司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

2月 20 2025

オリックス銀行の信託口口座 家族信託(民事信託)㉚

信託口口座とは

家族信託の受託者が使う信託口口座は、委託者の財産を預かる口座で、受託者自身の口座とは明確に区別しておく必要があります。そのために設けられたのが信託口口座で正式な信託口口座ならば、例え受託者個人に対して差押があったとしても、信託口口座は受託者の財産ではないとして差押を受けません。

ただし、便宜上の信託専用口座の場合は正式な信託口口座ではないので差押を受けてしまいます。このように信託口口座は法的に特別な口座なので、どこの銀行でも取り扱っている訳ではありません。開設できる銀行は限られています。

オリックス銀行の信託口口座

オリックス銀行は、まだほとんどの銀行が取り扱っていなかった頃から信託口口座を始めており、信託については老舗の銀行になります。実際に信託口口座を作る場合、最も利用者が多いという印象です。早くから家族信託に力を入れていただけあって他の銀行にはないメリットがあります。

それが開設手続からその後の口座利用まで全てネットでできることです。それを可能にするために、いくつかの特徴があります。

オリックス銀行の信託口口座の特徴①

オリックス銀行は、信託契約書については司法書士や弁護士などの法律専門家作成のものしか受け付けません。信託口口座の開設には信託契約書の事前審査がありますが、事前審査の申込ができるのは司法書士や弁護士などの専門家経由だけです。一般の方が直接申し込むことはできないようになっています。

オリックス銀行の信託口口座の特徴②

オリックス銀行は信託口口座を引き受ける際に、信託の当事者を限定しています。具体的には委託者兼受益者である信託契約しか受け付けていません。実際に信託契約の8割以上が委託者兼受益者になっていますので、ようは例外的な特殊な信託契約は引き受けていないということになります。

オリックス銀行の信託口口座の特徴③

オリックス銀行は、遺留分を侵害している信託契約についても引き受けない傾向があります。信託契約が遺留分を侵害できるのかについては争いがありますが、最近ではできないという見解が優勢のようです。ようは将来的に争いの種になりそうな契約は引き受けないというスタンスだということでしょう

オリックス銀行の信託口口座の特徴④

オリックス銀行は、信託契約書の中で後任受託者の取り決めを求めてきます。後任受託者とは、当初に定めた受託者が亡くなったりした場合に、前もって契約で後任の受託者を定めておくことを言います。契約が途中で宙に浮いてしまうことを防ぐ目的です。よって後任受託者の条項が無い信託契約は引き受けてもらえません。

オリックス銀行での信託口口座の開設

司法書士や弁護士に作成を依頼して、上記の特徴を踏まえて作られた信託契約書は、基本的には公証役場に行く前にオリックス銀行の事前審査に出します。理由は、公正証書にした後で事前審査が通らなかったら再び公証役場の費用がかかってしまうからです。

もちろん公証役場でストップしてしまうのも問題ですから、通常は公証人に事前に見せて(この段階では役場の費用は発生しません)OKをもらったものをオリックス銀行の事前審査に出します。事前審査が通ったら公証役場に当事者を連れて行って公正証書にするというステップになります。

公正証書が出来上がったら信託口口座の開設の申し込みをしてもらうことになります。この段階で事前審査は通っていますから手続はスムーズに進み信託口口座が開設されます。

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2月 07 2025

信託契約公正証書は代理人でもできるか 家族信託(民事信託)㉙

家族信託の委託者が高齢で代理人の相談を受けるケースが多い

家族信託の公正証書作成を検討される場合、一般的に委託者が高齢で将来の認知症などのリスクを考えてのケースが多いです。すると次に相談されるのは「委託者が高齢なので司法書士の先生が代わりに公証役場に行ってもらえないか」という頼みです。

実際に公正証書の多くは代理人でも作成可能なので、そう考えてしまう事情は分かりますが残念ながら信託契約公正証書については、この頼みには応じることができないのです。

公証人が代理人を認めないことが多い

信託契約公正証書の場合、まず公証人が代理人を認めないことが多いです。理由は「管理のための財産の移転を伴うので、本人が契約の内容を理解した上で、自分の意思で契約しようとしているかを確認する」ためです。

特に契約の当事者が高齢の場合はなおさら厳しくなります。高齢であるということは認知症のリスクがある訳ですから、本人の意思とは無関係に契約をされていないかを公証人が疑うのです。

