司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

5月 09 2018

遺言⑩ 遺言の読み方

遺言の読み方ですが、一般的には、「ゆいごん」と読まれる方が多いでしょう。私も司法書士になる前は、「ゆいごん」と読んでいました。もちろん間違いではありません。

しかし、司法書士や弁護士などの法律家は遺言のことを「いごん」と読みます。これは何故かと言うと、法律用語としての遺言は「いごん」と読むことになっているからです。法律家は資格試験の勉強の時に、そのように教わります。

開業した後も、同僚がみんな「いごん」と読みますから自然にその読み方が習慣となって定着していく訳です。

結論としては、「いごん」と「ゆいごん」どちらで読んでも構わないが、法律用語として使う時は「いごん」と読むことになっている、ということになります。

遺言について、より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック

https://www.hashiho.com/inherit/testament/

4月 25 2018

遺言⑨ 遺言と遺留分セミナー開催(無料)

この度、遺言と遺留分に関する無料セミナーを事務所の近くで開催します。
日程と場所は以下の通りです。

日程 5月6日(日)午前11時
場所 天白区一本松二丁目501番 スワーブ植田一本松 1階

単なる解説ではなく、「遺言を書かないと、どうなるのか」、「自筆証書遺言と公正証書遺言の違いって何」、「遺言にまつわる様々なトラブル事例の紹介」、「遺留分とは何か、請求されるとどうなるか」など実務経験をふまえたお話を、出来るだけ分かり易く面白くしたいと思っております。

当事務所は今年で開業15年になりますが、司法書士になる前は塾の講師を10年以上やっておりました。従って、「人に分かり易く話す」というのは得意分野です。

「まだ遺言は書いていないけど興味はある」という方、「これから書こうと思っていた」という方、「家族に書いた方が良いとすすめたい」という方など、どんな方でも構いません。遺言や遺留分に少しでも興味がある場合は、是非この機会に、ご参加ください。(ゴールデンウィーク中で特に予定も無いので暇つぶしに来た、という理由でも構いません)

定員は20名となっております。参加希望の方は事務所までご連絡ください。
(当日参加も可能ですが、定員を超えていた場合は誠に申し訳ありませんが、参加をお断りする場合があります)

名古屋市天白区塩釜口2-1009 シャトーハルミ601
橋本司法書士事務所
(電話) 052‐832‐1565

4月 18 2018

相続税⑬ 相続開始前3年以内の贈与は無かったことに

相続税を少しでも減らそうと思って生前贈与を考える人は多いと思います。しかし、ちょっと待ってください。実は、相続開始前3年以内の贈与は税法上、無かったことにされてしまいます。詳しく説明しましょう。

例えば、高齢になり相続税が気になってきた人が対策として子供に生前贈与を始めたとします。しかし残念なことに、その人が生前贈与を始めて3年後に亡くなってしまいました。するとどうなるかと言うと、3年分の生前贈与した金額は全て相続財産に含めて計算することになります。つまり、生前贈与した事実は、相続税の計算上は無かったことにされてしまうのです。(仮に生前贈与が5年続いていた場合は、3年分だけが相続税の計算になります)

しかし、この制度には例外があります。それは、「相続人ではない人への贈与には適用されない」ということです。
この例外を使った最も良く行わる対策が、「孫への生前贈与」です。

孫は子供が生存している限り相続人ではありませんから、孫への贈与は制度の対象外になり、例え亡くなる3年前以内であっても贈与として認められます。仮に亡くなる1日前の贈与であっても大丈夫なのです。

ただし、孫への贈与であっても相続税として計算されてしまう場合が2つあります。これは間違えやすいので是非、覚えておいて下さい。

一つ目は、「遺言で孫を相続人にしていた場合」です。
遺言を書いて、孫にも財産の一部を相続させると記載されていた場合、孫は相続人と同等の権利を持っていますので、相続人として扱われます。

二つ目は、贈与した人を被保険者、受取人を孫にしていた場合の生命保険に入っていた時です。この場合も相続人として扱われます。

尚、生前贈与は贈与する人が認知症になっていた場合は使うことが出来ませんので注意が必要です。従って、相続税の対策よりも認知症対策の方が緊急性・重要性が高いと言えます。認知症対策として法的な有効な手段としては家族信託があります。

家族信託について詳しく知りたい方は以下をクリック

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4月 12 2018

相続税⑫ 他の相続人の為の不動産売却

こんな事例を考えてみましょう。

父が亡くなり母が不動産を相続しました。相続税がかかるケースで子供の納税資金が足りなかったために、母が不動産を売却して子供の納税資金を用意しました。

このケースで母は子供のために善意で行ったのでしょう。しかし、本来、子供が支払うべき納税資金を、母が自分の不動産を売却して支払うことになりますから、税務署からは贈与と認定される可能性が高いでしょう。贈与と認定されれば贈与税がかかることになります。

このように税金の世界では、「良かれ」と思って行ったことが悪い結果を生むことが少なくありません。何か思いついたら実行する前に、「それは法律ではどうなっているのか」を確かめることが重要です。

相続税の基礎控除について、より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック

https://www.hashiho.com/inherit/tax/

4月 05 2018

相続税⑪ 養子を取ると相続税は減税になるのか?

