司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

2月 01 2017

ギャンブルや投資で多額の借金を負ってしまった方の救済  個人再生(36) 

借金の原因の大半がギャンブルや投資の失敗によるものである場会、自己破産で免責決定を得るのが難しくなります。例えば、500万円の借金のうち400万円がギャンブルによるものだった場合などは、免責不許可か、または一部免責(借金の一部を分割で支払った後に免責を認める)などの処置になる可能性が大きいでしょう。

また、最近の裁判所の傾向として、ギャンブルや投資の割合が多い方の場合、同時廃止ではなく管財事件に回されてしまう確率が高くなっています。

自己破産には、同時廃止と管財事件という2種類の手続があります。

同時廃止は期間も短く、何よりも裁判費用が1万から3万と非常に安いです。

一方、管財事件は裁判費用が20万から40万と高額で(この金額とは別に弁護士費用がかかります)、更に裁判所から破産管財人が選任されてきて、債務者の財産を、まるで税務署のように厳しく調査します。破産管財人は債務者に送られてきた郵便物を勝手に開ける権限まで持っています。

このように管財事件になった場合、費用の面でも手続の大変さの面でも、自己破産は非常に厳しい手続になります。また、これだけ大変な思いをしても免責決定が得られないかもしれないのです。

では、「このような方を救済する手段は無いのか」、と考えた場合、個人再生を検討してみる余地があります。

私は、「自己破産は同時廃止でこそメリットがあるけど、もし管財事件になるくらいだったら、個人再生が出来ないか検討するべき」だと思っています。

個人再生と自己破産の大きな違いとして、個人再生は「借金の理由を問わない」というメリットがあります。例え100%が投資の失敗による借金だったとしても、個人再生なら合法的な借金の減額が可能です。

自己破産のように完全に借金がチャラになる訳ではありませんが、個人再生の場合、最大で借金を5分の1まで減額できます。しかも、住宅ローンを抱えている人ならば、住宅ローンはそのままで自宅を手放さずに他の借金だけを減額することも可能です。

あと、「自分が借りたものを完全に支払わないのは気が引ける。少しでも払いたい」と言う人もいるでしょう。(実際に相談を受けていて、このように言われる人は珍しくありません)。こういう債務者の気持ちにも個人再生なら答えられます。

このように色々とメリットの多い個人再生ですが、経験のある事務所が少なく、個人再生が可能な人にまで自己破産をすすめてしまうケースも多いのが問題です。取扱業務に個人再生を掲げていても、実際にはほとんど取り扱っていないという事務所もあります。(こういう事務所は強引に自己破産をすすめてくる傾向がありますので注意が必要です)

ギャンブルや投資による借金の割合が多い人は、そもそも自己破産を選んでも免責決定が出るとは限りません(借金がチャラになるとは限らないということです)。しかも、管財事件に回されて多額の費用がかかり、破産管財人から厳しい審査を長期間受けることになる可能性も高くなっています。
それならば個人再生は有力な選択肢の一つになるはずです。自己破産を選ぶのは、一度、個人再生が可能かどうか検討してからでも遅くはないでしょう。

より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック

http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/

1月 31 2017

業者から裁判に訴えられた場合の対処法  債務整理(123) 

借金の相談に来た段階で、既に一部の業者から裁判に訴えられている場合があります。事情を聞くと、請求を放置していたら訴えられたので、それがきっかけになって相談に来たというケースが多いです。

本音としては、訴えられる前に相談に来て頂ければ、そもそも訴えられることも無かったでしょう、というケースが多いのですが、それを今さら言っても仕方がありません。法律家としては、現実に訴えられている以上、対処するしかありません。

この場合、債務整理の種類によって対処法は違ってきます。
(注意)過去5年間、取引が無い場合は消滅時効で解決できる可能性があります。その場合は、時効のページをご覧ください。