家族信託の当事者が遠方にいる場合

家族信託の契約当事者は委託者と受託者です(受益者は契約当事者ではありません)。中には委託者と受託者の住まいが、かなり離れている場合があります。例えば、私が相談を受けた事例の中には委託者が北海道で受託者が愛知県というケースがありました。この場合、作成する公証役場は北海道にするのか愛知県にするのかという問題があります。

家族信託の委託者の出頭は必須

これだけ離れていると、当事者のどちらかを委任状による代理出頭で行うという要望も、通常よりは公証人に認めてもらいやすくなります。ただしそんな場合でも公証人は、委託者の出頭については代理を認めませんでした。委託者は自分の財産を受託者に預ける側であり、高齢であることも一般的で(事実、高齢でした)必ず本人に直接会う必要があると判断されたのです。

公証人の立場ならば納得できる言い分でした。従って、愛知県で行うことはできず、代理でやるならば北海道で作成することになります。

家族信託の委託者の代理人契約が金融機関に拒否された事例

東京地方裁判所で令和3年に次のような判決が出ました。
依頼を受けた司法書士が委託者の代理人として公証役場に出頭して信託契約公正証書を作成した後、その公正証書を信託口口座開設のために金融機関に持参したところ拒否された、と言う事例です。判決では司法書士に対してリスク説明義務違反の不法行為責任を認めています。

この事例から分かることは少なくとも委託者については、代理で信託契約公正証書を作成した場合は金融機関で信託口口座を開設できない可能性が高い、ということです。ただ私の個人的な意見としては、そもそも公証人が拒否していればこのようなことは起こらなかったのではないかということです。この事例のように考え方の甘い公証人も中にはいるようなので注意が必要です。

信託契約公正証書には遺言の機能が含まれている

依頼された信託契約のほとんどに遺言の機能が含まれています。委託者兼受益者が死亡したら信託契約が終了して、特定の相続人に信託財産を承継させるという規定を入れることで遺言書の作成が不要になるからです。つまり、信託契約公正証書を作成することは事実上、遺言公正証書を作成することと変わらないと言えます。

遺言公正証書の作成には本人が公証人に口述することは必須です。病気で公証役場に行けない時は、公証人に病院や介護施設に出張してもらって作成します。だとすると、遺言と同様の機能を持っている信託契約公正証書も当事者(特に委託者)の出頭は必須と考えるのが自然でしょう。

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1月 30 2025

被相続人の住所が変更されていた時 相続登記㉛

被相続人の住所が変わっていた時

登記簿に書かれた住所と現在の住所が変わっていた時、売買や贈与などの場合は住所変更登記を済ませてからでないと売買や贈与の登記はできません。しかし、相続登記は別です。被相続人(亡くなった人)の登記簿の住所と死亡時の住所が変わっていた時でも、住所変更登記は不要です。

住所をつなげる書面は必要

ただし相続登記であっても、住所が変わっていた時に何もしなくて良いわけではありません。登記簿の住所と死亡時の住所のつながりを証明する書面を提出する必要があります。通常は戸籍の附票などが、それに当たります。住所の変遷を記載した書面です。

町名地番変更証明書

引っ越しをしていなくても住所が変わる場合があります。例えば町名地番が行政の都合で変更になった場合です。引っ越していないんだから証明書は不要だろうと思われる人もいるかもしれませんが、残念ながら町名地番の変更でも証明書は必要です。

文字通り「町名地番変更証明書」という書類を役所で取得して相続登記の申請の時に提出する必要があります。名古屋市の場合、町名地番変更証明書は区役所の総務課で取得することができます。

住居表示実施の場合

「一丁目2番地」という住所が「一丁目2番3号」のように〇丁目〇番〇号と変わることを住居表示実施と言います。これも引っ越しをしていないのに住所が変わる場合に当たります。この時も「住居表示の変更証明書」という書面を役所で取得してから相続登記を申請することになります。

行政区画の変更

一方、隣接する市町村に合併されたり、政令指定都市になり新たに区ができたり、区の分割により住んでいる地域が別の区となった時などは行政区画の変更と言い取り扱いが異なります。これらの事例(行政区画)で住居表示の変更がなければ、変更証明書の提出は不要です。理由は行政区画の変更は公知の事実と考えられているからです。公知の事実とは公に広く知られている事実という意味です。

