11月
15
2024
養子縁組前に出生した子に相続権はあるか
被相続人に子がいなくて、両親も祖父母も先に亡くなっていた場合、兄弟姉妹甥姪が相続人となります。
その場合、養子縁組により兄弟姉妹になった相続人がいて、その人が亡くなっていた時、その人の子どもで縁組前に出生した人が代わりに相続人となれるかが裁判で争われていました。
最高裁判決は「相続権は無い」
今月12日に最高裁第三小法廷が判決を出しました。結論は「縁組前に出生した子に代襲相続権は無い」と決まりました。4人の裁判官が全員一致の判断で、その前に出た高等裁判所の判決が覆ることになりました。
最高裁の判決ですから最終判断で、今後のルールとなります。
二転三転した判決
1審の横浜地裁では「相続権が無い」との判断で、2審の東京高裁では一転して「相続権がある」と言う判断に変わりました。最高裁で1審の結論に戻ったと言えます。
個人的には、民法を素直に読むと1審と最高裁の判決の結論になるので、2審の東京高裁の判決が苦しい解釈だなと思いました。
孫の場合は結論が出ていた
被相続人の子が先に亡くなって孫が代襲相続をする場合は民法に規定があります。民法には「被相続人の直系卑属でない者は代襲相続人にはなれない」と規定されています。従って被相続人と子が養子縁組をする前に出生した孫は、被相続人の直系卑属にはならないので代襲相続人にはなりません。
今回の裁判では兄弟姉妹の子だったので判断が分かれたのでしょう。ただ最高裁の判断は民法の規定を素直に読んで、「民法の規定は、血族関係が生じない養子縁組前に生まれた子は、代襲相続人になれないと定めている」と指摘しています。孫のケースから応用したら、この結論になるのが妥当でしょう。東京高裁の判断は無理があると思いますね。
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遺産分割
9月
27
2024
銀行の残高証明書と利息計算書
相続税の申告がある場合は、銀行の相続手続をする時に残高証明書も一緒に取得します(相続税申告に必要な書類だからです)。相続税申告が無い場合でも、他の相続人に財産がいくらあるかを証明しなければならない時は、やはり残高証明書を取ります。
残高証明書を取る時、証明すべき口座が定期預金の場合は利息計算書も取らなければなりません。死亡日までの経過利息を証明する必要があるからです。
ゆうちょ銀行は利息計算が残高証明書に追加記載される
通常の銀行だと定期預金の利息計算書を取得した場合、残高証明書とは別の用紙で出されることが多いです。
しかし、ゆうちょ銀行の場合は取り扱いが異なります。これまでも、ゆうちょ銀行の取り扱いが様々なケースで異なるという記事を書いてきましたが、利息計算書も異なるのです。
具体的には、ゆうちょ銀行の利息計算は残高証明書に追加記載される形になります。通常の銀行と取り扱いが異なり、なぜ、このようになっているのか不思議ですね。
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9月
19
2024
改正前の遺言による不動産の取得
相続法が改正される前は、遺言によって不動産を取得した相続人は例え相続登記をしていなくても、その権利を第三者に対抗することができました。
法定相続人がAとBの二人いて、遺言でAが不動産を単独で相続すると決められていた場合を具体的に考えてみましょう。Aが相続登記をする前に、Bが自身の法定相続分2分の1をCに売却した場合、Aは例え登記が無くてもCに対して2分の1を返せと言うことができました。
この権利を専門用語で対抗要件と言います。
相続法の改正により結論が変わった
最近改正された相続法では上記とは異なる取り扱いに変更されました。先ほどと同様のケースで説明しましょう。
法定相続人がAとBの二人いて、遺言でAが不動産を単独で相続すると決められていた時、Aが相続登記をする前に、Bが自身の法定相続分2分の1をCに売却した場合です。
結論を先に言うとCが先に登記をしてしまったら、AはCに対抗することができません。遺言があるのだから登記名義を返せとは言えなくなってしまったのです。
相続法改正で変わった対抗要件のルール
相続法改正により対抗要件のルールが変わりました。以前は遺言で指定されていれば登記という対抗要件は不要でした。
しかし改正法以降は、「例え遺言があっても自身の法定相続分を超えた分については対抗要件が必要である」と変更されたのです(不動産の対抗要件は登記です)。なぜなら買手にとっては遺言があるかどうかを事前に察知することは極めて困難だからです。
今後の相続登記の注意点
従って今後は遺言の有無にかかわらず、法定相続分を超えて取得した相続人は最優先で登記をする必要があります。もし登記をしなかった場合、先に登記をした第三者に名義を持っていかれる可能性があるということです。