最も対処がし易いのが、自己破産と個人再生の場合です。
自己破産と個人再生の場合、開始決定まで手続が進むと、それ以降は例え判決で負けても差押をすることが出来なくなります。差押が出来なければ、判決は怖くない訳ですから、この場合は、とにかく早く破産や再生を裁判所に申し立てて開始決定を獲得することです。

そして、もう一つ重要な裏ワザがあります。破産や再生の手続を早くするのはもちろんですが、それと同時に、訴えられた裁判をなるべく長引かせる必要があります。

借金について業者から訴えられた裁判は必ず負けます(過払金が発生していた場合は、そもそも業者は訴えることが出来ません。訴えられている時点で過払金は発生していないということです)。相手方に契約書などの証拠がある訳ですから勝ち目はありません。

しかし、裁判に慣れている法律家ならば、引き延ばして判決が出るまでの期間を長引かせることは可能です(具体的な方法に関しては企業秘密です)。私も依頼人が破産や再生をする場合は、出来るだけ引き延ばして、その間に開始決定を得るように手続を進めます。

ちなみに、上記の手法は既に判決が出てしまって給料等の差押がされている場合にも応用できます。素早く破産や再生の手続を進めて、開始決定を得れば、開始決定以降の差押は中止されます。(開始決定以前の分は、あきらめるしかありませんが)

一方、任意整理の場合は、自己破産や個人再生のように差押をストップする法的な効果はありません。

従って、正攻法を取るしかありません。直接、裁判の口頭弁論期日に出頭して、「現在、一括で支払える状態ではないので、何とか分割払いにしてもらえないか」ということを相手方と裁判官に対して主張するのです。

ここで注意しなければならないのは、基本的に通常の裁判では分割は認められていないということです。例えば民事裁判における判決には分割はありません。もし、分割にしたかったら必ず判決ではなくて和解で終わらせなければなりません。和解と言うことは、相手方の了解がいるということになります。

ただ、日本の裁判官は和解決着を好む傾向がありますので(理由は長くなるので、ここでは述べません)、裁判官に「分割でなければ払えない」という事情を強く訴えれば、裁判官がなるべく和解で終わらせるように相手方に働きかけてくれることが期待できます。(あくまで期待であって絶対ではありません)

より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック

http://www.hashiho.com/debt/jikohasan/
http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/
http://www.hashiho.com/debt/ninniseiri/

1月 30 2017

訴訟で判決が出てしまった方も、あきらめてはいけません  時効(時効援用10) 

前回の時効⑨では支払督促についてのアドバイスをしましたが、今回は訴訟をされて負け判決を出されてしまった方についてです。(訴状が届いたけれども、まだ判決が出ていない時とは別の話です)

時効⑨でも説明しましたが、支払督促の場合は既判力が無いため、後から、もう一度裁判を起こすことが可能です。

しかし、民事訴訟の場合は一度、判決が出て確定してしまったら、基本的に判決に従うしかありません。

ただし確定する前ならば、まだ間に合います。具体的には、判決が自宅に届いた日から2週間以内ならば、控訴と言って、もう一度、裁判をやり直すことが認められているのです。

もし、あなたが消滅時効の条件を満たしているならば、控訴が出来る間は絶対に控訴するべきです。うまくすれば、請求されている金額を支払わなくて済むようになるからです。

より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック

http://www.hashiho.com/guild/
http://www.hashiho.com/olympus/
http://www.hashiho.com/sapporo/
http://www.hashiho.com/acom/
http://www.hashiho.com/aiful/
http://www.hashiho.com/nittele/

1月 25 2017

支払督促による差押を受けている方は助かるかもしれません  時効(時効援用9) 

ギルド・アビリオ・オリンポス・札幌・ニッテレ・子浩・アコム・アイフル・旧レイク・旧プロミスなどの貸金業者や債権回収業者から支払督促という裁判手続をされて、その結果、給料や銀行口座などの差押を受けている方の相談を受けることがあります。

