司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

1月 24 2025

査定価格と実際の売却価格は違う 相続登記㉚

相続不動産の査定

相続した不動産を売却したいと思った時、まずは不動産業者に査定をしてもらいます。自分が相続した不動産がいくらくらいになるのか、相続人なら誰もが興味を持つでしょう。

ご存知ない方も意外に多いですが、不動産の査定は無料で行っている業者が圧倒的に多いです。地方だと費用がかかる場合もあるようですが、都会の不動産業者はほぼ無料だと考えて間違いないでしょう。よって不動産の査定は複数の不動産業者に依頼される方が多いです。実はここで注意して頂きたいことがあります。

査定価格についての誤解

不動産関連の仕事をしている方を除いたら、不動産の売買に関わるケースはそんなに多くないでしょう。ほとんどの方が不動産売買については素人だろうと思います。そして素人の方がよく誤解しやすいのが、「査定価格を高く出してきた不動産業者に頼めば高く売ってくれるだろう」というイメージです。このイメージで依頼して失敗してしまうケースがあるのです。

査定価格と実際に売れる価格は違う

まず知っておいてもらいたいのが査定価格どおりに売れなくても、基本的に不動産業者に責任は無いということです。
不動産売買は買手次第なので、どんな買手が見つかるかを事前に正確に予測するのは困難です。「この位の価格で売れると思っていましたけど、売りに出したら見つかりませんでした」と言われて、当初の価格を下げることになったという事例は珍しくありません。

一般の方は「査定価格が売れる価格」と思ってしまいがちですが、査定価格には何の保証もありません。査定価格と売れる価格は違うということを覚えておきましょう。

やたらと高い査定は注意した方がよい

このように査定価格には保証はないので、契約を取るために、やたらと高い査定額を提示する不動産業者もあります。周辺の取引事例を参考にして現実的な査定額を提示した誠実な不動産業者が、「査定額が低い」と思われて契約してもらえないということも珍しくありません。

それで高い査定額の業者と契約したら「買手が見つからないから下げてください」と1~2週間くらいで言って来て、結果的に現実的な業者の査定額よりも低い価格で成約したということもあるのです。

不動産業者には査定額の根拠を聞こう

失敗しないためには、不動産業者に査定額を出してもらったら、なぜその査定額になったのかという根拠を説明してもらいましょう。きちんとした査定額を出してくれたかどうかを判断するためです。
この時に査定の根拠の説明が要領を得なかったり、難解な言葉を使って分かりにくかったりする不動産業者は、不当に高い査定額を出している不誠実な業者かもしれませんので注意が必要です。

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相続登記

1月 20 2025

不動産売買の媒介契約は3種類ある 遺産整理(遺産承継)㉕

遺産承継における不動産売買

遺産承継業務は不動産や預貯金・株式などの相続手続全般を取り扱う業務です。その際に不動産の売却のサポートを依頼されるケースがあります。売却して金銭に換えてから相続人に分配される場合もあれば、特定の相続人が不動産を相続して売却する場合もあります。

不動産を売却する時の仲介の仕組み

不動産を売却する時は、通常は不動産仲介業者に依頼して買手を見つけてもらいます。意外と知られていませんが不動産仲介は成功報酬システムです。買手と条件が合って売買契約を結んで始めて仲介手数料が発生する仕組みです。契約が結ばれない限り、何人の買手と交渉しても一切料金はかかりません。

不動産仲介契約の種類

売主と不動産会社の契約のことを不動産仲介契約と言います。不動産仲介契約は「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。それぞれ次のような特徴があります。

一般媒介契約

一般媒介契約は複数の不動産会社に仲介を依頼することができます。報酬は成約した会社にだけ支払います。一見、最も良さそうに見えるので素人の方は選択しがちなのですが、実はプロはあまり利用しません。なぜなら大きなデメリットがあるからです。一つがレインズへの登録義務が無いこと、もう一つが売主への進捗状況の報告義務が無いこと、他にも仲介の優先順位が下がるという現実もあります。

不動産会社の立場から考えて頂ければ理解しやすいと思いますが、一般媒介契約は、他社で成約した場合はタダ働きになるリスクがある訳です。どうしても買い手を見つける優先順位が下がってしまいます。

