司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

3月 09 2018

相続登記⑮ 土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置の創設

相続登記が長年にわたって放置されたため相続人が死亡し、相続人の相続人が表れることによって相続関係が複雑になり、結果、不動産の処分が困難になるケースが増加しています。

政府も、この問題を深刻に考え、解決策として相続登記に係る登録免許税を一定の条件を満たせば免除するという措置を打ち出しました。これで、相続登記の促進を図り、登記が放置される不動産を減らそうという試みです。(平成30年度の税制改正大綱に盛り込まれました。)

具体的には、
相続により土地の所有権を取得したものが移転登記を受けないで死亡した場合、相続人等が平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に、その死亡した者を登記名義人とするためにおこなう移転登記に対する登録免許税が免除となります。

恐らく、そのままの形で国会を通過して法律となる可能性が高いと思われます。もし、上記の条件に当てはまる土地がある場合は、平成33年3月31日(実際には平成33年はありませんが、そこは新元号が決まったら読み替えて下さい)までに登記を行えば登録免許税を払わないで済むということになりますので、見逃さないようにしましょう。

より詳しい情報が知りたい場合は以下をクリック

https://www.hashiho.com/inherit/registration/

3月 02 2018

遺産分割③ 初めてでも良く分かる遺留分の話

遺留分って知っていますか。

法定相続人なのに、遺言などで相続人からはずされてしまった時に、「最低限これだけはもらえる」という割合を法律が定めています。これを遺留分と言います。(従って、遺言を書くときも最初から遺留分について考えて記載した方が、後のトラブルは少ないということになります)

遺留分は自動的にもらえる訳ではありません。遺留分を無視して遺産分割協議をしても法的には有効です。そのまま遺留分の請求がされなければ、遺産分割協議のとおりに遺産は分けられることになります。

従って、自分に遺留分があると思ったら、その相続人は請求をしなくてはなりません。これを専門用語で「遺留分減殺請求」と言います。

また、遺留分減殺請求には期間があります。法律では「減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する」と定めています。ずっと放っておくと、後から気付いても請求できなくなりますので気を付けましょう。

では、具体的に、どの位の割合を請求できるのでしょうか。

(1)まず、被相続人(亡くなった方)の兄弟姉妹・甥姪には遺留分は認められておりません。あなたが兄弟姉妹・甥姪に当たる場合は遺留分はあきらめましょう。

(2)法定相続人が直系尊属(被相続人の父母・祖父母)のみの場合は3分の1が遺留分として認められています。

(3)上記1・2に該当しない場合(法定相続人が配偶者・子供の場合)は2分の1が遺留分として認められています。

実際の計算は、請求する人の法定相続分に遺留分割合をかけた割合になります。
例えば、配偶者と子供二人の場合、
配偶者の遺留分は、法定相続分2分の1に遺留分割合2分の1をかけた4分の1となります。
子供一人の遺留分は、法定相続分4分の1に遺留分割合2分の1をかけた8分の1となります。

他に注意すべき点として、生前贈与を受けた相続人がいないか、という点があります。理由は、生前贈与が「特別受益」に当たる場合、遺留分を計算する時の相続財産の金額に生前贈与された財産の金額も加える必要があるからです。(結果的に遺留分の金額が増えます)。

より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック

https://www.hashiho.com/inherit/divide/

2月 20 2018

相続税⑨ 知らなきゃ損する。後悔しないための生命保険の利用法

生命保険を契約する際に、よほどの事情が無ければやってはいけない契約の仕方があります。今回は、その点についてご説明しましょう。

その契約の仕方とは、ずばり「契約者と被保険者を別人にすること」です。

具体的な事例で言うと、
例えば母を契約者、父を被保険者、子を受取人にして、父死亡の際に保険金がおりる契約をしたとしましょう。

この場合、父が死亡した時におりる保険金に贈与税がかかってしまうのです。何故なら生命保険は法的には、契約者から受取人への所得の移転と考えられているからです。

その点、契約者と被保険者が同一の場合は、所得の移転は贈与税ではなく相続税の対象とみなされますので、相続税の生命保険控除が利用できますし、仮に控除額を超えていても贈与税よりは低い税率ですみます。