相続税の基礎控除は法定相続人の数が多いほど金額が大きくなります。とすると、養子を取ることによって、法定相続人の数を増やせば基礎控除が大きくなって、相続税が減額になるのではないか、と考える人がいても不思議ではありませんよね。

この考え方は正しい部分もあれば、間違っている部分もあります。詳しく説明しましょう。

まず、民法上の問題と相続税の問題は分けて考える必要があります。
民法上は養子は何人取っても構いません。人数に制限は無いのです。
しかし、相続税の計算で法定相続人の数に含められる養子の数には制限があります。具体的には、「実子がいる場合は一人まで」、「実子がいない場合は二人まで」と決まっています。

では、「上記の制限を守っていれば養子は必ず相続税の節税になるのか」、というと、そうとも言い切れません。
この問題を考える時に参考になるのが平成29年1月31日に出された以下の最高裁判決です。この判決文の中に「節税目的の養子縁組はただちに無効ではない」という記述があります。

この最高裁判決は誤解されていることが多いので注意が必要です。
最も良くある誤解は「最高裁が養子による節税を認めた」というものです。しかし、節税を努力されている方には残念ですが、この判決はそういう意味ではありません。

この最高裁判決は、「節税目的でなされた養子縁組であっても、民法上は無効にはならない」という意味なのです。ようは民法の話をしているのであって、税法の話をしているのではありません。

実際に国税庁の見解では、「養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、養子の数に含めることはできません」となっています。

この見解の意味は、「明らかに相続税の節税目的の為に養子を取った場合は、それは相続税の計算の際に法定相続人の数にカウントしませんよ」というものです。

では、どういう場合に「明らかに相続税の節税目的の為の養子」と判断されるのか、というと、これは実際に税務調査に来た時の職員の判断になると思われるので、はっきりしたことは言えません。まあ、「認められない可能性がある」、ということは覚えておいた方がよいでしょう。

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3月 29 2018

相続税⑩ 知らなきゃ損する。後悔しないための生命保険利用法(2)

生命保険で注意すべき点の2つ目として、契約者と被保険者が別の場合に、契約者が先に死亡した場合があります。

例えば、契約者が夫、被保険者が妻、受取人が夫の場合、契約者である夫が先に死亡した場合、被保険者はまだ生存していますので、保険金ではなく解約返戻金の問題になります。

この場合、例え保険が解約されなかったとしても、解約返戻金相当分が相続財産の対象となりますので注意が必要です。解約返戻金は保険金ではありませんので、生命保険の非課税措置はありません。その後、保険を解約するか継続するかは相続人が決めることになります。

仮に保険を継続する場合は、上記の例で言うと、新たな契約者を妻か子供、受取人を子供に変更するのが一般的です。

3月 09 2018

相続登記⑮ 土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置の創設

相続登記が長年にわたって放置されたため相続人が死亡し、相続人の相続人が表れることによって相続関係が複雑になり、結果、不動産の処分が困難になるケースが増加しています。

政府も、この問題を深刻に考え、解決策として相続登記に係る登録免許税を一定の条件を満たせば免除するという措置を打ち出しました。これで、相続登記の促進を図り、登記が放置される不動産を減らそうという試みです。(平成30年度の税制改正大綱に盛り込まれました。)

具体的には、
相続により土地の所有権を取得したものが移転登記を受けないで死亡した場合、相続人等が平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に、その死亡した者を登記名義人とするためにおこなう移転登記に対する登録免許税が免除となります。

恐らく、そのままの形で国会を通過して法律となる可能性が高いと思われます。もし、上記の条件に当てはまる土地がある場合は、平成33年3月31日(実際には平成33年はありませんが、そこは新元号が決まったら読み替えて下さい)までに登記を行えば登録免許税を払わないで済むということになりますので、見逃さないようにしましょう。

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3月 02 2018

遺産分割③ 初めてでも良く分かる遺留分の話

遺留分って知っていますか。

法定相続人なのに、遺言などで相続人からはずされてしまった時に、「最低限これだけはもらえる」という割合を法律が定めています。これを遺留分と言います。(従って、遺言を書くときも最初から遺留分について考えて記載した方が、後のトラブルは少ないということになります)

遺留分は自動的にもらえる訳ではありません。遺留分を無視して遺産分割協議をしても法的には有効です。そのまま遺留分の請求がされなければ、遺産分割協議のとおりに遺産は分けられることになります。