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相続登記

1月 24 2025

査定価格と実際の売却価格は違う 相続登記㉚

相続不動産の査定

相続した不動産を売却したいと思った時、まずは不動産業者に査定をしてもらいます。自分が相続した不動産がいくらくらいになるのか、相続人なら誰もが興味を持つでしょう。

ご存知ない方も意外に多いですが、不動産の査定は無料で行っている業者が圧倒的に多いです。地方だと費用がかかる場合もあるようですが、都会の不動産業者はほぼ無料だと考えて間違いないでしょう。よって不動産の査定は複数の不動産業者に依頼される方が多いです。実はここで注意して頂きたいことがあります。

査定価格についての誤解

不動産関連の仕事をしている方を除いたら、不動産の売買に関わるケースはそんなに多くないでしょう。ほとんどの方が不動産売買については素人だろうと思います。そして素人の方がよく誤解しやすいのが、「査定価格を高く出してきた不動産業者に頼めば高く売ってくれるだろう」というイメージです。このイメージで依頼して失敗してしまうケースがあるのです。

査定価格と実際に売れる価格は違う

まず知っておいてもらいたいのが査定価格どおりに売れなくても、基本的に不動産業者に責任は無いということです。
不動産売買は買手次第なので、どんな買手が見つかるかを事前に正確に予測するのは困難です。「この位の価格で売れると思っていましたけど、売りに出したら見つかりませんでした」と言われて、当初の価格を下げることになったという事例は珍しくありません。

一般の方は「査定価格が売れる価格」と思ってしまいがちですが、査定価格には何の保証もありません。査定価格と売れる価格は違うということを覚えておきましょう。

やたらと高い査定は注意した方がよい

このように査定価格には保証はないので、契約を取るために、やたらと高い査定額を提示する不動産業者もあります。周辺の取引事例を参考にして現実的な査定額を提示した誠実な不動産業者が、「査定額が低い」と思われて契約してもらえないということも珍しくありません。

それで高い査定額の業者と契約したら「買手が見つからないから下げてください」と1~2週間くらいで言って来て、結果的に現実的な業者の査定額よりも低い価格で成約したということもあるのです。

不動産業者には査定額の根拠を聞こう

失敗しないためには、不動産業者に査定額を出してもらったら、なぜその査定額になったのかという根拠を説明してもらいましょう。きちんとした査定額を出してくれたかどうかを判断するためです。
この時に査定の根拠の説明が要領を得なかったり、難解な言葉を使って分かりにくかったりする不動産業者は、不当に高い査定額を出している不誠実な業者かもしれませんので注意が必要です。

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相続登記

1月 20 2025

不動産売買の媒介契約は3種類ある 遺産整理(遺産承継)㉕

遺産承継における不動産売買

遺産承継業務は不動産や預貯金・株式などの相続手続全般を取り扱う業務です。その際に不動産の売却のサポートを依頼されるケースがあります。売却して金銭に換えてから相続人に分配される場合もあれば、特定の相続人が不動産を相続して売却する場合もあります。

不動産を売却する時の仲介の仕組み

不動産を売却する時は、通常は不動産仲介業者に依頼して買手を見つけてもらいます。意外と知られていませんが不動産仲介は成功報酬システムです。買手と条件が合って売買契約を結んで始めて仲介手数料が発生する仕組みです。契約が結ばれない限り、何人の買手と交渉しても一切料金はかかりません。

不動産仲介契約の種類

売主と不動産会社の契約のことを不動産仲介契約と言います。不動産仲介契約は「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。それぞれ次のような特徴があります。

一般媒介契約

一般媒介契約は複数の不動産会社に仲介を依頼することができます。報酬は成約した会社にだけ支払います。一見、最も良さそうに見えるので素人の方は選択しがちなのですが、実はプロはあまり利用しません。なぜなら大きなデメリットがあるからです。一つがレインズへの登録義務が無いこと、もう一つが売主への進捗状況の報告義務が無いこと、他にも仲介の優先順位が下がるという現実もあります。

不動産会社の立場から考えて頂ければ理解しやすいと思いますが、一般媒介契約は、他社で成約した場合はタダ働きになるリスクがある訳です。どうしても買い手を見つける優先順位が下がってしまいます。