「もう手遅れでしょうか」「何か打つ手はありますか」と言った相談ですが、これが通常の民事訴訟による判決だったら、正直、打つ手はありません。しかし、支払督促だった場合は話が別です。ひっくり返せる可能性が残されているのです。

もし、あなたが消滅時効の条件を満たしている状態で(過去5年以内の借入・支払が無い)、支払督促の申立をされていたのなら、「債務不存在確認訴訟」を提起することによって、借金の時効消滅を裁判所に認めてもらえる可能性があるのです。

何故なら、支払督促というのは通常訴訟とは異なり、「既判力が無い」という特徴を持っているからです。

既判力とは、「一度、裁判で確定した事実は再び争うことが出来ない」という法的な効果のことを言います。こうしないと、いくら裁判をやっても何度も蒸し返されて、きりが無くなるからです。

しかし、支払督促の場合は、申し立てる側(貸金業者や債権回収業者)の一方的な主張で仮執行宣言が出され、債務者には反論の機会が与えられていません。また、裁判所書記官の判断で処理されている手続なので、裁判官も判断していないのです。

これらの理由により、支払督促には既判力が無いとされていて、従って、もう一度、裁判で争う余地が残されているのです。

あなたが消滅時効の条件を満たしているのならば、もう一度、裁判をやれば勝てる可能性は大きいです。勝てれば、差押を止めることが出来ます。それどころか、今まで差押によって取られた金額を取り戻せる可能性もあります。

現在、支払督促によって差押を受けている方は、あきらめないで挑戦してみる価値はあると思います。

より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック

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11月 07 2016

裁判所から届いた書類は放置してはいけません  時効(時効援用8)

最近、時効援用の相談で増えているのが、せっかく時効が成立していたにもかかわらず、直近の裁判所から届いた書類を放置してしまった為に、時効援用が出来なくなってしまったという、非常にもったいない相談です。

場合によっては、ゼロになったはずの借金が、放置してしまった結果、100万円以上の支払いをするはめになることも珍しくありません。このようなケースに当たると、私も、やるせない気持ちになります。「もう少し早く電話をかけてくれれば、借金がゼロになったのに」、という思いです。

このようなことが起こる原因の一つに、「知恵袋」や「質問箱」などに、いい加減な回答をしている人がたまにいることです。

例えば、「〇〇裁判所から支払督促という書類が届きましたが、請求している業者に見覚えがありません。どうしたら良いでしょうか」というような質問に対して、堂々と「業者に見覚えが無いなら架空請求です。放っておきましょう」などという回答をしている人がいるのですが、これは大きな間違いです。

時効にかかっているような請求の場合、多くのケースで債権譲渡が行われていますので、最初に借りた業者とは違う名称の業者から請求を受けることは良くあります。従って、見覚えの無い業者であっても架空請求ではないケースも多いのです。(そもそも架空請求だったとしても、裁判をされたら放っておいてはいけません)

私は、消滅時効にかかっている債権の請求は、違法ではないが不当だと考えていて、このような請求を不当請求と呼んでいます。しかし、裁判を起こされて放置してしまったら、不当請求が正当な請求になってしまうのです。これは何とももったいないことだと思います。まさに業者側の思うつぼなのです。

最近は、分からないことは、まず「知恵袋」や「質問箱」などにあげて回答を見る習慣が定着していますが、回答している人は専門家とは限りません。特に法律関係では、大きな間違いが目立ちますので、疑問に思ったら専門家に相談することをおすすめします。

11月 04 2016

パルティール債権回収株式会社

旧武富士からパルティール債権回収というサービサーに譲渡された貸金債権には注意が必要です。理由は、公示送達によって本人が知らない間に判決が取られているケースがあるからです。

通常、裁判の被告(貸金請求の場合は債務者)が引っ越しなどにより住所不明になった場合、そのままだと判決を取ることが出来ません。訴えられたことを被告に知らせない状態で裁判を進めることは原則、出来ない事になっているからです。

