司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

2013年8月

8月 30 2013

エイワの催促(破産申立までの期間)

先日、エイワ(消費者金融)から以下のような電話がかかってきました。

「先生、この方、破産になるそうですが、いつ頃に申し立てるんですか。」(エイワ)

「まだ、全ての債権者から債権届が送られていませんので申し上げられません。」(私)

「いやあ、ウチはとっくに出していますので、あんまり待たされても困るんですよね。届いてない業者には、ちゃんと催促してますか。」(エイワ)

「もちろんしていますよ。もう少しかかるということです。お待たせして申し訳ありません。」(私)

「それで、債権届がそろったら、どの位で申し立てますか。ウチは半年も待てませんよ。訴訟させて頂きますから。」(エイワ)

「いや、当事務所の通常の申立期間は、債権届がそろってから2~3ヶ月ですから、そんなにお待たせすることはないと思いますよ。」(私)

「そうですか。半年とか1年とか平気で放置される事務所も多いんでね。ウチはそういうのは積極的に訴訟をしていくことにしてますので。」(エイワ)

「まあ、分割の報酬が払い終わるまで申立をしないという事務所が、いくつかあると聞いていますので、エイワさんの言うことも分かります。当事務所では、報酬の支払期間中でも準備が整い次第、申立はしますので、ご心配なく」(私)

「分かりました。じゃあ申立をしたら通知をよろしく。」(エイワ)

実は、この事件の総債権額は300万で、エイワの債権は何と7万円に過ぎないのです。わずか2%強の債権者が、この偉そうな態度。「たかが7万円でそんなにしつこく催促するな」という言葉が何度も声に出そうになるのを何とかこらえました。(もし言ったら、「債権者を差別するのか」とか何とか文句を言ってくるのは目に見えていましたので)

ここで重要なのはエイワのような業者が現実に存在する以上、あまり申立までの期間を長く取るのは得策ではないということです。理由は訴訟リスクが高まるからです。

現在は破産法が改正されましたので、申立をすれば強制執行は中断できます。しかし申立前は、そういう方法もとれませんので、訴訟に対しては早く申し立てるのが最善の策となります。

実際に申立まで半年または1年以上かける事務所は珍しくありません。ご自身が依頼した事務所がそうだった場合は、訴訟リスクについては説明を受けた方が良いと思います。

8月 26 2013

個人再生解決事例⑤

収入は充分にあったのですが、保険と自動車で清算価値が増えてしまって返済額が結構多くなり、ぎりぎり審査に通ったケースです。

Eさん、男性、住宅ローン有り
30代 会社員
借入先4社 借入総額約750万(住宅ローン除く)

愛知県の自動車関連のメーカーに勤めています。収入は割と安定していてボーナスも、そこそこ出ていたので、結婚当初は生活に特に不安も無く暮らしていました。

それで気の緩みが出たのかもしれません。子供を3人生んで、車も結構高額のSUVを購入したりしました。外食の回数も多くなり、知らないうちに出費がかさんでいきました。

そんな時に、あるきっかけで「うつ病」になり、会社を休みがちになりました。残業もほとんど出来なくなる日々が続きました。途端に収入が少なくなり、それでも出費は急には減らせなかったので、銀行の個人ローンで借入をするようになりました。

今まで安定した収入があったので銀行系の個人ローンは割りと簡単に借りられて、他の銀行系ローンからも借りるようになりました。与信も最初の頃は結構大きくて、かなりの額を後先考えずに借りてしまいました。

そのうち子供も大きくなり教育費もかさむようになってきました。何しろ3人いますので、教育費はばかになりません。車のローンもまだ残っていましたので、いよいよ住宅ローンの返済がやばくなってきました。

このままでは住宅を失ってしまうと考えて、いろいろとネットで検索して経験の豊富そうな司法書士事務所を見つけました。早速、相談に行くことにしました。

事務所では住宅を守れる個人再生という方法があると教えられましたが、その際に、徹底的に家計の節約の指導を受けました。司法書士とは別にファイナンシャルプランナーの方から家計の問題点をいくつか指摘され、自分自身「我が家は、まるで節約ができていなかった」ということを痛感しました。