レインズとは

レインズは正式名称を「不動産流通標準情報システム」と言い、売り物件が出た時にレインズに登録すると、会員になっている不動産会社は全てその情報を見ることができます。かなりの数の不動産会社がレインズの会員になっていますので、登録するだけで広範囲の買手探しにつながる訳です。
ちなみにレインズは一般の方が見ることはできません。あくまで不動産会社に特化されたマッチングシステムです。

専任媒介契約

専任媒介契約は不動産会社を1社だけに絞って仲介を依頼する契約です。メリットとしては7営業日以内のレインズへの登録が義務付けられています。他にも2週間に1回以上の売主への進捗状況の報告も義務付けられています。この2つのメリットは非常に大きいので、事情をよく知っている人は専任媒介契約を選択する傾向があります。

専任媒介にすると買手を探すのも依頼した1社だけだと誤解している人がいますが、レインズに登録してもらえれば事実上ほとんどの不動産会社に物件を見つけてもらえます。一般媒介でレインズに登録されないで複数の不動産会社に依頼するより、専任媒介の方が圧倒的に多くの買手の目に触れる可能性が高いのです。

あと専任媒介契約の特徴として、他社に仲介を依頼することはできませんが、依頼人が自分で買手を探してきた場合はその買主との契約は可能です。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、専任媒介契約の特徴である自分で見つけてきた買主とは契約できるという部分を無くした契約です。つまり自力で見つけてきた相手とも売買契約はできません。それはさすがに厳しすぎると思われる方も多いでしょう。私もそう思います。個人的には専任媒介契約が最もバランスが取れていると考えます。

専属専任媒介契約のメリットとしては、一つは5営業日以内のレインズへの登録、もう一つは1週間に1回以上の売主への進捗状況の報告です。このメリットも専任媒介契約と比較して圧倒的とは言えないので、自力で見つけた相手との契約ができないというデメリットの方が大きいかなと思います。

両手と片手

不動産仲介の業界用語として「両手」と「片手」があります。両手は売主から依頼を受けた不動産会社が買手も見つけた場合、片手は買手は別の不動産会社が見つけた場合です。

不動産売買に詳しくない方が「一般媒介契約の方が良いのでは」と思ってしまう理由の一つが、不動産仲介は基本は両手だと思っていることです。確かに両手ならば複数の不動産会社に依頼した方が多くの買手が見つかるだろうと思ってしまいそうですね。

しかし実際には専任媒介契約と専属専任媒介契約ではレインズに登録しますから他の不動産会社の目に触れて、買手は別の不動産会社が見つけてきたというケースも多いです。レインズ会員の不動産会社すべてが買手を探してくれるなら、その方が良いという考え方もあると覚えておいてください。

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1月 13 2025

相続対策で養子縁組をすると死後離縁は難しい 死後離縁③

相続対策における養子縁組

相続税がかからない相続財産の基準として基礎控除があります。基礎控除は「3000万円+法定相続人の数×600万円」で算出できます。この式を見ると、法定相続人の数が多い方が基礎控除の金額は大きくなることが分かります。

このことに気付いた方は「養子縁組をして法定相続人の数を増やせば、相続税を減らせる」と考える場合もあるのです。

相続対策の養子縁組は死後離縁が難しくなる

相続対策の養子縁組は「相続税を払うくらいならば、ある程度の金額を養子に払った方がマシ」という考えで行われるケースが多いです。従って、相続発生時に、いくらかの財産を受け取っていることが多いことになります。

死後離縁は、実務上は養親が亡くなった後で養子が離縁するケースがほとんどです。ただし養親から相続財産を受け取っている場合は許可されないことが多いです。相続対策で養子縁組をした場合は、この許可されない条件に当てはまっていると考えられます。

相続対策での養子縁組は事前によく検討するべき

相続対策で養子になってみたところ「養親が亡くなった後で、養親の親族の扶養義務や祭祀が煩わしくなったので離縁したい」と思っても、死後離縁を家庭裁判所が認めてくれなくて困っているという人は珍しくありません。