ただし、契約者といっても名ばかりで、実際に保険料の負担をしていたのが契約者ではなかったりすると、後で税務署に指摘されることもあります。あくまで保険料の負担者がイコール契約者である場合に相続税の対象になるので注意しましょう。

生前対策について、より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック

https://www.hashiho.com/inherit/

2月 16 2018

申告期限を過ぎると相続税が大幅に高くなる?(相続税⑧)

相続税の基礎控除を超えた財産がある場合、相続税の申告をする必要があります。
この申告には10か月という期限が設けられていて、期限内に申告しないと、非常に高い相続税を支払うことになる可能性がありますので注意が必要です。

なぜ申告期限を過ぎると高くなるかというと、相続税を安くするための特例が使えなくなってしまうからです。

相続税を安くするための特例はいくつかあります。
例えば、代表的な相続税の特例である小規模宅地の特例について考えてみましょう。小規模宅地の特例を適用した場合、宅地の相続税評価額(固定資産評価額ではありません)に対して、最大で80%の減額が出来るという非常にお得な制度です。

夫が亡くなって、妻と子ども2人が相続した場合を考えてみましょう。
相続財産は、自宅が1億・他の不動産が3億5,000万・預貯金が5,000万だったとします。
相続財産の合計は5億円ですね。

ここで自宅に対して小規模宅地の特例を使うと、1億の評価が約8,000万円減額されて2,000万円となります。
減額の効果はどうなるのでしょう。

小規模宅地の特例を使うと、相続税の計算のための相続財産は、自宅2,000万、他の不動産3億5,000万、預貯金が5,000万ですから、合計4億2,000万円です。
これで相続税を計算すると、だいたい5,000万円くらいの税額となります。
計算方法は省きますね。

一方、申告期限を過ぎて小規模宅地の特例を使えなかった場合、相続税の金額は約1億3,000万円ほどと一気に跳ね上がります。
その差、約8,000万円です。
これだけの違いがある訳ですから、相続税の申告期限は必ず守る必要があります。
くれぐれも注意しましょう。

申告期限10か月なら、余裕だと思っている人にも、意外な盲点があります。

それは、相続で揉めたときです。

遺産分割協議がうまくいかず、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てたりすると、あっという間に申告期限を過ぎてしまいます。
ましてや、調停でもうまくいかなかった場合は、裁判です。もはや決着がつくのは何年後になるかわかりません。

申告期限の延長も考えられますが、必ず認められるわけではないようです。
申告期限後の3年以内の分割見込書というのもあるのですが、相続人の負担が大きくなるのは間違いありません。

できれば、生前対策を行って、揉める要素を失くしておきたいところですね。

>>>遺言で相続の争いを回避<<<

>>>生命保険で相続の争いを回避<<<

>>>相続税の基礎控除について知りたい人はこちら<<<

2月 07 2018

亡くなった家族の借金を調べる方法(相続放棄⑪)

亡くなった家族の持ち物を調べていたら、消費者金融のカードが見つかったら、どうしますか?
あるいは、葬儀の後しばらくしたら、消費者金融やクレジット会社から借金返済の請求書が届いたとしらら、どうしますか?
他にも借金があるかもしれないと、すごく不安になりますよね。

このような相談は結構あります。
このままだと高額の借金を相続することになるかもしれない
とパニックになってしまう人もいて、残された家族にとっては深刻な問題です。
不安の1番大きな原因は、一体いくら借金があるのか分からないことです。

どうすれば、解決できるのかを事例をもとに見て行きましょう。

相続放棄するしか方法がない?