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相続登記
7月
10
2024
遠方の役所から戸籍などを取り寄せる場合
相続に必要な戸籍謄本・戸籍の附票・住民票・住民票の除票・固定資産評価証明書などの書類を遠方の役所から郵送で取り寄せる時は、振り込みやクレジットや電子マネーなどは使えません。支払方法は一種類に限定されていて、それが定額小為替による支払いです。
定額小為替とは
定額小為替とは郵便局で発行される現金の代わりとなるものです。現金は現金書留で送らなければなりませんが、定額小為替ならば普通郵便でも送ることができます。受け取った相手は郵便局に持ち込んで換金することができます。
定額小為替は最も低い50円から、最も高い1000円まで12種類あります。これを戸籍や住民票の金額に応じて組み合わせて送ることになります。
定額小為替の欠点
定額小為替の最大の欠点は、発行するための手数料が高いことです。しかも最近になって、この手数料が更に値上げされました。以前は1枚100円だったのが、今は1枚200円になったのです(2倍の値上げって、すごいですよね)。
さらに驚いたことに200円という手数料は、小為替の額面の金額とは無関係なのです。つまり額面50円の小為替でも200円の手数料がかかるのです。この手数料の仕組みは非常識だと私は思います。
我々司法書士は仕事で使っていますから、額面最大の1000円の小為替を送ります。すると、おつりも小為替で返ってきます。おつりの小為替は他のお客様に使うことができますから、まだマシだと思います。
しかし、一般の方は定額小為替のおつりをもらっても使いみちが無いでしょう。ですから額面が小さい小為替でも1枚200円で作らざるを得ないでしょう。
定額小為替の将来
この定額小為替という制度は恐ろしく前時代的で、もはや遠方の役所に対する郵送請求くらいしか使われていない印象です。これほど高額な割に利便性のない仕組みは、いずれ消えていく運命ではないかと個人的には思います。
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相続登記
6月
25
2024
相続財産に不動産がある場合
相続財産に不動産があると、複数の相続人が存在する時は相続が難しくなる場合があります。なぜなら不動産を相続人の共有にしたとしても、その不動産を利用しない相続人にとっては意味が無いからです。
このような時は通常は相続不動産を売却してから、売却代金を相続分で分配することになります。この方が公平に分配することができるからです。(その不動産に住み続ける相続人がいる場合は、この方法は選択できません)
相続不動産の売却には2段階の登記申請が必要
相続不動産を売却するためには、相続人の名義にしておく必要があります。これを相続登記と言います。たまに素人のサイトや動画で「相続登記をしないで売却した方が、登録免許税などの費用を節約できる。」などと説明しているものを見かけますが、これは法的に全くの間違いです。相続登記をしないで相続不動産を売却することはできません。
もしこれを真に受けて売買契約をしたら(まともな不動産業者ならば、そもそも契約を引き受けないと思いますが)、買主の名義にするために法務局に申請した時点で「相続登記がされていないので、この申請は受け付けられない」と言われて却下されるでしょう。
相続不動産の売却には通常は相続人全員の協力が必要
第一段階の相続登記は、法定相続分の登記ならば相続人のうちの一人から申請できます。しかし第二段階の売買の登記は、売主である相続人全員が参加しなくては出来ません。相続人のうち一人でも売却に協力しない人がいるできないのです。これを防ぐためには遺言が最も有効な解決手段です。
清算型遺言
遺言を残して、遺言の中で「売却して換金してから分配すること」を記載した上で、遺言執行者を指定しておくという方法があります。これを清算型遺言と言います。清算型遺言ならば、売却に協力しない相続人がいたとしても無視して売却を進めることができます。
清算型遺言が相続人の協力を必要としない根拠
なぜ通常はできないはずの不動産登記ができるのか、その根拠は以下の2つの先例の存在です。先例とは法務省民事局による通達や質疑応答のことを言います。先例は全国の法務局に対して効力を持ちます。
- 登記研究質疑応答822・189頁
「清算型遺贈の旨がある遺言に基づき、遺言執行が不動産を売却して、買主名義に所有権移転登記を申請する場合には、その前提となる相続登記については登記実務上、中間省略できないものであって遺言執行者は相続人の法定代理人として、単独で相続登記申請が可能である」