レインズとは

レインズは正式名称を「不動産流通標準情報システム」と言い、売り物件が出た時にレインズに登録すると、会員になっている不動産会社は全てその情報を見ることができます。かなりの数の不動産会社がレインズの会員になっていますので、登録するだけで広範囲の買手探しにつながる訳です。
ちなみにレインズは一般の方が見ることはできません。あくまで不動産会社に特化されたマッチングシステムです。

専任媒介契約

専任媒介契約は不動産会社を1社だけに絞って仲介を依頼する契約です。メリットとしては7営業日以内のレインズへの登録が義務付けられています。他にも2週間に1回以上の売主への進捗状況の報告も義務付けられています。この2つのメリットは非常に大きいので、事情をよく知っている人は専任媒介契約を選択する傾向があります。

専任媒介にすると買手を探すのも依頼した1社だけだと誤解している人がいますが、レインズに登録してもらえれば事実上ほとんどの不動産会社に物件を見つけてもらえます。一般媒介でレインズに登録されないで複数の不動産会社に依頼するより、専任媒介の方が圧倒的に多くの買手の目に触れる可能性が高いのです。

あと専任媒介契約の特徴として、他社に仲介を依頼することはできませんが、依頼人が自分で買手を探してきた場合はその買主との契約は可能です。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、専任媒介契約の特徴である自分で見つけてきた買主とは契約できるという部分を無くした契約です。つまり自力で見つけてきた相手とも売買契約はできません。それはさすがに厳しすぎると思われる方も多いでしょう。私もそう思います。個人的には専任媒介契約が最もバランスが取れていると考えます。

専属専任媒介契約のメリットとしては、一つは5営業日以内のレインズへの登録、もう一つは1週間に1回以上の売主への進捗状況の報告です。このメリットも専任媒介契約と比較して圧倒的とは言えないので、自力で見つけた相手との契約ができないというデメリットの方が大きいかなと思います。

両手と片手

不動産仲介の業界用語として「両手」と「片手」があります。両手は売主から依頼を受けた不動産会社が買手も見つけた場合、片手は買手は別の不動産会社が見つけた場合です。

不動産売買に詳しくない方が「一般媒介契約の方が良いのでは」と思ってしまう理由の一つが、不動産仲介は基本は両手だと思っていることです。確かに両手ならば複数の不動産会社に依頼した方が多くの買手が見つかるだろうと思ってしまいそうですね。

しかし実際には専任媒介契約と専属専任媒介契約ではレインズに登録しますから他の不動産会社の目に触れて、買手は別の不動産会社が見つけてきたというケースも多いです。レインズ会員の不動産会社すべてが買手を探してくれるなら、その方が良いという考え方もあると覚えておいてください。

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1月 13 2025

相続対策で養子縁組をすると死後離縁は難しい 死後離縁③

相続対策における養子縁組

相続税がかからない相続財産の基準として基礎控除があります。基礎控除は「3000万円+法定相続人の数×600万円」で算出できます。この式を見ると、法定相続人の数が多い方が基礎控除の金額は大きくなることが分かります。

このことに気付いた方は「養子縁組をして法定相続人の数を増やせば、相続税を減らせる」と考える場合もあるのです。

相続対策の養子縁組は死後離縁が難しくなる

相続対策の養子縁組は「相続税を払うくらいならば、ある程度の金額を養子に払った方がマシ」という考えで行われるケースが多いです。従って、相続発生時に、いくらかの財産を受け取っていることが多いことになります。

死後離縁は、実務上は養親が亡くなった後で養子が離縁するケースがほとんどです。ただし養親から相続財産を受け取っている場合は許可されないことが多いです。相続対策で養子縁組をした場合は、この許可されない条件に当てはまっていると考えられます。

相続対策での養子縁組は事前によく検討するべき

相続対策で養子になってみたところ「養親が亡くなった後で、養親の親族の扶養義務や祭祀が煩わしくなったので離縁したい」と思っても、死後離縁を家庭裁判所が認めてくれなくて困っているという人は珍しくありません。

