担当者は答えました。
それなら、なんで控訴したんだと言いたくなりますが、一体、この変化は持続するものなのか、それとも一時的なものなのかは、まだ分かりません。おもいきり否定的に考えると倒産が近いのか、という可能性もゼロではありません。まあ全ては予想になりますので、SFが何故このような処理をしてきたのか本当のところは分かりません。
私は常々、業者の対応は変化するので、依頼人の方には最新の情報で判断するように話していますが、変化のスピードが上がってきたように感じます。
まさに風雲急をつげる貸金業界と言えそうです。(こんな状況ですから、結果について「必ず」とか「絶対」とか言う事務所は、ますます気をつけた方が良いでしょう。)
6月
07
2011
丸和商事の民事再生につき手続の日程の詳細を、お知らせします。
1 再生債権(このブログの読者の皆さんにとっては過払金請求権のことだと思って下さい。)の届出期間は6月30日まで
2 債権の一般調査期間(この部分は分からなくても構いません。)は8月5日から8月12日まで
3 再生計画案の提出期間は8月19日まで
となっています。
以前お伝えしたように、民事再生の場合は「やむを得ない事情」で届出期間に間に合わなかった場合でも、配当を受ける権利を失いません。だから期間を過ぎてから丸和に対して過払いであることが分かったら請求できると考えて良いでしょう。(もちろん配当率に従ってカットされます) しかし、過払いであることが分かっていても債権届をしなかったとしたら、それは「やむを得ない事情」と言えるかどうか微妙です。過払いが分かっている人は今月末までに債権届をしておきましょう。
あと、上記3番の再生計画案とは配当率に従って減額した債権を債権者に分配する計画を示した書類です。これの提出期限が8月ということは、少なくとも8月には配当率が明らかになるということです。クレディア(現フロックス)は4割という高配当でしたが、果たしてどれだけの配当になるのでしょうか。
最近になって事務所に続々と丸和の債権届出書が郵送されてきました。これを見ると、武富士よりも、かなり債務者に有利な扱いがされているという印象を受けました。
例えば、武富士の場合は裁判所で若干、利息等の減額をして和解決定をもらっていた場合は、裁判所の決定は覆さないという建前の元に、最初の請求額を認めていません。(元金50万プラス利息10万円の訴訟をして55万円で裁判上の和解をした場合、武富士は元の60万円の請求は認めない訳です)
ところが、丸和の場合は、例え裁判上の和解であっても、元の請求額よりも和解金額の方が低ければ、元の請求額で債権届が出来るようになっています。この点は評価しても良いと思います。
5月
31
2011
今、クレジットの現金化が問題になっています。各地の消費者センターにも多数、相談が寄せられていて、ちょうど改正貸金業法が施行されて消費者金融が借手の審査を厳しくした頃から増加してきたようです。
現在は法律の規制が厳しくなり、専業主婦などは非常に借りにくい状況になっています。そこを狙って悪質な業者がクレジットの現金化を勧誘しているのです。(もちろん違法行為です。業者に指示されて行った人も違法行為の共犯となります。ただ、訳も分からず指示に従った場合は情状酌量の余地はあるとは思います。それでも、何回もやっていると後半は納得してやっていたと見られる可能性が高くなります)
クレジットの現金化とはクレジットカードで換金しやすい商品(例えば、商品券・新幹線の回数券・パソコン・ゲーム機など)を購入させて、それを指定した場所で換金させて現金を渡すものです。しかし、換金率は非常に悪いにもかかわらず、現金化した人には定価でクレジットの請求がきます(当然ですね)。要は商品を媒介にした高利の貸金と変わりないのです。こんなことを何度もやっていたら、いずれ破綻することは目に見えています。
では何故、指示されたとおり現金化に手を染めてしまうのか、ここで前に戻りますが、審査の厳格化により、「借りたくても借りられない」状況に陥っているからです。後は、長引くデフレ不況により給料が上がらない、いや、むしろ下がっているという経済状況も大きく関係しているでしょう。
しかし、良く考えてみて下さい。クレジットの現金化をしても状況は決して良くはなりません。むしろ、より悪くなると言い切ってもよいでしょう。手にした現金よりも、はるかに多額の請求が、いずれ降りかかってくるからです。まさに一時しのぎにしかなりません。必ず、いつかは破綻することになるでしょう。
しかも、もう一つ悪いことがあります。将来、破綻してしまった時に、あまりにも頻繁にクレジットの現金化をしていると、自己破産の際の免責不許可事由に該当する可能性があり、破産が難しくなってしまうかもしれないのです。
破産は最後の救済手段ですから、一度でも手を染めたらダメというような扱いにはなっていません。でも限度があります。裁判官から見て、「いくらなんでも、これは多すぎる」と判断されてしまうと破産免責に影響が出ることもありえますので覚えておいて下さい。(どこからが多いのかは裁判官の裁量にまかされていますので、正確には答えられません。)
