9月
04
2018
契約書に印紙は必要かどうかは、案外、悩むことが多いのではないでしょうか。
例えば、私は職業柄、依頼を受けた時に委任契約書(委任状)を交わすことも多いですが、これは通常、印紙は不要とされています。
他には、遺産分割協議書なども印紙は不要です。
では、不動産の売買契約書や贈与契約書はどうかというと、これは印紙が必要です。
不動産の売買契約書は売買代金によって印紙代が変わってきます。
一方、不動産の贈与契約書については、一律、200円と決まっています。
贈与ですから代金によって変わるということがありません。
契約書に印紙は貼るべきかどうか、もし貼るならばいくらなのか、というのは結構ややこしいので気を付けましょう。
生前贈与について詳しく知りたい人はこちら
7月
28
2018
信託銀行の商品の中に「遺言書管理信託」というものがあります。
一見、便利そうな名前が付いていますが、料金を考えると「?」と思える商品なので取り上げてみたいと思います。
例えば、ある信託銀行の遺言書管理信託のページを調べると、以下のような説明がされています。
遺言書の保管
当行がお預かりした遺言書は、ご相続の開始時まで安全に保管します。
定期的照会
当行から定期的に相続開始通知者、遺言書指定受取者の住所変更や異動の有無を照会させて頂きます。
遺言書の返却
遺言書指定受取者に確実にお渡しします。自筆証書遺言の場合、家庭裁判所の検認手続が必要になり別途費用がかかります。
そして、上記サービスの手数料として以下の金額が表示されています。
基本手数料 公正証書 32万4000円
公正証書以外 54万円
遺言書保管料 年間6480円
正直、この説明と料金を見た時、サービスの少なさと料金の高さに驚いてしまいました。
これだけのサービス内容にしては、高額に思えます。
特に公正証書遺言は、もともと原本は公証役場で保管されていて、謄本は本人が保管、そして正本を遺言執行者が保管するという、比較的万全な体制です。
上記のサービスでは、正本を保管するということだと考えられますが、本当に必要なのかよく考える必要がありますね。
と言っても料金設定やサービス内容は自由ですから銀行を責めるつもりはありません。
ただ消費者の皆さまには、「サービス内容に比べて、かなり高額の料金である」という事実は分かっておいて欲しいとは思いました。
(分かった上で、やはり銀行を選択するというのは、もちろん自由です。)
たとえば、もし同様のサービス内容で私の事務所が依頼を受けた場合、年間5000円程度の保管料は頂きますが、それ以外の料金(銀行の基本手数料にあたるもの)は頂きません。
実に数十万円の差が出てしまいます。
しかも銀行のサービスは、遺言書の作成料金や家庭裁判所の検認料金は含まれていないのです。
これを消費者の皆さまが知っていた場合、どのように判断するのでしょうか。
費用を抑えたい場合、これからは特に情報を調べる力が必要になってきていると感じています。
最近、信託銀行は相続に力を入れていて遺産整理業務も積極的に宣伝しています。
遺産整理業務とは不動産や預貯金・証券などの解約・名義変更を一括して行うサービスです。
銀行の遺産整理業務も値下げを予定していると新聞に報道されていました。
消費者にとってはうれしいことではありますが、実は、元の料金が余りにも高額で(一般的な司法書士事務所の倍以上)、利用者が非常に少なかったので見直そうとしているのが実情なのです。
銀行の遺産整理業務は、まず最低料金が高いです。
現在108万くらいが現在の相場となっています。
(見直しが入る予定)
最低料金に該当しない資産額の場合でも、割合報酬(1.5%~2%が相場)は高めです。
(一般的な司法書士事務所では最低25万~30万円で割合報酬は約1%)。
他にも、不動産の名義変更をする場合、結局、銀行も司法書士に外注しています。
銀行に遺産整理業務を依頼した場合、司法書士の外注費用は別途請求されてしまいます。
しかし、司法書士に依頼した場合は、不動産の名義変更の費用は司法書士料金に含まれているのが普通です。
ですから、遺産整理業務の場合でも、銀行と司法書士事務所ではトータルで数十万円の差が出てしまいます。
消費者の皆さまには、こういうことを良く知った上で選択して欲しいですね。
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https://www.hashiho.com/inherit/isanseiri/
7月
18
2018
相続放棄には3ヶ月という期限があります。しかし、債権者(貸主)が債務者(借主)の死亡を知らなかったために、3ヶ月以上経ってから請求してくるというケースが珍しくありません。このような場合、相続人はどうすれば良いのでしょうか。