家裁が離縁を認めてくれない限り、その人は養子であり続けることになるので、養子縁組をするかどうかは先のことも考えた上で決めた方が良いでしょう。

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1月 07 2025

「相続開始の日」とは 相続登記㉙

相続開始の日についての誤解

相続登記の相談を受けていて、よくある誤解の一つに「遺産分割協議がまとまった日が相続開始の日」だと思われている場合があることです。

確かに遺産分割協議がまとまらないと相続手続ができませんので、「手続が始められる日が相続開始の日だろう」と考えてしまう人がいるのは理解できます。

ただしこの考え方だと、法定相続分どおりに分ける場合は遺産分割協議が不要なので、その場合はどうなるのだろうという疑問が生じます。では実際にはどうなるのでしょうか。

相続開始の日は被相続人の死亡日

法的には相続開始の日は被相続人(故人)の死亡日になります。しかし実際には遺産分割協議が終わらないと手続はできません。一見、矛盾に見えますが、実は遺産分割協議の法的な性質を知れば、矛盾ではないことが分かります。

遺産分割協議の法的な性質

相続の基本的な考え方は、「被相続人の死亡日に全財産は法定相続分で相続される」というものです。最も誤解が多いのは「遺産分割協議が終了するまで財産は被相続人のもの」だと思われている場合です。

これは大きな間違いで被相続人が死亡した時点で法定相続分による相続は始まっているのです。ですから法定相続分による手続の場合は遺産分割協議書が不要になります。

では遺産分割協議とは何かと言うと、「一旦、法定相続分で相続された財産の分割方法を変更すること」になります。ようは遺産分割方法の変更を協議していることになります。この考え方ならば矛盾は無くなりますね。

よって相続開始の日は被相続人の死亡日になるのです。なるほどと思って頂けたら幸いです。

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12月 27 2024

戸籍謄本の廃棄証明や滅失証明 相続登記㉘

相続登記における戸籍謄本

相続登記の手続は、まず法定相続人を確定する作業から始まります。そのためには大量の戸籍謄本を取得する必要があります。戸籍謄本をたどっていくことによって法定相続人を探していきます。場合によっては相談者が予想もしない相続人が現れることも稀にあります。

ところが戸籍謄本をたどっていくと、廃棄や滅失によって全部が取得できないケースがたまにあります。どのような場合に廃棄や滅失されたりするのでしょうか。

戸籍謄本の廃棄や滅失

戸籍謄本は様々な理由で廃棄や滅失されている場合があります。例えば保存期間の経過です。現在は戸籍の保存期間は150年に延長されていますが以前は80年でした。これだと2代前から相続登記を放置していた場合は廃棄されている可能性が出てきます。

他には戦時中の戦災や、地震や津波などの自然災害などによって役所が被害を受けて戸籍が失われるケースもあります。この場合は戸籍が滅失されたことになります。

戸籍の廃棄や滅失があった場合の相続登記

戸籍の廃棄や滅失があると全ての戸籍謄本がそろいません。その場合、法定相続人が確定しないことになります。では相続登記はどなるのでしょうか。

廃棄や滅失があった時は役所から廃棄証明(廃棄済証明)や滅失証明と言った証明書を役所から発行してもらえます。これらの証明書を添付していくことで相続登記を進めて行くことが可能になりました。
以前は、全ての戸籍謄本がそろっていない場合、判明している相続人全員から「他に相続人がいない旨」の上申書を提出しないと法務局は相続登記を受け付けてくれませんでした。

しかしルールが改正されて、今は廃棄証明(廃棄済証明)や滅失証明を提出すれば相続登記を受理してもらえます。ただし、このやり方が通用するのは判明している相続人の生死が証明できる場合になります。

相続人がいることは判明しているが生死が不明な場合

一方で「取得できる戸籍謄本から相続人の存在は確認できるが、途中の戸籍が廃棄または滅失しているため、その相続人の生死が判明しない」というケースがあります。この場合は廃棄証明や滅失証明では解決しません。

この場合は相続人がいることは確定しているので、失踪宣告の申立や不在者財産管理人の選任申立などの手続を取る必要があります。かなり複雑な手続になりますので早めに司法書士に相談しましょう。

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12月 26 2024

法定相続情報一覧図で被相続人の住民票除票が廃棄されていた場合 法定相続情報証明⑤

法定相続情報一覧図における住民票の除票

法定相続情報一覧図の必要書類の中に「被相続人の住民票の除票」があります。被相続人とは亡くなった人のことです。亡くなった人の住民票は生存者の住民票から除かれて別に保存されるため除票と呼ばれます。