当初、住宅の為には、車はあきらめなければいけないだろうと思っていましたが、何と裁判所の取り扱いが変わって車は手元に残ることになりました。これはラッキーと思いましたが、しばらくすると、良いことばかりではないと気付きました。

それは、車が残る代わりに車の現在価値が清算価値と言って返済額に組み込まれてしまうということです。おかげで返済額が結構多くなってしまい、審査を通す為に、より一層の家計の節約に取り組むことになりました。

何度か事務所に出向き、家計の指導を継続的に受けて何とか審査が通りました。状況が厳しくなっても真剣に対応してくれた事務所には感謝しています。せっかく住宅も車も残りましたので、家計を引き締めて3年間返済していこうと思います。

○司法書士からのコメント○
この人の場合、車以外にも、住宅にかかっている火災保険が通常よりも高額で、しかも購入時期に一括で払っていた為、結構な解約返戻金が出てしまいました。

個人再生の場合、保険は解約する必要はありませんが、その代わり、現時点で貯まっている解約返戻金の額を裁判所に申告して、その額を清算価値として返済額に組み込まなければなりません。(保険は、そのまま継続できます)

Eさんの場合、その額が50万円ほどでした。車も比較的新しかったので、現在価値を算出したら何と150万円近くありました。これだけで合計200万円近い清算価値となります。これで返済額は200万円以上となる訳です。月あたり6万円近くを払っていかなくてはなりません。

住宅ローンや子供の教育費を払いながらですから、当然、裁判所から「大丈夫か」と指摘されました。裁判所に対して「大丈夫」と主張する為には、家計の節約を徹底する必要がありました。

幸い事務所にはファイナンシャルプランナーがいますので、何度か事務所に来てもらって、ていねいな家計の見直しを行い、最終的には裁判所に納得してもらうことが出来ました。

今では「うつ病」もだいぶ良くなり、残業も出来るようになって収入も少し増えました。相談する場所が出来たことで本人も気が楽になったようです。

より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック

http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/

8月 23 2013

自己破産解決事例⑤

浪費による借入が多かったので、開始決定が出るまでに時間がかかったケースです。

Eさん、男性、30代
借入先8社、借入総額約500万円

以前、勤めていた会社は残業や休日出勤が非常に多く、会社の空気が断れる雰囲気ではなかった為、毎日のようにストレスがたまって、そのうち体の調子が悪くなるようになりました。

それで医者にみてもらったら、「うつ病」と診断されました。それでも会社には行っていましたが、そのうち、ストレス解消のためならと思い、買い物に行って必要以上に物を買ったり、飲みに行ったり、カラオケに行ったりを頻繁にするようになりました。

そんなことを続けていると、お金が足りなくなって借金をするようになりました。その頃は、仕事が忙しすぎるくらいだったので、返済の心配はあまりしませんでした。しかし、途中から、体調の悪化が激しくなり、仕事に支障をきたすくらいになってしまいました。このままではマズイと思い、会社を退職しました。

すると、当然ですが借金の返済が苦しくなり、返済の為に借金をするようになりました。ストレスが無くなったので浪費は一旦おさまったのですが、生活はむしろ苦しくなりました。それで、次の会社を探して就職しました。

しかし、前の会社に比べて給料が下がってしまったので、思ったよりも借金が減りません。借金返済のことを考えていたら再び「うつ病」の症状が出てきたので、これは何とかしないとマズイと思い、司法書士に相談することにしました。

相談すると、「あなたの場合、自己破産が適切でしょう」と言われ、一瞬悩みましたが、「うつ病」を抱えた状況では、とにかく借金を無くさないとどうにもならないなと考え破産を決意しました。その後、手続をしてもらいましたが、浪費で使ったお金が結構あったので、裁判所の審査期間は通常よりも結構、時間がかかってしまいました。

