9月 19 2024
遺言で取得した不動産でも相続登記をしなければ第三者に対抗できない 相続登記㉗
改正前の遺言による不動産の取得
相続法が改正される前は、遺言によって不動産を取得した相続人は例え相続登記をしていなくても、その権利を第三者に対抗することができました。
法定相続人がAとBの二人いて、遺言でAが不動産を単独で相続すると決められていた場合を具体的に考えてみましょう。Aが相続登記をする前に、Bが自身の法定相続分2分の1をCに売却した場合、Aは例え登記が無くてもCに対して2分の1を返せと言うことができました。
この権利を専門用語で対抗要件と言います。
相続法の改正により結論が変わった
最近改正された相続法では上記とは異なる取り扱いに変更されました。先ほどと同様のケースで説明しましょう。
法定相続人がAとBの二人いて、遺言でAが不動産を単独で相続すると決められていた時、Aが相続登記をする前に、Bが自身の法定相続分2分の1をCに売却した場合です。
結論を先に言うとCが先に登記をしてしまったら、AはCに対抗することができません。遺言があるのだから登記名義を返せとは言えなくなってしまったのです。
相続法改正で変わった対抗要件のルール
相続法改正により対抗要件のルールが変わりました。以前は遺言で指定されていれば登記という対抗要件は不要でした。
しかし改正法以降は、「例え遺言があっても自身の法定相続分を超えた分については対抗要件が必要である」と変更されたのです(不動産の対抗要件は登記です)。なぜなら買手にとっては遺言があるかどうかを事前に察知することは極めて困難だからです。
今後の相続登記の注意点
従って今後は遺言の有無にかかわらず、法定相続分を超えて取得した相続人は最優先で登記をする必要があります。もし登記をしなかった場合、先に登記をした第三者に名義を持っていかれる可能性があるということです。
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