しかし、公示送達という方法を使うと、これが可能となってしまうのです。ある意味、これは恐ろしいことで、自分の全く知らない間に負け判決が裁判所で出されていることになります。

当然、裁判所も被告に対する影響が大きいことは承知しているので、公示送達を利用するには高いハードルを設けています。

それは何かというと、公示送達を利用する時は、住民票の住所に実際に手紙を送ってみて戻ってくることを証明したり、現地調査を行い表札などの写真を取って来て、そこに住んでいないことを確実に証明しなくてはなりません。

正直、結構な手間がかかるので、大量の貸金請求を抱えている貸金業者は通常、ここまではやりません。公示送達は、かなり珍しい手続なのです。

しかし、旧武富士の場合は事情が異なります。ご存知のように旧武富士は事実上倒産しました。倒産した場合、武富士には未回収の債権を積極的に取り立てる義務があるのです。何故なら、回収できる債権を持ったまま倒産すると、違法な行いになってしまうからです。ですから手間がかかっても、例外的に公示送達を行っている確率が高いのです。

従って、旧武富士からパルティール債権回収に渡った債権の場合は、本人に全く覚えが無くても、過去10年以内に判決を取られている可能性があり、時効援用通知を送っても時効では解決できない可能性がありますので注意が必要です。時効でなかった場合は、分割払いの交渉をすることになるでしょう。

また、パルティール債権回収は、困ったことに、債務者に送ってきた請求通知に、過去に判決を取っていることを書いてくれません。従って、時効援用通知を送る前に、判決の有無を確認するのが良いかもしれません。自分で電話するのが抵抗がある方は、専門家に頼むのが良いでしょう。もちろん、今回のブログに書いたような内容を経験的に知っている事務所に相談に行かれるべきだと思います。

実際に当事務所に来られた相談者の方も、全く裁判を起こされたことに身に覚えが無く、判決を取り寄せたところ、判決書の被告の住所には当時、住んでいなかったことが確認できました。公示送達によって判決を取られたことは、ほぼ間違いないでしょう。仕方がありませんので時効での解決はあきらめ、任意整理の分割払いの交渉と和解契約の締結をすることにより、解決しました。

9月 27 2016

借金の消滅時効期間は5年か10年か  時効(時効援用7)

借金の消滅時効期間は大きく分けて5年の場合と10年の場合があります。それぞれ、どのような場合に5年になり、10年になるのでしょうか。

まず、借りた側と貸した側の双方ともが個人の場合は、借金の消滅時効期間は10年となります。この「双方とも」というところがポイントです。

一方、借りた側または貸した側の、どちらか片方が会社または個人事業主だった場合、法律上、「商事債権」という扱いになり、消滅時効期間は5年に短縮されます。

では実務上はどうかと言うと、圧倒的に5年の場合が多いです。債務整理の相談で、貸した側が個人と言うケースはほとんどありません。大抵は、貸金業者から借りた借金の相談で占められています。貸金業者は会社か個人事業主ですから、結果的に5年ということになります。

しかし、事例としては少ないですが、10年になる場合もあります。例えば、以下のようなケースです。

(1)信用金庫から個人が借りた場合
最高裁昭和63年10月18日判決において、「信用金庫の行う業務は営利を目的とするものではないというべきであるから、信用金庫は商法上の商人には当たらないと解するのが相当である」と判示されており、これにより信用金庫は会社ではないとされています。したがって、会社ではない信用金庫が貸主である貸金の消滅時効期間は、10年になります。
ただし、信用金庫が貸主の場合であっても、会社か個人事業主が営業の為に借りた場合については、商事債権となりますので、時効期間は5年となります。
ちなみに一般の銀行については会社ですから、誰が借りても5年です。

