司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

遺産承継業務

6月 16 2018

遺産整理⑬ 死亡前3年間の銀行の取引明細の取得

相続税の計算をする場合、「死亡前3年間の間に被相続人から贈与された財産は相続財産として計上しなければならない」というルールがあります。

相続税がかかるかどうかの基準となる基礎控除の範囲に収まっているかどうかを判断する時にも、死亡前3年間の贈与は含めて計算しなくてはなりません。

従って、相続税の計算をする場合、必ず銀行通帳は死亡前3年間までの記帳が必要です。しかし、古い通帳が見つからない場合もあります。そんな時は、足りない分の取引明細を銀行で取得する必要があります。

専門家に頼まないで一人で相続手続を処理しようとしている方の場合、「そこまで厳密にしなくていいだろう」と甘く考える傾向があり、死亡前3年間の取引の確認をしないで放置してしまうケースがたまに見られます。しかし、これは後ほど後悔することになる可能性がありますので注意が必要です。

まず、税務署は同じ財務省管轄ということもあって銀行とは非常につながりが深く、税務署が要求したら銀行は簡単に取引の開示に協力するという実態があるのです。つまり、銀行取引は「税務署からガラス張りに見えている」と考えた方が良いでしょう。

そして、もし相続税の申告をしないで死亡前3年間の贈与分を足したら相続税がかかる場合、あるいは申告をしても実際の相続税はもっとかかる場合に該当したら、後から非常に高利率の追徴課税が請求されることになります。

このようなことにならないように、死亡前3年間の贈与がないか、相続税の計算をする場合はきちんと確認するようにしましょう。

相続手続についての、より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック

https://www.hashiho.com/inherit/isanseiri/
https://www.hashiho.com/inherit/tax/

9月 01 2017

いつまで放っておく?未登記建物(遺産整理⑫)

土地は新たに出現するものではないので、通常、未登記というのはありえません。
しかし、車庫や倉庫などの場合、未登記になっている建物がたまにあります。

未登記を登記するタイミング

未登記になっている場合、もちろん登記をするのが法的には最も正しい方法ですが、そのまま放置してしまう人も結構いるのが現実です。
これが母屋の場合ですと、登記をしないと売れませんので、いずれ登記をすることになるでしょう。
登記が無いということは、自分の名義になったことを公的に証明できないということになるので、そんな物件を買う人はいないからです。

登記をするタイミングとしては、売却を考えたとき、あるいは銀行からお金を借りて抵当権を付けたりするときなどになります。

表示登記

実際の未登記の物件の登記はどのように行われるのでしょうか。
登記には2種類あって、表示登記権利登記に分かれます。
未登記の場合、まずは表示登記をしなくてはいけません。

表示登記とは物件の物理的な状態を登記簿に記載する仕事です。
表示登記を取り扱っているのは土地家屋調査士という資格を持った人です。
建物や土地の測量をして図面を作成しなくてはいけませんので、どちらかと言うと技術系の仕事です。
土地家屋調査士さんはスーツよりも屋外で作業服でいる時間の方が長いくらいです。
室内だけで処理できる仕事ではありませんので、一般的に費用が高額になる傾向があります。

権利の登記

表示登記が終わってから権利の登記をすることになります。
権利の登記は登記簿では甲区、乙区と呼ばれているもので、甲区は所有者、乙区は抵当権者などを記載します。
権利の登記は司法書士が取り扱います。

このように未登記の物件に登記をする場合は、表示の登記と権利の登記をする必要がありますので、時間も費用も結構かかります。
これが、車庫や倉庫のために、そこまでしたくないという人が出てきてしまう理由となっているのです。

未登記状態で相続が起きたら?