夫が死亡、相続人は妻と子ども3人です。
相続財産は夫名義の不動産のみで、妻が住んでいます。現金預金等の財産はほとんどありません。
この状況で、消費者金融2社から100万円相当の請求書が届きました。妻は夫が借金をしていたことも知りませんでした。

請求書が届いたことで、妻だけでなく、独立して生活していた子どもたちも、パニックに陥りました。
他にも借金があるのではないだろうか、あったとしたら、いくらなのだろうか、と。

不動産は借地に建物を建てたもので築年数も古いので、ほとんど価値が無いため、売却して支払うことも難しい状況です。

この状況で子どもの1人が、相続放棄を思いつきました。
借金の状況がわからない以上、この選択は間違っていません。

しかし、相続放棄をすると夫と2人暮らしだった妻が、夫の名義の不動産を失い出て行かなくてはならなくなる可能性があります。相続放棄はマイナスの財産を引き継がなくて良いかわりに、プラスの財産も引き継ぐことはできないからです。

困った妻は「夫の借金は自分が何とか払う」と言い出してしまいました。

相続財産がほとんどないことが、はっきりと分かっていれば、相続人全員で相続放棄をすれば問題は解決します。しかし、相続財産が少しでもあると一気に難しい問題となります。

信用情報機関への開示請求

そこで事務所としては、信用情報機関に開示請求をすることにしました。信用情報機関は代表的なところが3か所あります。それぞれに相続人の代理人という立場で司法書士から開示請求書を送り、他に借金が無いかを調べます。同時に、既に判明している2社に対しては、業者宛に取引履歴の開示請求を出して実際の借金額を計算しました。

信用情報開示請求をすることによって、最初の2社だけであることが確定しました。また、消費者金融2社の取引履歴が開示され、それを事務所で利息制限法に引き直し計算をしたことによって、何と700万円近い過払金が発生していることが判明しました。夫は長い間、借入と返済を続けていたのです。

マイナスの財産つまり借金は無いという結果になり、相続放棄の必要性は無いことが分かりました。過払い金も戻ってきます。家を失う心配も無くなりました。

このように相続財産が少しでもある状態で、故人の借金が発覚すると判断が非常に難しくなることがあります。相続放棄には3か月という期間制限もあるため、早く決断しないと手遅れになる危険もあるので、素早い対応が求められます。

上記の事例で、もし妻が借金を支払って終わらせていたら、本来あった700万円もの過払金は無かったものとして過ぎ去っていた可能性が高いです。
年金暮らしの妻にとっては、経済的に厳しい状況が続くことになったでしょう。
仮に相続放棄をしていたら、支払うものは無くなりますが、妻は住み慣れた家を出ていかなくてはなりませんでした。

借金が発覚=相続放棄がベストでない場合もあるのです。
少しでも疑問が起きたら、専門家に相談してみましょう。

相続放棄について詳しく知りたい人はこちら

1月 30 2018

実家売却信託の税金のメリット (家族信託(民事信託)27)

高齢の両親がそろって施設へ入所する可能性って、ありませんか?
成年後見をお引き受けしたとき、このような例が何件かありました。
両親の近くに住む子どもはいません。
皆、仕事の関係や、転勤等で遠く離れています。

子ども世帯の家計は、苦しいとまではいかないまでも、両親を良質な施設に入居させたり、その後の費用の全てを面倒みることは、難しい状況です。

そんなとき、実家売却信託が役に立つという話を家族信託25で紹介しました。
実家売却信託について

実はこの実家売却信託ですが、税制上のメリットもあります。
今回は税制上のメリットに絞って詳しく説明しましょう。

例えば以下の事例で考えてみます。

  • 実家売却代金を施設費用に充てたい
  • 父は母と一緒に数年後に高齢者施設に転居の予定です。
    父も母も、子どもたちも、実家は誰も住まなくなるので売却したいと考えています。

    父も母も最近、体も頭も衰えてきていて、売却までに認知症を発症する可能性があります。
    子どもたちは、そのことをとても気にかけています。

    認知症になった後では、成年後見人をつけない限り、売却することが不可能になりますし、入居する施設も自由に選べない可能性もあるからです。

    父母も子どもたちも、家の売却代金を、長男に譲り、施設入居やその後の資金に充てたいと考えています。
    ただ、売却代金にかかる税金のことは心配しています。

    実家の価値は
    固定資産評価額 土地1,000万円 家屋300万円
    売却代金2,000万円 取得費は不明 
    です。

    この条件で、実家を長男に贈与した場合と、信託にした場合とで税金の比較をしてみましょう。

  • 実家を贈与した場合の税金
  • 相続時精算課税制度を利用した場合
    登録免許税26万円(評価額の2%)