まず覚えておいて欲しいのが、「3ヶ月以上経っているからといって、あきらめてはいけない」ということです。実際に私の事務所で手掛けた相続放棄事件で、3ヶ月以上経過しているにもかかわらず家庭裁判所に受理されたケースは何件もあります。
受理されるかどうかで最も注意するポイントは、「単純承認をしていないかどうか」です。一部でも死亡した債務者の財産を相続した場合には、法的には「単純承認をした」と判断されます。
従って、相続放棄をするためには、「死亡した債務者の財産を全く相続していない」というのが最低条件になります。債務者が亡くなってから借金の請求が来るまでの間、一部でも相続財産を換金したり消費してしまった場合は、「相続した」とみなされる可能性が大きいでしょう。
もう一つのポイントとして重要なのは、「あとから来た借金の請求書」が残っている、ということです。家庭裁判所に対して、「いつ、借金の請求をされたのか」を証明する必要があるからです。
以上の二つの条件を満たしている場合は、相続放棄が認められる可能性は充分あります。
更に私が申し立てる場合は、より受理される確率を上げるために、家庭裁判所に「どういう経緯で3ヶ月以上経ってしまったのか」を詳しく説明する上申書と呼ばれる書面を提出します。これで今まで、ほとんどの相続放棄が受理されています。
このように例え3ヶ月以上経過していても一定の条件が満たされていれば、あきらめるのは早すぎます。借金を相続するかしないかで、その後の生活に大きな影響を与えますので、専門家に相談に行きましょう。
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7月
09
2018
相続に関する民法の改正案が7月6日に参議院で可決し成立しました。これで以前から取り上げていた相続法の改正が現実化したことになります(まだ施行はされていません)。
では今回、改正になったポイントをあげていきたいと思います。
(1)配偶者が自宅に住み続けられるようにする配偶者居住権の新設
(2)遺産分割前でも被相続人の預貯金を引き出せるようにする制度の新設
(3)自筆証書遺言の要件の緩和と、遺言を法務局に預けられるようにする制度の新設
(4)被相続人の介護などをした親族が、相続人に金銭を請求できるようにする制度の新設
などです。
詳しい内容については相続登記⑭で解説していますので、そちらをご覧ください
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https://www.hashiho.com/inherit/journal/archives/1054
相続全般について、より詳しく知りたい方は以下をクリック
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https://www.hashiho.com/inherit/
7月
02
2018
相続財産で預貯金は最も分割が容易な財産です。法定相続分どおりに分ける時には、簡単に分けられるので問題が起こりにくいと言えるでしょう。しかし、相続財産に不動産がある場合は、そう簡単ではありません。
一般的に不動産の価値は預貯金よりも高い場合が多いです(特に都会の場合)。しかし、不動産は分割することが困難な財産です。遺産分割協議で最ももめることが多いのも不動産の相続です。
理由は既に特定の相続人が住んでいる場合が多いからです。その場合、当然その住んでいる相続人が不動産の相続を主張します。住んでいる相続人にとっては、自分が相続できなかったら家を追い出される可能性がある訳ですから必死です。
話し合いがつかない場合、不動産を相続人全員の共有にすることになりますが、不動産の共有持分というのは住んでいない相続人にとっては何のメリットもありませんので文句が出ることが多いのです。
こんな時、住んでいない相続人から、「不動産を売却してお金に代えて、それで相続分を支払ってくれ」という要求が出ることがよくあります。これを言われると住んでいる相続人は引っ越しをしなくてはなりませんから、関係が悪化して話し合いで解決できなくなることも珍しくありません。
どうしても引越が嫌な場合は、住んでいる相続人が相続分相当の金銭を別に用意して他の相続人に支払うしかなくなります。このような遺産分割の方法を代償分割と言います。(相続法の改正で配偶者居住権と言う権利が新設されて、配偶者は自宅に住み続けられるように今後はなる予定です)
相続人同士で話し合いがつかない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。
このように相続財産に不動産がある場合は遺産分割協議がスムーズ進まないことが多いので、対策として遺言を残しておく人が増える傾向にあります。