住民票の除票には保存期間があって、この期間を過ぎると廃棄されてしまい提出できなくなることがあります。

住民票の除票の保存期間

令和元年6月に法律が改正されて、住民票の除票の保存期間が、それまでの5年から150年に延長されました。改正後は廃棄される可能性は当分ないでしょう。

しかし問題は改正前です。平成26年6月以前に亡くなられた場合は既に廃棄されているので発行されません。これ以前に亡くなられていて相続手続を放置してしまった場合は、法定相続情報一覧図の必要書類を出せないことになります。

法定相続情報一覧図の住民票除票が廃棄されていた場合

法定相続情報一覧図の住民票除票が廃棄されて出せない場合、一覧図に被相続人の住所を書くことができません。その代わりに被相続人の本籍を必ず記載することになります。本来、法定相続情報一覧図の本籍の記載は任意なのですが、住民票除票の廃棄の結果記載ができない時は必須となりますので覚えておきましょう。

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12月 23 2024

数次相続の場合の法定相続情報一覧図 法定相続情報証明④

数次相続とは

今回は数次相続と法定相続情報一覧図についての2回目となります。
数次相続とは、一度起こった相続の相続人の一人が、遺産分割協議を決着させる前に亡くなってしまった場合のことを言います。2回相続が発生しているので数次相続と呼ばれています。

この数次相続は手続が非常に大変です。手間は単純に2倍ではなく、3倍~4倍というのが経験からくる印象です。この数次相続を避けるために、最近では法律が改正され相続登記が義務付けられるようになりました。

法定相続情報証明とは

相続手続には銀行や証券会社や法務局などに大量の戸籍謄本を持参する必要があります(特に数次相続の場合は量が多くなります)。途中で1通だけ抜けて忘れたり、汚してしまったり、紛失してしまう可能性もあります。何よりも、持参された金融機関が大量の戸籍謄本をチェックしなければならないため、手続に非常に時間がかかってまいます。

解決するには、法定相続情報証明として「法廷相続情報一覧図」を発行してもらう方法があります。大量の戸籍と申出書と一覧図を法務局に1回持ち込んで審査が通れば、一覧図に登記官が認証文を付けて公的な書類として法定相続情報一覧図を発行してくれます。この公的な認証が付いた法定相続情報一覧図は銀行や法務局でそのまま相続手続に利用することができます。大量の戸籍謄本を持ち歩く必要がなくなるわけです。

また持ち込まれた金融機関にとっても一覧図の方がはるかに見やすくチェックも早くできるので時間の短縮につながるでしょう。

もちろん法務局の審査を通すためには書き方に注意すべきポイントがいくつかありますので、一覧図の作成と申請は司法書士に依頼した方が確実でしょう。

数次相続の場合は法定相続情報一覧図は2枚になる

数次相続の場合、法定相続情報一覧図は2枚作らなければなりません。この点、相続登記の際に添付する相続関係説明図とは異なります(相続関係説明図は通常1枚で作ります)。

法定相続情報一覧図において、1回目の相続が起こった時点では、まだ相続人全員が生きていたはずなので、1枚目はその状態を記載することになります。つまり、2回目の相続で亡くなっている相続人も生きているものとして記載されます。当然、2回目の相続の死亡日の記載はしてはいけません。

次に2回目の相続についてだけの法定相続情報一覧図を作ります。2枚目には後で亡くなった相続人の相続関係だけを記載します。従って、1枚目と2枚目を合わせなければ数次相続が起こっていることは分からないようになっています。

法定相続情報一覧図は相続人全員の生存を証明していない

法定相続情報一覧図は、このような仕組みで作られているので、記載されている相続人が現在生きているかどうかは証明されていないことになります。例え数次相続が起こっていても、法定相続情報一覧図の1枚目だけ提出されたら通常の相続に見えてしまいます。

ですから銀行や法務局では手続の際に、法定相続情報一覧図以外に相続人の印鑑証明書や住民票を要求します。こうすることで、既に死亡している相続人がいないかをチェックしているのです。

最初の相続の法定相続情報証明を2回目の相続の相続人が申請できる

2回目の相続が起こった時の新たな相続人は、1回目の相続の法定相続情報証明の申出(法務局では法定相続情報証明の申請のことを申出と呼びます)をすることができます。

2回目の相続の相続人は、1回目の相続の法定相続情報一覧図に出てきませんので、申出自体ができないように思えますが、2回目の相続で亡くなった相続人の地位を引き継いでいるので申出が可能なのです。