    不動産取得税24万円(評価額の3%・土地は1.5%)(特例措置)

    贈与の後の売却による譲渡益課税は約380万円(売却代金の20%弱)
    (長男のマイホームではないので、自宅を売ったときに比べて高額になる)

    合計430万円程度

  • 家族信託にした場合の税金
  • 登録免許税42,000円(評価額の土地0.3%・家屋0.4%)

    不動産取得税は0円(権利が移転していないから)

    譲渡益課税は0円(父のマイホームを売ったのと同じなので)

    合計42,000円程度

    比較してみると、相当大きな金額ではないでしょうか。

    家族信託で信託契約を結んだ場合、名義のみが長男に移り、長男の裁量で売却が可能です。
    税制上のメリットとしては、かかる税金は登録免許税のみで、不動産取得税は課税されず贈与税もかかりません。
    権利が移転していない、つまり、取得しているとはいえないからです。

    さらに居住用不動産を譲渡した際の3,000万円特別控除の特例を使うことが出来るため、トータルの節税効果はかなり大きくなります。

    無事、売却が完了したら、売却代金の帰属先を信託契約で長男に指定しておきます。
    すると現金の贈与になりますので不動産取得税や譲渡益課税はかかりません。

    単純に贈与税の問題だけになりますので、相続時精算課税を使うことで贈与税もかからなくなる可能性が高いです。

    長男に全てを任せてしまうことが心配な他の兄弟姉妹も出てくるでしょう。
    そういうときは、信託監督人をつけて、契約で決めた期間ごとに、資金の現状を報告するように契約で定めておけば、安心です。

    このように条件によっては税制上の大きなメリットがあるので、同様の不安を抱えている人や、興味がある人は、信託に詳しい専門家に相談してみて下さい。

    家族信託について詳しく知りたい人はこちら

    1月 23 2018

    事業承継を考えた経営者隠居信託 (家族信託(民事信託)26)

    高齢になる前の対策は、任意後見と家族信託がありますが、家族信託がより良いケースがあります。

    企業のオーナーが子に事業を譲るときです。

    企業ならではの問題があるため、任意後見ではカバーしきれない部分があるからです。
    最も大きいのは税金問題でしょうか。

    家族信託ならば、そこを解決できますので、オーナーの皆様はぜひ一度家族信託を検討してみてください。

    贈与税と議決権

    AさんはX社のオーナー経営者で、そろそろ長男BさんにX社をまかせて隠居したいと考えているとします。

    ここでまず問題になるのが、株価です。
    中小企業では自社の株価の評価を低く見積もっていることもよくあります。
    実際にはX社の株価が高いため、長男Bに株式の贈与や譲渡をすることが、難しくなります。
    なぜかというと、贈与税の問題が発生するからです。
    贈与税でも相続税でも、この「自社株」がネックになってくることは本当に多いです。
    税金を払うために借入をすることは、珍しくありません。

    もうひとつが、議決権の問題です。
    長男Bは後継者となるには、代表取締役になるだけでは足りず、少なくとも議決権の過半数は保有しないと安心して経営ができないため、そこをクリアしなければなりません。

    身内のゴタゴタで、経営が不安定になってしまうことは、絶対に避けたいところです。

    この問題を解決するには、どうすれば良いのかというと、Aさんは長男Bを受託者兼二次受益者として、X社株式の全部または過半数を信託財産とする信託契約を締結するという対策を取れば解決します。

    信託契約の結果

    X社株式の議決権は長男Bに移るので長男は安心して経営ができます。

    信託の特性として受益権(この場合は株式配当を受ける権利)はAさんから移動していないので贈与税はかかりません。
    税金の問題は解決しますね。
    ただ、契約のとき、Aさんが1次受益者となるような信託契約を設定するということは、注意しましょう。

    また、Aさんが亡くなったら、受益権が長男Bさんに移るように信託契約を設定することにより、Aさんは生前は配当を受け取り、亡くなった後は長男Bさんが配当を受け取ることができます。