従って、自分に遺留分があると思ったら、その相続人は請求をしなくてはなりません。これを専門用語で「遺留分減殺請求」と言います。

また、遺留分減殺請求には期間があります。法律では「減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する」と定めています。ずっと放っておくと、後から気付いても請求できなくなりますので気を付けましょう。

では、具体的に、どの位の割合を請求できるのでしょうか。

(1)まず、被相続人(亡くなった方)の兄弟姉妹・甥姪には遺留分は認められておりません。あなたが兄弟姉妹・甥姪に当たる場合は遺留分はあきらめましょう。

(2)法定相続人が直系尊属(被相続人の父母・祖父母)のみの場合は3分の1が遺留分として認められています。

(3)上記1・2に該当しない場合(法定相続人が配偶者・子供の場合)は2分の1が遺留分として認められています。

実際の計算は、請求する人の法定相続分に遺留分割合をかけた割合になります。
例えば、配偶者と子供二人の場合、
配偶者の遺留分は、法定相続分2分の1に遺留分割合2分の1をかけた4分の1となります。
子供一人の遺留分は、法定相続分4分の1に遺留分割合2分の1をかけた8分の1となります。

他に注意すべき点として、生前贈与を受けた相続人がいないか、という点があります。理由は、生前贈与が「特別受益」に当たる場合、遺留分を計算する時の相続財産の金額に生前贈与された財産の金額も加える必要があるからです。(結果的に遺留分の金額が増えます)。

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2月 20 2018

相続税⑨ 知らなきゃ損する。後悔しないための生命保険の利用法

生命保険を契約する際に、よほどの事情が無ければやってはいけない契約の仕方があります。今回は、その点についてご説明しましょう。

その契約の仕方とは、ずばり「契約者と被保険者を別人にすること」です。

具体的な事例で言うと、
例えば母を契約者、父を被保険者、子を受取人にして、父死亡の際に保険金がおりる契約をしたとしましょう。

この場合、父が死亡した時におりる保険金に贈与税がかかってしまうのです。何故なら生命保険は法的には、契約者から受取人への所得の移転と考えられているからです。

その点、契約者と被保険者が同一の場合は、所得の移転は贈与税ではなく相続税の対象とみなされますので、相続税の生命保険控除が利用できますし、仮に控除額を超えていても贈与税よりは低い税率ですみます。

ただし、契約者といっても名ばかりで、実際に保険料の負担をしていたのが契約者ではなかったりすると、後で税務署に指摘されることもあります。あくまで保険料の負担者がイコール契約者である場合に相続税の対象になるので注意しましょう。

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2月 16 2018

申告期限を過ぎると相続税が大幅に高くなる?(相続税⑧)

相続税の基礎控除を超えた財産がある場合、相続税の申告をする必要があります。
この申告には10か月という期限が設けられていて、期限内に申告しないと、非常に高い相続税を支払うことになる可能性がありますので注意が必要です。

なぜ申告期限を過ぎると高くなるかというと、相続税を安くするための特例が使えなくなってしまうからです。

相続税を安くするための特例はいくつかあります。
例えば、代表的な相続税の特例である小規模宅地の特例について考えてみましょう。小規模宅地の特例を適用した場合、宅地の相続税評価額(固定資産評価額ではありません)に対して、最大で80%の減額が出来るという非常にお得な制度です。

夫が亡くなって、妻と子ども2人が相続した場合を考えてみましょう。
相続財産は、自宅が1億・他の不動産が3億5,000万・預貯金が5,000万だったとします。
相続財産の合計は5億円ですね。

ここで自宅に対して小規模宅地の特例を使うと、1億の評価が約8,000万円減額されて2,000万円となります。
減額の効果はどうなるのでしょう。

小規模宅地の特例を使うと、相続税の計算のための相続財産は、自宅2,000万、他の不動産3億5,000万、預貯金が5,000万ですから、合計4億2,000万円です。
これで相続税を計算すると、だいたい5,000万円くらいの税額となります。
計算方法は省きますね。

一方、申告期限を過ぎて小規模宅地の特例を使えなかった場合、相続税の金額は約1億3,000万円ほどと一気に跳ね上がります。
その差、約8,000万円です。
これだけの違いがある訳ですから、相続税の申告期限は必ず守る必要があります。
くれぐれも注意しましょう。

申告期限10か月なら、余裕だと思っている人にも、意外な盲点があります。

それは、相続で揉めたときです。

遺産分割協議がうまくいかず、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てたりすると、あっという間に申告期限を過ぎてしまいます。
ましてや、調停でもうまくいかなかった場合は、裁判です。もはや決着がつくのは何年後になるかわかりません。

申告期限の延長も考えられますが、必ず認められるわけではないようです。
申告期限後の3年以内の分割見込書というのもあるのですが、相続人の負担が大きくなるのは間違いありません。

できれば、生前対策を行って、揉める要素を失くしておきたいところですね。

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