- 昭和52年2月5日民三第773号回答
遺言執行者の単独申請により被相続人名義から相続人名義に相続による所有権移転登記を経由した上で、遺言執行者と買主との共同申請により相続人名義から買主名義への所有権移転登記をすべきである」
先例により遺言執行者の単独申請が可能
上記の先例により清算型遺言の場合には、不動産登記に相続人の協力は不要で、相続登記は遺言執行者が単独で申請することができ、売買登記は遺言執行者と買主で申請することができます。
これは遺言の内容を実現することが遺言執行者の仕事であり、清算型遺言の場合は不動産を売却して分配するまでが仕事に含まれると考えられるからです。
相続不動産の売却についての結論
今回ご紹介したようなルールがある以上、不動産を売却して相続人に分配する時には、しっかりとその旨を遺言に残しておくことが重要です。よく覚えておきましょう。
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遺言
4月
10
2024
信託不動産の今までの登記手続
信託が終了した段階で、信託不動産の名義を帰属権利者兼受託者にする登記手続は、帰属権利者が相続人の一人である場合には、取り扱いが定まっていませんでした。
あいまいだったのは、「誰を登記申請の当事者にすべきか」という部分です。帰属権利者兼受託者が単独で申請できるのか、それとも受益者の相続人全員の協力が必要なのか、という二つの可能性があり、申請する法務局によって扱いが異なっているという状況でした。
(※帰属権利者兼受託者=信託が終了した後に、信託財産の権利を引き継ぐ人)
帰属権利者兼受託者の単独申請で決着
本来、登記申請の取り扱いが法務局によって異なるのは許されません。その位、異常な事態だったのです。ようやく令和6年1月10日に法務省民事局が決着を付けましたので、今回はその報告をしたいと思います。
ポイントは以下の4点です。
- 相続人のうち一人が帰属権利者兼受託者である場合は、受託者個人を受益者とする受益者変更登記の申請後、受託者の固有財産となった旨の登記及び信託抹消登記、を行う
- 受益者変更登記、受託者の固有財産となった旨の登記及び信託抹消登記、の2つの登記は、受託者による単独申請が可能である
- 受託者の固有財産となった旨の登記は、登録免許税法第7条第2項の要件を満たせば軽減措置の適用を受けることができる
- 受託者の固有財産となった旨の登記では登記識別情報が発行されない。従って、信託登記時の登記識別情報の保管が必要である
評価する点と問題点
まずは受益者の相続人全員の関与が不要になり、受託者の単独申請が可能になった点は評価すべきでしょう。法務省民事局の決定なので、今後は全国の法務局で統一された取り扱いになります。
また受託者の固有財産となった旨の登記の登録免許税が1000分の20なのか1000分の4なのかも見解が分かれていましたが、登録免許税法第7条第2項の要件を満たしている時は1000分の4と決められました。
唯一、不満があったのが新しく登記識別情報が発行されないという点です。これは登記識別情報が発行されるのは移転登記の時であって、変更登記には適用されないというルールのためです。信託登記などほとんど無かった時のルールなので、新しい仕組みに対応できていないという印象を受けます。
変更登記と言っても実質は受託者が新しい権利者になる訳ですから、発行する方が自然ではないかと私は思います。この決定によって、信託登記の時の登記識別情報を変更登記のものとして流用するということになりました。
このように一部不満な点はありますが、おおむね評価できる決定だと思います。少なくとも今後は、出して見ないと分からないということは無くなる訳ですから。
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3月
21
2024
数次相続とは
数次相続とは、相続が発生した時に遺産分割協議をせずに放置しておいたら、法定相続人が死亡してしまい次の相続が発生してしまったことを言います。
平均寿命が伸びて高齢で亡くなる人が増えたため、相続が発生した時には法定相続人も高齢になっている場合が多く、数次相続の機会は増えていると思われます。
数次相続の相続放棄のパターン
数次相続の相続放棄には、いくつかのパターンがあります。
分かり易くするために、祖父から父の相続を1次相続、父から子の相続を2次相続として、子が相続するかどうかを決めるという事例で説明しましょう。尚、放棄せずに相続することを単純承認と呼びます。
- 1次相続を放棄して、2次相続を単純承認する
- 1次相続を単純承認して、2次相続を放棄する
- 1次相続も2次相続も両方とも放棄する
これらのパターンごとに可能かどうかを見ていきましょう