それでも司法書士さんの助けもあって、無事に手続を終えることが出来ました。今では決断して良かったと思っています。

○司法書士からのコメント○
破産原因に浪費がある人は結構います。むしろ、全く浪費が含まれていない人の方が珍しいかもしれません。それでも、ほとんどの場合、破産の審査は通ります。浪費といっても、借金の大部分が浪費とかでない限り、結構、裁判所は認めてくれるものなのです。

しかし、Eさんの場合は借金のかなりの部分が浪費で占められていました。これが裁判所の審査に影響して、開始決定が出るまでに、かなり時間がかかりました。具体的には、申立をしてから開始決定が出るまで5ヶ月近くかかりました。

個人再生ならば借金の原因は関係ありませんので、こんなことは起こらないのですが、Eさんの場合、再就職の会社で給料が下がってしまったので、個人再生を使えませんでした。何とか破産で審査を通すしかありません。

それで、病院から診断書をもらって、「うつ病」が原因で浪費になったのだから、情状酌量をして欲しいと裁判所に訴えました。そもそも、無茶な残業や休日出勤をさせていた会社が「うつ病」の原因なのだから、Eさんはむしろ被害者であるということも強調しました。その辺りが功を奏したのでしょうか、時間はかかりましたが、開始決定を得て手続を進めていくことが出来ました。

最近は破産手続が厳しくなる傾向があります。今回のケースも5年前ならば、問題なく通ったケースだと思います。破産は最後の手段ですから、あまり厳しくしてしまうのは問題のように思いますが、裁判所がそういう扱いをしている以上、プロとしては対応していくしかありません。今回のようなケースだと、「どこの事務所に行っても同じ」ということにはならない可能性が高いと思います。やはり、ある程度の経験が必要なケースもあるということです。

8月 21 2013

入社の時に残業代は出ないと言われた場合

「ウチの会社は残業代は出ないから、勤めるならそのつもりで」とか、「この業界では残業代は出ないのが常識だから、他の社員も了解してることだから」などの理由でサービス残業が当たり前になっている会社は少なくないようです。

入社の時に確認されていて、本人も「抗議したら就職できないんじゃないか」と思って、その場では同意していたりするので、余計に後から残業代の請求がしにくくなってしまいます。

こういうケースで本人から言い出すのは、かなり勇気のいることでしょう。頑張って主張したとしても、「お前は面接の時に了解しただろう」と言い返されてしまい、たいした反論もできずに終わることになるでしょう。

法律では、事前に、会社による残業代をカットする取り決めは無効とされています。従って、たとえ了解していたとしても残業代は請求できます。残業代の支払いは会社の法的義務なのです。

このような会社の場合、そもそも会社の体制が法律に違反していることになりますので、当事務所が介入した場合は、その辺りを指摘して会社から残業代を回収していくことになるでしょう。

この事例の場合、そもそも違法行為であることを自覚していなくて、ただ業界の慣習に任せてやっているというケースもとても多いのが特徴です。こうなると、まずは違法行為であることを認識してもらうところから始まりますので、説得もなかなか大変です。今までずっと同じやり方でやってきたわけですから、素人からの説明では、なかなか納得しないでしょう。こういう時こそ法律専門家に相談しましょう。

8月 20 2013

クレディセゾンの任意整理(分割和解)

消費者金融業界は、改正貸金業法の施行以来、縮小や倒産、銀行による併合などが相次ぎ、それに伴って任意整理の時の条件も厳しくなる傾向がありました。

例えば、任意整理の大きなメリットの一つである「将来利息のカット」に応じなかったり、通常は3年36回分割なのに分割回数を減らすよう要求してきたり、といったものが代表的です。

一方、クレジットカード業界は確かに厳しい環境ではありますが、消費者金融とは違ってショッピングという収益源もあり、またショッピングに関しては貸出の際の収入制限の対象になっていない為、近年、大きく伸びる傾向があり、比較的マシな経営状態のところが多いようです。