(2)住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の住宅ローン
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)は、会社ではありませんので、住宅金融支援機構の住宅ローンの時効期間は、10年になります。

(3)信用保証協会の求償権(代わって請求する権利)
信用保証協会が主債務者に代わって債務の弁済をした場合、主債務者に対して求償権を取得することになります。そして、求償債権の消滅時効は、信用保証協会が代位弁済をした時点から進行します。
信用保証協会は会社ではありません(最高裁昭和60年2月12日判決)ので、信用保証協会の求償権の時効期間は、通常の債権の時間と同様に10年となります。ただし、信用保証協会が、商人である主債務者(たとえば、個人事業者など)の委託に基づいて保証したときは、求償権は商事債権となり(最高裁昭42年10月6日判決)、時効期間は5年となります。
現実には、委託に基づいて保証しているケースが多いので、5年になることが多いです。
ちなみに、民間の保証会社が保証している場合は、会社ですから当然に5年になります。

7月 20 2016

和歌山訴訟 最高裁判決について

平成28年6月27日に司法書士の代理権の範囲についての裁判として注目されていた通称「和歌山訴訟」の最高裁判決が示されました。このブログでも以前、和歌山訴訟について取り上げていたこともあり、今回、最高裁判決の内容と私なりの意見を書いてみたいと思います。

まず、最高裁判決の内容ですが、一部の報道では一方的な司法書士側の負け判決であるかのように報じられているようですが、判決を詳しく読めば司法書士と弁護士の主張のバランスを取った内容で、一勝一敗の引き分けというのが客観的な見方だと思います。(何故、司法書士敗訴のような報道が目立つのか不思議です。メディアに登場するのが弁護士が多いのが原因なんでしょうかね)

まず争われていたポイントを整理してみましょう。争点は二つです。(前提知識として、司法書士の代理権の範囲は140万円以内というのを覚えておいて下さい)

一つ目の争点は、債務整理事件について、総額説と個別額説のどちらを採用すべきかという問題です。

例えば、依頼人が3社に対して、それぞれ50万円ずつの債務を負っていた場合、あるいは50万円ずつの過払金を請求する場合を考えてみましょう。総額説では3社合計の150万円の事件だから140万円を超えているため司法書士は代理できないという主張です。
一方、個別額説では3社はそれぞれが独立した事件と考え、1事件が50万円で140万円以内なので3社とも司法書士は代理できるという主張です。

二つ目の争点は、債権者主張額説と受益額説のどちらを採用すべきかという問題です。

例えば、依頼人が200万円の債務を負っていて、司法書士が間に入って交渉して80万円の債務に減額した場合を考えてみましょう。債権者主張額説では、債権者が請求する200万円を基準として判断するので140万円を超えているため司法書士は代理できないという主張です。
一方、受益額説では依頼人の経済的利益を考え、この場合、依頼人は200万円の債務が80万円に減ったのだから120万円の利益を得たと考えます。そこで依頼人の利益120万円を基準として判断するので140万円以内であり、司法書士は代理できると言う主張です。

二つの争点を明らかにしたところで最高裁の判断は以下のとおりです。

まず一つ目の争点については、個別額説を採用しました。従って、この争点に関しては司法書士側の勝利となっています。

続いて二つ目の争点については、債権者主張額説を採用しました。従って、この争点に関しては司法書士側の敗訴と言えるでしょう。

客観的に見る限り、これは引き分けだと思うのが普通の感覚だと思いますが(最高裁も、どちらかを一方的に勝たせたくなかったのかなとも推測できます)、繰り返しになりますが、「司法書士が負け」のようなイメージの報道が目立ちました。これはフェアではないと思いますね。

以上が客観的な事実関係です。ここから先は司法書士としての私の意見となります。

まず、この判決が実務に与える影響ですが、正直なところ、ほとんどありません。この点は、まるで実務に大きな影響を与えるかのような報道が一部にありましたが、全く現場の感覚とずれています。同僚の司法書士と、この話をしても、心配している司法書士は私の知る限りいませんでした。