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12月 20 2024

自筆証書遺言を紛失してしまったら 遺言㉚

自筆証書遺言を紛失してしまった場合

実際にあった事例で、相続手続を一通り済ませたと思った数年後に故人の通帳が押し入れから見つかったということがありました。

ご主人の自筆証書遺言が残されていたケースで、家庭裁判所で検認をしてもらい、遺言の通りに相続手続を済ませていました。しかし、それから数年後に新たな通帳が見つかった時には、検認済みの自筆証書遺言は紛失していて見つからなかったのです。このような場合は、あきらめるしかないのでしょうか。

※自筆証書遺言は家庭裁判所で検認をしてもらわないと相続手続に使うことができません。(ただし法務局の遺言書保管制度を利用している場合は検認は不要です)

検認期日調書謄本とは

実は検認が済んでいれば自筆証書遺言の代わりになるものがあるのです。

それが検認期日調書謄本です。これは自筆証書遺言を家庭裁判所で検認すると、家庭裁判所に記録が残り、その記録の謄本をいつでも請求することができるのです。

そしてこの謄本は自筆証書遺言の原本と同じように相続手続に使うことができます。

検認期日調書謄本の内容

検認期日調書に記録されている内容は、「担当した裁判官の氏名、検認期日に出頭した相続人の氏名、裁判所で陳述した内容、遺言書の外観(封が空いていたとか、字がにじんでいたとか)」などです。

この検認期日調書と一緒に遺言書原本の写しも家庭裁判所に保管されます。

検認期日調書謄本で助かった事例

最初の事例ですが、相続人は故人の妻で自筆証書遺言の内容は「全財産を妻に相続させる」というものでした。子どもがいなかったので遺言が無ければ、妻と兄弟姉妹甥姪の遺産分割になります。兄弟姉妹甥姪の数が多かったので遺産分割がスムーズにいかない可能性がありました。ですから遺言による相続手続が必要だったのです。

検認期日調書謄本のおかげで自筆証書遺言を紛失しても、無事に後から見つかった通帳の口座の相続手続が済みました。本当に助かった事例でした。

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遺言

12月 05 2024

法定相続人の意思は必ず確認しよう 遺産分割⑭

最近多くなっている相続人トラブル

最近多くなっているトラブルに、法定相続人全員の同意があるかの確認が取れていないケースがあります。

例えば、夫が亡くなって妻と長男が同居していて実家を長男に相続させようとする場合を考えてみましょう。次男や長女などの他の兄弟姉妹にきちんと確認をとらずに、「同居しているんだから次男や長女も当然に同意するだろう」と思い込んで相談に来られる人が多いのです。

実際には次男や長女にもそれぞれの事情があって、手続を始めようとすると「長男の単独相続には同意できない」ということが発覚するというケースが増えています。

法定相続分での不動産の共有

不動産を法定相続分で複数の相続人が共有する場合は、法定相続人全員の同意は不要です。

ただしその場合、上記の例でいうと「妻6分の3、長男6分の1、次男6分の1、長女6分の1」で一つの不動産を共有することになります。

もし売却する時には共有者全員の同意が必要になり、極めて売りにくい不動産となります。こうなることを嫌って現実には共有にするケースは少ないです。

特定の相続人が不動産を単独相続するためには遺産分割協議書が必要

特定の相続人が不動産を単独で相続したい場合(今回の事例だと長男)、必ず遺産分割協議書が必要となります。

遺産分割協議書には法定相続人全員の署名押印が条件となっています。一人でも欠けてはいけません。また押印は必ず実印で印鑑証明書の添付も必須です。

このように厳しい条件が付けられていますので、同意していない相続人がいる限り単独相続は難しいことになります。

遺産分割協議書を不要にするには遺言書を書きましょう

法定相続分と異なる相続を希望する場合は、相続人全員が遺産分割協議で合意するか、それでなければ生前に遺言書を書いてもらうしかありません。遺産分割協議で揉めないためにも遺言書はできるだけ書いておいた方が良いと思います。

ただし相続人が配偶者や子の場合は遺留分がありますので、遺言書で特定の相続人に単独で渡せるかは分かりません(遺言で指定されていない相続人が遺留分請求をするかどうかは分からないので)。