このような未登記の車庫や倉庫に相続が起こったら、どうなるのでしょうか。
相続の後、売却するのでなければ、そのままにするケースが多いでしょう。

では固定資産税はどうなるのでしょう。
通常、評価証明書には未登記の建物も記載されています。
この場合、母屋と一体になるように役所が処理している物件は、母屋の相続登記が行われれば、自動的に車庫や倉庫の名義も変わるようになっています。
(あくまで固定資産税の名義の話です。)
一方、役所で一体となる処理がされていない物件は、未登記物件の名義変更の手続を申請する必要があります。
一体となる処理がされているかどうかは、役所に聞く必要があるということですね。

ちょっと面倒な相続手続をまとめて引き受けて欲しい方はこちら

7月 11 2017

残金が少額のときは?ゆうちょ銀行の取り扱い(遺産整理⑪)

戸籍は相続人を確定させるために必要なものなので、集めるのは確かに面倒ですが仕方がない部分があります。
もし相続人が間違っていたら、権利の無い人に口座の残金を支払ってしまうことになるからです。

ところが、ゆうちょ銀行の場合、残金がわずかな場合に限って、相続手続の際に戸籍が必要ありません。
正直、私も、最初に知った時は驚いて「本当にいらないんですか?」と聞き返してしまいました。

私が実務で経験した例は、残金が800円位だったケースですが、それでもこの取り扱いにはびっくりしました。
戸籍が不要と言うことは、相続人では無い人が成りすましで請求に来ても分からないということになるからです。

ゆうちょ銀行としては、「少額ならば、もしトラブルが起こって賠償を請求されても安いから構わない」という考え方なのでしょう。

手続をする立場からすると、戸籍が不要なのは、ありがたいです。
しかし実際には口座がゆうちょ銀行しかないという場合は少数派で、たいていは他の銀行にも口座があり、そちらで戸籍を要求されてしまうので、手続が楽になるわけではありません。

ゆうちょ銀行は他にも変わっている部分が、いくつかあります。
やはり、元々は郵政省管轄だった金融機関なので成り立ちから違うからでしょうか。
今回は、ちょっと驚きのゆうちょ銀行の取り扱いを紹介しました。
もし、相続財産の中に、少額のゆうちょ銀行の預金があったら、戸籍は不要になるか、一度確かめてみてください。

預貯金の相続についてもう少し詳しく知りたい方はこちら

7月 03 2017

ご注意!すべての税理士が相続税に強いとは限りません(遺産整理⑩)

皆さんは、税理士と言えば、全員が相続税に詳しいと思っていませんか。
実はこれは大きな間違いなのです。
現実には、相続税に詳しくない税理士は普通に存在します。
むしろ税理士の半分以上は相続税は専門外だと言っても過言ではないでしょう。

税理士試験の仕組み

それは、税理士試験の仕組みを知れば、納得できると思います。
税理士試験は5科目合格が条件となっていますが、この5科目の中には選択科目が混ざっています。
そして相続税は選択科目なのです。
つまり、相続税を選択しなくても税理士になることは可能なのです。

そして選択科目の中でも相続税は難関とされています。
すると受験生の気持ちを考えれば容易に想像できますが、選択できるのに、わざわざ難しい科目を受験しようとする人は少ないのは、お分かり頂けるでしょう。
実際に、相続税を選択して合格している人は半分以下と言われています。

税理士の中心業務

でも税金の基礎は出来ているのだから、合格してから勉強しているのではないか、と思われるかもしれません。
確かに、合格後も真面目に勉強している人も中にはいるでしょう。
しかし、税理士の仕事で圧倒的に多いのは中小企業の税務申告です。
それに比べて個人の相続税の件数は非常に少ないのが現実です。

とすると、仕事として少ないにもかかわらず、時間をかけて細かいところまで詳しく勉強している税理士が果たして多くなるでしょうか。
答えはNOです。
相続税は扱ったことが無いという税理士も珍しくありません。

これは医者に置き換えて考えてみれば分かり易いでしょう。
皆さんは、普段、内科しかやっていない医者に手術をしてもらいたいと思うでしょうか。医者は医学部ではどの分野も一通り勉強しています。
そんな医者でさえ、医者になった後は、それぞれ専門に分かれていくのが普通です。

相続税が得意な税理士に巡り合うには

税理士も同じです。
当然のように得意分野と苦手な分野というのがあるのです。
それをはっきりとさせてくれているのなら良いのですよね。
ところが、試験のときに相続税を選択していないし、その後の経験もあまり無いにもかかわらず、それを相談者に言わずに引き受けてしまう税理士も残念ながらいるのです。