1次相続を放棄して、2次相続を単純承認する場合
1次相続を放棄して、2次相続を単純承認することは可能です。事例で言うと祖父の相続は放棄して、父の相続を承認することはできるということになります。
ただしこの場合の注意点としては、1次相続はかなり前に発生しているケースが多いと考えられるので、相続放棄の熟慮期間を過ぎていないかどうかを検討する必要があります。ほとんどの場合で、「1次相続の事実を知ったのが最近だった」、または「借金があることを知ったのが最近だった」という理由で相続放棄をすることになるでしょう。
1次相続を単純承認して、2次相続を放棄する場合
1次相続を単純承認して、2次相続を放棄することはできません。2次相続を放棄することで1次相続の相続権も失うと考えられるからです。事例で言うと、父の相続を放棄したら、祖父の財産の相続はできないということになります。
1次相続も2次相続も両方とも放棄する場合
1次相続も2次相続も両方とも放棄することはできます。ただし、このパターンを実務上、利用する機会があるかどうかは疑問です。なぜなら、2次相続を放棄した時点で1次相続をする可能性はなくなるからです。少なくとも私は必要だと感じた事例は今のところありません。
実務で最も使われるパターン
実務で最も登場する機会があるのが、①の「1次相続を放棄して、2次相続を単純承認する」パターンでしょう。祖父母世代には借金があるが、父母世代には借金が無いので、祖父母の借金は相続放棄して、父母の財産は受け取りたいというケースです。
これが成功するには、「祖父母が亡くなったことを知った時から3ヶ月以内」であるか「祖父母に借金があることを知ってから3ヶ月以内」であることが条件になります。条件を満たしているならば、積極的に利用する価値はあるでしょう。
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相続放棄
3月
06
2024
遺言執行者の通知
旧民法では遺言執行者が法定相続人に通知をすることは義務ではありませんでした。しかし、それでは法定相続人の知らないところで勝手に遺言執行が進んでしまうという懸念があり、改正民法では遺言執行者の通知は義務となりました。
就任承諾通知義務
遺言執行者は遺言書に記載されている場合が多いと思います。(家庭裁判所で選任される場合もある)。しかし遺言書に記載があれば自動的に就任するわけではありません。なぜなら遺言書に書く時に、就任の意向を確認する必要が無いからです。遺言書を開封して始めて、自分が遺言執行者にされていることを知ったというケースもあります。
ですから遺言執行者は遺言に記載されていても拒否する権利があります。裏を返せば、就任を承諾して始めて遺言執行者になるのです。故に、就任を承諾したかどうかは法定相続人にとって重要な情報になります。従って、就任を承諾したという事実を法定相続人に通知することが、改正民法では義務化されました。
遺言内容開示義務
また法定相続人は遺言書の内容を知る権利があると考えられ、遺言執行者には遺言書の内容を通知する義務も設けられました。
これは主に遺留分請求を迅速にするためというのが理由の一つだと考えられます。しかし改正民法では、遺留分の無い兄弟姉妹甥姪に対しても通知義務が課されています。通知の方法としては、遺言書の写しをそのまま添付すれば良いとされています。
財産目録開示義務
次に相続財産の開示義務があります。相続財産の目録を作って、それを法定相続人に通知する義務です。私が遺言執行者の実務をやっていて個人的に最も抵抗があるのが、この財産目録の通知義務です。しかし法律で義務付けられているので、やらない訳にはいきません。
なぜ抵抗があるかと言うと、送られた相続人から苦情が寄せられることがあるからです。遺言で指定されていない相続人の立場からすると、「自分がもらえない財産の詳細なんて見たくもない」というのが本音でしょう。
他には、予想よりも多い財産が書かれていた場合、「本当に本人が書いたのか」、「認知症になっていて誘導して書かせたんじゃないのか」などのクレームになり易く、弁護士に駆け込んで大掛かりな争いに発展してしまうこともあります。個人的には財産目録を通知することによって、争いの種をまいているのではないかと思うことがあります。
終了報告義務
遺言執行者は遺言の執行が終了したら終了報告をする義務があります。
このように改正民法では遺言執行者に対して様々な通知報告義務を課しています。一般の方で遺言執行者に指定された場合は、注意してください。もし通知義務に違反した場合、損害賠償責任を負わせられる可能性もありますので覚えておきましょう。
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遺言
2月
28