そのせいか、任意整理の際も以前と同じ条件(将来利息カットで3年36回払い)で受けてくれる業者も珍しくありません。債務者にとっては大変ありがたいことです。

最近の例でも、クレディセゾンに対して一月あたり5000円の3年払いを提案した案件があったのですが、「月あたりの金額が低いので拒否してくるかもしれないな」と思っていたら、さにあらず、翌日にはOKの回答をもらいました。

以前からセゾンという業者は、あまり横暴なことを言ってこない良質な業者ではありましたが、改めて見直してしまいました。

ただ、この業者にも注意すべきことはあります。

一つは、債務者本人が取引履歴の開示請求をすると、他の業者に比べて非常に分かりにくい取引履歴を送付してくることです。恐らく、一般の人だと、どのように計算したらいいかが分からないでしょう。ところが、司法書士が介入して受任通知を送ると一転して非常に分かりやすい取引履歴を送ってきます。このように送ってくる取引履歴に差をつけているんですね。

二つ目は、任意整理が成立した後の和解契約書の内容です。セゾンが作成した和解契約書だと、万が一、失業などで支払いが途中で止まった時、残金が和解した金額(利息制限法で引き直した後の金額)を元に算出されるのかが今一つ不明確なのです。(読みようによっては、引き直し前の元の金額に戻るようにも読めてしまうということです)
これではリスクが高すぎますので、セゾンと和解する時は司法書士の方で和解契約書を作成して、きっちりと途中不払いが起こった場合でも引き直し語の和解金額を元に計算するような条項を付けています。

以上のような注意点に気をつければ、セゾンは比較的、任意整理はやりやすい業者であると言えるでしょう。

8月 09 2013

更新の無い賃貸借契約とは?

通常の賃貸借契約の場合、当初の契約期間が終了しても、借主が更新を望んだ場合は、正当な理由が無い限り貸主は拒否できないのが一般的な取り扱いです。

では、例えば、マンションのオーナーが転勤になって、家族全員が引越している間に部屋を誰かに貸していたとしましょう(このようなケースは良くあります)。転勤期間が3年と決まっていたとして、3年後には戻ってきて部屋を使いたい場合は、どうしたら良いのでしょうか。

こういう時に利用されるのが、「定期建物賃貸借」という契約です。これは通常の賃貸借契約とは次に示す点で大きく異なっています。

それは、「契約期間が固定されていて、契約の更新が無い」という点です。

例えば、定期建物賃貸借契約で3年契約となっていたら、3年経ったら借主の意志とは無関係に契約が終了します。前述の転勤したオーナーの場合も、安心して戻ってこれます。ただし、以下の点には注意が必要です。

一つは、貸主は、借主に対して、あらかじめ契約期間の更新がなく、期間の満了によって契約が終了することを書面を交付して説明する必要があります。

そして二つ目は、契約期間が1年間以上の場合、貸主は借主に対し、期間満了の1年前から6か月前までの間に期間満了によって契約終了する旨の通知をする必要があります。

上記2点の注意事項を守れば、固定期間の賃貸借を望む大家さんにとっては非常にメリットのある契約です。

また、定期建物賃貸借契約は公正証書により締結しなければならないと考えられている大家さんがいますが、それは間違いです。法律の条文では「公正証書等の書類」と書かれていますので、一般の契約書でも締結は可能です。公正証書だと費用がかかるからと、二の足を踏んでいた大家さんは、もう一度検討してみて下さい。

8月 06 2013

消滅時効に対するアイフルの反論

アイフルが最近、消滅時効の主張に対して厳しい対応をしているようです。昔からこの業者は、やっかいな反論をしてくることで有名でしたが、これだけ消費者金融業界が不況になっても、その体質は変わる気配がありません。(むしろ不況になったことによって、より強化されたのかもしれませんね)