何故なら、司法書士が負けた争点である債権者主張額説が登場する実務の現場というのは非常に少ないからです。実際の実務の現場では、多くの貸金業者が債権者主張額説を以前から主張していて、それらの業者では任意交渉の場では債権者主張額説に沿った和解しか認めていなかったという現実があります。従って、受益額説に沿った和解が結べるケースというのは現実には極めて少ないのが実情でした。だから実務的には今までと、ほとんど変わらないと言う認識です。

一方、もう一つの争点である個別額説ですが、もしこの争点で司法書士が負けていれば、実務に甚大な影響が出たのは間違いありません。債務整理に係わるほぼ全ての司法書士が個別額説に基づき実務をしており、争点に係わる事件数も多いので、まさに現場は大混乱に陥ったことでしょう。従って、こちらの争点で勝ったことの意味は非常に大きく、「客観的に見れば引き分けだが、現場の感覚では司法書士の勝利だ」と言う司法書士もいるほどです。

最後にネットなどに挙げられている、このような意見に対する個人的な反論をしてみたいと思います。たまにネットに以下のような意見が見られます。
「司法書士が勝手に解釈していた主張が、今回否定された。当然だ」というものです。
これは、司法書士が負けた受益額説に対しての意見だと思われますが、はっきりと主張しておきますが、受益額説は「司法書士が勝手に解釈していた主張」などでは決してありません。ちゃんと証拠もあります。
テイハンという出版社が発行している「注釈 司法書士法」という書籍がその証拠です。この書籍の作者は、司法書士の代理権の範囲を定めた司法書士法の法案の作成に係わった法務省民事局の官僚です。いわば法案の立案担当者であり、立法趣旨(どのような趣旨で法案を作成したか)を誰よりも良く知っている人物です。その書籍の97頁に以下のような記述が出てきます。
「債務整理事件について、司法書士が裁判外の和解について代理することが出来る範囲は、債務弁済調停事件や特定調停事件における代理権の範囲と同様の基準によって判断する。従って、「紛争の目的の価額」の算定には、残債務の額ではなく、弁済計画の変更によって債務者が受ける経済的利益による。」

実は、上記の書籍は有力な証拠として裁判に提出されています。従って、受益額説は立法担当者の意思だったということであり、今回の最高裁判決は法務省民事局の立法担当者の意思に逆らって(立法趣旨に逆らって)出された異例のものであるということが分かってきます。
しかも、実際の裁判所の運用でも、例えば私の地元の名古屋簡裁の特定調停の受付では、受益額説により申立を受け付けていました(今回の判決により変更されるでしょう)。これは、裁判所の担当者レベルでも、受益額説を採用していた何よりの証拠です。

個別額説と総額説の争いで総額説を採用した場合、現場の実務で大混乱が起こることは容易に想像できます。個別額説で実際に行われた裁判の件数が、ものすごい数になるからです(特に過払金請求訴訟)。当然、裁判所を総括している最高裁はそのことを分かっているでしょうから、この件で総額説は採用しづらいでしょう。だからと言って、もう一つの争点である、債権者主張額説と受益額説でも、立法担当者の意思が受益額説であると明確に示された書籍が出版されています。普通に考えたら、二つともが司法書士側の勝利になっても全くおかしくない裁判だったと個人的には思っています。しかし、最高裁は弁護士側の面子も考えたのではないでしょうか。最高裁まで上がってきた裁判で両方とも負けてしまっては弁護士側の面子は丸つぶれでしょう。まあ、あまり思いたくはないですが、裁判官と弁護士は同じ司法試験を通ってきて、同じ司法修習所で研修を受けてきた仲間です。このことが全く影響しなかったと考えるのは少数派ではないでしょうか。

6月 28 2016

以下の業者の相談は特に多いです  時効(時効援用6)