    Aさんは安心して隠居ができ、理想的な事業承継が可能となるわけです。

    事業の継承を考えると、この方法がベストな選択ではないでしょうか。
    もちろん、家族信託契約だけ行えば良いわけではありません。
    Bの他に子がいる場合は、そのための対策も打っておく必要があるでしょう。
    トータルでの対策が大切です。

    家族信託について詳しく知りたい人はこちら

    1月 19 2018

    遺産相続で配偶者を優遇する規定の新設 (相続登記⑭)

    現在、政府が進めている民法改正要綱案によると、遺産相続における配偶者優遇措置が強化されることになりそうです。

    被相続人(亡くなった人)の配偶者が、これまで住んでいた家にそのまま住み続けられるように配偶者居住権という権利を設定できるという、法的に結婚している配偶者の優遇を強く打ち出した内容となっています。

    総務省の全国調査によると、2人以上世帯の家計資産に占める不動産の割合は全国平均で約66.5%になります。
    子どもがいる場合の配偶者の法定相続分は2分の1です。
    法定相続で遺産を分割した場合、現状では、子どもの取り分をねん出するため、自宅を売却する必要に迫られるケースが多くなっており、配偶者が住み慣れた家を追い出されることで問題になっていました。

  • 配偶者居住権
  • そこで新しい要綱案では、住んでいる家に限って所有権とは別に「配偶者居住権」という権利を新設。
    この権利を設定することによって、他の相続人が家の所有権を持っていても、配偶者は家に住み続けることが出来るようになる、というものです。

    この際、配偶者居住権は家の評価額よりも低くなるので、配偶者が法定相続分で相続しても、住んでいる家を失わない上に、現金・預貯金を相続できるケースが増えると見込まれています。

    配偶者居住権の評価額は住む年数などに応じて変わります。
    また、権利を行使するためには設定の登記が必要となります。
    相続登記と一緒に依頼するのが、自然な流れでしょうか。

    他にも、結婚後20年以上経った夫婦に限り、遺言による遺贈または生前贈与された居住用の家は遺産分割の対象から外せる規定も盛り込まれました。

  • 仮払い制度の新設
  • また相続開始後に預貯金が凍結され、葬儀費用などを相続人が立て替えなくてはならない問題を解決するために、遺産分割前に相続人が預貯金を引き出せるようにする仮払い制度も新設されました。

  • 被相続人の介護について
  • さらに、被相続人の介護などをした相続人以外の親族が、相続人に金銭を請求できる規定も盛り込まれています。
    これは、被相続人と同居していた長男夫婦の場合、長男の妻が被相続人を介護していたときなどが該当するでしょう。

    常々、問題になっていたことなので、画期的な改正と言えるでしょう。

    主だったものはこのくらいですが、まだいくつかあります。
    民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)

    法案は今月から始まる通常国会に提出される見通しで、早ければ今年度中には成立する可能性があります。今までの相続制度を大幅に変える規定が多く盛り込まれているため、国会の成り行きを注目していきたいと思います。

    相続登記について詳しく知りたい人はこちら
    遺産分割について詳しく知りたい人はこちら

    1月 12 2018

    認知症対策としての実家売却信託 (家族信託(民事信託)25)

    高齢の親の介護をするための費用はどのように出していますか?
    いつかは施設に入所するかもしれないときの費用は、どのように出す予定ですか?

    もともと、預貯金がたくさんある人は、預貯金から出せば済みます。
    けれど、預貯金はあまりないという人もいますよね。
    いずれは、親が暮らしている家を売却して、資金を確保する必要があるかもしれません。

    ところが、いざ親が認知症になってしまったあとでは、成年後見人がついて、売却の時期や施設の選択が、思い通りにはならない可能性があります。

    >>>家族信託と成年後見の仕組みの違い<<<
    そんなときは、事前の家族信託契約が便利です。

    認知症対策として家族信託は有効な解決方法となります。

    その中でも最もメジャーで良く使われる方法が実家売却信託です。

    実家売却信託とは?
    高齢の母や一人暮らしです。長女がいますが、長女家族は長女夫の仕事の関係で母とは離れて暮らしています。
    さてこのような状況のとき、実家売却信託をどのように結ぶのでしょうか。