2024
相続登記の義務化が始まる
今まで何度か取り上げてきた相続登記の義務化が、いよいよ4月1日から始まります。今後は相続登記を放置しているとペナルティが課せられるようになります。そこで内容について確認しておきましょう。
相続登記が義務化される理由
不動産の名義人が亡くなった時に、相続登記(名義変更)を放置することが許されなくなるのが義務化です。今まで相続税の申告には放置した場合のペナルティがありましたが、相続登記の申請にはペナルティがありませんでした。故に相続登記は放置されることが多く、特に価値が低い不動産の場合は大半が放置される傾向がありました。
これによって所有者が不明の不動産が全国で発生して大きな問題となりました。老朽化した建物を取り壊そうと思っても誰のものか分からない場合が増えてきたのです。所有者不明だと更地にすることも売却することも困難になります。これが義務化される大きな理由です。
相続登記の義務化の内容
(1)相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
(2)遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。
(1)と(2)のいずれについても、正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。
相続登記の義務化は4月1日以前に発生した相続に対しても適用される
ここで注意すべきなのは、既に発生している相続についても相続登記の義務化は適用されるということです。ようするに開始時期よりも前に発生した相続であっても漏れなく義務化の対象になるのです。相続登記をしなかった場合のペナルティも「10万円以下の過料」ですから無視できません。
やむを得ない場合の救済措置である相続人申告登記
例えば遺産分割協議をしたら法定相続人同士で揉めてしまい、なかなか決着が着かないという場合があります。そのため所有者が決まらないので相続登記ができないという場合には、相続人申告登記という制度が新たに作られました。注意すべきなのは、あくまで相続登記義務化の救済措置として設けられたものなので、正式な登記ではないということです。
相続人申告登記は通常の相続登記に比べると手間や費用を節約できるようになっています(登録免許税もかからない)。メリットは相続登記の義務を履行したとみなされることで、これをしておけば罰則(10万円以下の過料)は課されません。他の相続人に了解を得る必要もなく単独で申請できます。
ただし、第三者に対して不動産の所有権を主張できる権利は認められていないので、法定相続人同士の話し合いがついたら後から正式な相続登記をする必要はあります。
相続人申告登記については、改めてブログ記事を設けて詳しい説明をしたいと思っています。
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相続登記
2月
19
2024
数次相続とは
相続が発生した後に相続手続をせずに放置していたら、法定相続人の一部または全部が亡くなってしまった場合、数次相続と呼びます。数次相続は、通常の相続を複数行うよりも手間がかかり費用も高くなる傾向があります。
法定相続情報一覧図には数次相続を同時に記載することはできない
数次相続が起こった時に法定相続情報一覧図を作成しようと思ったら、注意すべきことがあります。それは一度に申請することができないということです。
例えば、父と長男と長女の3人家族で先に父が亡くなり、その後、長男が亡くなったとします。長男は結婚して妻と子がいます。
この状況で法定相続情報一覧図を作成する場合、まずは父を被相続人とした一覧図を作成します。この時、既に亡くなっている長男はどうなるかと言うと、父の死亡時にはまだ生存していたので、父の一覧図では長男は生存しているものとして取り扱います。そして次に長男を被相続人とした一覧図を作成します。長男の法定相続人は全員生存しているので、通常通りに作成することになります。
相続関係説明図は同時に記載できる
このように数次相続の場合は、相続が発生した回数分だけ一覧図を作成しなければなりません。同時に記載することはできないのです。
一方、相続登記の添付書類である相続関係説明図は、一覧図とは異なりますので注意が必要です。相続関係説明図は数次相続の場合でも同時に1枚で記載することが可能です。すごく大きな図になってA4では収まりきらない場合は、大きな紙に記載して折りたたんで使用する場合もあります。
法定相続情報一覧図と相続関係説明図は似ているようで異なる部分もあるのです。覚えておきましょう。
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