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6月
25
2018
「遺言を書いたけれど後から気持ちが変化して内容を変えたくなった」、こんな時はどうしたら良いのでしょうか。
こういう場合、今ある遺言を修正するのではなくて、新しい遺言を残すのが法的に正しい方法です。新しい遺言によって、古い遺言は自動的に撤回されたことになります。
日付の記載が無い遺言は無効になります。これは、新しい遺言が常に優先されるため、日付の記載が無いと、どちらが新しいのか判別できないために設けられたルールなのです。
新しい遺言に「古い遺言は撤回する」と書いても構いませんが、例え書かなくても古い遺言は撤回されます。
ただ注意して頂きたいのは、新しい遺言を自筆証書で残した場合、もし遺言の要件を満たしていなかったら、その新しい自筆証書遺言は無効になってしまいますから、当然、古い遺言は撤回されません。
書いた本人は「これで古い遺言は撤回された」と安心しているかもしれませんが、場合によっては本人の新しい意志が実現されないかもしれないのです。
従って古い遺言を撤回する場合は公正証書で遺言を作った方が確実でしょう。
ちなみに古い遺言が公正証書だった場合でも、遺言の撤回は同じ方法で可能です。法律上は、公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することも可能となります。もちろん自筆証書遺言が有効に書かれていることが条件です。
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6月
16
2018
相続税の計算をする場合、「死亡前3年間の間に被相続人から贈与された財産は相続財産として計上しなければならない」というルールがあります。
相続税がかかるかどうかの基準となる基礎控除の範囲に収まっているかどうかを判断する時にも、死亡前3年間の贈与は含めて計算しなくてはなりません。
従って、相続税の計算をする場合、必ず銀行通帳は死亡前3年間までの記帳が必要です。しかし、古い通帳が見つからない場合もあります。そんな時は、足りない分の取引明細を銀行で取得する必要があります。
専門家に頼まないで一人で相続手続を処理しようとしている方の場合、「そこまで厳密にしなくていいだろう」と甘く考える傾向があり、死亡前3年間の取引の確認をしないで放置してしまうケースがたまに見られます。しかし、これは後ほど後悔することになる可能性がありますので注意が必要です。
まず、税務署は同じ財務省管轄ということもあって銀行とは非常につながりが深く、税務署が要求したら銀行は簡単に取引の開示に協力するという実態があるのです。つまり、銀行取引は「税務署からガラス張りに見えている」と考えた方が良いでしょう。
そして、もし相続税の申告をしないで死亡前3年間の贈与分を足したら相続税がかかる場合、あるいは申告をしても実際の相続税はもっとかかる場合に該当したら、後から非常に高利率の追徴課税が請求されることになります。
このようなことにならないように、死亡前3年間の贈与がないか、相続税の計算をする場合はきちんと確認するようにしましょう。
相続手続についての、より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック
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6月
01
2018
最近は日本人の権利意識の高まりを受けて相続での争いが増えてきています。結果的に家庭裁判所の遺産分割調停に持ち込まれるケースも増加する傾向にあります。
遺産分割調停が終わった後に不動産の名義変更をする場合、通常とは違ったルールが適用されますので注意が必要です。
最も大きな違いは、「相続を証する書面」です。通常の名義変更では、被相続人の出生から死亡までの戸籍を添付しますが、遺産分割調停による名義変更では、調停調書または審判書がそれに当たります。
調停調書は遺産分割調停が話し合いで終了した場合に家裁から発行される書面で、最初に相続人に送られてくるのが調停調書正本です。名義変更をする時は、必ずしも正本である必要はなく、追加で取得できる調停調書謄本でも構わないとされています。
遺産分割調停が話し合いでは決着せずに裁判官の判断で終了した場合は、審判書が家裁から発行されます。この審判書で名義変更をする場合は、必ず確定証明書を付ける必要があります。審判書は確定証明書と一緒でないと名義変更には使えませんので覚えておきましょう。
他に注意すべき点としては、調停調書または審判書の中に被相続人の死亡日の記載が無かった場合は、被相続人の死亡日の記載がある戸籍謄本を添付する必要があります。