一般の人が、そのような税理士を見分けるのは正直、難しいでしょう。
むしろ、他士業(司法書士・弁護士など)から、詳しい税理士を紹介してもらった方が間違いは少ないと思います。

税理士業界も最近は競争が激しくなっていますので、無理に仕事を取ろうとして、専門外のことまで引き受けてしまう傾向があります。
相続税がかかりそうだと思ったら、ブログの注意点を思い出して、より良い税理士にめぐり合って下さい。

遺産整理についてもう少し詳しく知りたい方はこちら

6月 15 2017

知っておきたい生命保険と相続(遺産整理⑨)

亡くなった人(被相続人)が保険料を支払っていた死亡保険金の受取人が相続人だった場合、保険金は相続財産になるのでしょうか。

結論から言うと、「相続財産にはならないけれど相続税の計算の対象にはなる」というのが答えになります。
ややこしいですね。
初めて聞いたら分からないと思いますので、順を追って説明しましょう。

相続財産にはならない

まず、「相続財産にはならない」の部分ですが、死亡保険金は受取人の固有財産と考えられていて一般的には相続財産には含まれません。
従って、遺産分割の対象にもならない、ということになります。
後から相続人同士の遺産分割協議で分配を決めることは出来ない訳です。

ただし例外もあります。あまりにも相続財産に比べて死亡保険金が高額だった場合(例えば、相続財産全額よりも死亡保険金の方が高額だったような)には、最高裁の判決で、「特別受益と考えて、遺産分割の際に考慮する」ことを認めています。
ですから、残す財産と比較して高額すぎる生命保険をかけるのは、後々の相続人の争いの元になる可能性がありますので注意しましょう。

相続税の計算の対象になる

次に相続税の計算ですが、税法と民法では同じ現象に対して異なった考え方をすることが良くあります。
今回の生命保険の場合もそのケースで、死亡保険金は民法上は相続財産にはなりませんが、税法上は「みなし相続財産」と呼ばれ相続税の計算をするときには含める必要があります。

そんなの勝手にみなさないでくれ、と思ってしまいますが、税務当局も鬼では無いので、生命保険が相続人にとって緊急時をしのぐための大切なお金であることを考慮して、計算上かなり有利な保険金控除というものを認めています。

具体的には、「相続人の数×500万円」が控除できる金額です。
例えば相続人が妻と子供2人で合計3人だとします。
3人×500万円=1500円が控除できる金額、つまり税金がかからない金額です。
妻が1000万円の死亡保険金の受取人になっていた場合、1500万円を差し引くことが出来ます。
従って、妻が受け取る保険金には相続税はかからなくなります。
合計で1500万円なので、妻が受け取る金額が1500万円以上だったり、子どもが受け取る保険金が合計で500万円以上なら、税金の計算に含めることになりますね。

もし相続放棄をしたら控除は?

この控除制度を利用するには受取人が相続人である必要があります。
つまり、もし妻が相続放棄をしてしまったら、妻は相続人ではなくなってしまうので控除は使えません。
(相続放棄をしていても、保険金は受け取ることができます。)

しかし、受取人以外の相続人が相続放棄をするのは問題ありません。上記のケースで子供の一人が相続放棄をしても、控除額は500万円の3倍の1500万円のままです。計算するときの相続人の数には相続放棄をした相続人も含まれます。

今回ご説明したのは概略になります。
他にも細かいルールがありますので、実際に相続が発生したら、お近くの専門家に相談に行かれるのが安全です。

相続税についてもう少し詳しく知りたい方はこちらをどうぞ

6月 07 2017

遺言がある?ない?探す方法(遺言の検索の話)遺産整理⑧ 

家族が亡くなって、相続手続を考えたとき、誰もが思い浮かべるのが、
「ひょっとして遺言が書かれているんじゃないか」という疑問でしょう。
見つからないままになってしまったら、遺言を残した人としては、非常に悲しいでしょうね。
ただ、事前には内緒にしておきたいという思いがあったりすると、身内の誰かに「遺言はここにあるよ」と伝えておくのは、難しい場合もあるのでしょう。

