司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

9月 15th, 2016

9月 15 2016

信託された賃貸不動産の賃料について(家族信託(民事信託)⑳)

原則として、信託された賃貸不動産の賃料収入は受益者のものとなります。
受益者の収入として受益者が申告をしなければなりません。

賃料収入は信託財産として受託者が管理し、受託者の手元から受益権として受益者に分配されます。
年間を通しての収益全額が、その年にすべて分配されるとは限りません。
例えば、賃貸の収益は月30万円だけれど、受益者には生活費として毎月20万円ずつ給付している場合などが考えられます。

上記のような場合でも、実際に受益者の手元に分配されているかどうかは関係なく、あくまでその賃貸不動産の収益全体についてを所得として申告する必要があります。

また、信託による賃貸不動産の受益者が、受益者自身の固有財産として別の賃貸不動産を所有し収益を得ている場合は注意が必要です。
税務上、信託財産から得る賃貸収入と受益者の固有財産としての賃貸収入とは別々の扱いとなり、損益通算はできません。
どちらかが赤字になるようなら、特に気をつけなければなりません。
支払う税金にも差がでてくると思います。

すべての不動産を信託するのか、一部の不動産だけ信託するのか、判断は難しいですね。
少しでも迷ったら、専門家を交えて、とことん話し合ってから決めましょう。