具体的には、最終取引日から5年以上経過して、途中、裁判上の請求などがなければ通常は消滅時効が成立し、司法書士が消滅時効の援用通知を送付すれば、それ以降は業者の請求は止まるのが、今までのパターンでした。アイフルも例外ではありませんでした。

ところが最近は、「債務者が途中で債務承認をしているので、消滅時効は中断している。よって、未だ時効ではない。」という反論をしてくるようなのです。また、この反論を裏付ける為に、債務者との会話記録なるものをアイフルが用意していて、「○年○月○日○時○分に、債務者と以下のような会話をした」という詳細なものが出てくるようです。恐らく電話などの記録なのでしょう。大手の消費者金融は電話の内容を録音していることが多いですから、そこから作成しているとすると、これは相当に有力な証拠になる可能性があります。

もし上記のような証拠が裁判上で実際に出てきたら、これは消滅時効の主張は通らない可能性は充分にあります。そういう場合は、利息制限法に引き直した後の債務は支払わざるを得ないことになります。

こうなった場合、個人再生や自己破産などの手続で債務を圧縮することも検討した方が良いでしょう。会話の記録を取られてしまった以上、仕方がありません。他にも助かる手段はあるわけですから、プラスに考えていきましょう。

8月 01 2013

訴訟をしないで立ち退いてもらう方法

家賃の滞納が3ヶ月以上になると、大家さんとしては出て行ってもらうことも考えるようになるでしょう。しかし、日本の法律では借主は保護されていて、大家さんが強制的に立ち退かせると違法になってしまいます。出て行ってもらう為には建物明渡訴訟を起こして裁判所の力で立ち退かせるのが正式なやり方です。

ですが、建物明渡訴訟は時間も費用もかかりますので、抵抗がある場合は借主と交渉することになります。場合によっては訴訟をするよりも、滞納分を帳消しにする代わりに自主的に出て行ってもらう方が安くつくこともありえます。まあ大家さんからしたら理不尽に思えるかもしれませんが、合理的に損得で考えた方が、うまくいく場合もあるのです。

しかし、上記のような交渉が成立したとしても注意すべき点があります。それは、「借主が約束どおり本当に出て行ってくれるのか」、という点です。

人の良い大家さんだと口約束で済ませてしまうかもしれませんが、これは絶対におすすめしません。何しろ、長期間家賃を滞納するような借主なのです。約束を守らない可能性は充分にあると考えるべきでしょう。守らなかった時に口約束では、どうにもなりません。

また、慎重に覚書などを書いてもらう方法がありますが、仮に書いてもらったとしても、借主が守らなかった時は、結局、その覚書に基づいて訴訟をやることになります。訴訟で判決が出るまでは何も出来ません。固い方法だと思いきや、実は結果は、あまり変わらないのです。(とは言っても、口約束よりは証拠がしっかりしている分、マシなのは確かです)

では、どのような方法が大家さんにとってベストなのかと言うと、即決和解という手続を使うことです。

即決和解とは、あらかじめ双方の合意が出来ている場合、後で合意内容を蒸し返されないように、裁判所に行って即決和解の調書を作成してもらう手続のことを言います。

この調書を作成してもらうと、非常に強力な切り札になります。何と、この調書があれば、借主が約束を守らなかった場合、訴訟をしなくても立ち退きの強制執行を裁判所に申し立てることが可能なのです。この「訴訟をしなくても」という所がポイントです。

ここまで読んで法律に詳しい人だと、「何だ、それなら公正証書と同じじゃないか。公正証書じゃだめなのか?」という疑問を持たれるかもしれません。

実は、強制執行が可能な公正証書には、「金銭の給付を目的とする権利関係に限る」というルールがあるのです。ようするに「AさんからBさんにお金を払え」、というような内容でないと上記の公正証書は作れないのです。

建物からの立ち退きは、金銭の給付を目的とはしていませんので、この内容では公正証書は作れません。こういう場合は、先ほど紹介した即決和解という方法をとるしかありません。

即決和解のご説明は以上です。任意交渉や裁判手続に自信が無い場合は、専門家にご相談下さい。