当事務所は、たくさんの業者に関する時効の相談を受けていますが、特に以下の業者から請求を受けたという相談が多くなっています。

ギルド
アビリオ債権回収
オリンポス債権回収
札幌債権回収
ニッテレ債権回収
子浩法律事務所
アコム
アイフル
SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)
新生フィナンシャル(旧レイク)

相談が多いということは、上記の業者は時効期間が経過した後でも、しつこく請求してくる確率が高い業者である、ということになります。

上記の業者に関しては、当事務所は特に実績が豊富です。請求を受けて気になった方は、まずは連絡して下さい。

あと、「借りた覚えが無いので架空請求ではないか」という質問が、たまにありますが、当事務所では架空請求かどうかの判断は致しません。あくまで実際に過去に借りたことがあるという前提で、ご相談を受けさせて頂きます。何故なら、架空請求かどうかは本人にしか分からない情報であって、事務所では調査の方法が無いからです。それでもし、架空請求だと考えて放置してしまった場合、後で裁判等を起こされた時に、取り返しがつかない結果をまねく恐れがあります。

特に、このブログの冒頭に書かせて頂いたような業者からの請求の場合、当事務所の経験上、架空請求である可能性は非常に低いです。債権譲渡や代行回収など、何らかの方法で元の債権者とは名前が違ってはいても、過去に借りていたケースがほとんどです。これらの業者からの請求の場合は、放置するのは危険と言えるでしょう。

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当事務所は時効による解決に早くから積極的に取り組んでいます。開業は平成15年、今年で13年目となります。
最終取引日より5年が経過している場合、時効により解決できる可能性が非常に高いです。当てはまる方は、経験豊富な当事務所にご相談下さい。

6月 27 2016

時効援用した場合、信用情報はどうなるのか  時効(時効援用5)

上記の質問は良く聞かれます。「いつローンを組むことになるか分からないので、自分の信用情報は出来るだけ、きれいにしておきたい」、これは誰もが願うことでしょう。結論から申し上げると、時効援用をして、信用情報が債務者にとってプラスに働くことはあっても、マイナスになることはありません。ですから、信用情報を気にされる方なら、例え未だ請求が来ていない債権者があったとしても、最後の取引から5年以上が経過しているなら、時効援用をするべきだと言えます。

何故なら、時効援用をしないで放置しておくと、信用情報は「延滞」がずっと続いてしまい、いわゆるネガティブ情報として残っていきます。この状態でクレジットカードの新規発行や、新規のローンの申請をした場合、審査が通らない可能性が高いでしょう。

信用情報機関で主要なものとしては、現在はJICCとCICがあげられます。JICCは消費者金融系、CICはクレジット系の信用情報機関ですが、大手の消費者金融などは両方に加盟しているところが多いです。

司法書士が時効援用して時効が成立していた場合、JICCならば「ファイルごと削除」または「完済」というポジィティブ情報に変わります。

CICの場合は、各業者の情報の上げ方にもよりますが、「契約終了」か「貸し倒れ」になることが多いです。仮に「貸し倒れ」とされた場合でも5年で消えます。もし、時効援用をしなかった場合は、ずっと「延滞」というネガティブ情報が残りますので、それよりは良いと言えるでしょう。

引越等をして債権者からの請求が止まっていると、「このまま何もしないで放置しておこう」という気持ちが出てきます。しかし、その間にも信用情報機関には、あなたのネガティブ情報は残り続けているのです。例え最後の取引から5年以上経過していても、時効は自動的には成立しません。ネガティブ情報を消す為には、時効援用をするしかないということは覚えておいて下さい。

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当事務所は時効による解決に早くから積極的に取り組んでいます。開業は平成15年、今年で13年目となります。
最終取引日より5年が経過している場合、時効により解決できる可能性が非常に高いです。当てはまる方は、経験豊富な当事務所にご相談下さい。

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