更に、調停調書または審判書の中に記載されている被相続人の住所が登記事項証明書記載の住所と異なっていた場合は、住所をつなげる為の住民票の除票や戸籍の附表などが必要になります。
遺産分割調停による名義変更にはメリットもあります。それは、調停調書または審判書に記載された不動産を取得する相続人の単独申請で名義変更ができる点です。
通常は、法定相続人全員の協力が無いと特定の相続人への名義変更はできませんので、これは大きなメリットです。ただし、遺産分割調停の終了前に法定相続分による登記がされてしまった場合は、単独申請ができない場合もありますので注意が必要です(この時でも、調停調書または審判書に、他の相続人が登記に協力する旨の記載があれば単独申請できる場合もあります)。
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5月
25
2018
借地上の建物の名義変更をする時には、いくつかの注意点があります。
まず、名義変更には2種類あります。
(1)相続による名義変更
(2)売買・贈与などの名義変更
の二つです。
実は、それぞれの場合でルールが異なります。
まず借地上の建物の名義人が亡くなって相続が発生した場合は、どうなるのでしょうか。
結論から言うと、相続の場合は特に問題は起こりません。通常の不動産の場合と同じように名義変更をすることができます。
注意すべきは、売買や贈与などで借地上の建物の名義を変えた時です。
この場合は必ず借地権者(地主さん)の承諾をもらわなければいけません。借地権者に何も言わずに勝手に名義を変えてしまうと後で損害賠償請求をされる可能性もあります。
借地権者の承諾は口頭でも法的には有効ですが、証拠が残らないという弱点があります。地主さんと信頼関係が強い場合は口頭でも良いかもしれませんが、後で揉めたくない場合は承諾書をもらっておくと安心でしょう。
また借地権者は、売買や贈与で名義が変わる場合は承諾料をもらうことが法的に許されています。承諾料をもらうかもらわないかは借地権者の自由なので、もちろんもらわないケースもあるでしょう。しかし、ここで重要なのは、「もし、地主さんから承諾料を請求されたら法的には拒否できない」ということです。
ただし、いくらもらっても良いという訳でもありませんので、おのずと相場というものはあります。非常識に高すぎる承諾料は拒否できる、ということです。これは借地上の建物に住んでいる人、あるいは、これから住む予定の人は覚えておきましょう。
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5月
16
2018
「なぜ、遺言を残す必要があるのか」と聞かれたら、私たち専門家の回答は「実際に遺言が無かったためにトラブルになった事例を見ているから」と答えるでしょう。
特に誤解されやすいのが、「財産が、それほど多くないから遺言なんて必要ない」という考え方です。しかし統計では、「1000万円以下の相続財産でも非常に高い割合で相続トラブルになっている」、という結果が出ています。
原因として挙げられているのは、相続財産が多い人の方が遺言などの生前対策を実行している場合が多いのでトラブルにならずに済んでいるが、財産が少ない人は何も対策をしていない場合が多いので実際に相続が始まると揉めることが多い、ということのようです。
では、どのようなケースで相続トラブルが発生しやすいのかを一つずつ紹介しましょう。まず一つ目は、「先に亡くなった子に孫がいる場合」です。
親が亡くなると配偶者と子が相続人となります。配偶者が先に亡くなっていれば、子の人数で均等に分割するのが法定相続のルールです。では、子が二人いて、一方の子が先に亡くなっていた場合はどうなるのでしょうか。
分かりやすくするために、父が先に亡くなっていて母の相続が発生したとします。二人の子は兄と弟で、弟が先に亡くなったと仮定しましょう。弟には子が一人いたとします(亡くなった親から見ると孫にあたります)。
この場合、母の法定相続人は兄と孫の二人になります。このように先に亡くなった弟の子が相続人となることを法律用語で代襲相続と言います。ではなぜ、このケースがトラブルになりやすいかというと、兄と孫の間にあまり面識が無い場合があるからです。
特に兄と弟が遠方に離れて住んでいた場合に起こりやすいトラブルです。兄からすると、ほとんど会ったことが無い孫と遺産分割協議をしなくてはなりません。兄が親の面倒を見ていた場合などは余分に欲しいという感情があることが多いので、特にトラブルになりやすいケースと言えます。
このような事態が想定される場合は、財産の額に関係なく遺言は残しておいた方が良いケースだと言えるでしょう。
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