家裁が離縁を認めてくれない限り、その人は養子であり続けることになるので、養子縁組をするかどうかは先のことも考えた上で決めた方が良いでしょう。

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1月 07 2025

「相続開始の日」とは 相続登記㉙

相続開始の日についての誤解

相続登記の相談を受けていて、よくある誤解の一つに「遺産分割協議がまとまった日が相続開始の日」だと思われている場合があることです。

確かに遺産分割協議がまとまらないと相続手続ができませんので、「手続が始められる日が相続開始の日だろう」と考えてしまう人がいるのは理解できます。

ただしこの考え方だと、法定相続分どおりに分ける場合は遺産分割協議が不要なので、その場合はどうなるのだろうという疑問が生じます。では実際にはどうなるのでしょうか。

相続開始の日は被相続人の死亡日

法的には相続開始の日は被相続人(故人)の死亡日になります。しかし実際には遺産分割協議が終わらないと手続はできません。一見、矛盾に見えますが、実は遺産分割協議の法的な性質を知れば、矛盾ではないことが分かります。

遺産分割協議の法的な性質

相続の基本的な考え方は、「被相続人の死亡日に全財産は法定相続分で相続される」というものです。最も誤解が多いのは「遺産分割協議が終了するまで財産は被相続人のもの」だと思われている場合です。

これは大きな間違いで被相続人が死亡した時点で法定相続分による相続は始まっているのです。ですから法定相続分による手続の場合は遺産分割協議書が不要になります。

では遺産分割協議とは何かと言うと、「一旦、法定相続分で相続された財産の分割方法を変更すること」になります。ようは遺産分割方法の変更を協議していることになります。この考え方ならば矛盾は無くなりますね。

よって相続開始の日は被相続人の死亡日になるのです。なるほどと思って頂けたら幸いです。

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相続登記

12月 27 2024

戸籍謄本の廃棄証明や滅失証明 相続登記㉘

相続登記における戸籍謄本

相続登記の手続は、まず法定相続人を確定する作業から始まります。そのためには大量の戸籍謄本を取得する必要があります。戸籍謄本をたどっていくことによって法定相続人を探していきます。場合によっては相談者が予想もしない相続人が現れることも稀にあります。

ところが戸籍謄本をたどっていくと、廃棄や滅失によって全部が取得できないケースがたまにあります。どのような場合に廃棄や滅失されたりするのでしょうか。

戸籍謄本の廃棄や滅失

戸籍謄本は様々な理由で廃棄や滅失されている場合があります。例えば保存期間の経過です。現在は戸籍の保存期間は150年に延長されていますが以前は80年でした。これだと2代前から相続登記を放置していた場合は廃棄されている可能性が出てきます。

他には戦時中の戦災や、地震や津波などの自然災害などによって役所が被害を受けて戸籍が失われるケースもあります。この場合は戸籍が滅失されたことになります。

戸籍の廃棄や滅失があった場合の相続登記

戸籍の廃棄や滅失があると全ての戸籍謄本がそろいません。その場合、法定相続人が確定しないことになります。では相続登記はどなるのでしょうか。

廃棄や滅失があった時は役所から廃棄証明(廃棄済証明)や滅失証明と言った証明書を役所から発行してもらえます。これらの証明書を添付していくことで相続登記を進めて行くことが可能になりました。
以前は、全ての戸籍謄本がそろっていない場合、判明している相続人全員から「他に相続人がいない旨」の上申書を提出しないと法務局は相続登記を受け付けてくれませんでした。

しかしルールが改正されて、今は廃棄証明(廃棄済証明)や滅失証明を提出すれば相続登記を受理してもらえます。ただし、このやり方が通用するのは判明している相続人の生死が証明できる場合になります。

相続人がいることは判明しているが生死が不明な場合

一方で「取得できる戸籍謄本から相続人の存在は確認できるが、途中の戸籍が廃棄または滅失しているため、その相続人の生死が判明しない」というケースがあります。この場合は廃棄証明や滅失証明では解決しません。

この場合は相続人がいることは確定しているので、失踪宣告の申立や不在者財産管理人の選任申立などの手続を取る必要があります。かなり複雑な手続になりますので早めに司法書士に相談しましょう。

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相続登記

12月 26 2024

法定相続情報一覧図で被相続人の住民票除票が廃棄されていた場合 法定相続情報証明⑤

法定相続情報一覧図における住民票の除票

法定相続情報一覧図の必要書類の中に「被相続人の住民票の除票」があります。被相続人とは亡くなった人のことです。亡くなった人の住民票は生存者の住民票から除かれて別に保存されるため除票と呼ばれます。