    母所有の不動産につき、母を委託者兼受益者、長女を受託者とする信託契約を締結して不動産の名義のみを長女に変更します。
    売却後の代金についても信託契約により長女が管理できるようにしておきます。

    これで、母が認知症になったとしても、長女の権限で実家の売却が可能になり、その代金で介護費用や施設入所費用に充てることも出来るようになります。

    もし母に成年後見人が付いたとしても、信託契約の方が優先しますので、信託された財産部分に関しては(今回の場合は実家です)、成年後見人が口をはさむことは出来ません。

    成年後見制度が非常に硬直した使い勝手の悪い制度なので、認知症対策としての家族信託は今後も増えていくでしょう。
    家族信託はオーダーメイドなので、様々な認知症対策に応用できます。
    将来の認知症のことで不安に思われた場合は検討してみましょう。

    注意することは、認知症になった後では信託契約は出来ないということです。判断能力が残っているうちに契約を結ばなければいけません。

    家族信託についてもう少し詳しくしりたい人はこちら

    1月 10 2018

    共有不動産の問題と対策(家族信託(民事信託)24)

    不動産が家族の共有になっている状態というのは普段は問題ないように思えます。
    問題になるとき、とはどういうときでしょうか。

  • 売却するとき
  • 銀行からお金を借りて抵当権をつけるとき
  • 土地を更地にして賃貸アパートを建てるとき
  • などです。

    家族全員が同じ意見なら何も問題ありません。
    しかし今売りたい人と、まだ売りたくない人、事業を起こすからお金が必要な人とそうでない人、積極的に資産を運用したい人と、守りたい人など、家族とはいえ、考え方はそれぞれですよね。

    不動産の売却その他の手続には、全員の実印や印鑑証明書が常に必要になるため、共有者が多い場合は、かなり面倒な事態になりかねません。

    それを防ぐのに有効な手段として、最近NHKのクローズアップ現代でも放送されて脚光を浴びてきている家族信託という制度があります。

    具体的な事例で考えてみましょう。

    共有による懸念事項

    登場人物は父、母、長男、長女です。
    長男長女は、それぞれ結婚して家計は独立しています。
    長男には子がいますが長女には子がいません。

    さて、このような状況で父が亡くなったらどうなるのでしょうか。

    遺言も無く遺産分割協議もしなかったとすると、不動産の名義が母2分の1、長男4分の1、長女4分の1と3者の共有になります。

    今は家族が仲が良いので問題を感じていません。
    しかし長男は常々懸念していることがありました。

    1つは母が高齢のため認知症になってしまうかもしれないこと。
    認知症になってしまった後では、不動産の売却や処分は簡単にはできません。
    成年後見人をつけるか、認知症になる前に任意後見契約を結んでおくかを考えなくてはなりません。

    また長女には子がいないので、長女が長女の夫より先に亡くなったら、長女の夫が共有者になる可能性があります。長男は長女の夫とはあまり面識がありません。
    それに、もともとは父母の不動産であるので、長女の夫やその親族が持ち主になることに、いささかの抵抗感がありました。

    何か、打開策はないのでしょうか。

    共有に対する有効な対策

    たとえば、こんな方法があります。
    3者全員が元気にうちに(特に母の意識がはっきりしているうちに)話し合いをし、母と長女の共有持分につき、長男を受託者とした信託契約を締結し、名義のみを長男に変更する。
    権利は3者のままです。

    わかりにくいかもしれませんが、信託契約については、他の記事もご覧ください。
    >>>知っておきたい家族信託と成年後見制度の違い<<<
    長男が不動産の管理・運用・処分を任されることになるので、いちいち全員の印鑑を集めなくても、随時に適切な措置を取ることが出来るようになります。

    また、契約内容を工夫することによって、長女の夫が共有者になったとしても、この状態を続けることが可能になります。
    たとえば、母より先に長女が亡くなったとします。
    長女の夫が不動産の共有者になったとき、売却して自分の持分を換金して欲しいと希望したとしても、それを拒否し、母の住み家を守ることができるわけです。

    >>>家族信託についてもう少し詳しく知りたい人はこちら<<<

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