いずれにしても、まだ現金化に手を染めていない人は、絶対に手を出さないようにして下さい。もう手を出してしまった人は今後は止めましょう。クレジットの請求が来て支払えないようならば真剣に債務整理を考えて下さい。破産が可能ならば、むしろラッキーです。破産が出来なくても個人再生などで債務を減らす方法もあります。ちなみにクレジットの現金化はキャッシングではなくショッピングになるので任意整理や特定調停は出来ません。
単純に金銭を借りるよりも解決の方法が狭くなってしまうのがクレジットの現金化です。くれぐれも手を出さないように注意して下さい。
5月
24
2011
ヴァラモス(旧トライト)の過払金の支払いに関して興味深い事がありましたので、取り上げたいと思います。
ヴァラモスはトライトから商号が変更してから著しく過払金の支払いが悪くなり、任意請求はもちろんのこと、訴訟をしても元金の1割から2割程度しか和解金額の提示が無いという、非常に支払情況の悪い業者として有名になっていました。このブログでも過去に何度か取り上げて非難しております。
ところが、ヴァラモスの和解提案を拒否して、簡易裁判所で勝訴判決を取ったところ、驚くような事件がありました。以下に詳しい説明をしましょう。
まず、判決書が届いて2週間が過ぎると確定します。確定とは相手方の控訴(もう一度、裁判をすること)が出来なくなり裁判が終了することです。とりあえずヴァラモスは控訴して再び争うことはしてこなかったようです。もっとも取引の途中分断があるような場合は控訴してくる可能性はありますので断定は出来ません。
確定してから、しばらくするとヴァラモスから電話があり、少し金額がアップして3割程度の金額が提示されました。勝訴判決を取っても、この程度の金額しか提示してこないのです。これを拒否して、「そんな金額は呑めないから、近いうちに差押えを実行します」と回答しました。
そうすると何と驚いたことに、回答してから1週間程度で事前通知は一切なしで、依頼者本人の元に郵便為替で過払金満額が送られてきたのです。表示金額は判決金額に更に遅延利息まで追加されたものでした。当然、依頼者は大喜びです。
一部の貸金業者が事前通知無しで本人宛に振込みや為替送付を行っているという情報は得ていましたが、実際に目の当たりにすると、やはりびっくりします。私の場合は、そういう話を耳にしていましたので、一応、依頼者に「突然、入金されたり、郵便為替が送られてくるケースもあるようなので注意だけはしておいて下さい」と伝えておいたので、あまり混乱は起きませんでしたが、こういう情報が全く無い状態で受け取ったら相当あわてたのではないでしょうか。
事前通知はありませんが事後報告はありました。ヴァラモスから手紙で本人宛に郵便為替を送った旨と金額が書かれたものが送られてきました。わざわざ事後に送ってくるところが嫌がらせの匂いを感じてしまいます。もっとも、結果的には満額プラスアルファーを回収しているので良いと言えば良いのですが。
ヴァラモスが常に、このような処理をしているのかどうかまでは断言できません。また、いつから、このような処理をするようになったのかも、はっきりとはしません。ただ、ここで言いたいのは、少なくとも今後は、こういう処理をしてくる可能性がある以上、ヴァラモスに関しては必ず判決を取って差押えまで実行することが必要だろうと言うことです。
最近の貸金業者は経営状態によって態度をめまぐるしく変えてきますので、このやり方が、いつまで続くのかは分かりません。半年後には同じことをしても満額払わなくなっているかもしれません。これからヴァラモスへの過払請求を考えている人は余り過度な期待をし過ぎないようにして下さい。だからと言って確実な変化の情報が出回るまでは、安易に低額で和解することは避けた方が賢明でしょう。
5月
17
2011
消費者金融のアイフル、クレジットのライフ、商工ローンのシティズの3社が合併するという情報が入りました。もう、手続は始まっているようです。
それぞれ分野が違う貸金業者なので相乗効果を狙ってのことでしょう。合併後の存続会社はアイフルになるという噂です。アイフルとシティズは供に、あまり評判の良くない業者なので、この2つが合併したら、どんなことになるか少々、心配です。
ライフに関しては、最近、クレジットの中では先駆けて過払金の支払いが悪くなっていましたので気になってはいましたが、こういう解決に至ったのかという感じです。
実は、もっと気にかかることが他にあります。アイフルは合併によって会社に営業力をつけた後で、民事再生や会社更生に踏み切って過払金を一挙に減額し、身軽になった状態で一気に会社の再生を成し遂げるつもりではないかという噂もあるのです。
アイフルは事業再生ADRという手法で既に特定の金融機関や過払い以外の有力な債権者に対して支払いを済ませているという情報があります。要は再生後の支援を取り付けやすくする為に今のうちに金融機関などには支払っておいて、会社にとって負担にしかならない過払債権者だけを狙い撃ちにして会社更生や民事再生で減額してやろうと企んでいる可能性がある訳です。こんなことをやられたら過払請求者は、たまったものではありません。
まだ確実な情報ではありませんが、今後のアイフルの動向には注意が必要でしょう。