住民票の除票には保存期間があって、この期間を過ぎると廃棄されてしまい提出できなくなることがあります。

住民票の除票の保存期間

令和元年6月に法律が改正されて、住民票の除票の保存期間が、それまでの5年から150年に延長されました。改正後は廃棄される可能性は当分ないでしょう。

しかし問題は改正前です。平成26年6月以前に亡くなられた場合は既に廃棄されているので発行されません。これ以前に亡くなられていて相続手続を放置してしまった場合は、法定相続情報一覧図の必要書類を出せないことになります。

法定相続情報一覧図の住民票除票が廃棄されていた場合

法定相続情報一覧図の住民票除票が廃棄されて出せない場合、一覧図に被相続人の住所を書くことができません。その代わりに被相続人の本籍を必ず記載することになります。本来、法定相続情報一覧図の本籍の記載は任意なのですが、住民票除票の廃棄の結果記載ができない時は必須となりますので覚えておきましょう。

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12月 23 2024

数次相続の場合の法定相続情報一覧図 法定相続情報証明④

数次相続とは

今回は数次相続と法定相続情報一覧図についての2回目となります。
数次相続とは、一度起こった相続の相続人の一人が、遺産分割協議を決着させる前に亡くなってしまった場合のことを言います。2回相続が発生しているので数次相続と呼ばれています。

この数次相続は手続が非常に大変です。手間は単純に2倍ではなく、3倍~4倍というのが経験からくる印象です。この数次相続を避けるために、最近では法律が改正され相続登記が義務付けられるようになりました。

法定相続情報証明とは

相続手続には銀行や証券会社や法務局などに大量の戸籍謄本を持参する必要があります(特に数次相続の場合は量が多くなります)。途中で1通だけ抜けて忘れたり、汚してしまったり、紛失してしまう可能性もあります。何よりも、持参された金融機関が大量の戸籍謄本をチェックしなければならないため、手続に非常に時間がかかってまいます。

解決するには、法定相続情報証明として「法廷相続情報一覧図」を発行してもらう方法があります。大量の戸籍と申出書と一覧図を法務局に1回持ち込んで審査が通れば、一覧図に登記官が認証文を付けて公的な書類として法定相続情報一覧図を発行してくれます。この公的な認証が付いた法定相続情報一覧図は銀行や法務局でそのまま相続手続に利用することができます。大量の戸籍謄本を持ち歩く必要がなくなるわけです。

また持ち込まれた金融機関にとっても一覧図の方がはるかに見やすくチェックも早くできるので時間の短縮につながるでしょう。

もちろん法務局の審査を通すためには書き方に注意すべきポイントがいくつかありますので、一覧図の作成と申請は司法書士に依頼した方が確実でしょう。

数次相続の場合は法定相続情報一覧図は2枚になる

数次相続の場合、法定相続情報一覧図は2枚作らなければなりません。この点、相続登記の際に添付する相続関係説明図とは異なります(相続関係説明図は通常1枚で作ります)。

法定相続情報一覧図において、1回目の相続が起こった時点では、まだ相続人全員が生きていたはずなので、1枚目はその状態を記載することになります。つまり、2回目の相続で亡くなっている相続人も生きているものとして記載されます。当然、2回目の相続の死亡日の記載はしてはいけません。

次に2回目の相続についてだけの法定相続情報一覧図を作ります。2枚目には後で亡くなった相続人の相続関係だけを記載します。従って、1枚目と2枚目を合わせなければ数次相続が起こっていることは分からないようになっています。

法定相続情報一覧図は相続人全員の生存を証明していない

法定相続情報一覧図は、このような仕組みで作られているので、記載されている相続人が現在生きているかどうかは証明されていないことになります。例え数次相続が起こっていても、法定相続情報一覧図の1枚目だけ提出されたら通常の相続に見えてしまいます。

ですから銀行や法務局では手続の際に、法定相続情報一覧図以外に相続人の印鑑証明書や住民票を要求します。こうすることで、既に死亡している相続人がいないかをチェックしているのです。

最初の相続の法定相続情報証明を2回目の相続の相続人が申請できる

2回目の相続が起こった時の新たな相続人は、1回目の相続の法定相続情報証明の申出(法務局では法定相続情報証明の申請のことを申出と呼びます)をすることができます。

2回目の相続の相続人は、1回目の相続の法定相続情報一覧図に出てきませんので、申出自体ができないように思えますが、2回目の相続で亡くなった相続人の地位を引き継いでいるので申出が可能なのです。

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