自筆証書遺言を探す

もし書かれた遺言が自筆証書遺言ならば、どうやって探すのでしょうか。

  1. 相続人で徹底的に家探しをする
  2. 銀行に行って被相続人名義の貸金庫が無いかを調べてみる

この2つの方法になります。
貸金庫に遺言が入っていた、というのは良くあるケースです。
たまに、封筒に入っていなかったり、封がしてなかったりしてちょっと困ったことになる場合もありますが……。

公正証書遺言を探す

公正証書遺言ならば確実に探す方法があります。
それが遺言の検索です。
公正証書遺言が書かれた可能性が少しでもあるならば、必ず試してみるべき方法です。
公正証書かどうかがわからないけれど、遺言を残した可能性がありそうなら、調べてみてもいいかもしれません。

公正証書遺言

公正証書遺言は公証役場に保管してありますので、検索をすることが可能です。
検索だけならば料金は無料です。
見つかった後、謄本の請求をする時は有料です。

どこの公証役場で作ったのか分からない、という心配をされる方もいるでしょう。
でも心配はいりません。
どこの公証役場であっても、平成元年以降に作成された公正証書遺言は全国対応で探してくれます。
従って、検索を希望する方は近くの公証役場へ行けば良いのです。また、忙しい方は専門家に代理を頼むことも可能です。

公正証書遺言の意外な禁止事項

一つ注意して頂きたいのは、遺言者が生存中に将来の相続人(推定相続人と言います)が検索することは禁止されているということです。
従って、遺言の検索には、遺言者が死亡した事実を記載した戸籍の提出が義務付けられています。
例えば、親が生きている最中に、子供が遺言の有無を確認することは出来ない、ということです。
ちょっと、意外な感じがしますか?
検索くらいはいいじゃないかとも、思いますよね。
事前に遺言がわかっていた方が、心構えもできますし。
ともかく現状は、ダメということです。
例えば、本人が認知症になってしまって、成年後見人が事前に検索する、ということも、認められていません。
個人情報保護と関係があるのでしょうか。

遺言を残す立場から考えた場合、自筆証書遺言の場合は「相続人に見つけてもらえない」というリスクがありますが、公正証書遺言ならば検索によって調べる方法があるので見つけてもらえる可能性が大きい、ということは覚えておきましょう。

遺言についてもう少し知りたくなった方はこちらをどうぞ

5月 29 2017

残高0円の銀行口座は相続手続は必要?(遺産整理⑦)

休眠預金は毎年700億円もあるそうですよ(平成26年から28年の平均)。
ご存知でしたか?有効に活用して欲しいですね。
民間公益活動促進のための休眠預金等活用(内閣府)

ところで、休眠口座と呼ばれる、放置された銀行口座を持っている人は少なくないと思います。
中には残高が、ほぼ0円になっている口座もあるかもしれません。
この場合、相続手続は必要なのか、という問題がでてきます。

被相続人が亡くなった後に通帳の記帳をして、残高が0円であることが確実ならば、特に相続手続をする必要は無いように思えます。
手続にかかる手間と時間を考えたら、そのようにしたくなるのも無理はありません。
しかし、そうもいかない場合があるので注意が必要です。

例えば、被相続人の財産が相続税の基礎控除を超えてしまった場合です。
相続税の申告が必要になりますが、例え残高0円の口座であっても税務署に申告しなくてはいけません。
「残高が無い」ということを税務署に証明する必要があるからです。

従って、残高0円の残高証明書を銀行から取り寄せる必要があります。
もし、最新の通帳を紛失していたり、長い間通帳の記帳をしていなかったりすると、もっと大変です。
オマトメ記載をされて通帳に記録が残りませんので、この場合は、過去5年間の取引明細を銀行から取り寄せる必要も出てきます。