一方、遺言者に子どもがいない場合は兄弟姉妹甥姪が相続人になるケースが多くなります。兄弟姉妹や甥姪には遺留分がありませんので、遺言に書かれたとおりに相続が実現する可能性が高くなります。子どもがいない人ほど遺言は絶対に残すべきだと言えます。

遺言が残されていない時は相続人全員に必ず意思確認しよう

現実には遺言を残さないまま亡くなられる方のほうが多いです。その場合は法定相続分どおりに分けるか、誰かに単独相続させたい時は相続人全員の同意を取るしかありません。
どうしても同意してくれない相続人がいる場合は、代償分割と言う方法をとるしかないでしょう。

代償分割とは

代償分割とは、「不動産の単独相続を認めてもらう代わりに金銭で支払う」という方法です。かなり広く行われている遺産分割の方法となります。

相続財産に預貯金が多くある場合は、不動産をもらわない相続人は預貯金の相続分を多くするという方が簡単でしょう。相続財産のほとんどが不動産の場合は(トラブルになり易いのはこの場合)、不動産を単独相続する相続人が自腹で他の相続人に金銭を支払うことになります。

換価分割

相続財産が不動産しかなく、単独相続したい相続人が金銭を自腹では支払えない場合、換価分割しか方法がなくなります。
換価分割は、不動産を売却して金銭に換えて売却代金を法定相続分で分ける方法です。法定相続分通りに分けることができるので法的なトラブルが起きにくい方法だと言えます。ただし元々住んでいた相続人が引っ越さなくてはならなくなりますので、感情的なトラブルになる恐れはあります。

遺産分割は甘くない

色々と説明しましたが、この仕事をしていると遺産分割で揉めるケースは驚くほど多いというのを痛感します。なぜか皆さんその時が訪れるまで甘く考える傾向があります。

裁判にまで持ち込まれるケースも非常に多く、そうなると時間と費用を多大に使い精神的にも負担が大きくなります。
トラブルを防ぐためには法定相続人との連絡はできるだけとり、相続についてはどのような考えを持っているかを把握しておくことが重要です。

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11月 25 2024

銀行の相続手続の最近の変化 遺産整理(遺産承継)㉔

昔の銀行の相続手続

以前の銀行の相続手続は、ほとんどが口座を開設した支店に行かなければなりませんでした。支店が遠方の場合は行くだけで大変でしたし、支店の中に相続に詳しい行員が少なく、かなりの時間待たされることも珍しくありませんでした。今でも地方の信用金庫や地方銀行には、このスタイルのところが残っています。

最近の銀行の相続手続1

最近は銀行の相続手続も変化してきています。一つは、どこの支店でも受け付けるところが増えていることです。メガバンクや大手の地方銀行には、このやり方が浸透してきています。ゆうちょ銀行は昔からこのスタイルでした。遠方の支店で口座開設をしていた場合には非常にありがたい変化です。

最近の銀行の相続手続2

二つ目は予約制の導入です。相続手続は他の手続に比べて非常に時間がかかります。待ち時間が加わると更に時間が長くなるので、予約制にすると時間の短縮につながってありがたいです。メガバンクはほとんどが予約制になりました。

最近の銀行の相続手続3

これは個人的にはあまりありがたくない変化ですが、手続が2段階になっている銀行が以前より増えました。2段階とはどういうことかと言うと、まずは受付をして基本的な相続情報を記入した受付表のようなものを提出します。これを提出してからでないと相続手続に必要な書類を受け取ることができないシステムのことを言います。

正直なところ面倒で手間がかかるので、私は評価していません。ゆうちょ銀行は昔からこのやり方でした。最近、他の銀行でもやり始めたところがありますが、まだ多数派ではありません。

最近の銀行の相続手続4

最近めっきり増えてきたのが相続センターを別に設けて、一ヵ所で全ての相続手続を処理するというやり方です。相続専門スタッフを集中的に配置して効率的に処理できるので賢い方法だと思います。

ただしこの方法だと手続は全て郵送でのやり取りになるので一つ難点があります。必要書類も郵送で送ってしまうので、返却されるまで他の銀行の手続ができないことです。ただ遠方の支店に行かなくても良い点や、手続の時間を待たなくても良い点などメリットもたくさんあるので、トータルでは評価できる変化だと思います。

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