相続税の基礎控除を超えるかどうかによって、預金の相続手続が簡単になったり、面倒になったりすることがあるのです。

相続税についてもう少し知りたい方はこちらをどうぞ

4月 05 2017

「配偶者は相続税がかからない」って本当?(遺産整理⑤)

配偶者は相続税がかからないと思われているケースが多いようですが、これは本当でしょうか。

実際には配偶者にも相続税がかかる場合があります。
しかし、相続税がかかるケースが非常に少ないのも事実です。
相続を経験した配偶者は、「自分は相続税を払わなかった」という記憶が残りますので、
その情報が広がり、このようなことが言われるようになったのではないでしょうか。

配偶者控除

ではなぜ、配偶者は相続税がかかるケースが少ないのでしょう。
それは、相続税に関する「配偶者控除」と呼ばれる制度があるからです。
配偶者控除は、かなり優遇された制度で、ほとんどの配偶者がこの制度に当てはまります。ですから現実に相続税を支払う配偶者は、とても少ないのです。

配偶者が実際に受け取る遺産の金額が
(1)1億6,000万
(2)配偶者の法定相続分

のうち、どちらか多い方の金額以内であれば、相続税はかかりません。
これが、配偶者控除です。

しかし、無条件で控除が受けられる訳ではありませんので注意して下さい。
この控除を受けるには、相続税の申告が必要なのです(基礎控除の範囲内なら不要)。
税金を支払わないために、税金の申告手続をするということになります。

相続税の申告期限

相続税の申告には期限があります。
被相続人が死亡してから10か月以内にする必要があるのです。
そして、上記の配偶者控除を受けるには、遺産分割協議が終了していて、配偶者の受ける相続分が確定していなければなりません。(注)
遺産分割で揉めていて申告期限に間に合わないと控除が受けられなくなってしまいます。
(注)遺言がある場合は別です。

10か月を越えてしまいそうになったときは、申告書に、3年以内に遺産分割をするという「申告期限後3年以内の分割見込書」というものを提出して期限を延ばしてもらうという救済措置があります。
しかし、このような救済措置は最後の手段と考えて、出来るだけ期限内に遺産分割協議を終わらせて申告をするのが良いでしょう。

尚、全ての税理士が相続税に詳しい訳ではありません。
司法書士事務所へ相続の相談に行くときは、相続税に詳しい税理士を紹介してもらえるかどうかを一度確認した方が良いでしょう。

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1月 23 2017

郵便貯金の相続手続には注意が必要(遺産整理④)

郵便貯金は昔、公社でしたね。
そのせいか、他の銀行とは異なる部分が多いですが、特に相続手続は変わっているため注意が必要です。

郵便貯金の「口座の照会」

まず、亡くなった人の口座の名寄せというものがあります。
同じ名義の口座が他に無いかを探す手続ですが、銀行だとこちらが言わなくても積極的にやってくれます。
郵便貯金では「口座の照会」と呼び、相続とは別の用紙に記入して申請しなければなりません。

名寄せをしないと場合によっては、相続手続がされないまま口座が放置される恐れがあります。
金融機関にとっても困ったことになるはずですが、郵便貯金では別の手続を取らないと、確かめることも出来ません。
もしかすると、昔公社だったころの体制が残っているのかもしれませんね。
早期の改善が望まれます。

郵便貯金の委任状の形式

委任状の形式も銀行と郵便貯金では異なります。
相続人が高齢者の場合、誰かに委任して相続手続をするというケースも少なくないでしょう。
その場合の委任状は、通常の銀行ならば、委任者と受任者と委任した内容が正確に書かれていれば形式は問わないのが普通です。

ところが、郵便貯金の場合は、郵貯側が用意した指定の委任状でなければ受け付けません。
どうも勝手が違うので、とまどうことも多いです。

通常、委任状は委任者の署名と押印があれば、受任者と委任の内容に関してはワープロの印字でも構わないのが普通です。
現実に、他の銀行では全て、これで通用しています。
(銀行だけでなく、裁判所や法務局などの役所でも、この委任状で通用します)

しかし、郵便貯金の指定する委任状では、受任者の住所氏名や、相続の場合は委任の内容まで、委任者が直筆で書かなくてはなりません。
(直筆で書くように、という注意書きがあります)。
このように、取扱いが特殊なので郵便貯金がある場合は気をつけなければなりません。

相続人が高齢者の場合、文字をたくさん書くという行為が結構つらくなっている場合が多いですよね。

高齢化が進んでいる日本において、相続人が高齢者であるケースは今後、どんどん増えていくでしょう。
そういう時代の流れの中で、郵便貯金の高齢者に厳しいルールは、なるべく早く見直していただきたいと思っています。

郵便貯金は慣れていないと他の銀行とは勝手が違いますので、何度も出向くことになりかねません。
高齢で出向くことや書類を何枚も記入することが大変ならば、専門家に任せるのも1つの方法ではないでしょうか。

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1月 18 2017

遠方の戸籍を取得するときの注意(遺産整理③)

戸籍を取り寄せるときの正しい請求先は?

過去に転籍をされた方が亡くなった場合、出生まで遡らなくてはならないため、場合によっては遠方の戸籍を取る必要が出てきます。
しかし、戸籍を取る為だけに遠方まで出かけていくのは交通費の無駄になってしまいますので、多くの場合、郵送で取得することになるでしょう。

遠方の役所に戸籍を取り寄せる場合は、平成の大合併と言われた市町村合併に注意する必要があります。
日本全国、非常の多くの自治体が合併によって併合されましたので、戸籍の地名には既に役所が無いという事態になっているケースも珍しくないからです。

まず、自分が請求しようとしている自治体が存在しているかどうかを確かめて、存在していなかった場合、どこの自治体に吸収されたのかを探す必要があります。
ここまでやって、始めて正しい請求先が分かります。

古い戸籍収集はなぜ大変なのか

他にも、転籍が多い方が亡くなった場合、すべての戸籍を集めるのにかなり時間がかかるということも覚悟しておきましょう。

よく、「戸籍なんか簡単に取得できる」と勘違いされている方がいらっしゃいますが、実は相続の戸籍収集はプロでも大変な作業です。

簡単だと思われている方は、現在戸籍の取得のことを想像されているのでしょう。
現在戸籍は、現代語で書かれていて機械で印字されていますので見やすいですし、1通だけなので確かに取るのは簡単です。

しかし、相続の戸籍は出生まで遡る必要がありますので、古い戸籍まで全て集める必要があります。
事前に何通になるかは分かりません。
一つ遡った戸籍が届いて、その前の戸籍の請求先が判明するからです。
高齢者が亡くなった場合は、戦前の戸籍を取得する必要も出てきます。

戸籍は古くなると手書きになりますので慣れていないと非常に読みにくくなります。
また、戸籍法は何度も改正されていて、その度に形式が変更されています。
どこに何が書いてあるかが、改正のたびに変わっていて、慣れていないと見つけるのが大変です。

更に戦前の戸籍になると、家族制度そのものが現在と全く違いますから、知識が無いと何が書いてあるのか分からなくなる恐れがあります。
戦前は、家督相続の時代なので、結婚しても新しい戸籍が出来る訳ではありません。
一つの戸籍に複数の家族が同時に入っています。

これらの戸籍を一つ一つたどっていって戸籍収集をしていくのですが、転籍が多いと、時間がかかります。
戸籍を郵送で請求して、それを見て他の自治体にも戸籍があることが判明し、その後、他の自治体にまた郵送で請求して、の繰り返しになります。

相続手続きの始まりは戸籍収集

戸籍が集まらないと、銀行預金や不動産の名義変更は出来ません。
また、銀行は相続が開始すると預金口座は凍結され、引き出しが出来なくなります。
引き出すには相続人を確定する必要があり、そのためには戸籍が必要です。

亡くなった方や他の相続人の転籍が多い場合、戸籍集めに時間がかかります。
ということは同時に、解約や名義変更と言った相続手続にも時間がかかるということを覚えておくと良いでしょう。

より詳しい情報をお知りになりたい方は以下をクリック

https://www.hashiho.com/inherit/isanseiri/

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